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”狼”の舞台挨拶
不幸ヤンキー、”狼”が襲来する。【終】
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麗永の連絡を受けてタクシーに連絡をして乗り込む哉太と幸は車内にてうららの心配をする。
「妹さん…大丈夫かな。もしもさっきの話が本当なのだとしたら…春夏冬さんが妹さんの過去を教えなかった理由も少し分かるような気がする。」
「妹さんのこともそうだけど、俺は麗永に怒られないかどうか心配だよ…。あいつ意外とねちっこいからな~。」
「哉太さんが通常運転で良かったよ。うん。」
「…花ちゃんバカにしてる?」
そんなことを言いながら燕の洋館へと到着しタクシーから出れば燕が昔ながらの懐中電灯を下から当てて待っていた。驚く様子の2人に燕は溜息を吐いてから言い放つ。
「可能性があるなとは思ってはいたけれど…ばじしゃくさんが俺の忠告を聞かなかったんでしょ?…俺が”狂人”だから。」
肩を一瞬上げる哉太と頷く幸に燕は懐中電灯を手に持ち変えてから2人を案内する。
「まあ予想は俺も刑事さんもしていたようだったしさ。もういいよ。…その代わりばじしゃくさん?刑事さんがあきなしさんの汚名返上をさせたいみたいだから手伝ってあげてね?」
「汚名返上って?なんでそんなことに?」
「詳しくは刑事さんに聞いてみてよ?…その前にあきなしさんが大変なことになってるけれどね。…ひがんばなさんはあきなしさんを慰めてくれない?刑事さんの代わりにね。」
幸が疑問に思いながら室内へと入れば目を真っ赤にしたうららとその隣にいる麗永が彼女の背中を擦っていた。落ち込んでいる様子のうららを見る幸と哉太ではあったが2人の姿を見てから溜息を吐く。…特に哉太に向けて。
「やっと来ましたか…。大変でしたよ。あなた方が…いえ、違いました。…そこの秋だというのに脇腹を晒しているサングラスの変質者が柊君の忠告を聞かなかったからでしたね。」
「悪かったって~!ごめんだって~!」
「別に怒ってなどは居ませんがムカついているだけですよ。…こっちは仕事を放りだして追跡アプリと柊君の助言を頼りにうららさんの所へ来たというのに…。」
「えっ!!!??追跡アプリ入れてたの!??…麗永こわ」
「それ以上言ったら縁も何もかも切りますけど?」
「いや~!!!!麗永お兄さんは優しいなぁ~!!!俺は感激しちゃったよ~!!!」
誤魔化して笑う哉太を傍目にカフェオレを飲んで落ち着いている様子のうららに幸は優しく話し掛ける。
「妹さん、大丈夫?…やっぱり怖い目に遭った?良ければ俺も…聞けるから。」
するとうららはもう一口カフェオレを飲んでからとある言葉を言い放つ。
「…私、愛されてなかったのかな?」
「…どうしてそう思うの?」
するとうららは自身の少し青みを帯びた銀色の髪を触る。
「お兄ちゃんと同じこの色の髪色ね?…死んじゃったお父さんとお母さんは気に入って無かったみたいなんだ。…多分、気味が悪いって思って私を黒い髪にしていたみたい。」
「…そっか。俺は綺麗な髪色だと思うけど。」
するとうららは幸に目を向けて礼をしてからスマホを操作して心のチャンネルを映し出した。するとチャンネルには『逃亡!??超天才子役!延島 レイの実態!』というような見出しと共に様々なネットニュースが話題に取り上げられていたのだ。驚く幸にうららは静かに言う。
「私が延島 レイっていう子役なのかは分からないけれど…。お兄ちゃんも何も言ってくれなかったけれど。ううん。お兄ちゃんは知ってるだろうけれど私が嫌な思いをさせないために言わないだけ。…本当の私は…使われるだけの人間…違うな人形」
「違うよ!!!それは違う!!」
幸が突然大きな声を出して周囲に視線が集まれば彼は静かに語りだす。
「妹さんは…うららちゃんは明るくて、おっちょこちょいで、でも優しくて…。でも人の気持ちを考えられる凄い子だと俺は思う!でもそれは俺だけじゃない!フライやジュジュちゃん、スピード…ううん。うららちゃんは俺よりも友達が多そうだろうから、その子たちだって同じ気持ちだよ!」
「…そんな。私はただの人形」
「そんな風に自分を否定すんな!否定するだけ自分が辛くなるだけだ!!!」
「!!!!」
驚くうららに幸は優しく語りかける。
「君は人形なんかじゃないよ。…普通の人間で、ちょっと演技が上手で明るい…素敵なお兄さんを持つ女の子だ。…だから自分を責めないであげて?」
幸の優しい言葉にうららは涙を零しながら嗚咽し幸が彼女を抱きしめる。そんな2人の姿を見て燕は哉太と麗永に笑いながら尋ねる。
「いいの?大切な人同士があんな風になっても?もしかしたらくっついちゃうかもしれないよ?」
「花ちゃんは俺の一生の嫁だから平気。」「うららさんは僕が認めた相手としか結婚させないので平気です。」
「…つまんない発想の転換だね~。まっいっか。…それよりも。」
燕が哉太と麗永の前に出てから真剣な表情を見せる。
「春夏冬兄妹は俺が見るとして…どうするの?この”狼”に対しての処罰、というか黒幕に対してどう見ようか?」
伺う様子の燕に麗永は冷静な声で発する。
「うららさんを傷つけたのは許せません。…”狼”担当の刑事としても否めませんしね?…ねぇ?場磁石君?」
「今回は俺も責任あるし麗永のねちっこ~い文句を言われるのも嫌だから手伝うよ。…妹ちゃんを悲しませた責任もあるしね~?」
2人の発言に燕は笑うのであった。
「妹さん…大丈夫かな。もしもさっきの話が本当なのだとしたら…春夏冬さんが妹さんの過去を教えなかった理由も少し分かるような気がする。」
「妹さんのこともそうだけど、俺は麗永に怒られないかどうか心配だよ…。あいつ意外とねちっこいからな~。」
「哉太さんが通常運転で良かったよ。うん。」
「…花ちゃんバカにしてる?」
そんなことを言いながら燕の洋館へと到着しタクシーから出れば燕が昔ながらの懐中電灯を下から当てて待っていた。驚く様子の2人に燕は溜息を吐いてから言い放つ。
「可能性があるなとは思ってはいたけれど…ばじしゃくさんが俺の忠告を聞かなかったんでしょ?…俺が”狂人”だから。」
肩を一瞬上げる哉太と頷く幸に燕は懐中電灯を手に持ち変えてから2人を案内する。
「まあ予想は俺も刑事さんもしていたようだったしさ。もういいよ。…その代わりばじしゃくさん?刑事さんがあきなしさんの汚名返上をさせたいみたいだから手伝ってあげてね?」
「汚名返上って?なんでそんなことに?」
「詳しくは刑事さんに聞いてみてよ?…その前にあきなしさんが大変なことになってるけれどね。…ひがんばなさんはあきなしさんを慰めてくれない?刑事さんの代わりにね。」
幸が疑問に思いながら室内へと入れば目を真っ赤にしたうららとその隣にいる麗永が彼女の背中を擦っていた。落ち込んでいる様子のうららを見る幸と哉太ではあったが2人の姿を見てから溜息を吐く。…特に哉太に向けて。
「やっと来ましたか…。大変でしたよ。あなた方が…いえ、違いました。…そこの秋だというのに脇腹を晒しているサングラスの変質者が柊君の忠告を聞かなかったからでしたね。」
「悪かったって~!ごめんだって~!」
「別に怒ってなどは居ませんがムカついているだけですよ。…こっちは仕事を放りだして追跡アプリと柊君の助言を頼りにうららさんの所へ来たというのに…。」
「えっ!!!??追跡アプリ入れてたの!??…麗永こわ」
「それ以上言ったら縁も何もかも切りますけど?」
「いや~!!!!麗永お兄さんは優しいなぁ~!!!俺は感激しちゃったよ~!!!」
誤魔化して笑う哉太を傍目にカフェオレを飲んで落ち着いている様子のうららに幸は優しく話し掛ける。
「妹さん、大丈夫?…やっぱり怖い目に遭った?良ければ俺も…聞けるから。」
するとうららはもう一口カフェオレを飲んでからとある言葉を言い放つ。
「…私、愛されてなかったのかな?」
「…どうしてそう思うの?」
するとうららは自身の少し青みを帯びた銀色の髪を触る。
「お兄ちゃんと同じこの色の髪色ね?…死んじゃったお父さんとお母さんは気に入って無かったみたいなんだ。…多分、気味が悪いって思って私を黒い髪にしていたみたい。」
「…そっか。俺は綺麗な髪色だと思うけど。」
するとうららは幸に目を向けて礼をしてからスマホを操作して心のチャンネルを映し出した。するとチャンネルには『逃亡!??超天才子役!延島 レイの実態!』というような見出しと共に様々なネットニュースが話題に取り上げられていたのだ。驚く幸にうららは静かに言う。
「私が延島 レイっていう子役なのかは分からないけれど…。お兄ちゃんも何も言ってくれなかったけれど。ううん。お兄ちゃんは知ってるだろうけれど私が嫌な思いをさせないために言わないだけ。…本当の私は…使われるだけの人間…違うな人形」
「違うよ!!!それは違う!!」
幸が突然大きな声を出して周囲に視線が集まれば彼は静かに語りだす。
「妹さんは…うららちゃんは明るくて、おっちょこちょいで、でも優しくて…。でも人の気持ちを考えられる凄い子だと俺は思う!でもそれは俺だけじゃない!フライやジュジュちゃん、スピード…ううん。うららちゃんは俺よりも友達が多そうだろうから、その子たちだって同じ気持ちだよ!」
「…そんな。私はただの人形」
「そんな風に自分を否定すんな!否定するだけ自分が辛くなるだけだ!!!」
「!!!!」
驚くうららに幸は優しく語りかける。
「君は人形なんかじゃないよ。…普通の人間で、ちょっと演技が上手で明るい…素敵なお兄さんを持つ女の子だ。…だから自分を責めないであげて?」
幸の優しい言葉にうららは涙を零しながら嗚咽し幸が彼女を抱きしめる。そんな2人の姿を見て燕は哉太と麗永に笑いながら尋ねる。
「いいの?大切な人同士があんな風になっても?もしかしたらくっついちゃうかもしれないよ?」
「花ちゃんは俺の一生の嫁だから平気。」「うららさんは僕が認めた相手としか結婚させないので平気です。」
「…つまんない発想の転換だね~。まっいっか。…それよりも。」
燕が哉太と麗永の前に出てから真剣な表情を見せる。
「春夏冬兄妹は俺が見るとして…どうするの?この”狼”に対しての処罰、というか黒幕に対してどう見ようか?」
伺う様子の燕に麗永は冷静な声で発する。
「うららさんを傷つけたのは許せません。…”狼”担当の刑事としても否めませんしね?…ねぇ?場磁石君?」
「今回は俺も責任あるし麗永のねちっこ~い文句を言われるのも嫌だから手伝うよ。…妹ちゃんを悲しませた責任もあるしね~?」
2人の発言に燕は笑うのであった。
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