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"狼"の非日常への階段

不幸ヤンキー、”狼”に触れる。【3】

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突然の出来事により身動きの取れないでいる幸と哉太。…なぜなら術を発動させたフライこと勇翔が無能力者の人間である彼岸花 幸の右ポケットから放たれた木々により襲われ、さらには取り込まれて動けない状況だからだ。
驚いて唖然とする幸ではあったが苦しそうにもがく友人の元へ駆け寄ろうとするとき…哉太がとある言葉を呟く。
「…”キー”の能力なのか…?」
「???」
謎の言葉を発す哉太を尻目に幸はフライが取り込まれている木の枝やツルを力ずくで剥がしていき、フライを引っ張り上げる。必死な形相になっている幸に唖然としていたフライは壊れた緑色のサングラス越しから…戸惑いを見せた笑みを零す。
「な…んで?さっちゃんが僕を助ける…の?-嵌めよう(はめよう)としたんじゃ…?」
「ちげぇよ!!!俺は…お前を!!!本当に助けたかったんだ!!!」
「…っっ!!!それ…信じて…いいの?」
その言葉に幸は太陽のような笑みを浮かべて言い切った。
「俺のダチなんだから胸張ってくれよ!!!-俺の唯一の友達で…”親友”なんだよ!お前は!!!」
普段の幸であれば赤面をするような彼が胸を張って言い放つ姿に心を打たれフライは今度は優しげな表情をした。
「…ありがとう。お願い。-ここから僕を助けて…?」
「任せろ!!!」
火事場の馬鹿力でフライを引き上げ絡まっている木々やツルからフライを引き上げようとしたその時であった。
「っ!!!さっちゃん!避けて!!」
「へっ???」
フライが突然、幸を突き飛ばしたのである。何事かと幸が背後を見てみれば太い木の枝が幸に襲い掛かろうとしていたのである。襲われる寸での所でフライに助けられたのだが…助けた張本人は再び木々やツルに絡まれ身動きが取れないでいる。
なぜ自分を助けたのかと聞き出したかった幸の問いかけを察するようにフライは静かに述べていく。
「さっちゃん…には、いつも、助けられ…てばかりだからさ。…だからその恩返し。」
「…なに言って?」
泣き出しそうな顔を見せる幸にフライは言葉を紡いだ。
「-バイバイ。僕の親友。」
フライの体中に木の枝とツルが張り巡らし一つの大木へと変化を遂げた。

「うそ…だろ?おい!!!フライ!!!返事しろ!!!」
フライを覆い隠すほどの大木へと進化をした姿に幸は近寄って拳を叩いて訴えながら木のツルや枝を払い避けるのだが…一向にフライの姿が見えない。どうしようもなくなってちぎった木の枝を投げつけようとした…その時。
「花ちゃん待って。…俺に策がある。」
今まで無言で立っていた哉太が声を掛ければ幸は恨むような鋭くも、そして悲しむような視線を送った。
「なんだよ…。俺に無断でフライを殺そうと…したくせに!!!なにが策はあるだ!!!このままにしておけばフライはすぐに死んで」
「-花ちゃんはいいの?…こんな結末で。」
「…へっ?」
とぼけた顔を見せる幸に哉太は幸が持っていた木の枝を頂戴し手を一回叩き能力を発動させる。
「フライ君を失って、そんで彼を苦しませている”ホヅミ”って奴をボコボコにしなくていいのかって聞いてんの。-花ちゃんはそんな最後でいいと思う?」
木の枝を磁石へと変化させ空気中にある電子の粒子と風量で大きな刃物のような剣を抱く哉太に幸は言い切るのだ。
「そんなの嫌に決まってんだろ。-俺は、俺は!!!フライを救いたい!!!!」
「…そうこなくっちゃね。」
笑みを浮かべた哉太は磁力によって集結させた電子の動きと細かい木の枝やツルを回らせてまるでチェンソーのような大きな武器を作り上げ、力を込めた両腕で大木へと切りかかる。
しかしこれではまだ威力不足で大きな木を両断させるのは難しいようだ。
「あと…少し。”風”の力が強ければ…。」
”風”という単語で何かを閃いた幸は大木と向きあってる哉太を退けて大木へ歩み寄り訴えるのだ。
「フライ!!!少しで良い!能力で風を起こしてくれないか!?」
「……さっちゃん?」
木の中に閉じ込められ酸素不足で意識がもうろうとしているフライの声音に幸は大木に拳を入れて訴える。
「お前のせいで!お前のせいで!フライが…俺の親友が苦しんでんだよ!!!喧嘩売るなら俺にしろよ…!」
「……。」
「俺は!!!俺は!!!もう大事なもんを失いたくないんだ!!!!」
大声で泣き叫び大木に訴えかけるが木はビクともしない。哉太は敵であるフライを助けるのかどうかも分からず、フライも苦しそうな返事しか出来ないでいる。残酷な事実を受け止めようとも受け止められない事実に歯向かおうともう一発拳を入れようとした時…フライの声が聞こえた。
「風よ…。-我が親愛なる友の涙を吹き飛ばせ!」
すると大木から大きな竜巻が現れ幸を吹き飛ばした。涙でさえも吹き飛んでしまった風の力に幸は驚き、哉太は好機を得たような笑みを浮かべた。風を取り込みチェンソーをとても大きな武器に変えて動き出す。
「これなら一刀両断でしょっ?-ありがとね!-フライ君?」
大木を縦に割り現れたのは取り込まれていたフライの姿。地面へと崩れ落ちるように上体を倒そうとすれば幸が彼の身体を支えていた。
「…お前が無事で…、本当に…良かった。」
涙ぐむ幸をよそにフライは静かに呼吸をし能力を解いた哉太は消えゆく大木を見つめる。
「…キー。お前、近くにいんのか…?」
再び謎の言葉を発した哉太に気づきもせず幸は眠っているフライに安堵した。

『やーい!みにくいアヒル!こっちくんな~!』
『アヒルは黙って寝てろよばーか!』
この頃クラスではあだ名を付ける遊びが流行っていた。-その中でもみにくいアヒルが僕だ。-クスクスと周りから笑われて嫌な日々が毎日も続いたある日…僕はヒーローに出会った。-鈍い音を立てて馬鹿にしてきたクラスメートたちに拳骨を食らわせた赤髪で色黒の少年に。
『なにすんだよ!ブラック!お前は俺たちの仲間だろ~?』
拳骨を受けた頭部を触る少年に彼は冷たい言葉と表情で言い放つのだ。
『俺はお前の味方でもなんでもねぇよ。…この前はゴリラだのバカヤンキーとか言ってきて奴に。…そんなに人をおちょくって楽しいかよ?-おちょくんなら相手を見極めてから言え。…ヘッポコパンダ。』
『なっ!!?俺にはインテリっていうあだ名があるのに~!!!お前なんか仲間にしてやんね~!』
『行こうぜ!みんな!』
『『おう!!!』』
文句を言い放つクラスメートを尻目に唖然とする醜いアヒルに赤髪の少年は彼に寄り添うのだ。
『お前ももう少し強くなれよ…。そういえばみにくいアヒルの子って最後は空を飛んだんだっけか?』
突然質問を問われた少年は腕を組んで考え込んでから童話の話の結末を思い出す。
『そうだね…。白鳥になって…だったかな?』
『そんじゃあ。-お前は飛ぶんだな。自分の弱さに立ち向かう…翼を持って。』
微笑んだ赤髪の少年は普段の冷たい表情を覆す(くつがえす)ように眩しく見えてしまった。見惚れてしまった少年に色黒の少年が立ち去ろうとすれば…口が勝手に動いていた。
『あの!!!僕、久遠 勇翔!…君の…君の友達になれない…かな?-って!今の無し!!!ごめんね!気持ち悪いこと言って!さっきの言葉は流して』
『良いけど?』
『-へっ?』
唖然とした勇翔に赤髪の少年は彼に近づき拳を掲げる。
(ぶたれる…!!!)
反射的に手を覆い隠すようにすれば手のひらに拳を乗せて少年は笑みを見せるのだ。
『お前のコードネームはフライ!じいちゃんが言ってた!えーごで”翔ぶ”って言うらしぜ?そんで俺は…』
少年は勇翔の手を取って握手して放つ。
『俺は彼岸花 幸!…よろしくな!フライ!』
窓際に立つ太陽の光で輝く赤い髪を勇翔は…いや、フライはいつまでも忘れない。

ふと目覚めればフライは地面に寝そべっていた。しかしそこまで地面の冷たさを感じないのは地面に制服が敷かれていたから。上体を起こし周囲を見渡せば、幸が隣に居た。
「…さっちゃん。隣に居たんだ…。起こしてくれてもいいのに。…懐かしい夢見ちゃったよ。」
「…すまなかった。」
「…え?」
すると幸はフライの肩を抱いて真正面へと向き合いじっとフライを見つめる。突然のことに驚く彼に幸は意を決した態度を見せた後、途切れながら謝罪をする。
「その…俺が…俺のせいでお前に怪我…どころじゃなくて。殺そうとして…その…なんていうか…」
「っふふ。あはは。」
しどろもどろに話し出す幸に吹き出して笑うフライに幸は疑問符を浮かべる。
「…!!!なに笑ってんだよ!!?お前、俺に殺されかけてたのに?」
それでも笑い続けるフライに今度はふて腐れたような表情を見せた幸にフライはひとしきり笑った後に優しげな表情を見せる。
「そういうとこが本当に変わってない。-素直なのに素直に言えなくて…ワルだから自分が謝る時はほとんどないのに、謝るってなる時には無駄に緊張しちゃって…。」
「…お前、なにげに俺を見下してんな。おい。心配して損して」
「-そんなさっちゃんだから…友達として、親友として、大好きなんだよ?」
「っっっ!!!」
壊れているサングラスを外し陶器のように肌が白く儚げで朗らかに笑う姿は…まるで女の子のような出で立ちをするフライに顔を赤く染め上げる幸の前に-狼が立ちはだかる。
「ちょっと~?2人してなに良い雰囲気になってんの?それに…助けた俺に感謝の言葉はないのかな~?-フ・ラ・イ君?」
悪い笑みを見せている哉太に負けずにフライは笑みを絶やさずにいる。
「あ~。ごめんなさい。-さっちゃんとしっぽりいい感じになっていたので気づきませんでした~。僕を殺さずに助けて頂いてありがとうございました~。…場磁石さん?」
「いえいえ~。とんでもないよ~。早い芽は摘んでおくっていうよりも、伸ばしてから引っこ抜いた方が手っ取り早いし~?」
「そうですね~。そういう甘さのようで非情なやり方は僕は嫌いじゃないですよ~。」
「そう~…。君も僕と同じような人種で助かったよ~。久遠君?」
「そうですね~。場磁石さん?」
幸は置いてけぼりであるが哉太とフライのバチバチと火花が飛び散っている姿にたじろぎつつ話を逸らそうとすればフライは幸の手を取って言い放つ。
「僕は場磁石さんみたいなそういった考えではないけど、一番の親友は譲るつもりはないから。-困ったことがあったらウチおいで?-話し聞いてあげるよ。…さっちゃんの為ならね?」
「お…おう?…そんでそういった考えって…?」
「にぶちんのさっちゃんには教えな~い。」
何かを握らせてから幸の手を離し自身の上着を肩に掛けたフライは術を発動させる。
「風よ。-我の翼となり大空をはばたけ。」
すると上着は生き物のように空を掴むように上下に揺れてフライは翼を広げて宙に浮いてみせる。まるで蝶のように、鳥…美しい白鳥のように。
「また学校で!そんじゃっ!」
そして空の彼方へと消えていったフライをぼんやりと見つめた幸に不躾にも嫌な視線を送る哉太ではあるが、彼が握っている何かを見つめ問い掛ける。
「…そういえばだけど。あのクソガキになに貰ったの?」
「クソガキって…。まあ、あんたにとってはクソガキだろうけど…。」
「いいから。-なに貰ったの?」
何か硬くて小さな物を貰ったので手を広げて確かめれば、小さな羽がモチーフにされたシルバーピアスであった。明かりに照らされ艶やかに輝くプレゼントに幸は感嘆の溜息を零す。
「なんか…すげぇ。」
「ッチ。あのクソガキ。良いもん渡しやがって…。実用的だし。」
「実用的?なに使えんだよこれ?」
「説明の前に!!!花ちゃんは男をたぶらかしすぎ!!!だからお仕置きです!」
「-はぁ???」
すると哉太は手を一回叩いて能力を発動させ幸を自身にぴたりとくっつかせてからお姫様抱っこをする。予想外の展開に戸惑い慌てる幸にサングラスの男…哉太はにっこりと笑みを見せてとある場所へと向かうのであった。

連れてかれた先はやはりラブホテルであった。げんなりとした表情で姫様抱っこをされていた幸は哉太と共に入室しやや驚きつつ溜息を吐いてしまう。
「やっぱりまたホテルかよ…。本当にあんた飽きねぇなぁ…。」
「とかいって~?意外と今回は内装変えたから興味津々じゃん?」
「…そりゃ部屋が鏡だらけなら誰だって思うだろ…?フツ―…。」
全面のほとんどが鏡張りで出来ている内装に驚きと哉太のこなれている感に童貞として、男として嫉妬のような…でもこんな奴にはなりたかないなという気持ちでいっぱいになった幸は哉太に自身を降ろすように言い放つ。
「もう降ろせ。逃げねぇから。」
「…もしも逃げるんだったら花ちゃんのエッチな写真を」
「だから逃げねぇから早く降ろせ。変態。」
すると哉太はキングサイズのベッドへと駆け寄り地面を3回鳴らして能力を解除させる。すると幸はベッドの横で上着を脱いでネクタイを緩めてボタンを外してから…掛け布団の中に入った。
「いやっ!ちょっと待って!!!?-この状況で!??淡泊過ぎない?いや!この内装と上着なんて脱いだら絶対にヤるってなんじゃん?」
「…うっさい。普通に上着脱いでネクタイとボタン外せば寝るに決まってんだろ?…じゃあおやすみ~。」
この異質な光景に慣れてしまった幸はわざと目を閉じて眠るふりをする。-だがそんなことは変態ドS狼が黙ってどいるはずがない。
「…最近甘やかしてたけど~。ちょ~っと花ちゃんには躾ける必要があるね…?」
声でしか分からないが真剣に怒らせてしまったようだ。それでも謝るまいと幸は寝たふりをすれば何か音を立ててから哉太は掛け布団の中へ入り…外されたボタンから見える色黒の首筋に強く噛みついた。
「いっったっっっ!!!!なにすん…だよ?」
噛みつかれた右首を撫でようと起きて目を見開けば、色白の均等に腹筋が割られ胸筋もある逞しいカラダ…だが脇腹の狼の入れ墨と赤く燃えるような透明な瞳を見れば哉太だと分かる。哉太のニヒルな笑みでも体つきが美しいからか幸は誘惑させてしまう。
(すっげ…。いっつも変な服ばっかり着てるけど…きれい。…って!何考えてんだ俺は!!?)
恥じる顔を見せぬまいと横に顔をずらそうとすれば突然肩を抱かれた幸はこのように耳元で囁かれた。
「…今、俺のカラダ見て興奮したでしょ?」
「!!!何言って!?そんなわけねぇし!」
「嘘だね。…顔も赤いの鏡越しで見えるし…それに、鼓動も早い。」
周囲が鏡で囲まれているので再び恥ずかしさで自身が沸騰しそうに思えば哉太は幸の耳、首、頬にキスを落としてからボタンを全部外し乳首を舐める。
「ひゃぁっ…。なに…考えて」
「-致そうとしてるだけだけど…?」
「イタす?」
「だから~。」
そう言って哉太はにこやかに笑った。
「セックスしたいって言ってんの。興が醒める前に…ね?」
「ふあっ…。やぁぁぁ…。」
股間を撫でられ変な声を上げてしまい再び視線をずらすのだが…ずらした先が悪かった。
レザーパンツのボタンやチャックを外して見えた黒字に赤い模様の下着の中心部には哉太自身が隆起していたのだから。そんな彼の見るからに大きなブツに幸は頬を真っ赤に染め上げる。
「なに勃起させてんだよ!!!どこにそんな要素あった!!?」
「へぇ~?自覚ないの?-こんなに小さなことで反応してくれて、真っ赤になっちゃう花ちゃんが可愛いな~って思ったら…大きくならない?」
「ならねぇよっ!!!変態!!!パンツもパンツで派手だし…。」
「ああ~。これね。パンツだけど違うんだよね~?」
「…っへ?」
驚いて顔を真っ赤にさせている幸に哉太はレザーパンツを脱いでいけばパンツよりも面積の少ない黒地に赤い模様の入ったビキニであった。
にんまりと笑う哉太に幸の沸点は限界を超え恥ずかしさのあまりに手元にあった枕を投げつける。
-パァンッッッ!!!という音が響いた先には更に顔を真っ赤にさせた幸が叫んでいた。
「なにそんなえっ…じゃなくて…その…変態みたいなパンツ履いてんだよ!!?しかも無駄に尻も良い形してんのになにそんなパンツを…婿(むこ)にいけなくなんぞっ!!??」
「…それ褒めてる箇所もあるよね…?なんか、ありがと…?」
「なっ!!?そういんじゃなくてだな」
「はいはい。-説教は後にして…。」
哉太は一回手を叩き幸と自身を磁石のようにくっつかせる。もちろん、磁力の力加減はお手の物。密着された逞しい裸体に幸は顔を隠そうとするが片手で抑えられてしまう。…そして狼は耳元で話し掛けた。
「食べさせてくれるよね?-幸?-」
幸は突然のことに驚いてしまった。

鳴り響くのは卑猥な音と共に破裂音のような音に男の息遣い。そして淫らに鳴くことしかできないでいる赤髪の青年が一人居る。
「はぁぁっ…!はぁぁぁっ…!やぁん。-…はや…い…。」
「ん~?だって~一応お仕置きのつもりだし~?俺一応ドSキャラって設定してるからさ~?」
「普通はしねぇ…よ…ばかぁぁぁ…。」
幸の色黒の小さな穴を指でほぐし哉太のぶっとい色黒に照らされたモノを挿入してからどのくらい時間が経ったのだろうか?
-ジュブ、ジュブ、ジュブ。
-パアッン、パァッッッン。
そんな交尾を続けるものの哉太の手により良いところを突かれても違う場所へと突かれるという甘い拷問に幸は目を回している。しかも、鏡張りの部屋だからか自分の羞恥な姿が自分でも見れてしまい沸点が超えて溶けそうだ。
「お願いだ…からっ!はやく…出させて???」
正常位のまま涙ながらに懇願をする幸に気をよくした哉太はいったんストロークを止めてからこのような提案をする。
「じゃあ…まず、出るっていうのをイクって言うのは出来る?」
「…するからぁ。だから…。」
「あとはもう一つ。…俺を哉太って呼んでよ?」
「……。」
だんまりと決め込んでしまう幸に少し憤りを感じた哉太ではあったが次の言葉でこの気持ちは跳ね返される。
「嫌だ。…あんたの名前を簡単に呼んだら、あんたに俺は都合の良い奴って思われて…捨てられそうだから。-そんなのムカつくから。」
「…!!!」
普段はツンツンしている幸がド直球のストレートなデレに哉太の鼓動は高まり、その興奮が抑えきれずにいた哉太は…普段はしない、誰にもしない唇に口づけをするのだ。驚く幸をよそに再び律動を始めた哉太と淫らに喘ぐことしか出来ないでいる幸はキスの意味を問いただす。
「な…んで?キスし…たの?いつも…しないのに」
「花ちゃんが可愛いデレをお見舞いしてくれたお礼。…あんがと。幸?」
「お…おう。って!なに大きくしてんだよ??!」
「いや~!花ちゃんのデレに興奮しちゃって…!もうお兄さん!張り切っちゃう!」
「そんなんでお前の奴をデカくすんなー!!ばっかぁ・・・。」
再び卑猥な音と化した室内に男二人は朝まで行為を続けていたのであった。

-ヴィィィィン。ヴィィィィン。
目覚めれば朝日が眩しかった。そして隣に寝そべるのは天使のように眠る色黒の…赤髪の青年。起こさぬように幸の髪にキスを落としビキニとズボンを履いてから、着信履歴を見てみる。
「げぇっっっ。撫子(なでしこ)から履歴ありすぎんだろ…。まぁいっか。ネタ思いついたから後で連絡の…前に。」
スマホをいじり電話を掛ければ数回のコール音の後に留守電へとかかる。そんなことなど知っていたかのように哉太は言葉を続ける。
「もしもし~。俺、場磁石。お前に相談したいことあんだよ。”ホヅミ”って奴と”行方不明の少女”についてのことをな?そんじゃあ気長に待ってっから。じゃっ。」
スマホをベッドに放り投げて自身もベッドへ飛び込んでからぐっすりと眠っている幸を見て哉太は微笑んだ。
「こりゃ今日も花ちゃんは遅刻だな~。まっ。いっか!ネタ思いついたし!」
幸を起さずに自身もチェックアウトぎりぎりまで寝そべる哉太であった。
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