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第3話 困った魔王【2】
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今日はクオリエ産のラベンダーのハーブティーに果実のロールケーキである。普段であればルルと楽しくアフタヌーンティーを過ごすのだが…今日はそういう風にはいかなさそうだ。
「それでソエゴン。私を幸せに出来ないってどういう意味かしら?」
ラベンダーティーを一口飲んでから、ルルは少々怒った様子でソエゴンに話し掛けてきた。彼女が怒っているのはソエゴンの…彼の自己肯定感の低さと自分がどれだけソエゴンに、彼に助けられたのかを分かって欲しいから。
―どんなに周囲がソエゴンと結婚をするのを止められても、両親に怒鳴られても、それでもルルはソエゴンが大好きで愛している人間なのだ。
だからルルは彼に振り向いてもらう為に、ソエゴンよりは下手ではあるが料理や掃除は少しずつだが出来るようになったし、体型維持為に適度な運動がてら大嫌いなバレエの練習もきっちりしているし、大好きなソエゴンの料理やデザートを食べすぎないように腹八分目を目指して食しているのだ。
―今まで努力が簡単に実ってきたルルの人生ではあったが…ソエゴンの結婚に関してはなかなか上手くいかない。
だからルルは簡単に堕ちてくれないソエゴンに腹が立ってしまうようで…。
「私がこの前作ったヨーグルトソースのフルーツサラダは美味しいって言ってくれたわよね?」
「うん…美味しかったよ」
それは本当である。食後のデザートとして美味しく頂いた。
「私、ちゃんと体型維持の為に大嫌いなバレエの練習もしているし毎日体重を計測して日記に付けているのだけれど…太ったように見えるかしら?」
そんなことはない。むしろ背筋がピンと伸びているし、ルルが踊るバレエはとても魅力的だ。だからソエゴンは彼女に率直な言葉を掛ける。
「ううん…。ルルは綺麗だし、嫌いだって言っているバレエの姿の君を見ると…心が奪われそうなくらい…その、綺麗だな…って」
「…じゃあ、何が不満なのかしら?」
そしてロールケーキを食すルル。作ってくれたフルーツロールケーキは上には苺とブルベリー、そして木苺が乗せてある。また粉砂糖が振られてあるので見た目がとても可愛らしい。しかも生クリームにクリームチーズが混ぜ込んであるおかげで爽やかさの中に甘さが広がりとてつもないくらい美味なのだ。
…相変わらず美味しい。美味しすぎるけれど…。やっぱり私がソエゴンのように器用に作れないから結婚してくれないのかしら。…魔術だって使えないし…。
そんな悶々と考えながら食すルルにソエゴンはラベンダーティーを一口飲んでから意を決したように言い放った。
「不満なんてないよ。ただ…ルルは僕とは違って選びたい放題なんだから」
「…それってどういう意味?」
ルルの顔が強張った。だからソエゴンは意味が通じていないのだと思い込んで彼女に説明をする。…本来であれば自分とは出会わなかった方が良かった呈で話すように。
「言っている通りだよ。僕は世間から見られれば人々にとって恐怖でしかない怪物なんだよ。そんな人間がルルみたいなお嬢様で、綺麗で素敵な女性と付き合っちゃいけないし…幸せにもなってはいけないんだ。だからルルは―」
―――ガタンッ!!!
紅茶の水面が揺れる。何事かと思って見ると目の前には…怒っている様子のルルがそこに居た。しかもかなり怒っているのか息を切らしているのが伺える。
…ルルを怒らせるのもこれで何度目かな。やっぱり僕は―
―人を不幸にする人間なんだ。
だがルルは肩を震わせながら叫ぶように俯くソエゴンへ言い放った。
「そんなことないわ。どうしてあなたは自分自身を傷付けるような言葉しか言えないの!??」
「…だってそうじゃないか」
「私はあなたに出会えて幸せよ。だから―」
「僕もルルと出会えて幸せな日々を送れたよ。…でも付き合うとか、結婚なんて考えられない。僕なんかと結婚なんてルルの将来にも良くない」
「そんな…」
悲しげな表情を見せるルルにソエゴンは考えを巡らせる。
…ルルは僕よりも若いし考えも幼い。だったら僕よりも素敵な人に出会えて結婚してくれる方が、僕は幸せだから。ルルの親友として幸せだから。
「じゃあ…そんなあなたに聞くわ」
「なんだい?」
するとルルは意を決したような顔をして言葉を言い放った。
「どうして私を”転送魔法”で帰らせないの?」
不意に突かれた言葉にソエゴンは頭を捻った。
…どうしてだろう?
ルルが家に戻りたくないと言うからなのか、ルルが家に戻って苦しい思いを…”マリオネット”のようになってしまうからと危惧しているからなのか。
今のソエゴンには分からないがただ1つ言えるのは…。
―――ズキンッ…。
…この胸の痛みはなに?
―だがその原因も分からない。だから彼はルルの問い掛けにこのように答えた。
「…ルルが帰りたいのなら、寂しいけれど帰っても良いよ」
「…そんな」
ルルの両目から一筋の涙が零れた。だがソエゴンは気づかない。
「帰りたくなかったら帰らなくても…って、ルル?」
「…そっか、そうなのね」
涙を零すルルにさすがのソエゴンも慌てふためく。
「あの、大丈夫じゃない…よね。お茶、飲む?」
涙を零しながらルルは席を立ち上がり、戸惑っている様子のソエゴンへ向けて言い放った。
「部屋に籠っているわ。…夕食、出来たら言ってね」
―――パタンッ…。
寂しく閉ざされた扉を見てはソエゴンも悲しげな表情を見せた。
「ルル……、僕は―」
―君にそんな顔をさせたくなかったのに。
そしてソエゴンは溜息を吐いてから窓に映る外を一瞥した。…なぜなら殺気のような気配を感じたから。
「それでソエゴン。私を幸せに出来ないってどういう意味かしら?」
ラベンダーティーを一口飲んでから、ルルは少々怒った様子でソエゴンに話し掛けてきた。彼女が怒っているのはソエゴンの…彼の自己肯定感の低さと自分がどれだけソエゴンに、彼に助けられたのかを分かって欲しいから。
―どんなに周囲がソエゴンと結婚をするのを止められても、両親に怒鳴られても、それでもルルはソエゴンが大好きで愛している人間なのだ。
だからルルは彼に振り向いてもらう為に、ソエゴンよりは下手ではあるが料理や掃除は少しずつだが出来るようになったし、体型維持為に適度な運動がてら大嫌いなバレエの練習もきっちりしているし、大好きなソエゴンの料理やデザートを食べすぎないように腹八分目を目指して食しているのだ。
―今まで努力が簡単に実ってきたルルの人生ではあったが…ソエゴンの結婚に関してはなかなか上手くいかない。
だからルルは簡単に堕ちてくれないソエゴンに腹が立ってしまうようで…。
「私がこの前作ったヨーグルトソースのフルーツサラダは美味しいって言ってくれたわよね?」
「うん…美味しかったよ」
それは本当である。食後のデザートとして美味しく頂いた。
「私、ちゃんと体型維持の為に大嫌いなバレエの練習もしているし毎日体重を計測して日記に付けているのだけれど…太ったように見えるかしら?」
そんなことはない。むしろ背筋がピンと伸びているし、ルルが踊るバレエはとても魅力的だ。だからソエゴンは彼女に率直な言葉を掛ける。
「ううん…。ルルは綺麗だし、嫌いだって言っているバレエの姿の君を見ると…心が奪われそうなくらい…その、綺麗だな…って」
「…じゃあ、何が不満なのかしら?」
そしてロールケーキを食すルル。作ってくれたフルーツロールケーキは上には苺とブルベリー、そして木苺が乗せてある。また粉砂糖が振られてあるので見た目がとても可愛らしい。しかも生クリームにクリームチーズが混ぜ込んであるおかげで爽やかさの中に甘さが広がりとてつもないくらい美味なのだ。
…相変わらず美味しい。美味しすぎるけれど…。やっぱり私がソエゴンのように器用に作れないから結婚してくれないのかしら。…魔術だって使えないし…。
そんな悶々と考えながら食すルルにソエゴンはラベンダーティーを一口飲んでから意を決したように言い放った。
「不満なんてないよ。ただ…ルルは僕とは違って選びたい放題なんだから」
「…それってどういう意味?」
ルルの顔が強張った。だからソエゴンは意味が通じていないのだと思い込んで彼女に説明をする。…本来であれば自分とは出会わなかった方が良かった呈で話すように。
「言っている通りだよ。僕は世間から見られれば人々にとって恐怖でしかない怪物なんだよ。そんな人間がルルみたいなお嬢様で、綺麗で素敵な女性と付き合っちゃいけないし…幸せにもなってはいけないんだ。だからルルは―」
―――ガタンッ!!!
紅茶の水面が揺れる。何事かと思って見ると目の前には…怒っている様子のルルがそこに居た。しかもかなり怒っているのか息を切らしているのが伺える。
…ルルを怒らせるのもこれで何度目かな。やっぱり僕は―
―人を不幸にする人間なんだ。
だがルルは肩を震わせながら叫ぶように俯くソエゴンへ言い放った。
「そんなことないわ。どうしてあなたは自分自身を傷付けるような言葉しか言えないの!??」
「…だってそうじゃないか」
「私はあなたに出会えて幸せよ。だから―」
「僕もルルと出会えて幸せな日々を送れたよ。…でも付き合うとか、結婚なんて考えられない。僕なんかと結婚なんてルルの将来にも良くない」
「そんな…」
悲しげな表情を見せるルルにソエゴンは考えを巡らせる。
…ルルは僕よりも若いし考えも幼い。だったら僕よりも素敵な人に出会えて結婚してくれる方が、僕は幸せだから。ルルの親友として幸せだから。
「じゃあ…そんなあなたに聞くわ」
「なんだい?」
するとルルは意を決したような顔をして言葉を言い放った。
「どうして私を”転送魔法”で帰らせないの?」
不意に突かれた言葉にソエゴンは頭を捻った。
…どうしてだろう?
ルルが家に戻りたくないと言うからなのか、ルルが家に戻って苦しい思いを…”マリオネット”のようになってしまうからと危惧しているからなのか。
今のソエゴンには分からないがただ1つ言えるのは…。
―――ズキンッ…。
…この胸の痛みはなに?
―だがその原因も分からない。だから彼はルルの問い掛けにこのように答えた。
「…ルルが帰りたいのなら、寂しいけれど帰っても良いよ」
「…そんな」
ルルの両目から一筋の涙が零れた。だがソエゴンは気づかない。
「帰りたくなかったら帰らなくても…って、ルル?」
「…そっか、そうなのね」
涙を零すルルにさすがのソエゴンも慌てふためく。
「あの、大丈夫じゃない…よね。お茶、飲む?」
涙を零しながらルルは席を立ち上がり、戸惑っている様子のソエゴンへ向けて言い放った。
「部屋に籠っているわ。…夕食、出来たら言ってね」
―――パタンッ…。
寂しく閉ざされた扉を見てはソエゴンも悲しげな表情を見せた。
「ルル……、僕は―」
―君にそんな顔をさせたくなかったのに。
そしてソエゴンは溜息を吐いてから窓に映る外を一瞥した。…なぜなら殺気のような気配を感じたから。
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