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”狼”の舞台挨拶
不幸ヤンキー、"狼"を迎え撃つ。【3】
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燕宅に着いて古びたチャイムを鳴らせばとんでもない音が聞こえた。
-ギンゴンガガァンゴーンー!!!!
「うるさっ!?なんだこの音!?」
幸が耳を塞いで驚けばフライは圧巻されていた。
「こんなにうるさかったんだ…。ここのチャイム。」
なんとなく呟いて燕が出てくるのを待っていると、中から出てきたのは鮮やかな金髪の髪を三つ編みで結った青年が出てきたのである。幸とフライは彼に驚くが青年は疑問を浮かべてから言い放つ。
「…?えっと。あんたら誰?…うららの知り合い?」
少し不良っぽい感じであるが、朱色の制服を着こなしている青年は誰なのだろうと思いながら自己紹介をする。
「あっ…。えっと。…俺は彼岸花 幸。こっちはフライ…じゃなくて。」
「久遠 勇翔です。フライっていうあだ名で呼ばれています。…えっと、君は?」
自己紹介を簡単に済ませば金髪の青年は少し驚いてから軽く笑う。
「あぁ…!うららが言ってた人たちか!俺は、琴平 音刃(ことひら おとは)!うららの幼馴染なんだ!よろしくな!」
「幼馴染…?」
そういえばそんなことを言っていたなと幸が思えばフライは音刃に話しかけている。
「それで、うららさんは?大丈夫なんですか?」
「うららは今の所平気だ。…燕君がちょうどコーヒー淹れてくれてたんだよ~。クッキーもあるし!まあまあ!あがって!」
「あ!ありがとう!」
「おう!」
にっこりと微笑む音刃にフライ共に幸は好印象を抱いた。
幸とフライが室内へと上がればソファに寝っ転がっているうららが居た。そんな彼女に音刃は溜息を吐いてから2人を紹介する。
「だらけているところ悪いけど、彼岸花さんと久遠さんが来てくれたぞ~?…感謝しろよ?まったく。」
「彼岸花…君と、久遠?久遠って誰だっけ?」
うららが声と共に起き上がり幸とフライを見れば彼女は驚いていた。
「うわぁっ!フライ君のことだったんだ!ごめんね!いつもあだ名で呼んでたから分からなくて…!」
「大丈夫だよ!いつもさっちゃんにはあだ名で呼ばれてるから~。…今の所大丈夫?」
フライが声を掛ければうららは少し苦笑いをしてから語る。
「今の所スマホも見てないし、テレビも見てない…。なんか嫌で。でも!つばめ君が世話してくれてるし!音刃も来てくれてるからさ!」
「おとは…って。えっと…。名前呼びなんだね。そんなに仲良いんだね…。」
「うん!仲良いよ!」
幸には分かった。フライの背中から鋭利な矢印が後ろからグサリと刺されている姿が目に浮かんだ。少し顔が優れていない様子のフライに幸は話題を逸らす。
「あっ!そういえば!…哉太さんも来るんだよ!…燕君に言わないと」
「知ってるよ~。ひがんばなさん?」
「おぉあっ!?」
背後からコーヒーとクッキーを持ってきた燕に驚く幸に彼は溜息を吐いている。
「ばじしゃくさんから電話くれたよ。…あっ。ことひらさんはなんか会いたがってるみたいだけど?どうして?」
うららと話し込んでいた音刃が燕に問いかけられれば彼は深い笑みを見せている。
「そうなんだよ!…恩人だからさ~。場磁石先生は。」
「恩人?…どういう意味で?」
幸が音刃に尋ねてみると音刃が話そうとした時、幸のスマホが鳴った。『哉太さん』という文字が現れて幸は画面をスライドさせる。
「もしもし?哉太さん?」
『花ちゃん~?お疲れ~!今、燕君の家?』
「そうだけど…。もう少しで来るのか?」
『うん。もうそろそろでね~。待っててよ!』
「当たり前だろ?分かったから。」
『うん!じゃあまたね~!』
着信を切れば音刃は不思議そうな表情を見せている。
「えっと…。彼岸花さん…いや、彼岸花は場磁石先生と仲良いのか?」
「あぁ…。まあ、そうだけど?」
「だったら覚えてるのかな~?…あの出来事。」
「あの出来事?」
音刃の言葉に幸は訝しげな表情を見せる。おとなげない哉太のことだ。何かをしでかしてるに決まってる。そう思った幸が探ろうとすれば燕が後ろで笑っていた。
「???なんで燕君が笑ってんの?」
すると燕はテーブルにコーヒーを置いてから凛としているが柔らかい声で言い放つ。
「いや、賑やかになったな~って思っただけ。」
「???」
燕の含んだような笑みが幸は気になった。
-ギンゴンガガァンゴーンー!!!!
「うるさっ!?なんだこの音!?」
幸が耳を塞いで驚けばフライは圧巻されていた。
「こんなにうるさかったんだ…。ここのチャイム。」
なんとなく呟いて燕が出てくるのを待っていると、中から出てきたのは鮮やかな金髪の髪を三つ編みで結った青年が出てきたのである。幸とフライは彼に驚くが青年は疑問を浮かべてから言い放つ。
「…?えっと。あんたら誰?…うららの知り合い?」
少し不良っぽい感じであるが、朱色の制服を着こなしている青年は誰なのだろうと思いながら自己紹介をする。
「あっ…。えっと。…俺は彼岸花 幸。こっちはフライ…じゃなくて。」
「久遠 勇翔です。フライっていうあだ名で呼ばれています。…えっと、君は?」
自己紹介を簡単に済ませば金髪の青年は少し驚いてから軽く笑う。
「あぁ…!うららが言ってた人たちか!俺は、琴平 音刃(ことひら おとは)!うららの幼馴染なんだ!よろしくな!」
「幼馴染…?」
そういえばそんなことを言っていたなと幸が思えばフライは音刃に話しかけている。
「それで、うららさんは?大丈夫なんですか?」
「うららは今の所平気だ。…燕君がちょうどコーヒー淹れてくれてたんだよ~。クッキーもあるし!まあまあ!あがって!」
「あ!ありがとう!」
「おう!」
にっこりと微笑む音刃にフライ共に幸は好印象を抱いた。
幸とフライが室内へと上がればソファに寝っ転がっているうららが居た。そんな彼女に音刃は溜息を吐いてから2人を紹介する。
「だらけているところ悪いけど、彼岸花さんと久遠さんが来てくれたぞ~?…感謝しろよ?まったく。」
「彼岸花…君と、久遠?久遠って誰だっけ?」
うららが声と共に起き上がり幸とフライを見れば彼女は驚いていた。
「うわぁっ!フライ君のことだったんだ!ごめんね!いつもあだ名で呼んでたから分からなくて…!」
「大丈夫だよ!いつもさっちゃんにはあだ名で呼ばれてるから~。…今の所大丈夫?」
フライが声を掛ければうららは少し苦笑いをしてから語る。
「今の所スマホも見てないし、テレビも見てない…。なんか嫌で。でも!つばめ君が世話してくれてるし!音刃も来てくれてるからさ!」
「おとは…って。えっと…。名前呼びなんだね。そんなに仲良いんだね…。」
「うん!仲良いよ!」
幸には分かった。フライの背中から鋭利な矢印が後ろからグサリと刺されている姿が目に浮かんだ。少し顔が優れていない様子のフライに幸は話題を逸らす。
「あっ!そういえば!…哉太さんも来るんだよ!…燕君に言わないと」
「知ってるよ~。ひがんばなさん?」
「おぉあっ!?」
背後からコーヒーとクッキーを持ってきた燕に驚く幸に彼は溜息を吐いている。
「ばじしゃくさんから電話くれたよ。…あっ。ことひらさんはなんか会いたがってるみたいだけど?どうして?」
うららと話し込んでいた音刃が燕に問いかけられれば彼は深い笑みを見せている。
「そうなんだよ!…恩人だからさ~。場磁石先生は。」
「恩人?…どういう意味で?」
幸が音刃に尋ねてみると音刃が話そうとした時、幸のスマホが鳴った。『哉太さん』という文字が現れて幸は画面をスライドさせる。
「もしもし?哉太さん?」
『花ちゃん~?お疲れ~!今、燕君の家?』
「そうだけど…。もう少しで来るのか?」
『うん。もうそろそろでね~。待っててよ!』
「当たり前だろ?分かったから。」
『うん!じゃあまたね~!』
着信を切れば音刃は不思議そうな表情を見せている。
「えっと…。彼岸花さん…いや、彼岸花は場磁石先生と仲良いのか?」
「あぁ…。まあ、そうだけど?」
「だったら覚えてるのかな~?…あの出来事。」
「あの出来事?」
音刃の言葉に幸は訝しげな表情を見せる。おとなげない哉太のことだ。何かをしでかしてるに決まってる。そう思った幸が探ろうとすれば燕が後ろで笑っていた。
「???なんで燕君が笑ってんの?」
すると燕はテーブルにコーヒーを置いてから凛としているが柔らかい声で言い放つ。
「いや、賑やかになったな~って思っただけ。」
「???」
燕の含んだような笑みが幸は気になった。
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