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僕の生きている意味。

振り返りたくない。【終】

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ハーメルンにまた後日にと言われるのを受け流しながら社宅へと向かうアリッストとマナ。沈黙が続く中でマナは思い出すように話をする。

「あ…。なんか思い出しました。」

「思い出したっつ~のは俺とではなくてあいつに抱かれようとしたのを俺に謝るためにか?」

「…それは本当に申し訳なかったですけど。…夢を見たんです。」

「…夢?」

歩きながらマナは空を見上げた。この世界の空は自分が前に居た世界よりも夜空が美しく感じる。…それはいったいなぜ?ただマナには分かっていたようだ。

「自分が血だらけになっていたんです。床には血まみれの包丁があって隣には冷たくなっている父親が居ました。」

「???」

突然の話にアリッストが首を傾げればマナは昔話を語るような言い方をする。

「でも父親の向かいには僕を買った男が居ました。僕が覚えているのはその人が父親に殺されてそれで父親が自分自身を刺して僕に言ったんです。『お前は俺の子供だから。道具だから一緒に来てくれるよな?』って。僕、初めて父親に求められたんです!」

「……おい。」

「いつも父親にバカにされて犯されて他の人とも金になるから売婦でもなんでもしろって言う冷徹な父親が…初めて僕に言ってくれたのがその言葉でした。…いつも生きるのに精いっぱいだった。こんな綺麗な夜空を見るのも…生まれて初めてかもしれない。…だから僕は屋上から飛び降りて」

「おい!マナ!!!」

叫ぶアリッストにマナは首を傾げて頬を伝うのは…涙であった。流れていく涙にマナは驚くとアリッストは彼を抱いて囁く。

「お前の過去には興味ねぇ。なんでだが分かるか?」

「…僕に興味が無いからですか?」

「違う。」

マナをさらに寄せて抱くアリッストは優しく告げる。

「…俺は今のお前しか見てないからだ。そうだろ?ツキヨミ マナヨシ?」

したり顔をするアリッストにマナは驚いた顔をする。

「…!!!フルネーム知ってたんですね?…嬉しい。」

今度は嬉しさのあまり少し泣いてしまうマナにアリッストは溜息を吐いてしまう。

「道端で泣くなバカクズ。ほらさっさと帰んぞ。…俺は腹が減って仕方ねぇ。」

頭を掻きつつも手を引いてくれるアリッストにマナは流れる涙を拭いて微笑む。

(あぁ神様。多分、僕は天国へはまだいけないでしょう。だって…)

「今が十分幸せだから。」

「…はぁ?なに言ってんだバカクズ?ほら!メシだメシ!」

そして2人は仲良く手を取って帰り夕飯を食べて眠るのであった。
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