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"狼"の質疑応答
不幸ヤンキー、”狼”を間違える。【5】
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哉太と瓜二つの男性が彼に手を差し伸ばせば、哉太はその顔を見て嬉しそうに笑った。その彼の手を取り礼を言う。
「あんがと。つつ…じゃなくて…皐月。」
「いいえ。どういたしまして。…哉太。」
皐月と呼ばれた男性が微笑んで見せればジュジュが興奮した様子で彼に声を掛けるのだ。
「あの!!もしかして…田中 皐月先生ですか?この学校でサイン会するんですよね?」
「はい。今は打ち合わせしてるんだけどね。…いつも応援してくれてありがとう。」
皐月と呼ばれた男がジュジュに笑いかければ彼女は嬉しそうな様子でメモが無いかを探し出す。状況が呑み込めない幸とフライに哉太はクスクスと隠れて笑っていた。すると男はジュジュに少し困った様子を見せてから言い放った。
「ごめんね。今から打ち合わせだからサインはまたあとで良いかな?あと、弟が変な事を…哉太が変な事言ってしまってごめんね。…あとでサインを書かせていただくから。それでいいかな?」
「!!!あ!ありがとうございます!…それじゃあ、また後で来ても…?」
「うん。大丈夫ですよ。またね。」
「はい!!!」
ジュジュが嬉しそうな様子でクラスに戻れば男は呆然としている幸とフライに再び微笑んでから哉太に向けて尋ねる。
「もう哉太。この子たちに話してないでしょ?僕のこと。陰で笑ってたし。…いっつも人と関わるのが嫌だからって
僕に押し付けるんだから~。」
「躑躅(つつじ)だってまんざらでもないじゃん。最近は本当に田中 皐月として頑張ってくれてるしわけだし~?」
「なんか哉太がゴーストライターみたいな感じがして僕は嫌なんだけど?」
「躑躅(つつじ)がやってくれるからありがたいです~。ありがとね。お兄様~。」
瓜二つの人間がしゃべっている光景に幸やフライが戸惑うさなか、気づいた躑躅(つつじ)という男性が2人に向けて自己紹介を始める。
「2人とも初めまして。俺は哉太の双子の兄の躑躅(つつじ)と言います。苗字は皆嶋なんだけどね。…哉太の代わりに表に出ています。本当の職業はゲーム会社の会社員です。あっ!ちゃんと書いてるのは哉太…というか皐月だからね?よろしくお願いします。」
躑躅が恭しく(うやうやしく)頭を下げれば、幸はとある言葉に何かが引っ掛かった様子であり躑躅に尋ねてみる。
「あの…。さっきの哉太さんのことを皐月って…。哉太さんの本名は本当は皐月だったんですか?」
幸の疑問に彼は素知らぬ顔をしている哉太に困った顔を見せてから言い放つ。
「哉太は場磁石家で”狼”を授かった時に頂いた名前だよ。一応、本名でもあるけど…でも本当の名前は皐月って名前。僕もそうなんだけど、躑躅も皐月も書くの難しいから簡略して意味を込めてつけられた名前が哉太って名前なんだ~。…哉太もいい加減、秘密主義にすんのやめなよ。まったく。」
「秘密にしてるつもりはないよ~んだ。哉太って名前が気に入ってるだけ。…というか、撫子に顔出しておくか~。あとでうるさくなりそうだし。…サイン書いておくから躑躅は花ちゃんたちとどこか行ってて~。」
「はいはい。」
困った表情を見せつつも優しげな顔をする躑躅に不覚にもときめいてしまう幸に勘付いたのだろう。哉太は幸の元に来てから2人の前でキスをした。突然の出来事に幸自身やフライが驚くが躑躅は呑気に笑っている。そんな彼に哉太は幸に顔を向けた。
「絶対に躑躅には惚れないでよね?花ちゃん。…というかこいつ、恋人居るからね?」
驚く幸に哉太は溜息を吐く。しかしそんな彼の兄も困った顔をしていた。
「そんなことよりも撫子さんの所に行っておいで~。」
「…絶対に惚れないでよね。幸。」
-チュっ。
幸の頭にキスを落とし去って行く哉太に幸は顔を真っ赤にし、フライは怪訝な表情を見せる。そんな対照的な2人に躑躅はふわりと笑った。
「ふふっ。哉太がこんなに人に執着するなんて…君も隅に置けないね~。…そっちの綺麗な瞳の子はなんか怒ってるけれど?」
哉太とは合わせ鏡のように似ているがあまりにも性格が真反対であるので驚く。そんな2人に躑躅は彼らに名前を尋ねられたので答えた。
「久遠 勇翔と言います。えっと…。フライって呼ばれてます。」
「彼岸花 幸です…。よろしくお願いします。」
2人の挨拶に躑躅は笑ってからとある場所を尋ねてきた。
「フライ君に幸君…って言ったら哉太に嫉妬されそうだから彼岸花君って呼ぶね。…少し話したいことがあるんだ~。自販機あるとこでお茶しない?ちゃんと奢るから。」
「いえ!そんな!」
「大丈夫だって。僕に奢らせて?…彼岸花君。」
哉太のような顔でお願いされて何も言えない幸に微笑む躑躅は2人に連れられて自販機へと向かう。
2人にジュースを預けて自身はミルクティーの缶を開けようとすればこのような話を2人に持ち掛ける。
「僕の苗字が場磁石じゃない理由って想像つくかな?」
ふんわりと笑う躑躅に幸とフライが察しがついたような顔を見せれば躑躅はなぜか顔を横に振った。
「普通は離婚だって思うだろうけれどそれだけじゃないんだよね~。」
プルタブを開けてから躑躅は思い出すように2人に言った。
「僕はね追い出されたんだよ。…場磁石の家から、ね。」
幸とフライは顔を見合わせた。
「あんがと。つつ…じゃなくて…皐月。」
「いいえ。どういたしまして。…哉太。」
皐月と呼ばれた男性が微笑んで見せればジュジュが興奮した様子で彼に声を掛けるのだ。
「あの!!もしかして…田中 皐月先生ですか?この学校でサイン会するんですよね?」
「はい。今は打ち合わせしてるんだけどね。…いつも応援してくれてありがとう。」
皐月と呼ばれた男がジュジュに笑いかければ彼女は嬉しそうな様子でメモが無いかを探し出す。状況が呑み込めない幸とフライに哉太はクスクスと隠れて笑っていた。すると男はジュジュに少し困った様子を見せてから言い放った。
「ごめんね。今から打ち合わせだからサインはまたあとで良いかな?あと、弟が変な事を…哉太が変な事言ってしまってごめんね。…あとでサインを書かせていただくから。それでいいかな?」
「!!!あ!ありがとうございます!…それじゃあ、また後で来ても…?」
「うん。大丈夫ですよ。またね。」
「はい!!!」
ジュジュが嬉しそうな様子でクラスに戻れば男は呆然としている幸とフライに再び微笑んでから哉太に向けて尋ねる。
「もう哉太。この子たちに話してないでしょ?僕のこと。陰で笑ってたし。…いっつも人と関わるのが嫌だからって
僕に押し付けるんだから~。」
「躑躅(つつじ)だってまんざらでもないじゃん。最近は本当に田中 皐月として頑張ってくれてるしわけだし~?」
「なんか哉太がゴーストライターみたいな感じがして僕は嫌なんだけど?」
「躑躅(つつじ)がやってくれるからありがたいです~。ありがとね。お兄様~。」
瓜二つの人間がしゃべっている光景に幸やフライが戸惑うさなか、気づいた躑躅(つつじ)という男性が2人に向けて自己紹介を始める。
「2人とも初めまして。俺は哉太の双子の兄の躑躅(つつじ)と言います。苗字は皆嶋なんだけどね。…哉太の代わりに表に出ています。本当の職業はゲーム会社の会社員です。あっ!ちゃんと書いてるのは哉太…というか皐月だからね?よろしくお願いします。」
躑躅が恭しく(うやうやしく)頭を下げれば、幸はとある言葉に何かが引っ掛かった様子であり躑躅に尋ねてみる。
「あの…。さっきの哉太さんのことを皐月って…。哉太さんの本名は本当は皐月だったんですか?」
幸の疑問に彼は素知らぬ顔をしている哉太に困った顔を見せてから言い放つ。
「哉太は場磁石家で”狼”を授かった時に頂いた名前だよ。一応、本名でもあるけど…でも本当の名前は皐月って名前。僕もそうなんだけど、躑躅も皐月も書くの難しいから簡略して意味を込めてつけられた名前が哉太って名前なんだ~。…哉太もいい加減、秘密主義にすんのやめなよ。まったく。」
「秘密にしてるつもりはないよ~んだ。哉太って名前が気に入ってるだけ。…というか、撫子に顔出しておくか~。あとでうるさくなりそうだし。…サイン書いておくから躑躅は花ちゃんたちとどこか行ってて~。」
「はいはい。」
困った表情を見せつつも優しげな顔をする躑躅に不覚にもときめいてしまう幸に勘付いたのだろう。哉太は幸の元に来てから2人の前でキスをした。突然の出来事に幸自身やフライが驚くが躑躅は呑気に笑っている。そんな彼に哉太は幸に顔を向けた。
「絶対に躑躅には惚れないでよね?花ちゃん。…というかこいつ、恋人居るからね?」
驚く幸に哉太は溜息を吐く。しかしそんな彼の兄も困った顔をしていた。
「そんなことよりも撫子さんの所に行っておいで~。」
「…絶対に惚れないでよね。幸。」
-チュっ。
幸の頭にキスを落とし去って行く哉太に幸は顔を真っ赤にし、フライは怪訝な表情を見せる。そんな対照的な2人に躑躅はふわりと笑った。
「ふふっ。哉太がこんなに人に執着するなんて…君も隅に置けないね~。…そっちの綺麗な瞳の子はなんか怒ってるけれど?」
哉太とは合わせ鏡のように似ているがあまりにも性格が真反対であるので驚く。そんな2人に躑躅は彼らに名前を尋ねられたので答えた。
「久遠 勇翔と言います。えっと…。フライって呼ばれてます。」
「彼岸花 幸です…。よろしくお願いします。」
2人の挨拶に躑躅は笑ってからとある場所を尋ねてきた。
「フライ君に幸君…って言ったら哉太に嫉妬されそうだから彼岸花君って呼ぶね。…少し話したいことがあるんだ~。自販機あるとこでお茶しない?ちゃんと奢るから。」
「いえ!そんな!」
「大丈夫だって。僕に奢らせて?…彼岸花君。」
哉太のような顔でお願いされて何も言えない幸に微笑む躑躅は2人に連れられて自販機へと向かう。
2人にジュースを預けて自身はミルクティーの缶を開けようとすればこのような話を2人に持ち掛ける。
「僕の苗字が場磁石じゃない理由って想像つくかな?」
ふんわりと笑う躑躅に幸とフライが察しがついたような顔を見せれば躑躅はなぜか顔を横に振った。
「普通は離婚だって思うだろうけれどそれだけじゃないんだよね~。」
プルタブを開けてから躑躅は思い出すように2人に言った。
「僕はね追い出されたんだよ。…場磁石の家から、ね。」
幸とフライは顔を見合わせた。
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