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"狼"の質疑応答
不幸ヤンキー、”狼”を究明する。【2】
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何故か苦く感じてしまうコーヒーを飲みながらもジュジュと麗永が話している姿を幸はなんとなく見つめる。
「ありがとうございます!…あともう少しで休憩に入るので待ってていただけませんか?」
機嫌を伺うようなジュジュの表情に幸は羨ましさを感じつつも麗永の方を見てみる。彼はにっこりと笑ってから承諾をした。
「構いませんよ。気長に待っていますから。…楽しみにしてますね?」
含みのある返答をすればジュジュは嬉々とした表情で自分の持ち場へと戻る。…彼女の長い脚はスカートと白の長いソックスで見えなかった。笑みを見せてから一変して真面目な表情を見せる麗永は呑気にクッキーを食べている哉太に話し掛ける。
「今の所は何か分かりますか?彼女のことで…って、結局、クッキー食べてるじゃないですか?まったく…。」
「これは花ちゃんから貰ったものです~!あの子ねぇ…。」
コーヒーを飲んでひと息ついてから哉太は真面目な顔をする。
「まだ分かんないな~…。”キー”にしてはイイコすぎるし、しかも年齢的にも違うし。…仮に誤魔化していたとしてもね~…。…”キー”の右脚に”狼”の入れ墨があったからそれを見ない限りはなんとも言えない。」
「なるほど…。場所でも変えておきますか?ここではあまりにも人が多いですし。」
「そうだね~。でも、もう少しで来るんでしょ?待っててあげれば?…王子様?」
哉太が麗永を褒めれば彼は少し笑った。
「今日は珍しく褒めてくれますね~。…何にもあげるつもりはありませんけど?」
「あっ。分かっちゃった??これからのしたい事への前払いだよ~?」
「そうですか…。まったく。」
話を終えてコーヒーを飲む哉太と麗永に話がついて行けない幸、フライ、うららの3人。しかしここでとある人物が現れた。
「フライ先輩、遅くなってすみません…。って、あ…。場磁石…様。」
紫髪の長髪を一つに結い上げてチャイナ服を着た青年、元”狼”の人間だった速度 あやめが現れたのである。突然現れたので驚く幸たちにフライは笑って言い放つ。
「あ~!来てくれたんだ~!スピード君ありがとう!…この前連絡した時には『試験勉強とかで来れないかもです。』って聞いてたから来てくれて嬉しいよ~。」
「あっ…いや…その。…フライ先輩が誘ってくれたので頑張った…というか。」
「あは!それは嬉しいよ~。まあまあ、座って!」
フライが幸と距離を詰めて座ればあやめことスピードは少顔を和らげてから隣へと座る。嬉しそうな表情を見せるスピードを見てジュースを飲んでいるうららが素っ頓狂な言葉を言い放った。
「…スピード君ってさ、やっぱり、”君”付いてるから男の子なの?」
「いや…そうですけど。」
「な~んだ。…どっちかが女の子だったら良かったのにね~。そしたら美男美女のカップルだったのに。」
「「はいっ!!??」」
驚いてるフライとスピードに今度は便乗するように哉太が考え込む。
「まあ、もやし君はパッと見は華奢な女の子みたいだしね~。でも、スピードも髪の毛が長いから女の子って見えるけど…俺や麗永ほどではないけど端正な顔立ちしてるし?相性も良さそうだしね~?…春夏冬さんもなかなか良い瞳(め)してんね~?」
「ちゃ~んと先生の小説も読んでますから!…でも先生もそういう小説書いてみたらどうですか?絶対!!!売れると私、思います!」
熱が入ったうららに哉太は腕組をしてニヤつく。
「素材としてはなかなか良いかもね~!ところで…春夏冬さんはどこまでそういうネタ分かる?男同士でそういうのでさ~お医者さんごっことか、二人っきりの密室とかで萌えるタイプ?」
他の皆は置いてけぼりになってはいるが構わずにうららは哉太の問い掛けに考え込んだ。
「う~んそうですね~…。私は男の子同士のじゃれ合いとかくっついたりしてるとなんか心の中でガッツポーズしてますよ。幼馴染設定とか最高ですね…。ヤンキー受けとか…?でも、幼馴染がヤンキーみたいだからなんか投影しちゃって…。」
「なるほどね~。…春夏冬さんもなかなかやるね?今度その子に取材させてよ?」
さらに白熱してきた2人なので話を止めさせようにも止まらない。
「大丈夫だと思います!あっ!あと、その子ヴァイオリンできますよ~!」
「なにその美味しい設定!興味湧いてきた~!」
「今度聞いてみますよ!そしたら先生の原稿を」
「オッホン!!!…静粛に。」
うららと哉太が盛り上がるれば麗永が大きな咳払いをした。2人は会話を強制的に止められたので話したりなさそうではあるが、まったく話が付いてこれない男子が多いので麗永は中断させたのである。文句を言おうとするうららと哉太ではあるが黙ってアイスコーヒーを飲んでいた幸がこのような言葉を口にした。
「なんか今までの話を聞いていて思ったんだけど…その”キー”って奴、女か男か分からないんじゃんないのか?仮にジュジュちゃんがその”キー”って奴だって分かっていれば哉太さんが変態扱いもされずに直接、話をすれば良かったわけだし。」
「…変態www。ウケる。」
「…殺すぞもやし?ここで。」
フライが腹を抱えて笑い哉太が笑顔で爆弾発言をするが幸の見解は止まらない。
「逆にジュジュちゃんが…ありえないけどと男だと仮定すれば哉太さんは慎重にいかなくて済んだ…。でも、そうしなかった。…それって、その”キー”って奴が女か男か分からないから…かなって。」
幸の推理に皆が唖然とすれば麗永が軽く拍手を送って言い放つ。
「見事です。彼岸花君!君はもしかしたら人より観察力や洞察力が優れているのかもしれませんね。…察するに場磁石君から何も聞いてない状況で推理するとは…。場磁石君ももったいぶらずに言ったらどうですか?…一応、行方不明の少女として、いや、女性として探している”キー”のことを。」
麗永の発言により皆の視線が哉太へと集まる。すると哉太はひと呼吸置いてから話をするように語るのであった。
「ありがとうございます!…あともう少しで休憩に入るので待ってていただけませんか?」
機嫌を伺うようなジュジュの表情に幸は羨ましさを感じつつも麗永の方を見てみる。彼はにっこりと笑ってから承諾をした。
「構いませんよ。気長に待っていますから。…楽しみにしてますね?」
含みのある返答をすればジュジュは嬉々とした表情で自分の持ち場へと戻る。…彼女の長い脚はスカートと白の長いソックスで見えなかった。笑みを見せてから一変して真面目な表情を見せる麗永は呑気にクッキーを食べている哉太に話し掛ける。
「今の所は何か分かりますか?彼女のことで…って、結局、クッキー食べてるじゃないですか?まったく…。」
「これは花ちゃんから貰ったものです~!あの子ねぇ…。」
コーヒーを飲んでひと息ついてから哉太は真面目な顔をする。
「まだ分かんないな~…。”キー”にしてはイイコすぎるし、しかも年齢的にも違うし。…仮に誤魔化していたとしてもね~…。…”キー”の右脚に”狼”の入れ墨があったからそれを見ない限りはなんとも言えない。」
「なるほど…。場所でも変えておきますか?ここではあまりにも人が多いですし。」
「そうだね~。でも、もう少しで来るんでしょ?待っててあげれば?…王子様?」
哉太が麗永を褒めれば彼は少し笑った。
「今日は珍しく褒めてくれますね~。…何にもあげるつもりはありませんけど?」
「あっ。分かっちゃった??これからのしたい事への前払いだよ~?」
「そうですか…。まったく。」
話を終えてコーヒーを飲む哉太と麗永に話がついて行けない幸、フライ、うららの3人。しかしここでとある人物が現れた。
「フライ先輩、遅くなってすみません…。って、あ…。場磁石…様。」
紫髪の長髪を一つに結い上げてチャイナ服を着た青年、元”狼”の人間だった速度 あやめが現れたのである。突然現れたので驚く幸たちにフライは笑って言い放つ。
「あ~!来てくれたんだ~!スピード君ありがとう!…この前連絡した時には『試験勉強とかで来れないかもです。』って聞いてたから来てくれて嬉しいよ~。」
「あっ…いや…その。…フライ先輩が誘ってくれたので頑張った…というか。」
「あは!それは嬉しいよ~。まあまあ、座って!」
フライが幸と距離を詰めて座ればあやめことスピードは少顔を和らげてから隣へと座る。嬉しそうな表情を見せるスピードを見てジュースを飲んでいるうららが素っ頓狂な言葉を言い放った。
「…スピード君ってさ、やっぱり、”君”付いてるから男の子なの?」
「いや…そうですけど。」
「な~んだ。…どっちかが女の子だったら良かったのにね~。そしたら美男美女のカップルだったのに。」
「「はいっ!!??」」
驚いてるフライとスピードに今度は便乗するように哉太が考え込む。
「まあ、もやし君はパッと見は華奢な女の子みたいだしね~。でも、スピードも髪の毛が長いから女の子って見えるけど…俺や麗永ほどではないけど端正な顔立ちしてるし?相性も良さそうだしね~?…春夏冬さんもなかなか良い瞳(め)してんね~?」
「ちゃ~んと先生の小説も読んでますから!…でも先生もそういう小説書いてみたらどうですか?絶対!!!売れると私、思います!」
熱が入ったうららに哉太は腕組をしてニヤつく。
「素材としてはなかなか良いかもね~!ところで…春夏冬さんはどこまでそういうネタ分かる?男同士でそういうのでさ~お医者さんごっことか、二人っきりの密室とかで萌えるタイプ?」
他の皆は置いてけぼりになってはいるが構わずにうららは哉太の問い掛けに考え込んだ。
「う~んそうですね~…。私は男の子同士のじゃれ合いとかくっついたりしてるとなんか心の中でガッツポーズしてますよ。幼馴染設定とか最高ですね…。ヤンキー受けとか…?でも、幼馴染がヤンキーみたいだからなんか投影しちゃって…。」
「なるほどね~。…春夏冬さんもなかなかやるね?今度その子に取材させてよ?」
さらに白熱してきた2人なので話を止めさせようにも止まらない。
「大丈夫だと思います!あっ!あと、その子ヴァイオリンできますよ~!」
「なにその美味しい設定!興味湧いてきた~!」
「今度聞いてみますよ!そしたら先生の原稿を」
「オッホン!!!…静粛に。」
うららと哉太が盛り上がるれば麗永が大きな咳払いをした。2人は会話を強制的に止められたので話したりなさそうではあるが、まったく話が付いてこれない男子が多いので麗永は中断させたのである。文句を言おうとするうららと哉太ではあるが黙ってアイスコーヒーを飲んでいた幸がこのような言葉を口にした。
「なんか今までの話を聞いていて思ったんだけど…その”キー”って奴、女か男か分からないんじゃんないのか?仮にジュジュちゃんがその”キー”って奴だって分かっていれば哉太さんが変態扱いもされずに直接、話をすれば良かったわけだし。」
「…変態www。ウケる。」
「…殺すぞもやし?ここで。」
フライが腹を抱えて笑い哉太が笑顔で爆弾発言をするが幸の見解は止まらない。
「逆にジュジュちゃんが…ありえないけどと男だと仮定すれば哉太さんは慎重にいかなくて済んだ…。でも、そうしなかった。…それって、その”キー”って奴が女か男か分からないから…かなって。」
幸の推理に皆が唖然とすれば麗永が軽く拍手を送って言い放つ。
「見事です。彼岸花君!君はもしかしたら人より観察力や洞察力が優れているのかもしれませんね。…察するに場磁石君から何も聞いてない状況で推理するとは…。場磁石君ももったいぶらずに言ったらどうですか?…一応、行方不明の少女として、いや、女性として探している”キー”のことを。」
麗永の発言により皆の視線が哉太へと集まる。すると哉太はひと呼吸置いてから話をするように語るのであった。
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