11 / 49
11.使用停止。
しおりを挟む
…なんでだろう?……身体が羽のように軽い?…
そう思いながら豊はライグンの攻撃を避け続ける。先ほどとは違い身体は素早く動けるし、とてつもなく軽いのだ。なぜそうなったのかは分からないが豊は不意にライグンの背後に回り蹴りを入れてみることにした。…ライグンの背後に回れるほど豊には余裕というものが生まれていたのだ。
「!??いつの間に僕の背後に!??こいつ!???」
ライグンは振り向きざまに拳を決め込もうとするのだがそれよりも前に豊の蹴りが決まっていた。上体を倒されて前のめりになるライグンを今度は腹部に脚を入れて蹴り込む。するとあろうことか、ライグンは地面へと倒れ込んで腹部を抑え込んでいた。…その姿があまりにも滑稽で豊は無礼にも笑ってしまう。
「ふっ…はははっ!!!…さっきのお返しだよ!…おかしいよね!リィナ?」
豊はケラケラと笑いながらリィナの名前を呼んだ。…だが彼女の名前を呼んでも声は聞こえずにいる。そういえば先ほどから姿が見えないでいるのだ何があったのだろうか?不意に不安に駆られ豊が彼女の名前を呼ぼうとすれば倒れているライグンが這いずるような笑いと声をさせた。
「あははっは…!……君って本当にバカだよね~?…リィナがなんで今まで、契約しなかったのか?それさえも分からないでいるの?」
不敵な笑みを見せる彼に豊は怒りを覚える。だがそんなライグンの言葉を聞いた途端、豊の脳内でとある情景が映ったのだ。熱く、そして息も出来ぬほどの熱風のなか、さまようことも出来ず、ただひたすらに燃え上がる炎のなかで苦しんでいる少女…リィナがそこに居たのだ。
「!!??リィナっ!??…なんで?……なんでこんな…こと…に?」
苦しがっているリィナをどうにか助けなければとはなるのだが豊には分からずにいる。…そんな彼に悪魔が囁くのだ。
「…ねぇ?リィナを助けたい…よね?」
「!??お前っ!お前は!リィナを助けられるのか!??」
豊に近寄ってにっこりと笑った悪魔は慌てふためく馬鹿な人間にこのような取引を持ち掛けたのだ。
「リィナはね?君が今、使っている能力のせいで苦しんでいるんだよ。」
「…?俺が使っている、能力?」
「そう…。”反魂転生”っていう素晴らしい能力さ。」
「はんごん…てんせい?」
聞きなれない言葉に疑問に思う青年に悪魔は再び笑う。
「一度失った力を回復できる、とても素晴らしい能力さ!…それがあれば、一度死んだ物を…いや!人間だって魂を甦らせることも出来る!…でもね、欠点があるんだよ。」
「……欠点?それは…一体?」
すると悪魔は勿体ぶった表情を見せて言い放つ。
「相手を反魂させるたび、つまり回復させるたびに…リィナは燃え上がる炎の中で苦しむんだよ。ずぅっと、ずっと…。」
「そんな!??そ…んな?」
豊は驚いた。そんな理由があったからリィナは今まで契約をしてこなかったのだと。それならば頑なに相棒にならない理由も合点がいく。
明らかになった真相に青年は顔を青ざめれば、悪魔は今度は悲しい顔をしてから自身の腕を大きな鎌にして青年を驚かせた。しかし悪魔は彼を驚かせるのが目的ではない。…もっと残忍な目的の為に自身を武器化したのだ。驚く豊に悪魔は…ライグンはにっこりと笑った。
「リィナがこれ以上、苦しまないようにするにはね?…君が放棄、つまり、契約を捨てれば、それで彼女は救われる。…だから僕はその手助けをしようと思って。」
ジリジリと近づきながら舌舐めずりをする悪魔は恐怖で身動きの取れない人間を見て口元を緩ませた。…あともう一息だ。そう自分に言い聞かせて。
「君達を助ける為に、僕が君を殺してあげる。…そうすれば、いや。もしかしたら、君はまた壺中の天に帰れるかもしれないでしょ?…もちろん。リィナも傷付かないで済むし?…どう?いいと思わない?」
豊の首元に刃物が向けられる。鋭いその刃に映るのは己が恐怖で歪んだ顔と何かを覚悟したような、そんな複雑な表情を見せていた。ライグンの言葉に意を決した青年…豊はその鋭い刃を女の子1人も守れずにいる自身の懺悔のように目を閉じた。…悪魔が眼光を鋭くさせて首を跳ね除けようとした。
…だがそんな2人に間を割って入って来た人間が1人現れるのだ。…それは。
「…焚書士たるもの、せっかく契約出来たのに。…そんな枢要の罪ごときに惑わされちゃダメでしょ?志郎君?」
「…っえ?」
驚いて目を見張ればルークがライグンと豊の間に割って入り豊を助けていた。舌打ちをするライグンにルークは書物になっているレジーナに呼びかける。
「君の出番だよ!レジーナ!…俺に力を貸して!」
豊が呆然と見守れば書物になっていたレジーナは消失し、代わりにルークが普段から持ち歩いているジッポライターが輝きだした。ルークは辺りを見回して少し溜息を吐いてからとある書物を手に取って唱える。
「君にも力を借りるよ!…空間の書!」
一面が結界のように辺りがはりめぐされる光景を豊は直に感じたのであった。
そう思いながら豊はライグンの攻撃を避け続ける。先ほどとは違い身体は素早く動けるし、とてつもなく軽いのだ。なぜそうなったのかは分からないが豊は不意にライグンの背後に回り蹴りを入れてみることにした。…ライグンの背後に回れるほど豊には余裕というものが生まれていたのだ。
「!??いつの間に僕の背後に!??こいつ!???」
ライグンは振り向きざまに拳を決め込もうとするのだがそれよりも前に豊の蹴りが決まっていた。上体を倒されて前のめりになるライグンを今度は腹部に脚を入れて蹴り込む。するとあろうことか、ライグンは地面へと倒れ込んで腹部を抑え込んでいた。…その姿があまりにも滑稽で豊は無礼にも笑ってしまう。
「ふっ…はははっ!!!…さっきのお返しだよ!…おかしいよね!リィナ?」
豊はケラケラと笑いながらリィナの名前を呼んだ。…だが彼女の名前を呼んでも声は聞こえずにいる。そういえば先ほどから姿が見えないでいるのだ何があったのだろうか?不意に不安に駆られ豊が彼女の名前を呼ぼうとすれば倒れているライグンが這いずるような笑いと声をさせた。
「あははっは…!……君って本当にバカだよね~?…リィナがなんで今まで、契約しなかったのか?それさえも分からないでいるの?」
不敵な笑みを見せる彼に豊は怒りを覚える。だがそんなライグンの言葉を聞いた途端、豊の脳内でとある情景が映ったのだ。熱く、そして息も出来ぬほどの熱風のなか、さまようことも出来ず、ただひたすらに燃え上がる炎のなかで苦しんでいる少女…リィナがそこに居たのだ。
「!!??リィナっ!??…なんで?……なんでこんな…こと…に?」
苦しがっているリィナをどうにか助けなければとはなるのだが豊には分からずにいる。…そんな彼に悪魔が囁くのだ。
「…ねぇ?リィナを助けたい…よね?」
「!??お前っ!お前は!リィナを助けられるのか!??」
豊に近寄ってにっこりと笑った悪魔は慌てふためく馬鹿な人間にこのような取引を持ち掛けたのだ。
「リィナはね?君が今、使っている能力のせいで苦しんでいるんだよ。」
「…?俺が使っている、能力?」
「そう…。”反魂転生”っていう素晴らしい能力さ。」
「はんごん…てんせい?」
聞きなれない言葉に疑問に思う青年に悪魔は再び笑う。
「一度失った力を回復できる、とても素晴らしい能力さ!…それがあれば、一度死んだ物を…いや!人間だって魂を甦らせることも出来る!…でもね、欠点があるんだよ。」
「……欠点?それは…一体?」
すると悪魔は勿体ぶった表情を見せて言い放つ。
「相手を反魂させるたび、つまり回復させるたびに…リィナは燃え上がる炎の中で苦しむんだよ。ずぅっと、ずっと…。」
「そんな!??そ…んな?」
豊は驚いた。そんな理由があったからリィナは今まで契約をしてこなかったのだと。それならば頑なに相棒にならない理由も合点がいく。
明らかになった真相に青年は顔を青ざめれば、悪魔は今度は悲しい顔をしてから自身の腕を大きな鎌にして青年を驚かせた。しかし悪魔は彼を驚かせるのが目的ではない。…もっと残忍な目的の為に自身を武器化したのだ。驚く豊に悪魔は…ライグンはにっこりと笑った。
「リィナがこれ以上、苦しまないようにするにはね?…君が放棄、つまり、契約を捨てれば、それで彼女は救われる。…だから僕はその手助けをしようと思って。」
ジリジリと近づきながら舌舐めずりをする悪魔は恐怖で身動きの取れない人間を見て口元を緩ませた。…あともう一息だ。そう自分に言い聞かせて。
「君達を助ける為に、僕が君を殺してあげる。…そうすれば、いや。もしかしたら、君はまた壺中の天に帰れるかもしれないでしょ?…もちろん。リィナも傷付かないで済むし?…どう?いいと思わない?」
豊の首元に刃物が向けられる。鋭いその刃に映るのは己が恐怖で歪んだ顔と何かを覚悟したような、そんな複雑な表情を見せていた。ライグンの言葉に意を決した青年…豊はその鋭い刃を女の子1人も守れずにいる自身の懺悔のように目を閉じた。…悪魔が眼光を鋭くさせて首を跳ね除けようとした。
…だがそんな2人に間を割って入って来た人間が1人現れるのだ。…それは。
「…焚書士たるもの、せっかく契約出来たのに。…そんな枢要の罪ごときに惑わされちゃダメでしょ?志郎君?」
「…っえ?」
驚いて目を見張ればルークがライグンと豊の間に割って入り豊を助けていた。舌打ちをするライグンにルークは書物になっているレジーナに呼びかける。
「君の出番だよ!レジーナ!…俺に力を貸して!」
豊が呆然と見守れば書物になっていたレジーナは消失し、代わりにルークが普段から持ち歩いているジッポライターが輝きだした。ルークは辺りを見回して少し溜息を吐いてからとある書物を手に取って唱える。
「君にも力を借りるよ!…空間の書!」
一面が結界のように辺りがはりめぐされる光景を豊は直に感じたのであった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・

一級警備員の俺が異世界転生したら一流警備兵になったけど色々と勧誘されて鬱陶しい
司真 緋水銀
ファンタジー
【あらすじ】
一級の警備資格を持つ不思議系マイペース主人公、石原鳴月維(いしはらなつい)は仕事中トラックに轢かれ死亡する。
目を覚ました先は勇者と魔王の争う異世界。
『職業』の『天職』『適職』などにより『資格(センス)』や『技術(スキル)』が決まる世界。
勇者の力になるべく喚ばれた石原の職業は……【天職の警備兵】
周囲に笑いとばされ勇者達にもつま弾きにされた石原だったが…彼はあくまでマイペースに徐々に力を発揮し、周囲を驚嘆させながら自由に生き抜いていく。
--------------------------------------------------------
※基本主人公視点ですが別の人視点も入ります。
改修した改訂版でセリフや分かりにくい部分など変更しました。
小説家になろうさんで先行配信していますのでこちらも応援していただくと嬉しいですっ!
https://ncode.syosetu.com/n7300fi/
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。


【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

学校転移﹣ひとりぼっちの挑戦者﹣
空碧
ファンタジー
〔あらすじ〕
遊戯の神【ロキ】の気まぐれにより学校ごと異世界ノーストラムに転移させられてしまった。
ロキの願いは一つ、無作為に選ばれた人間が、戦闘技術も、何も知識もない場所でどう生き抜くかを鑑賞すること。
この作品の主人公であるはユニークスキルの【ナビゲート】と共に、巻き込まれたこの世界で生き抜くべく、環境に慣れつつも帰還の手掛かりを探していく。
〔紹介〕
主人公:相川 想良
作品:学校転移﹣ひとりぼっちの挑戦者﹣
作者:空碧
この度、初の作品となりますが、以前より個人で小説を書いてみたいと思い、今回の作品を書かせていただいております。
基本的に、9:00、21:00の毎日投稿となっております。
ご意見、ご感想、アドバイス等是非お待ちしておりますm(*_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる