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”狼”の舞台挨拶
不幸ヤンキー、”狼”を迎え撃つ。【終】
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その数日後。約束の場にて普段とは違いスーツに眼鏡を掛けている哉太に普段着を着ている幸、そして麗永がとあるビルを尋ねてきた。3人の姿を見て心のマネージャーである心司が苦々しげな表情を見せている。そして哉太に向けて言い放つのだ。
「あなたですか?自分が田中 皐月だと、本物って言っている方は?この前いらっしゃった方と同じではないですかね~?…心にこんな脅迫文でも送りつけておいて?」
心司が見せびらかしてきたのは古風にも手紙で送りつけられてありこのような内容であった。
『この前会った田中 皐月もとい場磁石 哉太は本物ではない。これは明らかに詐欺である。世間に知られたくなければ、”狼”同士の勝負をしよう。…本物の田中 皐月より。』
「しかもこれと同時に撫子さんって方からにも連絡を受けましてね?…止めて頂けませんかね?営業妨害ですよ。」
深く溜息を吐いて相手にされていない3人ではあったが状況が一変した。不意に扉が開き右頬に狼の入れ墨を持った少女…心が現れたのである。彼女は哉太を見てから驚いた顔をしたのだ。
「!!!あなたは…違う。あなたは…この前の人じゃない。」
「??何を言っているんだい。心は?こいつらは心の揚げ足を取ろうとして」
「おとうさん。この人はこの前の人とは違う。…狼の人だ。」
「…なにぃっ?」
心の発言に心司が驚けば哉太は心に目線を合わせて言い放つ。
「このおっさんは俺を見抜けなかったのに君はどうして見抜けたのかな?…ひょっとして、俺の心でも読んだ…とか?」
哉太に見透かされたように言われた心は少し顔をビクつかせてから冷静に言葉を述べる。
「…何を言っているんですか。私は過去が見えるだけ。あなたの過去が見えただけです。…本当の。」
「ふぅ~ん。じゃあさ、賭けでもしようか?」
「…賭け?」
哉太の合図とともに麗永と幸が心司に張り付き万全の低策をする。さらには麗永が持ってきた小型のテレビカメラで心と自身を撮影させる。なにが起こるのかと心配をする幸に哉太は用意されている椅子に座って心にも促した。
「心ちゃんも座りなよ。…あぁ。このカメラは麗永がね、君が過去を暴いてくれたうららちゃんの為に買った奴なんだと。何に使われるのかは俺は知らないけど~。」
「……私が自分自身で作ってしまった借りを返す為にこちらへ来たんですか?大人のくせにやることが幼稚ですね。」
「そうかもね~。でも今回は違う。…これは君と君のお父さん、そして俺らの大義名分が掛かっている大勝負だよ。」
紅の瞳で心を離さないように捕えれば少女は考えてから哉太の手を取ろうとした。すると哉太はカメラの電源を入れる。電源が入ったカメラで麗永が机の上でパソコンを操作すれば哉太はこのような言葉を心に掛ける。
「俺の心理もそうだけどさ…。君は自分のお父さんのことをどう思ってるの?」
「…はい?」
突然の疑問に心も疑問を返したくなる中で哉太は笑みを絶やさずにいる。
「だから~君の…心ちゃんはお父さんのことをどう思っているのかって聞いてるの。…あっ。ちなみにだけどこれ、生配信やってるからね~。」
「!!!?なんだと!?誰の許可を得て!!?」
「まぁまぁ。心ちゃんのおとーさんもそんなにカッカしないでよ?…んで、どう思ってるの?」
生配信にて着々と観客が来る中で心はなぜか言葉を発せずにいたのであった。
「あなたですか?自分が田中 皐月だと、本物って言っている方は?この前いらっしゃった方と同じではないですかね~?…心にこんな脅迫文でも送りつけておいて?」
心司が見せびらかしてきたのは古風にも手紙で送りつけられてありこのような内容であった。
『この前会った田中 皐月もとい場磁石 哉太は本物ではない。これは明らかに詐欺である。世間に知られたくなければ、”狼”同士の勝負をしよう。…本物の田中 皐月より。』
「しかもこれと同時に撫子さんって方からにも連絡を受けましてね?…止めて頂けませんかね?営業妨害ですよ。」
深く溜息を吐いて相手にされていない3人ではあったが状況が一変した。不意に扉が開き右頬に狼の入れ墨を持った少女…心が現れたのである。彼女は哉太を見てから驚いた顔をしたのだ。
「!!!あなたは…違う。あなたは…この前の人じゃない。」
「??何を言っているんだい。心は?こいつらは心の揚げ足を取ろうとして」
「おとうさん。この人はこの前の人とは違う。…狼の人だ。」
「…なにぃっ?」
心の発言に心司が驚けば哉太は心に目線を合わせて言い放つ。
「このおっさんは俺を見抜けなかったのに君はどうして見抜けたのかな?…ひょっとして、俺の心でも読んだ…とか?」
哉太に見透かされたように言われた心は少し顔をビクつかせてから冷静に言葉を述べる。
「…何を言っているんですか。私は過去が見えるだけ。あなたの過去が見えただけです。…本当の。」
「ふぅ~ん。じゃあさ、賭けでもしようか?」
「…賭け?」
哉太の合図とともに麗永と幸が心司に張り付き万全の低策をする。さらには麗永が持ってきた小型のテレビカメラで心と自身を撮影させる。なにが起こるのかと心配をする幸に哉太は用意されている椅子に座って心にも促した。
「心ちゃんも座りなよ。…あぁ。このカメラは麗永がね、君が過去を暴いてくれたうららちゃんの為に買った奴なんだと。何に使われるのかは俺は知らないけど~。」
「……私が自分自身で作ってしまった借りを返す為にこちらへ来たんですか?大人のくせにやることが幼稚ですね。」
「そうかもね~。でも今回は違う。…これは君と君のお父さん、そして俺らの大義名分が掛かっている大勝負だよ。」
紅の瞳で心を離さないように捕えれば少女は考えてから哉太の手を取ろうとした。すると哉太はカメラの電源を入れる。電源が入ったカメラで麗永が机の上でパソコンを操作すれば哉太はこのような言葉を心に掛ける。
「俺の心理もそうだけどさ…。君は自分のお父さんのことをどう思ってるの?」
「…はい?」
突然の疑問に心も疑問を返したくなる中で哉太は笑みを絶やさずにいる。
「だから~君の…心ちゃんはお父さんのことをどう思っているのかって聞いてるの。…あっ。ちなみにだけどこれ、生配信やってるからね~。」
「!!!?なんだと!?誰の許可を得て!!?」
「まぁまぁ。心ちゃんのおとーさんもそんなにカッカしないでよ?…んで、どう思ってるの?」
生配信にて着々と観客が来る中で心はなぜか言葉を発せずにいたのであった。
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