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僕は人間以外と生きる。

知りたい。【1】

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マナとアリッストは薔薇園へと向かっている。ジゼルの教育係として新たな仕事が出来て緊張をする傍ら、隣を歩いているアリッストにマナはちらりと目をやった。

(アリッストさん…なんで承諾してくれたんだろう?…僕と一緒に働けるから?とか?…なんてね。そんなこと無いか…。)

勝手にへこんで溜息を吐くマナにアリッストは疑問に思う。

「おいバカクズ。…なにお前溜息なんか呑気に吐いてんだよ?…俺じゃ役不足ってか?」

「そんなんじゃありませんよ。…アリッストさんには関係ないことです。」

「なんだそりゃ?まあいい。…俺だって借金返済を片したいしな。」

(本当はバカクズ…マナと働くのがちょっと良いかなって思っただけだけど。言ったら言ったらで調子乗りそうだしな…。)

本音と建て前が逆のアリッストの想いを知らずにいるマナではあるが彼もまた内心ではアリッストと働けることを喜んではいる。…しかしそれは自分だけの、一方通行な想いだとマナは感じているのだ。
そんな2人ではあるが薔薇の番人ことアルに許可を貰ってからビルの最上階へと上がる。エレベーターで昇ってたどり着けばジゼルとハーメルンが待ち構えていた。

「マナ~!!!会いたかったのです!!!こんな気持ちは初めてなのです!!」

マナに盛大に抱き着くジゼルにムカつくアリッストではあるが気持ちをなんとか堪えている。するとマナから視線を外したジゼルはアリッストに見やると今度は顔をしかめて言い放つのだ。

「お前は来なくていいのです。…給料が倍になるって理由で来る奴なんてサイテーなのです。」

「…はぁ?」

「給料なんてマナしか来なかったらもっと上げていたのです。…お前がマナとどうしても来たいっていうから…むぐっ!」

ジゼルが言葉を続けようとすればアリッストが彼女の口を両手で塞ぐ。暴れるジゼルにアリッストは恐喝するように声を低くする。

「…今度そんなこと言ったら、てめぇを破壊してでも犯すから覚悟しろよ…?」

にんまりと怖く笑うが聞こえなかったので状況が分からないでいるマナと身体を震わせたジゼルは脱兎のごとく逃げ出して執事のハーメルンに抱き着く。

「こいつ嫌なのです!!!解雇しろなのです!!怖いのです!!…あっ。この気持ちもデータに入れておかないと…。」

ぶつぶつと呟きながらデータを収集しているジゼルの姿にマナとアリッストが首を傾げればハーメルンが補足して説明をする。

「お嬢様は日々、感情を学ぶために勉強をなされているんだ。…絶滅しつつあるヒトを完全体として、老いもせず生き続ける…豊かな感情を持つ"人形"と言う名の人間になろうと日々奮闘しているんだ。」

「???なんでそんなことを。」

マナが尋ねればハーメルンはこのように言い放つのだ。

「老いもしない、美しいままの人間が居たら繁栄するのではないかというお嬢様を作ったご両親のお考えがあるからだ。…まぁ、お嬢様を作ってから試行錯誤を繰り返して…亡くなってしまったが。」

「そんじゃあ今は誰がこいつの世話をしてんだよ?」

「私やアルストラダム、…そして神だ。」

「!!!神?」

神という言葉に何かを惹かれたアリッストではあるがハーメルンは気にも留めずにマナに話し掛ける。

「そこでマナ。…お前の出番なんだ。ヒトであるお前に、お嬢様に”愛”というものを教えて欲しい。…手っ取り早いのはお嬢様の恋人…になることだろう。」

「こ…!恋人!!??」

驚くマナをよそにデーターを入れて学習をしたジゼルがマナの足に抱き着く。

「恋人!それは良い考えです!!そしたらマナと私はくっついて幸せなのです!」

ハーメルンとジゼルの提案にさすがに幼女相手にそのような気は起こさないと断ろうとすれば、突然身体を引っ張られ地面へと尻餅をついたマナは痛がろうとした途端に引っ張った張本人…アリッストに深い口づけをされたのだ。

「アリッスト…?さん?…んぅ?」

-クチュリ…。クチュリ…。クチュゥ…。

舌を吸われたり舐められたりしてから唇が離れマナは赤面しながらアリッストに文句を言う。

「なっ!!?いきなり何するんですか!!?びっくりしたし!人も居るのに…。」

「人じゃなくて人形と獣人じゃねぇか。こういうのも”愛”って言うんだって教えとけ。」

-チュッ。プチュゥ…。

もう一度深いキスをしあう2人を見てジゼルは興味津々に見てから赤面しているマナに問い掛ける。

「マナ?…マナは嫌いな奴とキスすると”愛”が出るのですか?嫌いだから好きなのです?」

「???はい…?」

ジゼルの問い掛けにマナは困惑しアリッストは舌打ちをしていればハーメルンは後ろに隠れて笑っていた。
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