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”狼”の存在意義
不幸ヤンキー、”狼”を疑う。【2】
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車内にて席に乗って運転する麗永に助手席でのんびりと音楽を聴いている哉太。そして後部座席に座っている幸とフライは自分たちがどこへ連れられているのか分からずにいる。…事前に麗永と連絡を取っていた哉太はどこへ向かってるのかはおそらく分かっている様子だ。そんな彼はサングラスを掛け直しつつクラシックが流れる空間の中で勝手にCDを漁ってはつまんなそうな表情を見せている。
「全然良いのないじゃ~ん!なんかさ!邦楽ていうかさ~?MIX NUTSとか逆夢とか炎(ほむら)とかおジャ魔女カーニバルとかさぁ~?お前クラシックしかねぇじゃん。つまんなっ!」
漁り終わってから腕を組んで文句を言い放つ哉太にフライは盛大な溜息を吐く。
「はぁっ……。…邦楽ですけどそれアニソンですよね?…というか、なに最後古いの出してくるんですか?…やっぱりおっさんだな。」
「フライく~ん?おっさん発言はやめようね~?…おにいさん本当にキレるから?」
「は~い。すみませんでした。オニイサン。」
サングラスで隠れて目元は見えないが確実に怒っている雰囲気を醸し出す哉太にフライは敢えてそっけない返事をする。そんなことよりも幸は先ほどから気になっていた疑問を二人のことなど気にも留めずに運転をする麗永に問い掛ける。
「あの…。春夏冬さん。…一つイイっすか?質問。」
「構いませんよ。行き先の質問ですか?…場磁石君から聞いてませんかね?」
ちらりと見やる麗永にわざと視線を逸らす哉太に溜息を吐く。そんな中で幸はしどろもどろの様子で話を切り出そうと伺う。
「いや…聞いてないっすけど…。えっと。そうじゃなくて。そんなことはどうでもよくて…。」
「おや?じゃあなんですか?」
一呼吸置いてから幸は言葉を紡ぎ出した。
「…春夏冬さんも、フライ…いや、勇翔やその…そこの変態サングラス野郎と同じで”狼”なんすか?…銀髪だから気になって…。」
「ふっはっ!!!変態……サングラス野郎…www。」
吹き出して笑うフライに幸は悪気のない無垢な表情を見せるが言われている哉太は後部座席に座る赤髪の青年を見て涙を浮かべる。
「…花ちゃん。俺を悲しませないでくれる?-あと、そこの笑ってる女みてぇなもやし野郎。本当にぶっ殺すぞ?てめぇ。」
能力を発動させて黙らせようとする哉太に運転している麗永は待ったをかけた。そして今でも不思議そうな表情で事態を見つめている幸に車内ミラー越しではあるが視線を向ける。
「まぁまぁ。喧嘩は後にしてください。そんなことはおいて、彼岸花君の質問に答えましょう。…”狼”の件は場磁石君から聞いてますがね、僕は全く関係ありませんよ。先天的とか後天的の狼でもありませんし、能力者でもありません。」
「そうなんすか?」
「ええ。だから狼の入れ墨もありませんよ?…ですがあえて言うとしたら。…僕には妹が居るんですよ。僕と同じ少し青みを帯びた銀色の髪をした…そうですね、彼岸花君や久遠君と同じ高校生の妹が居るんです。」
「えっ!??マジで!!?俺、知らなかったんだけど…。」
「場磁石君はまだ会話に入らないで下さい。」
「…ちぇっ。」
舌打ちをして車窓を眺める哉太に目もくれず麗永は話を続ける。
「妹も先天的や後天的な狼ではないですから兄妹共に狼の入れ墨があったわけではありませんが…。普段はドジを踏むし天然で運動神経も鈍いんですけどね。…あの子には天賦の才があるんですよ。」
「「「天賦の才???」」」
自身の妹を多少だが小馬鹿にするがどこか自信がある声に三人は声を上げて麗永を見つめる。…しかしここに本物のバカが一人。
「テンプノサイ…ってなんだ?」
幸の発言に哉太とフライは仰け反ってオーバーなリアクションをし麗永は少し溜息を入り交ぜてから言葉を発する。
「なんといいますか…。神から授かったモノなんでしょうかね…。まぁ本人はあまり気にしていないようですけどね~。さっ。目的地に近いパーキングに入りましたから皆さん降りて下さい。」
車を停めてから降車を促す麗永に三人はそれぞれ降り麗永の後に続いていく。すると今度はフライが麗永に問い掛ける。
「その妹さんの才能ってなんですか?ものすごい”強運”とか?」
”強運”という言葉に麗永は軽く笑って言い放つ。
「まさか。…その逆ですよ?”不幸体質”というか巻き込まれやすいんですよ。色々と…ね?」
”不幸体質”という麗永の言葉に今度は幸が驚き共感をする。
「妹さんも不幸体質なんすか…?大変っすよね…。」
自身も同じであるので幸がそう話せば麗永はなぜかにっこりと笑っていた。その態度に疑問を抱く幸に麗永はこのように返すのだ。
「確かにあの子は傍から見れば不幸かもしれませんがね。…でもそういう風に彼女自身が思わないんですよ。だから思うんです。…他人から見て想像されるよりも自分から見て考え方を変えた方が気楽じゃないかと。…まぁ、逆に客観的に見て自分の価値観が変わる場合もありますがね。」
「……えっと?」
小難しい言葉を並べる麗永の言葉に幸は首を傾げれば彼は言葉を続ける。
「大丈夫ですよ。いつかあなたにも…彼岸花君にも分かる時が来ますから。」
そう言って麗永が見る先は幸にくっついて離れずに空を見つめている哉太を見てから幸を見て笑った。…そんな彼の様子に幸は疑問符を浮かべるが先ほどとは打って変わり麗永はとある場所で立ち止まる。
「ここですよ。…おっと。待たせてしまいましたか?お二人とも?」
古びた洋館には二人の人間が四人がこの時間に来るのを予想してたかのように待ち構えている。一方は背の低い小学背くらいの男の子でもう一方は美しい青みを帯びた銀髪の長い髪を下ろした学生服の少女であった。
異様な二人に幸とフライは少々たじろぐが麗永は気にせずに二人に話し掛けると彼らは首を横に振る。
「ううん!ちょうど来るだろうな~ってつばめ君が言ってくれたからそこまで待たなかったよ?…お兄ちゃん!」
「「お兄ちゃん!!?」」
「えっ…!あ…はい。そうですけど…?」
驚いた様子の幸とフライにこちらも驚く銀髪の少女ではあったが二人の反応を予期していたかのように欠伸をする少年は凛とした声で自己紹介をする。
「あきなしさんも驚かずに自己紹介。…俺は柊 燕(ひいらぎ つばめ)。この洋館の家主で職業は…”預言師”。よろしく~。」
左目だけ透明な青いガラスのような瞳の少年が言えば少女もおずおずといった様子で話し出す。
「えっと…。お兄ちゃんの妹の春夏冬 うらら(あきなし うらら)と言います。よろしくお願いします。」
お辞儀をして言い放つうららに三人は礼をするとともに燕が彼らに洋館の中に入るのを促す。
「とりあえず、中入ってよ。後で自己紹介してもらえればそれでいいから。」
「あ…はい。」
「…おう。」
なぜか急かされるのに疑問を感じつつ返事をしたフライが洋館へ入室しようとすれば誰かのスマホの音が鳴った。その音の主は先ほどから黙っていた哉太である。スマホの画面には”撫子(なでしこ)”という表記がされており哉太は急いだ様子で皆に言う。
「ごめん!ちょっと急ぎの連絡だから出てくるわ!…先行ってて~!」
そして洋館からいったん離れる哉太に幸は先ほどの”撫子”という名前と哉太の行動に不審感を感じた。しかしそれを感じたのは幸だけではないらしい。
「…あれ?さっきの声…。どっかで聞いたような…?」
銀髪の髪をなびかせたうららも思い出すように頭を唸らせている最中(さなか)で何かを知っているような燕は薄く笑った。
哉太が離席している中で洋館の客室へ入りアイスコーヒーと抹茶クッキーを出された。アイスコーヒーは渋みが無くすっきりとした飲み心地だ。抹茶クッキーの模様はマーブルといえば良いのだろうか?抹茶とプレーンの生地が交互に重なっていて見た目も美しく、そして、なんといったらサクホロ触感がクセになりそうである。
「…美味い。こんなの初めて食べた…!」
食にも料理にも興味のある幸が声を上げれば燕が少し嬉しそうな表情を見せる。
「口に合って良かったよ。…アイスコーヒーも淹れたての方が美味しいし、そのクッキーも何度も挑戦して作った甲斐があったな~。」
「!!!これ!?あんたが作ったのか?…春夏冬さんの妹さんじゃなくて…?」
「俺の名前は燕だから、覚えてくれる?-ちなみにあきなしさんではないから。というか作れないし…ねぇ?」
クッキーの触感を楽しんでいたうららは突然名指しされて苦笑した顔を見せれば麗永は盛大な溜息を吐いた。
「まったく…。うららさんも彼岸花君や柊君みたいに料理が出来るようになって欲しいものですよ。嫁に行かせようにも家事がまともに出来ないのが心配で堪りません。」
「はーい…。頑張ります…。」
兄の厳しい発言にうららは慣れた様子で返事をしつつアイスカフェオレを飲んで幸せそうな顔をしていた。しかし麗永の言葉で引っ掛かる者が一人居た。
「あの…。どうしてさっちゃん…彼岸花君が料理できるって知ってるんですか?」
フライの質問にクッキーを優雅に食していた麗永はアイスコーヒーを少し含んで流し込んでからなぜか燕を見た。少し笑みを浮かべている少年に自身も笑みを浮かばせてから彼はさも当然かのように言う。
「なんでって…?彼岸花君がさも当然かのように言って君が爆笑していた変態サングラス野郎さんが言っていたからですよ?彼からは何度か来るんですよね~。そういうの。」
麗永の発言に幸は食べていたクッキーを詰まらせそうになりアイスコーヒーで流し込んだ。そのあからさまな様子に燕が少しニヤつく。
「…!!?あいつから来るんすか…!!?俺のことで…?」
「ええ。来るんですよね~。…まぁ大概はくだらない相談なので無視してますが。」
「えっと…その。相談つーのは?」
おそるおそる聞く幸に麗永は今度は何も知らない純粋無垢な自身の妹のうららを見てアイスコーヒーをテーブルへ置き、腕を組んで苦言を呈する。
「…ここではあまり言えないことなので発言は慎んでおきますね?うららさんの為にも…あなたの為にも。」
その言葉を聞いて察した幸の頬が赤く染まっていった。
「お待たせ~!!!って、うわ~!すんごいイイ匂い!!!…ってあれ?花ちゃん?なに顔赤くしてんの?」
電話が終わってから来た哉太が見た光景は美味しそうなアイスコーヒーとクッキーに…真っ赤に顔を染め上げる幸の姿である。しかも心なしか敵対しているフライが哉太を蔑むような視線で自分を見つめていた。
理由が分からない哉太が幸の隣へ行こうとすれば彼は哉太から少し離れその間にクッションを置きそっぽを向く。幸のよそよそしい態度に哉太は疑問を浮かべながら座れば、麗永が待っていたかのように話し始める。
「彼も来たようですし話させて頂きますね?…連続無差別”狼”事件について。」
「「「連続無差別”狼”事件???」」」
すると麗永はスーツのポケットの中から手帳を取り出して開く。
「…なんで俺の家に来たのかはよく分かんないけど。-話を聞けば理由が分かるかな…っていう風には思えないような?」
燕がアイスコーヒーを口にしてひと息吐いて皆は話を彼の傾聴する姿勢を取った。
-約五年ほど前。正体不明の”ホヅミ”という人物が指名手配され行方を追っていたが警察は断念。『ホヅミは海外へ逃亡した』という烙印をされ警察は海外へと足を向けようと動くさなかであった。
一人の白髪の若い男が室内にて死亡が確認されたのである。この家の大家が被害者は普段は朝に挨拶をして来るにも関わらず何日も挨拶に来なかったようなので不審に思い声を掛けに言った所、返事が無かったので不安になり警察に通報したようだ。腐食されていた被害者男性の足元には大量の薬がばらまかれ警察は自殺と判断した。
しかしその数日後。今度は別の女性がマンションにて腐敗死していた。この女性も白髪でなおかつ薬を飲んでいたようだ。こちらも自殺と処理されたが二つの事件に違和感を感じた刑事の麗永は死亡状況や被害者が服用していた薬、そして白髪からとある仮定を導き出した。-
「これは”狼”を狙った犯行なのではないかと考えたんです。実際、被害者男性には左腕に、被害者女性には左大腿に”狼”の入れ墨がありました。そしてさらに、被害者の二人はホヅミによって能力者…つまり”狼”にさせられていたんです。」
「…!アイツが…!ホヅミが僕以外にもなんですか…?許せない…。」
ホヅミによって”狼”へと無理やり変貌させられたフライが怒りで顔を染め上げるが麗永は説明を続ける。
「そしてばらまかれていた薬を調べた結果…後天的な”狼”になった時に服用される副作用止め薬ということが判明しました。警察は鑑識に回し成分を調べてみましたが…毒性の物は検出されませんでした。つまり犯行時に犯人が薬をすり替えて持ち去った…という可能性は低いのです。…しかし遺体を調べてみた結果、新たな情報が判明しました。…そこであなたに、場磁石君に来てもらったのです。」
「えっ!!??場磁石先生!!??なんで先生が…?」
サングラスを掛けた腹筋の割れたへそ出しトップスにレザーパンツを履いていた奇妙な男の正体に驚くうららではあるが反応を知っていたかのように燕は微笑み、麗永は彼女へ苦言する。
「話は後にしてくださいね?うららさん。…続けましょう。遺体から検出されたのは規定量を超えるカリウムだったのです。別名カリウム40。身体において必須元素となっています。ですが排出をすれば致死量には至りません。…質問ですが、薬に混ぜて混入させることは可能でしょうか?」
「いや。不可能に近いね。だって、そんだけの量をたとえ薬に混ぜても人間の構造上、危険を察知して吐き戻すはずだよ。…あとさ、俺も呼んだけど、俺に意見を求めるっていうことは…まだ裏があるんでしょ?」
サングラスを掛けなおす哉太に麗永は軽く返事をしてから衝撃的な言葉を放つ。
「…遺体から大量の放射線を浴びた形跡がありました。被害者男性も女性も調べてもそういう機会が無いという事実があるのに…です。」
手帳はまだ閉ざさずに哉太の反応を伺う麗永に応えるように哉太は腕を組んでから考え込んで天井を見つめる。
「カリウム40ってことだから放射線の種類としてはベータ線やガンマ線とかの類(たぐい)だね~。でも普段なら突き抜けるし…?アルファ線なら内部被ばくとか考えられるけど…多分、サーベイメーターで調べられたんでしょ?アルファ線が原因だったらもっと高設備で費用も断然かかるから発見は遅いだろうし…?」
「なるほど…。それは言えてますね…。」
哉太と麗永の話にちんぷんかんぷんな高校生三人は顔を寄せ合って聞き合うことしかできない。
「???おい。フライなに言ってるか分かるか?お前、理系専門だろ?」
「放射線までは分からないよ!!…えっと。うららさんは分からない?春夏冬さんの妹さんだし…あのサングラス変態狼とも知り合いみたいだし。」
フライに問われたうららは首を横に振ってさらに小声で話した。
「確かに場磁石先生は知り合い…というか非常勤の物理講師だから顔は合わせるけど、私、物理嫌いすぎて寝てるし…。他の女の子たちは『場磁石先生ってかっこいい~!!!』とか言ってるけど…。…というか、お兄ちゃんにも物理教わってて授業中に寝てるなんて知られたら…雷が落ちる。」
顔がどんどんと青ざめていくうららにフライは苦笑を浮かべるが幸は別のことを考えていた。
(前に言った時には文系だって言ってたし非常勤の物理講師なんて初めて聞いた…。しかも撫子っていういかにも女って感じの名前の奴と連絡してるし…。なんだろ?このもやもやした気持ち…。)
そんな三人の違った思惑の中で麗永は咳払いをしてから衝撃的な言葉を言い放つのだ。
「雷…といえば、容疑者の中にいるんですよ。雷と書いて”いかずち”と読む女性が一人…。まぁうららさんの正座でのお説教は後にして…。」
「えっ!!??聞こえてたの!!??」
「-残念ながら容疑者がこの中に居ます。……久遠君。君です。」
「…っえ?なんで…僕?」
明らかに戸惑っている様子を見せるフライに麗永は冷たく言い放つのだ。
「久遠 勇翔。…飛行能力。雷 萌果(いかずち もえか)。…電流を操作する能力。小柳 力也(こやなぎ りきや)。…最大限の力を出すパワー系の能力。泉 透(いずみ とおる)。…数秒間自身を透明にする能力。速度 あやめ(そくど あやめ)。…瞬発的な速さを持つ能力。-これらすべての人間はホヅミの手によって後天的に狼へと変貌させた人物なんですよ。」
麗永が音を立てて手帳をぱたりと閉ざした。
「そんな!!?僕、人なんて殺してないです!確かに”狼争い”には参加してますけど…。本当に殺してはいないんです…よ?」
無罪を訴えるフライに今度は哉太が冷たい言葉を言い放つ。
「でもさ~?一匹狼にならないと殺されるとは言ってたし~?俺や花ちゃんだって攻撃しようとしてきたじゃん?」
「それは…その。」
「ほら?なんも言えないじゃん。もう面倒だから容疑者にすれば~?」
哉太のそっけない言葉にフライが傷心すれば幸が何かを言おうとした時、今まで黙っていた燕が口を出した。
「ばじしゃくさん。それはないんじゃない?恨みがあるからって簡単に人を殺そうとするにはリスクがありすぎるし、俺にはくおんさんは何もしていないって思うけど?…あとさ、刑事さんもちゃんと最後まで言いなよ~?…くおんさんを助ける為に話をしに来たってこと。」
「…えっ?」
皆の視線が麗永へと向けられれば彼は少し微笑んでからフライに謝罪を示した。
「柊君の言う通りですね。…話を大きくしてしまいましたが、僕は久遠君を助けに来たんです。容疑者としてではなく、君が被害者にならぬように。…事を大きくしてしまって申し訳ありません。」
頭を下げる麗永にフライは先ほどとは打って変わり嬉しそうな表情を見せる。そんななかで着信音が鳴り響いた。…誰かと思えば哉太のスマホからで彼は画面を見るなり舌打ちをする。…画面には”撫子”という表記がされていた。
「ごめん!また電話来たから話してくる!」
離席しその場を立ち去った哉太に幸は思い切って冷静な表情を見せる麗永に尋ねてみる。
「あの…。あいつと春夏冬さんはどういう関係なんすか?やけに親しいというかなんというか…。」
またもやしどろもどろに尋ねてくる幸に麗永はアイスコーヒーを飲んでから話した。
「場磁石君とは大学の同期なんですよ。僕は法学部で…彼は理工学部でしたがね?まぁ馬が合ったというか。」
「えっ!!??あいつが??!…信じられない…。」
なぜか信じられない様子のフライなど気にも留めず幸の中での場磁石 哉太という存在が疑わしくなった。
「全然良いのないじゃ~ん!なんかさ!邦楽ていうかさ~?MIX NUTSとか逆夢とか炎(ほむら)とかおジャ魔女カーニバルとかさぁ~?お前クラシックしかねぇじゃん。つまんなっ!」
漁り終わってから腕を組んで文句を言い放つ哉太にフライは盛大な溜息を吐く。
「はぁっ……。…邦楽ですけどそれアニソンですよね?…というか、なに最後古いの出してくるんですか?…やっぱりおっさんだな。」
「フライく~ん?おっさん発言はやめようね~?…おにいさん本当にキレるから?」
「は~い。すみませんでした。オニイサン。」
サングラスで隠れて目元は見えないが確実に怒っている雰囲気を醸し出す哉太にフライは敢えてそっけない返事をする。そんなことよりも幸は先ほどから気になっていた疑問を二人のことなど気にも留めずに運転をする麗永に問い掛ける。
「あの…。春夏冬さん。…一つイイっすか?質問。」
「構いませんよ。行き先の質問ですか?…場磁石君から聞いてませんかね?」
ちらりと見やる麗永にわざと視線を逸らす哉太に溜息を吐く。そんな中で幸はしどろもどろの様子で話を切り出そうと伺う。
「いや…聞いてないっすけど…。えっと。そうじゃなくて。そんなことはどうでもよくて…。」
「おや?じゃあなんですか?」
一呼吸置いてから幸は言葉を紡ぎ出した。
「…春夏冬さんも、フライ…いや、勇翔やその…そこの変態サングラス野郎と同じで”狼”なんすか?…銀髪だから気になって…。」
「ふっはっ!!!変態……サングラス野郎…www。」
吹き出して笑うフライに幸は悪気のない無垢な表情を見せるが言われている哉太は後部座席に座る赤髪の青年を見て涙を浮かべる。
「…花ちゃん。俺を悲しませないでくれる?-あと、そこの笑ってる女みてぇなもやし野郎。本当にぶっ殺すぞ?てめぇ。」
能力を発動させて黙らせようとする哉太に運転している麗永は待ったをかけた。そして今でも不思議そうな表情で事態を見つめている幸に車内ミラー越しではあるが視線を向ける。
「まぁまぁ。喧嘩は後にしてください。そんなことはおいて、彼岸花君の質問に答えましょう。…”狼”の件は場磁石君から聞いてますがね、僕は全く関係ありませんよ。先天的とか後天的の狼でもありませんし、能力者でもありません。」
「そうなんすか?」
「ええ。だから狼の入れ墨もありませんよ?…ですがあえて言うとしたら。…僕には妹が居るんですよ。僕と同じ少し青みを帯びた銀色の髪をした…そうですね、彼岸花君や久遠君と同じ高校生の妹が居るんです。」
「えっ!??マジで!!?俺、知らなかったんだけど…。」
「場磁石君はまだ会話に入らないで下さい。」
「…ちぇっ。」
舌打ちをして車窓を眺める哉太に目もくれず麗永は話を続ける。
「妹も先天的や後天的な狼ではないですから兄妹共に狼の入れ墨があったわけではありませんが…。普段はドジを踏むし天然で運動神経も鈍いんですけどね。…あの子には天賦の才があるんですよ。」
「「「天賦の才???」」」
自身の妹を多少だが小馬鹿にするがどこか自信がある声に三人は声を上げて麗永を見つめる。…しかしここに本物のバカが一人。
「テンプノサイ…ってなんだ?」
幸の発言に哉太とフライは仰け反ってオーバーなリアクションをし麗永は少し溜息を入り交ぜてから言葉を発する。
「なんといいますか…。神から授かったモノなんでしょうかね…。まぁ本人はあまり気にしていないようですけどね~。さっ。目的地に近いパーキングに入りましたから皆さん降りて下さい。」
車を停めてから降車を促す麗永に三人はそれぞれ降り麗永の後に続いていく。すると今度はフライが麗永に問い掛ける。
「その妹さんの才能ってなんですか?ものすごい”強運”とか?」
”強運”という言葉に麗永は軽く笑って言い放つ。
「まさか。…その逆ですよ?”不幸体質”というか巻き込まれやすいんですよ。色々と…ね?」
”不幸体質”という麗永の言葉に今度は幸が驚き共感をする。
「妹さんも不幸体質なんすか…?大変っすよね…。」
自身も同じであるので幸がそう話せば麗永はなぜかにっこりと笑っていた。その態度に疑問を抱く幸に麗永はこのように返すのだ。
「確かにあの子は傍から見れば不幸かもしれませんがね。…でもそういう風に彼女自身が思わないんですよ。だから思うんです。…他人から見て想像されるよりも自分から見て考え方を変えた方が気楽じゃないかと。…まぁ、逆に客観的に見て自分の価値観が変わる場合もありますがね。」
「……えっと?」
小難しい言葉を並べる麗永の言葉に幸は首を傾げれば彼は言葉を続ける。
「大丈夫ですよ。いつかあなたにも…彼岸花君にも分かる時が来ますから。」
そう言って麗永が見る先は幸にくっついて離れずに空を見つめている哉太を見てから幸を見て笑った。…そんな彼の様子に幸は疑問符を浮かべるが先ほどとは打って変わり麗永はとある場所で立ち止まる。
「ここですよ。…おっと。待たせてしまいましたか?お二人とも?」
古びた洋館には二人の人間が四人がこの時間に来るのを予想してたかのように待ち構えている。一方は背の低い小学背くらいの男の子でもう一方は美しい青みを帯びた銀髪の長い髪を下ろした学生服の少女であった。
異様な二人に幸とフライは少々たじろぐが麗永は気にせずに二人に話し掛けると彼らは首を横に振る。
「ううん!ちょうど来るだろうな~ってつばめ君が言ってくれたからそこまで待たなかったよ?…お兄ちゃん!」
「「お兄ちゃん!!?」」
「えっ…!あ…はい。そうですけど…?」
驚いた様子の幸とフライにこちらも驚く銀髪の少女ではあったが二人の反応を予期していたかのように欠伸をする少年は凛とした声で自己紹介をする。
「あきなしさんも驚かずに自己紹介。…俺は柊 燕(ひいらぎ つばめ)。この洋館の家主で職業は…”預言師”。よろしく~。」
左目だけ透明な青いガラスのような瞳の少年が言えば少女もおずおずといった様子で話し出す。
「えっと…。お兄ちゃんの妹の春夏冬 うらら(あきなし うらら)と言います。よろしくお願いします。」
お辞儀をして言い放つうららに三人は礼をするとともに燕が彼らに洋館の中に入るのを促す。
「とりあえず、中入ってよ。後で自己紹介してもらえればそれでいいから。」
「あ…はい。」
「…おう。」
なぜか急かされるのに疑問を感じつつ返事をしたフライが洋館へ入室しようとすれば誰かのスマホの音が鳴った。その音の主は先ほどから黙っていた哉太である。スマホの画面には”撫子(なでしこ)”という表記がされており哉太は急いだ様子で皆に言う。
「ごめん!ちょっと急ぎの連絡だから出てくるわ!…先行ってて~!」
そして洋館からいったん離れる哉太に幸は先ほどの”撫子”という名前と哉太の行動に不審感を感じた。しかしそれを感じたのは幸だけではないらしい。
「…あれ?さっきの声…。どっかで聞いたような…?」
銀髪の髪をなびかせたうららも思い出すように頭を唸らせている最中(さなか)で何かを知っているような燕は薄く笑った。
哉太が離席している中で洋館の客室へ入りアイスコーヒーと抹茶クッキーを出された。アイスコーヒーは渋みが無くすっきりとした飲み心地だ。抹茶クッキーの模様はマーブルといえば良いのだろうか?抹茶とプレーンの生地が交互に重なっていて見た目も美しく、そして、なんといったらサクホロ触感がクセになりそうである。
「…美味い。こんなの初めて食べた…!」
食にも料理にも興味のある幸が声を上げれば燕が少し嬉しそうな表情を見せる。
「口に合って良かったよ。…アイスコーヒーも淹れたての方が美味しいし、そのクッキーも何度も挑戦して作った甲斐があったな~。」
「!!!これ!?あんたが作ったのか?…春夏冬さんの妹さんじゃなくて…?」
「俺の名前は燕だから、覚えてくれる?-ちなみにあきなしさんではないから。というか作れないし…ねぇ?」
クッキーの触感を楽しんでいたうららは突然名指しされて苦笑した顔を見せれば麗永は盛大な溜息を吐いた。
「まったく…。うららさんも彼岸花君や柊君みたいに料理が出来るようになって欲しいものですよ。嫁に行かせようにも家事がまともに出来ないのが心配で堪りません。」
「はーい…。頑張ります…。」
兄の厳しい発言にうららは慣れた様子で返事をしつつアイスカフェオレを飲んで幸せそうな顔をしていた。しかし麗永の言葉で引っ掛かる者が一人居た。
「あの…。どうしてさっちゃん…彼岸花君が料理できるって知ってるんですか?」
フライの質問にクッキーを優雅に食していた麗永はアイスコーヒーを少し含んで流し込んでからなぜか燕を見た。少し笑みを浮かべている少年に自身も笑みを浮かばせてから彼はさも当然かのように言う。
「なんでって…?彼岸花君がさも当然かのように言って君が爆笑していた変態サングラス野郎さんが言っていたからですよ?彼からは何度か来るんですよね~。そういうの。」
麗永の発言に幸は食べていたクッキーを詰まらせそうになりアイスコーヒーで流し込んだ。そのあからさまな様子に燕が少しニヤつく。
「…!!?あいつから来るんすか…!!?俺のことで…?」
「ええ。来るんですよね~。…まぁ大概はくだらない相談なので無視してますが。」
「えっと…その。相談つーのは?」
おそるおそる聞く幸に麗永は今度は何も知らない純粋無垢な自身の妹のうららを見てアイスコーヒーをテーブルへ置き、腕を組んで苦言を呈する。
「…ここではあまり言えないことなので発言は慎んでおきますね?うららさんの為にも…あなたの為にも。」
その言葉を聞いて察した幸の頬が赤く染まっていった。
「お待たせ~!!!って、うわ~!すんごいイイ匂い!!!…ってあれ?花ちゃん?なに顔赤くしてんの?」
電話が終わってから来た哉太が見た光景は美味しそうなアイスコーヒーとクッキーに…真っ赤に顔を染め上げる幸の姿である。しかも心なしか敵対しているフライが哉太を蔑むような視線で自分を見つめていた。
理由が分からない哉太が幸の隣へ行こうとすれば彼は哉太から少し離れその間にクッションを置きそっぽを向く。幸のよそよそしい態度に哉太は疑問を浮かべながら座れば、麗永が待っていたかのように話し始める。
「彼も来たようですし話させて頂きますね?…連続無差別”狼”事件について。」
「「「連続無差別”狼”事件???」」」
すると麗永はスーツのポケットの中から手帳を取り出して開く。
「…なんで俺の家に来たのかはよく分かんないけど。-話を聞けば理由が分かるかな…っていう風には思えないような?」
燕がアイスコーヒーを口にしてひと息吐いて皆は話を彼の傾聴する姿勢を取った。
-約五年ほど前。正体不明の”ホヅミ”という人物が指名手配され行方を追っていたが警察は断念。『ホヅミは海外へ逃亡した』という烙印をされ警察は海外へと足を向けようと動くさなかであった。
一人の白髪の若い男が室内にて死亡が確認されたのである。この家の大家が被害者は普段は朝に挨拶をして来るにも関わらず何日も挨拶に来なかったようなので不審に思い声を掛けに言った所、返事が無かったので不安になり警察に通報したようだ。腐食されていた被害者男性の足元には大量の薬がばらまかれ警察は自殺と判断した。
しかしその数日後。今度は別の女性がマンションにて腐敗死していた。この女性も白髪でなおかつ薬を飲んでいたようだ。こちらも自殺と処理されたが二つの事件に違和感を感じた刑事の麗永は死亡状況や被害者が服用していた薬、そして白髪からとある仮定を導き出した。-
「これは”狼”を狙った犯行なのではないかと考えたんです。実際、被害者男性には左腕に、被害者女性には左大腿に”狼”の入れ墨がありました。そしてさらに、被害者の二人はホヅミによって能力者…つまり”狼”にさせられていたんです。」
「…!アイツが…!ホヅミが僕以外にもなんですか…?許せない…。」
ホヅミによって”狼”へと無理やり変貌させられたフライが怒りで顔を染め上げるが麗永は説明を続ける。
「そしてばらまかれていた薬を調べた結果…後天的な”狼”になった時に服用される副作用止め薬ということが判明しました。警察は鑑識に回し成分を調べてみましたが…毒性の物は検出されませんでした。つまり犯行時に犯人が薬をすり替えて持ち去った…という可能性は低いのです。…しかし遺体を調べてみた結果、新たな情報が判明しました。…そこであなたに、場磁石君に来てもらったのです。」
「えっ!!??場磁石先生!!??なんで先生が…?」
サングラスを掛けた腹筋の割れたへそ出しトップスにレザーパンツを履いていた奇妙な男の正体に驚くうららではあるが反応を知っていたかのように燕は微笑み、麗永は彼女へ苦言する。
「話は後にしてくださいね?うららさん。…続けましょう。遺体から検出されたのは規定量を超えるカリウムだったのです。別名カリウム40。身体において必須元素となっています。ですが排出をすれば致死量には至りません。…質問ですが、薬に混ぜて混入させることは可能でしょうか?」
「いや。不可能に近いね。だって、そんだけの量をたとえ薬に混ぜても人間の構造上、危険を察知して吐き戻すはずだよ。…あとさ、俺も呼んだけど、俺に意見を求めるっていうことは…まだ裏があるんでしょ?」
サングラスを掛けなおす哉太に麗永は軽く返事をしてから衝撃的な言葉を放つ。
「…遺体から大量の放射線を浴びた形跡がありました。被害者男性も女性も調べてもそういう機会が無いという事実があるのに…です。」
手帳はまだ閉ざさずに哉太の反応を伺う麗永に応えるように哉太は腕を組んでから考え込んで天井を見つめる。
「カリウム40ってことだから放射線の種類としてはベータ線やガンマ線とかの類(たぐい)だね~。でも普段なら突き抜けるし…?アルファ線なら内部被ばくとか考えられるけど…多分、サーベイメーターで調べられたんでしょ?アルファ線が原因だったらもっと高設備で費用も断然かかるから発見は遅いだろうし…?」
「なるほど…。それは言えてますね…。」
哉太と麗永の話にちんぷんかんぷんな高校生三人は顔を寄せ合って聞き合うことしかできない。
「???おい。フライなに言ってるか分かるか?お前、理系専門だろ?」
「放射線までは分からないよ!!…えっと。うららさんは分からない?春夏冬さんの妹さんだし…あのサングラス変態狼とも知り合いみたいだし。」
フライに問われたうららは首を横に振ってさらに小声で話した。
「確かに場磁石先生は知り合い…というか非常勤の物理講師だから顔は合わせるけど、私、物理嫌いすぎて寝てるし…。他の女の子たちは『場磁石先生ってかっこいい~!!!』とか言ってるけど…。…というか、お兄ちゃんにも物理教わってて授業中に寝てるなんて知られたら…雷が落ちる。」
顔がどんどんと青ざめていくうららにフライは苦笑を浮かべるが幸は別のことを考えていた。
(前に言った時には文系だって言ってたし非常勤の物理講師なんて初めて聞いた…。しかも撫子っていういかにも女って感じの名前の奴と連絡してるし…。なんだろ?このもやもやした気持ち…。)
そんな三人の違った思惑の中で麗永は咳払いをしてから衝撃的な言葉を言い放つのだ。
「雷…といえば、容疑者の中にいるんですよ。雷と書いて”いかずち”と読む女性が一人…。まぁうららさんの正座でのお説教は後にして…。」
「えっ!!??聞こえてたの!!??」
「-残念ながら容疑者がこの中に居ます。……久遠君。君です。」
「…っえ?なんで…僕?」
明らかに戸惑っている様子を見せるフライに麗永は冷たく言い放つのだ。
「久遠 勇翔。…飛行能力。雷 萌果(いかずち もえか)。…電流を操作する能力。小柳 力也(こやなぎ りきや)。…最大限の力を出すパワー系の能力。泉 透(いずみ とおる)。…数秒間自身を透明にする能力。速度 あやめ(そくど あやめ)。…瞬発的な速さを持つ能力。-これらすべての人間はホヅミの手によって後天的に狼へと変貌させた人物なんですよ。」
麗永が音を立てて手帳をぱたりと閉ざした。
「そんな!!?僕、人なんて殺してないです!確かに”狼争い”には参加してますけど…。本当に殺してはいないんです…よ?」
無罪を訴えるフライに今度は哉太が冷たい言葉を言い放つ。
「でもさ~?一匹狼にならないと殺されるとは言ってたし~?俺や花ちゃんだって攻撃しようとしてきたじゃん?」
「それは…その。」
「ほら?なんも言えないじゃん。もう面倒だから容疑者にすれば~?」
哉太のそっけない言葉にフライが傷心すれば幸が何かを言おうとした時、今まで黙っていた燕が口を出した。
「ばじしゃくさん。それはないんじゃない?恨みがあるからって簡単に人を殺そうとするにはリスクがありすぎるし、俺にはくおんさんは何もしていないって思うけど?…あとさ、刑事さんもちゃんと最後まで言いなよ~?…くおんさんを助ける為に話をしに来たってこと。」
「…えっ?」
皆の視線が麗永へと向けられれば彼は少し微笑んでからフライに謝罪を示した。
「柊君の言う通りですね。…話を大きくしてしまいましたが、僕は久遠君を助けに来たんです。容疑者としてではなく、君が被害者にならぬように。…事を大きくしてしまって申し訳ありません。」
頭を下げる麗永にフライは先ほどとは打って変わり嬉しそうな表情を見せる。そんななかで着信音が鳴り響いた。…誰かと思えば哉太のスマホからで彼は画面を見るなり舌打ちをする。…画面には”撫子”という表記がされていた。
「ごめん!また電話来たから話してくる!」
離席しその場を立ち去った哉太に幸は思い切って冷静な表情を見せる麗永に尋ねてみる。
「あの…。あいつと春夏冬さんはどういう関係なんすか?やけに親しいというかなんというか…。」
またもやしどろもどろに尋ねてくる幸に麗永はアイスコーヒーを飲んでから話した。
「場磁石君とは大学の同期なんですよ。僕は法学部で…彼は理工学部でしたがね?まぁ馬が合ったというか。」
「えっ!!??あいつが??!…信じられない…。」
なぜか信じられない様子のフライなど気にも留めず幸の中での場磁石 哉太という存在が疑わしくなった。
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