20 / 49
20.関係性という名の”絆”。
しおりを挟む
空間の書にて、豊は訓練とは言いつつも戦い方を学んでいた。彼の対戦相手は指導者かつ書簡であるアスカである。彼女は自身の相棒である暴露の書ことサラを変化させて、ガトリング銃で豊に狙いを定めた。さすがに弾が入っていたら死んでしまうので空気銃のような形態をさせてはいるが…それでも威力は凄まじいものだ。当たってしまえば吹っ飛んでしまうのではないかと、豊は肝を冷やしつつ攻撃を避けてはリィナが変化した新たな武器…データフォースを使って受け止める。そして重くなるデータフォースを使って攻撃を放った。
「行け!!!戦略の情報!!!」
白銀の槍から放たれる光に染まった文字の攻撃にアスカは魔術でシールドを使う。届かない攻撃に豊は息を荒げながらも槍を振る下ろす。少しだけだが軽くなるデータフォースに豊は安堵しつつ、データフォースことリィナに問い掛ける。
『ねぇリィナ。俺達にも出来ないかな?シールド…みたいなの。』
『…まぁもしかしたら出来るかもしれないが…、シールドなんて、基本は魔術を心得ているものでしか使えないがな…。』
でも、もしかしたら出来るかもしれないという可能性に惹かれ、豊は試してみようと思った。だから彼はシールドを使っているアスカに突っ込んでシールド自体をデータフォースに吸収させる。やはり重くなる武器に豊は力を入れてからアスカに向けて打ち込んだ。しかしその前にアスカはサラを変化させて小型銃で豊に向けて撃ち込むのだが…それは豊にとっては好機であった。
「守護の情報!発動!」
「!!!なに?」
すると豊を包み込むように羅列された文字のシールドが顕現し彼を守る。魔術など教えてもいないのにシールドを使った…これは普通の、いや、この世界の人間では出来ないことだ。
…志郎君、やりますね。でもこっちも!
シールドを一旦解除してアスカへ向けてデータフォースで術を打ち込もうと豊が腰を入れた途端、アスカはサラを素早く変化させて巨大な大砲にして向かってくる豊へ向けて放つ。それをシールドを使って免れようとする豊ではあったのだが…シールドは現れなかった。
「???なんで…?てかっ!この状況は…まずい!!」
現れないシールドに豊はデータフォースを振り下ろして吸収させる。しかしアスカが豊の隙を見逃すはずはない。今度は彼女が豊に突進をして回し蹴りをしたのだ。良い音を立てて地面に倒れる豊の脳天にアスカは小型銃を差し向ける。
「私に勝つのはまだですね。…でも、伸びしろがあっていいと思います。…でも、勝負は勝負。」
そしてアスカは銃の引き金を引いて撃ち込んだのであった。
保健室にて。両手両腕を酷使したおかげて筋肉痛だわ豆が出来て血が出てしまうわで散々な豊は、自身の頭を撫でながら傍に居るリィナと共に今回の戦いの反省をする。本当はメモを取りたい所ではあるが地味に痛む自身の手を握るのも辛いようだ。だからリィナが代わりに情報として記憶しておき、後で復唱して書くことにした。リィナの反魂の力はこのような使い方を出来たのかというのは豊にも、そして、リィナ自身にも発見できなかった。…その結果を生み出したのは、彼らの”関係性”だからかもしれない。
「まずはお前は戦術が甘い。槍は古来からド素人な奴だって扱える代物だ。振り下ろすだけじゃなく、突き落すようにする動作をやってみろ。」
「そしたら相手が怪我しちゃうじゃんか!だから俺はわざと」
「そしたらお前が殺られる。いいか?枢要の罪だっては本気で向かってくる。お前のその甘い正義じゃ当たり前だが確実に殺される。…それに。」
「…なんだよ。それにって。」
するとリィナは何かを考えてから今度は不可解な、まるで変な物でも見たかのように目を薄く閉じてから首を捻る。その奇妙な、まるで可愛らしい細身のフクロウが首を傾げたような表情に豊は少し笑ってしまった。すると今度はリィナは怒って彼に文句を言う。
「なに笑ってんだ!…こっちは、その…、お前にとって良い事を言おうとしたのに!」
「ふふっ!ご…ごめんって!…リィナが面白い顔するから可愛くてさ~。」
「…ふんっ。私はそこらの尻軽女、いや、書物と違ってお前の馬鹿らしい、キザなセリフは通じないぞ。」
「だから~ごめんって!!!…そんで?良い事って…なに?」
豊の黒い瞳に見つめられリィナは話すか話すまいか考えていた。…この考えになったのは豊の考えに影響されたからなのか?もしくは、自分の”意志”なのか…。意志であれば焼却されてもがき苦しむことになる。だが、豊のその真っすぐな瞳に応えなくてはならないという自分の心なんてあるはずも無いのに突き動かされてしまうのはなぜ?
そんなよく分からない感情にリィナは戸惑いつつも振り払い、豊に小声で伝える。
「…向こうも本気なんだから、本気で応えた方がいいかなと…私の情報が言っている。いいか!!?情報が!だぞ!??…これは私の知識がお前に教えてるんだ!」
「…!!!そっか。その通りだよね…。向こうも本気なんだから俺も本気で行かなくちゃ。…ありがとう。リィナ。」
必死な様子のリィナに豊はまた軽やかに笑って彼女の頭に手を乗せてゆっくりと撫でた。その手は温かい。心地の良い温かさだ。しかし動かすと豊は少し呻き声を上げて手を天井へ上げてしまう。包帯で巻いたとはいえ豆が潰れていて痛むのだろう。だが、リィナはその温かな手に惹かれ手を取ってしまう。
「…っえ?リィナ?」
「……っあ!なんでも!無い!!!」
リィナは手を素早くは離しては豊の顔を見ようともしないでいた。
「……いいな。あんな関係に、サラとあんな風に、出来たら…な。」
見まいに来た1人の女性は1人と1冊…いや、2人に見えてしまう光景に妬みと嫉みを抱いてしまった。
「なにあのキザ野郎!僕のリィナが壊れちゃいそうになっちゃうじゃん!…マジでムカつく~。」
とある異空間にて、2人の…いや、2冊の書物が話している。一方は枢要の罪の、”暴食”の罪のライグン。…そして。
「まぁ、今回は思いがけない切り札も1人見つけたから良いんじゃない?…そんなに怒んないでよ?ライ?」
浴衣を着こなして下駄を履いている青年、”憂鬱”の罪のチオロサアドは彼に微笑みつつ、映像に映っている美女…アスカを見つめるのであった。
「行け!!!戦略の情報!!!」
白銀の槍から放たれる光に染まった文字の攻撃にアスカは魔術でシールドを使う。届かない攻撃に豊は息を荒げながらも槍を振る下ろす。少しだけだが軽くなるデータフォースに豊は安堵しつつ、データフォースことリィナに問い掛ける。
『ねぇリィナ。俺達にも出来ないかな?シールド…みたいなの。』
『…まぁもしかしたら出来るかもしれないが…、シールドなんて、基本は魔術を心得ているものでしか使えないがな…。』
でも、もしかしたら出来るかもしれないという可能性に惹かれ、豊は試してみようと思った。だから彼はシールドを使っているアスカに突っ込んでシールド自体をデータフォースに吸収させる。やはり重くなる武器に豊は力を入れてからアスカに向けて打ち込んだ。しかしその前にアスカはサラを変化させて小型銃で豊に向けて撃ち込むのだが…それは豊にとっては好機であった。
「守護の情報!発動!」
「!!!なに?」
すると豊を包み込むように羅列された文字のシールドが顕現し彼を守る。魔術など教えてもいないのにシールドを使った…これは普通の、いや、この世界の人間では出来ないことだ。
…志郎君、やりますね。でもこっちも!
シールドを一旦解除してアスカへ向けてデータフォースで術を打ち込もうと豊が腰を入れた途端、アスカはサラを素早く変化させて巨大な大砲にして向かってくる豊へ向けて放つ。それをシールドを使って免れようとする豊ではあったのだが…シールドは現れなかった。
「???なんで…?てかっ!この状況は…まずい!!」
現れないシールドに豊はデータフォースを振り下ろして吸収させる。しかしアスカが豊の隙を見逃すはずはない。今度は彼女が豊に突進をして回し蹴りをしたのだ。良い音を立てて地面に倒れる豊の脳天にアスカは小型銃を差し向ける。
「私に勝つのはまだですね。…でも、伸びしろがあっていいと思います。…でも、勝負は勝負。」
そしてアスカは銃の引き金を引いて撃ち込んだのであった。
保健室にて。両手両腕を酷使したおかげて筋肉痛だわ豆が出来て血が出てしまうわで散々な豊は、自身の頭を撫でながら傍に居るリィナと共に今回の戦いの反省をする。本当はメモを取りたい所ではあるが地味に痛む自身の手を握るのも辛いようだ。だからリィナが代わりに情報として記憶しておき、後で復唱して書くことにした。リィナの反魂の力はこのような使い方を出来たのかというのは豊にも、そして、リィナ自身にも発見できなかった。…その結果を生み出したのは、彼らの”関係性”だからかもしれない。
「まずはお前は戦術が甘い。槍は古来からド素人な奴だって扱える代物だ。振り下ろすだけじゃなく、突き落すようにする動作をやってみろ。」
「そしたら相手が怪我しちゃうじゃんか!だから俺はわざと」
「そしたらお前が殺られる。いいか?枢要の罪だっては本気で向かってくる。お前のその甘い正義じゃ当たり前だが確実に殺される。…それに。」
「…なんだよ。それにって。」
するとリィナは何かを考えてから今度は不可解な、まるで変な物でも見たかのように目を薄く閉じてから首を捻る。その奇妙な、まるで可愛らしい細身のフクロウが首を傾げたような表情に豊は少し笑ってしまった。すると今度はリィナは怒って彼に文句を言う。
「なに笑ってんだ!…こっちは、その…、お前にとって良い事を言おうとしたのに!」
「ふふっ!ご…ごめんって!…リィナが面白い顔するから可愛くてさ~。」
「…ふんっ。私はそこらの尻軽女、いや、書物と違ってお前の馬鹿らしい、キザなセリフは通じないぞ。」
「だから~ごめんって!!!…そんで?良い事って…なに?」
豊の黒い瞳に見つめられリィナは話すか話すまいか考えていた。…この考えになったのは豊の考えに影響されたからなのか?もしくは、自分の”意志”なのか…。意志であれば焼却されてもがき苦しむことになる。だが、豊のその真っすぐな瞳に応えなくてはならないという自分の心なんてあるはずも無いのに突き動かされてしまうのはなぜ?
そんなよく分からない感情にリィナは戸惑いつつも振り払い、豊に小声で伝える。
「…向こうも本気なんだから、本気で応えた方がいいかなと…私の情報が言っている。いいか!!?情報が!だぞ!??…これは私の知識がお前に教えてるんだ!」
「…!!!そっか。その通りだよね…。向こうも本気なんだから俺も本気で行かなくちゃ。…ありがとう。リィナ。」
必死な様子のリィナに豊はまた軽やかに笑って彼女の頭に手を乗せてゆっくりと撫でた。その手は温かい。心地の良い温かさだ。しかし動かすと豊は少し呻き声を上げて手を天井へ上げてしまう。包帯で巻いたとはいえ豆が潰れていて痛むのだろう。だが、リィナはその温かな手に惹かれ手を取ってしまう。
「…っえ?リィナ?」
「……っあ!なんでも!無い!!!」
リィナは手を素早くは離しては豊の顔を見ようともしないでいた。
「……いいな。あんな関係に、サラとあんな風に、出来たら…な。」
見まいに来た1人の女性は1人と1冊…いや、2人に見えてしまう光景に妬みと嫉みを抱いてしまった。
「なにあのキザ野郎!僕のリィナが壊れちゃいそうになっちゃうじゃん!…マジでムカつく~。」
とある異空間にて、2人の…いや、2冊の書物が話している。一方は枢要の罪の、”暴食”の罪のライグン。…そして。
「まぁ、今回は思いがけない切り札も1人見つけたから良いんじゃない?…そんなに怒んないでよ?ライ?」
浴衣を着こなして下駄を履いている青年、”憂鬱”の罪のチオロサアドは彼に微笑みつつ、映像に映っている美女…アスカを見つめるのであった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説

貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・

一級警備員の俺が異世界転生したら一流警備兵になったけど色々と勧誘されて鬱陶しい
司真 緋水銀
ファンタジー
【あらすじ】
一級の警備資格を持つ不思議系マイペース主人公、石原鳴月維(いしはらなつい)は仕事中トラックに轢かれ死亡する。
目を覚ました先は勇者と魔王の争う異世界。
『職業』の『天職』『適職』などにより『資格(センス)』や『技術(スキル)』が決まる世界。
勇者の力になるべく喚ばれた石原の職業は……【天職の警備兵】
周囲に笑いとばされ勇者達にもつま弾きにされた石原だったが…彼はあくまでマイペースに徐々に力を発揮し、周囲を驚嘆させながら自由に生き抜いていく。
--------------------------------------------------------
※基本主人公視点ですが別の人視点も入ります。
改修した改訂版でセリフや分かりにくい部分など変更しました。
小説家になろうさんで先行配信していますのでこちらも応援していただくと嬉しいですっ!
https://ncode.syosetu.com/n7300fi/
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる