不幸ヤンキー、”狼”に狩られる。〜助走〜

蒼空 結舞(あおぞら むすぶ)

文字の大きさ
上 下
71 / 75
”狼”の舞台挨拶

不幸ヤンキー、”狼”を憐れむ。【1】

しおりを挟む
 設置されているカメラにて哉太は優雅に微笑み心は緊張した面持ちで”狼”争いをする。一体どんな対決になるのか幸は肝を冷やしていた。そんな中で幸は自身のスマホの着信が鳴っているのに気づき止めようとするが、哉太が優しく言い放つ。

「大丈夫だよ、花ちゃん。…出てあげて?謎解きに必要な人物だから。スピーカーでお願い。」

「???あ…あぁ。」

 スマホの画面には『フライ』と表示されていた。犬猿の中である哉太がフライの着信を許すのは珍しいなと考えつつ幸はスピーカーにしてから電話に出る。

「もしもし?どうしたんだ?フライ。」

『あ…。さっちゃん?春夏冬さんからの連絡と言いたいことがあって…。…ちょっと驚いたことがあったというか。』

「???何があったんだ?」

 するとフライは衝撃的な言葉を発したのだ。

『…僕のスマホさ。ハッキングされてたみたいなの。…しかも結構、高度なハッキングをされていたらしくて。春夏冬さんにスマホを預かってもらって警察が調べて分かったことなんだけど…。』

「…ハッキング?」

『うん。まぁ僕のスマホの情報が抜き取られてたみたい。良かったよ~。お金とか引き取られなくてさ~。でも…なんでだろうな~って。』

 フライの発言に心がビクつけば哉太はとある仮説を立てる。

「今回はフライ君だったけど…。恐らく狙われていたのは彼自身だと俺は思う。ホヅミの件で有名だし容姿も分かりやすい。しかも後天的な狼としても能力が制御できてるから暴れることは可能性としては低いから君は安心して過去が見やすいし。」

「…つまり、私は安心して過去が見られた。ということになりますね?」

「それは違うね。」

 心の釈明に哉太は異議を唱えてとある捜査報告から仮説を立て直した。

「君のお父さんはIT系にかなり強いと伺っているし、携帯会社にも勤めていたらしいね~?そしたら、君のお父さんがもやし…じゃなくてフライ君の携帯を乗っ取って検索履歴から広告を貼ったり、見ることも出来たんじゃないかな?」

「…それはただの仮説にすぎません。どこにそんな証拠が」

「だからフライ君のスマホから調べ上げたんだよ。…そしたら君のお父さんが彼のスマホをハッキングしていることが分かった。」

「……。それは私には知らないことです。」

「たとえ知らなくても俺や麗永は知っているよ?…さて、君はどう反論する?」

 小さな少女にも容赦しない哉太ではあるが彼女は息を吐いてから手を差し出した。何かと思う哉太に心は勝負を仕掛ける。

「私の過去視が事実であるのを今から教えましょう。お父さん…いえ、父がパソコンを弄らずにあなたのことを探れば…真実を導けばよろしいですよね?」

 焦ったような顔をする心に哉太は一旦何かを考えてから思いついたように右手を軽く捻ってから手を差し出した。謎の行動をする哉太ではあるが心は余裕がない様子でありそのことには触れずに彼の手を握る。…すると異変が起きたのだ。

「!!!なんだっ!??この…痛みは…?!!」

 1つは心司が頭の痛みを訴えて床にひれ伏したこと。そしてもう1つは…。

「…お父さんの、声が…聞こえない。」

 驚いて何が起きてるのか分かっていない様子の心に哉太は悪戯に笑った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

どうして、こうなった?

yoyo
BL
新社会として入社した会社の上司に嫌がらせをされて、久しぶりに会った友達の家で、おねしょしてしまう話です。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

処理中です...