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”狼”の舞台挨拶

不幸ヤンキー、”狼”に興味を持つ。【4】

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『取材が終わった!…もう控室に来ても大丈夫だ!』

撫子から連絡を受けた幸が足を崩して涙目になっている哉太に言う。

「哉太さん。…足が痛いのは分かるけど撫子さんから取材が終わったっていう連絡貰ったから行くぞ~?」

「えっ!!!??なんで撫子の連絡先知ってんの?…あのヤロー…俺の愛しの花ちゃんの連絡先を…。」

「ついでに躑躅さんの連絡先も知ってるけど?」

「なんで!!??なんで知ってんの???」

「まぁまぁそれは良いから。早く行こーぜ?」

「う~ん…。なんだろう。この煮え切らない思いは…?」

控室へと歩を進める二人ではあるが哉太は思い出したように言い放つ。

「そうだ!…花ちゃんさ~!最近勉強とかしてんの?」

「なんだよ…急に?」

「いやさ~!ちょっと語彙力も上がってきてる気がするし言葉に迷いが無いというかね~?…あと、バイト減らしてんのも知ってるし?」

哉太が腕を後ろに組みながら問い掛ければ幸は少し将来を見据えたような目をして言い放つ。

「…大学に行きたいなって思ってさ。哉太さんと出会ってから男同士だと何かと都合が悪いかなって思って、さっき言ったみたいに哉太さんにつり合うような人間になりたくて始めた勉強だけど…。やってみたら意外と楽しくてさ。」

「ふ~ん。それは嬉しい限りだけど…誰に教えてもらってんの?あの白髪もやしじゃないよね?」

「??フライとかジュジュちゃんとかだけど?」

その言葉に哉太は突っ込むのだ。

「いやなんでよ!!?あのもやしに勉強で負けたの?俺!!?…ムカつくから今度は俺が教えるから!あの白髪もやしは駄目!」

「なんでだよ?教え方上手いぞ?フライは。…ジュジュちゃんもだけど。」

「腹立つ~!!!ムカつく~!!!」

哉太が愉快に怒り散らしているのを幸が見てみればどこか視線を感じその視線を見据えた。その先には少し風変わりな髪をした少女が哉太と幸の姿を見ていたのである。人形に見られているような視線に幸が臆せば今度は隣に居た眼鏡を掛けている男性が少女に寄り添う。

「行くぞ、心。この後もスケジュール詰まってんだから。」

「…うん、分かったよお父さん。」

男性に連れられてどこかに去る2人に幸はホッとひと息を吐くのであった。


控室に行けば撫子と躑躅がどこか話し込んでいる様子であったが幸と哉太が入室すると特に撫子が興奮した様子で哉太に駆け寄るのだ。

「おお~!!!彼岸花に場磁石!!!…良いネタが入ったんだよ~!聞いてくれるか!!?」

「…うっさい撫子。顔も言動も何もかもがうるさい。…躑躅もなんか言ってよ…。」

哉太の小言に躑躅は苦笑を見せながらも彼に伝える。

「でも…もしかしたらビックニュースになるかもしれないんだよ?…聞いてくれない?僕たちの話。」

いつにもなく聞いて欲しそうな躑躅の問い掛けに哉太や幸が興味を示せば…2人は先ほどの取材の話をするのであった。
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