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僕は人間以外と生きる。
【閑話休題】感謝したい作戦!
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-マナに看病をしてもらったおかげで随分体調が良くなった。ひどい言葉を言ってしまったし、謝りたい…のと感謝をしたい。-
「そんで?俺らのとこに来たと!おいおいフィン~。聞いてやってくれよ~だよな~?アリッストのこと。」
施設へと遊びに来て相談をしに来たアリッストはではあるが相手が悪かった。ジャガーのレンドルがケラケラと笑えば飼い主が見つかって同じく遊びに来たチーターのフィンもクスクスと笑っている。そんな仲間たちにアリッストは顔を赤らめている様子であった。
「笑うんじゃねぇよ!…俺は、その…かっ!飼い主なんだし?たまには優しくやっても良いかなと快く思ってだな…。」
「その割には結構気にしてるんじゃん?…マナのこと。」
笑っているフィンが的を得た言葉を発すればアリッストは図星を突かれたようで耳と尻尾をピンと立てる。そんな彼を笑っていればアリッストはマナが作ってくれた鶏肉のバター焼きをかぶりついて言い放つ。
「もういい。…お前らに話した俺が悪かった。…飼い主如きでこんな気持ちになるんじゃなかったぜ。」
ふて腐れてチキンにかぶりつけばレンドルとフィンは不意に静かになって見合わせ黙々と食べ続けるアリッストに話し掛ける。まずはレンドルからだ。
「なぁ?アリッスト?…お前は…その、マナのことは一応飼い主であることは思っているよな?…そんで、感謝をしたい…と。」
「???まぁ、一応?飼い主だからな。感謝は…したいとは思ってる。…良くしてもらってるし。」
何事かと思いながら返答をすれば今度はフィンが彼に問い掛ける。
「アリッストはさ、行為するだけの相手に…それだけの相手に情が移る方だと俺たちは思えないんだけど。」
「…はぁ?なんだよいきなり?んなもん…」
(あれ?…なんで飼い主でしかも性行為するだけの…玩具のあいつにこんな…面倒な感情を抱くんだ?)
「…アリッスト?」
フィンの問い掛けに静止して言葉が出ないアリッストは思考を巡らしていた。
(人間だからって理由で俺の性玩具にした。…費用の為にあいつを脅して俺を飼わせた。…それでもあいつは…俺を見捨てなかった。)
「…分かんねぇ。分かんねぇよ!!!」
立ち上がって言い放つアリッストではあるが周囲など気にせずに自身に問い掛ける。
「俺は!自分でも!!!嫌な奴だと思ってる!獣人や俺に関わってきた色んな奴に!ロボットさえ媚びを売らずに!殺処分されるかもしれないのに!ずっと!!!ずっと、気に喰わない態度を取っていたのに…。」
「…アリッスト。」
「それなのに…あいつは!マナは俺を見放さなかった…。ひどい事をしても…だ。なのに…どうして?」
レンドルが駆け寄るものの蹲るアリッストにフィンは目配せをして誰かを呼びに行った。頭を抱えながら分からずにいるアリッストではあるが…彼に手を差し伸ばした青年が1人居た。
「アリッストさん!!?…大丈夫、ですか?」
「…バカクズ。お前…なんで来た?」
(違う。…そこは『ありがとう』だ。『来てくれてありがとう。』『心配して来てくれてありがとう』…と、なぜ言えない?)
心情と言動が食い違うアリッストではあったがマナはそんなことなど分からずに顔をムッとさせていた。
「なんでって…あなたが!アリッストさんが心配だったからですよ!!!ダメですか?”飼い主”が心配しちゃ。」
「…”飼い主”…か。」
その言葉がアリッストにとっては重く感じてしまう。自分はそれだけの獣人なのだと。愛玩動物なのだと。墓穴を掘った自分も悪いが傷心しつつあるアリッストにマナは笑みを込めて声を掛ける。
「アリッストさんが大事だから来たんです。…少し休みましょうか!まだ病み上がりですからね!…ほら!手!」
にっこりと笑って言い放つマナにアリッストは心中で問い掛ける。
(俺は…お前にとっての、何なんだ?…何者なんだ?)
「ほら!アリッスト!!…『ありがとう』は?」
ニヤつきながら小声で小突くレンドルにアリッストは息を整えてから少し緊張した面持ちで遂に言う。
「あ!!!あ…りが…とう。」
「!!!……いいえ。」
アリッストは忘れない。自分の拙くも懸命に言い放った言葉をとても嬉しそうな顔をしたのを…忘れない。
「そんで?俺らのとこに来たと!おいおいフィン~。聞いてやってくれよ~だよな~?アリッストのこと。」
施設へと遊びに来て相談をしに来たアリッストはではあるが相手が悪かった。ジャガーのレンドルがケラケラと笑えば飼い主が見つかって同じく遊びに来たチーターのフィンもクスクスと笑っている。そんな仲間たちにアリッストは顔を赤らめている様子であった。
「笑うんじゃねぇよ!…俺は、その…かっ!飼い主なんだし?たまには優しくやっても良いかなと快く思ってだな…。」
「その割には結構気にしてるんじゃん?…マナのこと。」
笑っているフィンが的を得た言葉を発すればアリッストは図星を突かれたようで耳と尻尾をピンと立てる。そんな彼を笑っていればアリッストはマナが作ってくれた鶏肉のバター焼きをかぶりついて言い放つ。
「もういい。…お前らに話した俺が悪かった。…飼い主如きでこんな気持ちになるんじゃなかったぜ。」
ふて腐れてチキンにかぶりつけばレンドルとフィンは不意に静かになって見合わせ黙々と食べ続けるアリッストに話し掛ける。まずはレンドルからだ。
「なぁ?アリッスト?…お前は…その、マナのことは一応飼い主であることは思っているよな?…そんで、感謝をしたい…と。」
「???まぁ、一応?飼い主だからな。感謝は…したいとは思ってる。…良くしてもらってるし。」
何事かと思いながら返答をすれば今度はフィンが彼に問い掛ける。
「アリッストはさ、行為するだけの相手に…それだけの相手に情が移る方だと俺たちは思えないんだけど。」
「…はぁ?なんだよいきなり?んなもん…」
(あれ?…なんで飼い主でしかも性行為するだけの…玩具のあいつにこんな…面倒な感情を抱くんだ?)
「…アリッスト?」
フィンの問い掛けに静止して言葉が出ないアリッストは思考を巡らしていた。
(人間だからって理由で俺の性玩具にした。…費用の為にあいつを脅して俺を飼わせた。…それでもあいつは…俺を見捨てなかった。)
「…分かんねぇ。分かんねぇよ!!!」
立ち上がって言い放つアリッストではあるが周囲など気にせずに自身に問い掛ける。
「俺は!自分でも!!!嫌な奴だと思ってる!獣人や俺に関わってきた色んな奴に!ロボットさえ媚びを売らずに!殺処分されるかもしれないのに!ずっと!!!ずっと、気に喰わない態度を取っていたのに…。」
「…アリッスト。」
「それなのに…あいつは!マナは俺を見放さなかった…。ひどい事をしても…だ。なのに…どうして?」
レンドルが駆け寄るものの蹲るアリッストにフィンは目配せをして誰かを呼びに行った。頭を抱えながら分からずにいるアリッストではあるが…彼に手を差し伸ばした青年が1人居た。
「アリッストさん!!?…大丈夫、ですか?」
「…バカクズ。お前…なんで来た?」
(違う。…そこは『ありがとう』だ。『来てくれてありがとう。』『心配して来てくれてありがとう』…と、なぜ言えない?)
心情と言動が食い違うアリッストではあったがマナはそんなことなど分からずに顔をムッとさせていた。
「なんでって…あなたが!アリッストさんが心配だったからですよ!!!ダメですか?”飼い主”が心配しちゃ。」
「…”飼い主”…か。」
その言葉がアリッストにとっては重く感じてしまう。自分はそれだけの獣人なのだと。愛玩動物なのだと。墓穴を掘った自分も悪いが傷心しつつあるアリッストにマナは笑みを込めて声を掛ける。
「アリッストさんが大事だから来たんです。…少し休みましょうか!まだ病み上がりですからね!…ほら!手!」
にっこりと笑って言い放つマナにアリッストは心中で問い掛ける。
(俺は…お前にとっての、何なんだ?…何者なんだ?)
「ほら!アリッスト!!…『ありがとう』は?」
ニヤつきながら小声で小突くレンドルにアリッストは息を整えてから少し緊張した面持ちで遂に言う。
「あ!!!あ…りが…とう。」
「!!!……いいえ。」
アリッストは忘れない。自分の拙くも懸命に言い放った言葉をとても嬉しそうな顔をしたのを…忘れない。
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