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”狼”の舞台挨拶
不幸ヤンキー、"狼"を迎え撃つ。【1】
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-俺がなんとかしないと…。俺が!心美(ここみ)の為にも!-
とある男は決意した。自分の妻が自分が収入が無いおかげでまともな病院にも行かせられずに儚い命を落としてしまったと。だが悔いても彼女は…心美は帰ってこない。
自分が1番いけないのは分かっていた。自分がしでかした過去のせいで妻を…心美を苦しめてしまったと。人を愛さないと決めていたのに愛してしまい、彼女との子供を作ってしまった…自分の過ちを。だが、自分の子供に罪はない。
男は決死に働いた。どんなに過去の事を掘り返され、言われたとしても、理不尽な目に遭っても…子供の為に働いた。
たとえどんな手を使っても、子供の為にはと汚い手を使ったものだ。
そんな理不尽な男にとある出来事が起こったのだ。…それは"狼"である妻との子供に入れ墨が現れたのだ。右頬に大きく現れた"狼"の印はその証。
その子供はうずくまりながら父親に訴える。
「おとうさん…。くるしいよ。…ダレかがへんなおとをたてて…ひめい…みたいおとをたててる。…くるしんでる…ようなおとがする。」
少女はその音に深く感情を抱いて泣き出してしまえばその音はぴたりと止んだ。止まった音に少女は父親…心司に伝えようとすれば、彼は少女を…心を抱いて切なげに言い放つ。
「心は…お父さんを見捨てないか?…助けてくれるか?」
「??なにいってんの?おとうさんはおとうさんだよ?こころは、おとうさんがだーいすき!」
笑い掛ける幼い心に心司はとあることを思いついてしまった。初めはただ、今ある借金をチャラにしたかっただけだったのに。
「ねぇ?心?…お父さんの仕事を手伝って欲しいんだ。」
「???おしごと。…それがおわったら、こころとあそんでくれる?こころ!おとうさんにあそんでもらえるのも、だっこされるのだーいすき!」
にっこりと微笑む心に心司は強く抱いてはいるが心の中には、幼い娘の心でも分からない可聴音が響いていた。
学校が終わり幸はいつもなら持ち歩かない参考書やら教科書をリュックに入れていた。そんな彼に感激する青年が1人。
「さっちゃん…。やっとやる気になってくれたんだね。…僕、嬉しすぎて泣いちゃうよ。」
「…このぐらいで泣くなよ。まったく。」
泣き出しそうな表情を見せるフライに幸が溜息を吐けば通路を通って現れた美少女が話し掛ける。
「でも幸くん。フライくんと一緒にオープンキャンパス行ってから変わったよね~!前よりも勉強とか頑張ってるし!」
ジュジュが笑いながら話しかけてくれるが最近の幸は彼女に対し複雑な思いを抱いている。
(哉太さんから聞いてるけど…。ジュジュちゃんって何者なんだ?結局、あのアメに関しても…分からずじまいだし。…なんで俺に近付いたんだろう?)
「???幸くん?どうかした?」
「!!!いや!何でもねぇよ!ちょっと前まではこうやって話すのとか慣れてなかったのになぁ~って思って!」
「あの時は幸くんに嫌われているのかと思ってたよ~。良かった!嫌われてなくて。」
にっこりと聖女のように微笑むジュジュの姿に圧巻されつつ自分の心情に蓋をしてから幸は話題を逸らす。
「そうだ!…2人ともさ、妹さんの…春夏冬さんの所行かね?…今、大変らしいけど。心配だな~って。」
幸が小声で話し掛ければフライは思い出したように伝える。
「うららさん…そうだよね。あの有名子役だったっていう噂も後を断たないし。…本人自身も公表していないらしいしね。…今、ネットニュースでも話題だし。」
「私、ニュースで見たんだけど…、報道陣が家まで来て押しかけてるんだよね?…行って平気なの…かな?」
心配をしているジュジュに幸は自身ありげな表情を見せて言い放つ。
「そこは大丈夫!避難地があるから!…フライは一度行ったことあるよな?」
「???どこ?」
「燕君の洋館!」
「あぁっ!あの子の!?…そうだったんだ~!あの子のお家に!」
驚く様子のフライに幸がジュジュに紹介しようと意気込んだ。
「ジュジュちゃんも行かね?燕君のコーヒー、すごく美味しいし、茶菓子も美味いんだよ。…だから味を盗みがてら、妹さんに会おうかと。」
「味を盗むって…。まあいいや!僕も行くよ!ジュジュちゃんもどうかな?」
するとジュジュは少し悲しげな表情を見せて誘いを断るのだ。
「ごめんね。…少し用事があるんだ~。また今度誘ってよ~。」
「そっか…。残念。」
こちらも悲しげな表情を見せる幸にフライは幸の肩を叩いて元気づける。
「まあまあ!ジュジュちゃんも忙しいんだから!…塾とかお稽古とかだよね?」
「えっと。まあ…。」
「じゃあ仕方ない!ほら!さっちゃんも悲しまずに行くよ!男2人で行ったって悲しいと思うのはやめよう!」
「思ってねぇよ!アホっ!」
フライが皮肉を言いつつ2人はジュジュと別れて燕の洋館へ行くため廊下を抜ける。
残されたジュジュは自身の隠された脚を撫でる。…そこには、大腿には大きな数字の入れ墨が施されていた。
「今はまだダメだよ…。私も人形だもの。」
彼女の小さな声は誰にも響かない。聞こえない。
とある男は決意した。自分の妻が自分が収入が無いおかげでまともな病院にも行かせられずに儚い命を落としてしまったと。だが悔いても彼女は…心美は帰ってこない。
自分が1番いけないのは分かっていた。自分がしでかした過去のせいで妻を…心美を苦しめてしまったと。人を愛さないと決めていたのに愛してしまい、彼女との子供を作ってしまった…自分の過ちを。だが、自分の子供に罪はない。
男は決死に働いた。どんなに過去の事を掘り返され、言われたとしても、理不尽な目に遭っても…子供の為に働いた。
たとえどんな手を使っても、子供の為にはと汚い手を使ったものだ。
そんな理不尽な男にとある出来事が起こったのだ。…それは"狼"である妻との子供に入れ墨が現れたのだ。右頬に大きく現れた"狼"の印はその証。
その子供はうずくまりながら父親に訴える。
「おとうさん…。くるしいよ。…ダレかがへんなおとをたてて…ひめい…みたいおとをたててる。…くるしんでる…ようなおとがする。」
少女はその音に深く感情を抱いて泣き出してしまえばその音はぴたりと止んだ。止まった音に少女は父親…心司に伝えようとすれば、彼は少女を…心を抱いて切なげに言い放つ。
「心は…お父さんを見捨てないか?…助けてくれるか?」
「??なにいってんの?おとうさんはおとうさんだよ?こころは、おとうさんがだーいすき!」
笑い掛ける幼い心に心司はとあることを思いついてしまった。初めはただ、今ある借金をチャラにしたかっただけだったのに。
「ねぇ?心?…お父さんの仕事を手伝って欲しいんだ。」
「???おしごと。…それがおわったら、こころとあそんでくれる?こころ!おとうさんにあそんでもらえるのも、だっこされるのだーいすき!」
にっこりと微笑む心に心司は強く抱いてはいるが心の中には、幼い娘の心でも分からない可聴音が響いていた。
学校が終わり幸はいつもなら持ち歩かない参考書やら教科書をリュックに入れていた。そんな彼に感激する青年が1人。
「さっちゃん…。やっとやる気になってくれたんだね。…僕、嬉しすぎて泣いちゃうよ。」
「…このぐらいで泣くなよ。まったく。」
泣き出しそうな表情を見せるフライに幸が溜息を吐けば通路を通って現れた美少女が話し掛ける。
「でも幸くん。フライくんと一緒にオープンキャンパス行ってから変わったよね~!前よりも勉強とか頑張ってるし!」
ジュジュが笑いながら話しかけてくれるが最近の幸は彼女に対し複雑な思いを抱いている。
(哉太さんから聞いてるけど…。ジュジュちゃんって何者なんだ?結局、あのアメに関しても…分からずじまいだし。…なんで俺に近付いたんだろう?)
「???幸くん?どうかした?」
「!!!いや!何でもねぇよ!ちょっと前まではこうやって話すのとか慣れてなかったのになぁ~って思って!」
「あの時は幸くんに嫌われているのかと思ってたよ~。良かった!嫌われてなくて。」
にっこりと聖女のように微笑むジュジュの姿に圧巻されつつ自分の心情に蓋をしてから幸は話題を逸らす。
「そうだ!…2人ともさ、妹さんの…春夏冬さんの所行かね?…今、大変らしいけど。心配だな~って。」
幸が小声で話し掛ければフライは思い出したように伝える。
「うららさん…そうだよね。あの有名子役だったっていう噂も後を断たないし。…本人自身も公表していないらしいしね。…今、ネットニュースでも話題だし。」
「私、ニュースで見たんだけど…、報道陣が家まで来て押しかけてるんだよね?…行って平気なの…かな?」
心配をしているジュジュに幸は自身ありげな表情を見せて言い放つ。
「そこは大丈夫!避難地があるから!…フライは一度行ったことあるよな?」
「???どこ?」
「燕君の洋館!」
「あぁっ!あの子の!?…そうだったんだ~!あの子のお家に!」
驚く様子のフライに幸がジュジュに紹介しようと意気込んだ。
「ジュジュちゃんも行かね?燕君のコーヒー、すごく美味しいし、茶菓子も美味いんだよ。…だから味を盗みがてら、妹さんに会おうかと。」
「味を盗むって…。まあいいや!僕も行くよ!ジュジュちゃんもどうかな?」
するとジュジュは少し悲しげな表情を見せて誘いを断るのだ。
「ごめんね。…少し用事があるんだ~。また今度誘ってよ~。」
「そっか…。残念。」
こちらも悲しげな表情を見せる幸にフライは幸の肩を叩いて元気づける。
「まあまあ!ジュジュちゃんも忙しいんだから!…塾とかお稽古とかだよね?」
「えっと。まあ…。」
「じゃあ仕方ない!ほら!さっちゃんも悲しまずに行くよ!男2人で行ったって悲しいと思うのはやめよう!」
「思ってねぇよ!アホっ!」
フライが皮肉を言いつつ2人はジュジュと別れて燕の洋館へ行くため廊下を抜ける。
残されたジュジュは自身の隠された脚を撫でる。…そこには、大腿には大きな数字の入れ墨が施されていた。
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彼女の小さな声は誰にも響かない。聞こえない。
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