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僕は人間以外と生きる。

妬かれたい。【4】

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ジゼルの子供らしいキスではあるもののマナは内心では驚いていれば、そんなマナにジゼルは彼の腕を引っ張る。

「マナに会いたかったのです!マナは画面で見るよりも可愛くて驚いたのです!」

初対面なのにも関わらず妙な言葉を言うジゼルにマナは不思議がる。

「…???えっと。僕は君にあったことが無いのだけれど?」

「ジゼルですっ!!」

マナを椅子に座らせてせがむジゼルの気迫にマナはもう一度言いなおした。

「…ジゼルちゃんと会ったことは一度もないのに何で僕のことを知っているのかな?」

「…そんなことよりも俺に…謝るのが先決だ…ろ。」

「アリッストさん!!?」

アリッストが這いつくばりながらエレベーターを出ていたのでマナは彼に手を貸して起き上がらせてから自身が座っていた席を譲る。その光景にジゼルは少し疑問がある様子だ。

「???なんでマナはそいつに優しくするのです?…この前は泣きながら目隠しされて縛られて犯されてたのに。」

「なっ!!?なんで知ってんの!??」

顔を赤らめるマナに対し何かを察したような表情を見せるアリッストが問い掛ける。

「お前が見てたのかよ…?リアラに命令されて薔薇園に行かされて俺の行為を見ていたのは。」

「お前の行為なんて散々見ましたが全然ダメなのです。ロマンチックじゃないのです。青ざめるほど最低下劣な行為なのです。」

「なんだと?」

睨みつけるアリッストに負けじとジゼルも目をとんがらせればマナが仲裁に入る。

「と!とりあえず落ち着いて!2人とも!…でも、そっか。僕、こんな小さな子に…見られてたのか。」

恥ずかしくなって真っ赤になるマナにアリッストは笑って背中を叩いている。そしてジゼルは嬉しそうな顔をした。

「マナはとっても!とっても可愛かったのです!可愛すぎて何度も見返してしまったのです!」

「えっ!?見返した…の?僕の失態…を?」

さらに顔を赤くさせて蒸気させるマナにジゼルは笑う。

「恥ずかしがらなくて良いのです!そこの変態の虎とは大違いなのです!」

「あっ?んだと?このチビ。食い殺すぞ?てめぇ。」

「うわぁ~!変態ゼツリン虎に犯されるのです~!たすけてなのです~!…ハーメルン!」

「「えっ!?」」

ジゼルが呼び掛ければどこからともなく後ろのドアが開き灰色の毛並みをした美しい獣人…ハーメルンが現れた。再び会ったハーメルンの姿にマナとアリッストら驚き声をかけていく。

「ハーメルンさん?一体どうして?」

「…もしかして、てめぇが言ってたお嬢様って…、そのチビか?」

「えっ!?そうなんですか?」

マナが再度驚けば眼鏡を少し掛け直してジゼルに駆け寄るハーメルンはにっこりと微笑む。

「ああ、そうだとも。…私はジゼル様の執事としてここに居る。…ですよね?ジゼル様?」

「そうなのです!私が生まれてからずっと居るのです!…ハーメルン!マナをここに働かせるのです!私が許すのです!」

突飛な発言をするジゼルに対してもハーメルンは驚きもせずににっこりと笑ってから彼女の頭をさする。マナは呆気に取られているのだが。

「そうですね…。リアラさんに聞いてみないと検討は難しいですね。…でも応じると思いますよ。…マナにはアリッストを買ったことで多額の借金がありますからね。支払って欲しいのなら応じるでしょう。」

「本当に最低野郎なのです!…クズの極みなのです。」

ジゼルが蔑むような目線でアリッストを見つめれば彼は堪忍袋の尾が切れたようで立ち上がって舌打ちをしたのちマナにキスをしたのだ。…それも幼女とほぼ他人の執事の前で。

「ちょっと!アリッスト…さん!んんぅっ!ンンゥ…。」

-プチュゥ…。クチュゥ…。クチュリィ…。

歯列をなぞってから舌を絡ませて吸ったり甘噛みをするアリッストに応じようとはするものの、他者からの…特に幼いジゼルの前で見せるのが気恥ずかしくてマナは抑えめな反応を見せる。しかしアリッストは容赦をしない。

-ガブっ。

「痛っ!…なんで…また噛んでぇ…?んぅ?」

「…お前がつまんねぇ反応するからだよ。バカクズ。」

-チュッ。

軽いキスをして離された唇には銀の糸が伝って地に落ちる。顔を真っ赤にしてキスを終えたマナの身体を抱いてアリッストはジゼルに向けて舌を出した。

「こいつは俺が所有してんだ。…働かせんなら俺の許可が降りるような条件持ってこい。…クソチビ。」

「??なんでお前の許可が必要なのです?意味がわからないのです。」

「ガキの分際で大人の事情を知ろうとすんな。てめぇが俺が抱きたくなるような色気のある女になったら教えてやるよ。…そんじゃあ俺たちはこれにて。」

エレベーターのボタンを肩で押してマナを担いで下へ向かうアリッストの姿にジゼルは疑問を浮かべる。

「???なんであいつはマナにひどいことをするのにマナに執着しているのです?それに、マナも…。どうしてマナはあんなサイテーな獣人に…惚れているのですか?…私には分からないのです。」

頭を抱えながら考え込むジゼルにハーメルンはにっこりと微笑んでから彼女の頭をさする。優しくさすられたおかげで気持ちの良さそうな表情を見せるジゼルにハーメルンは言葉を紡ぐ。

「そうですね…。お嬢様がもっと"愛"について学んでいけば…分かる答えになると思いますよ?この感情は…まあ、難しいものですから。」

「相対性理論よりも?です?」

「ええ。それよりも難しい…かもしれませんね。」

そしてハーメルンは不貞腐れる彼女に紅茶を淹れるのであった。
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