8 / 49
8.この人は違う。
しおりを挟む
サラの姿に豊は驚いて目を見張ってしまった。…なんとそこには巨大な銃がアスカの手元に装着されていたのだから。
「な…!なんですか?…それ?」
豊が驚きのあまり指を差してアスカに問い掛けるのだが、その前に鉄人形の1体がアスカに襲い掛かった。身体を逸らしてガトリング銃を向けて連射させれば鉄人形もろとも吹っ飛んで再起不動させてしまったのだ。呆気に取られてしまう豊とリィナにアスカは右手に装備されたサラを撫でてから言い放つ。
「サラの特性はその所有者の特技を暴露して生かす能力なの。…私はこれでも発明するのが好きだったから、特に機械類を弄るのが好きで。…まぁ、両親がそういうのには関わらせないような生き方をされたけれど…それでも内緒で本を読んでは嘘を吐いて実際に発明しては遊んでて。私は発明するのが好きだったから…それがサラの能力に繋がったみたい。」
「そうなんですか!それは凄いですね!!!…ちゃんと生かされてるんだ~!凄い!」
驚きと感嘆で拍手を送る豊と彼の真似をして拍手を送るリィナにアスカは少し恥ずかしそうにしながらも一言呟いた。
「…私である証明をしてくれたのもサラのおかげなんですけどね。」
「???アスカさん?」
頬を染めて言い放つアスカに豊が疑問を投げかければ彼女は我に返ってサラを人間の姿に戻した。そして礼を言ってから言葉を紡ぎ出そうとするアスカにサラはわざと頭を掻いてはけだるげな表情をするのだ。
「ふわぁ~あ。…まあこれもアスカ様のおかげだな。…俺はあんたに力は貸してやってるけど、ただの道具だし?」
「!!!そんな!?いつも言ってるけど、これはあなたが!…サラのおかげで」
「そんなことはねぇよ。…俺みたいな道具は替えが沢山ある。」
「…そんな。」
悲しげな顔をするアスカに豊はどうしてサラが酷いことを、彼女を傷つけるような言葉を並べて言うのかを問いただそうとするのだが、察したのか。彼は彼女を置いて空間の書から出てってしまった。
「待てよ!サラ!!!」
アスカの傷付いている姿を見て黙って見ることが出来ずにいた豊も空間の書から離れ、そしてリィナも彼に続いて出て行くのであった。
「…私は、私は。サラのことを…。」
1人残されたアスカは座り込んで涙を流すことしか出来ずにいたのであった。
1人淡々と歩いていくサラに豊は彼の肩を掴んで振り向かせた。
「おい!!お前!なんでアスカさんに酷いこと言ったんだよ!…相棒なんだろ?」
「…なんだ。お前か。…別に、礼はしたじゃねぇか。もっと人間様に媚びろってか?」
冷たく笑うサラに豊は訂正を込めた言い方で返す。
「違うよ!…お前も見ただろ?アスカさんがお前のこと頼りにしてくれてるって!お前の…サラのおかげで自分を偽ることを辞めたって!お前だってそのことを分かってて…」
「…人間に情を抱かせる道具は、書物は無いだろ?」
「えっ?」
突然のサラの問い掛けに豊が首を傾げればサラは何かを悟ったような表情を見せた。
「俺は書物で道具だ。道具だからこそ情を抱かされても応えることは出来ない。…それは違反になってしまうから…な。」
「???どういう意味で?」
何を言ってるのかが分かっていない豊に溜息を吐いてからサラはリィナと向き合った。
「そんなことよりもリィナ。お前、このキザ野郎と早く契約しないとまた牢屋行だぞ?…もしかしたら、焼かれるかもしれない。」
「……分かってる。そんなの。」
視線を逸らすリィナにサラは再び欠伸をしてから2人に向けて言い去るのだ。
「だったらそのキザ野郎と契約してろ。まっ。俺には関係ねぇけどな。…じゃあお先に~。」
「キザ野郎って…ってお前どこに行って」
「お前には関係ねぇだろ?…じゃあな。キザ男。」
そのままどこかに行ってしまうサラに豊とリィナは首を傾げていた。サラの言っている意味もよく分からない。まるで自分に、いや、アスカにわざと嫌われるような行動をとっているような。…サラがまるで好意を抱かれていると分かっているものの自分の事を好きにならないで欲しいと言っているような感覚に豊は陥るのだ。
「サラも相変わらずね~。本当はアスカがサラのことを道具じゃなくて人として見られてるって分かってるのに。」
「!!?レジーナ!??なんでここに?」
突如として現れたレジーナに驚く豊とリィナではあるが彼女はにっこりと微笑んでから彼らに言い放つ。
「2人がいつ契約をするのかを査定しに来てたの。ちょうど会ったからこっちも驚いたけどね~。」
「いや…こっちもだが。」
呆れている様子のリィナにレジーナは彼女の肩に両手を添えた。
「いいリィナ?サラみたいにあんなにそっけない態度は取らなくても相棒とはちょうどいい距離で接するのよ?…情なんか持たれたら違反なんだから。」
「違反?それってどういうこと?」
レジーナの言葉に豊が問い掛ければ彼女は深く溜息を吐いてから答えた。
「私たちはあくまでも道具なのよ?情なんか持たれたら意志があるって思われて焼かれるのよ。…そういう書物は私は何度もあるわ。」
「なんで?なんでそんな酷いことを…?」
するとレジーナは冷たく言い放った。
「書物に意志があると思うのはおかしいからよ。それだけのことよ。」
冷酷な言葉でリィナは少し悲しげな瞳を持つのだが反撃する人間がここに居た。
「そんなの…おかしいよ!書物にだって人間と同じ感情があったって!別に悪いことではないよ!…そんなの、その考えの方がおかしいよ!」
「…志郎。」
豊の言葉にリィナは1人、自身のあるはずの無い心が灯されたような心地になるのであった。
「な…!なんですか?…それ?」
豊が驚きのあまり指を差してアスカに問い掛けるのだが、その前に鉄人形の1体がアスカに襲い掛かった。身体を逸らしてガトリング銃を向けて連射させれば鉄人形もろとも吹っ飛んで再起不動させてしまったのだ。呆気に取られてしまう豊とリィナにアスカは右手に装備されたサラを撫でてから言い放つ。
「サラの特性はその所有者の特技を暴露して生かす能力なの。…私はこれでも発明するのが好きだったから、特に機械類を弄るのが好きで。…まぁ、両親がそういうのには関わらせないような生き方をされたけれど…それでも内緒で本を読んでは嘘を吐いて実際に発明しては遊んでて。私は発明するのが好きだったから…それがサラの能力に繋がったみたい。」
「そうなんですか!それは凄いですね!!!…ちゃんと生かされてるんだ~!凄い!」
驚きと感嘆で拍手を送る豊と彼の真似をして拍手を送るリィナにアスカは少し恥ずかしそうにしながらも一言呟いた。
「…私である証明をしてくれたのもサラのおかげなんですけどね。」
「???アスカさん?」
頬を染めて言い放つアスカに豊が疑問を投げかければ彼女は我に返ってサラを人間の姿に戻した。そして礼を言ってから言葉を紡ぎ出そうとするアスカにサラはわざと頭を掻いてはけだるげな表情をするのだ。
「ふわぁ~あ。…まあこれもアスカ様のおかげだな。…俺はあんたに力は貸してやってるけど、ただの道具だし?」
「!!!そんな!?いつも言ってるけど、これはあなたが!…サラのおかげで」
「そんなことはねぇよ。…俺みたいな道具は替えが沢山ある。」
「…そんな。」
悲しげな顔をするアスカに豊はどうしてサラが酷いことを、彼女を傷つけるような言葉を並べて言うのかを問いただそうとするのだが、察したのか。彼は彼女を置いて空間の書から出てってしまった。
「待てよ!サラ!!!」
アスカの傷付いている姿を見て黙って見ることが出来ずにいた豊も空間の書から離れ、そしてリィナも彼に続いて出て行くのであった。
「…私は、私は。サラのことを…。」
1人残されたアスカは座り込んで涙を流すことしか出来ずにいたのであった。
1人淡々と歩いていくサラに豊は彼の肩を掴んで振り向かせた。
「おい!!お前!なんでアスカさんに酷いこと言ったんだよ!…相棒なんだろ?」
「…なんだ。お前か。…別に、礼はしたじゃねぇか。もっと人間様に媚びろってか?」
冷たく笑うサラに豊は訂正を込めた言い方で返す。
「違うよ!…お前も見ただろ?アスカさんがお前のこと頼りにしてくれてるって!お前の…サラのおかげで自分を偽ることを辞めたって!お前だってそのことを分かってて…」
「…人間に情を抱かせる道具は、書物は無いだろ?」
「えっ?」
突然のサラの問い掛けに豊が首を傾げればサラは何かを悟ったような表情を見せた。
「俺は書物で道具だ。道具だからこそ情を抱かされても応えることは出来ない。…それは違反になってしまうから…な。」
「???どういう意味で?」
何を言ってるのかが分かっていない豊に溜息を吐いてからサラはリィナと向き合った。
「そんなことよりもリィナ。お前、このキザ野郎と早く契約しないとまた牢屋行だぞ?…もしかしたら、焼かれるかもしれない。」
「……分かってる。そんなの。」
視線を逸らすリィナにサラは再び欠伸をしてから2人に向けて言い去るのだ。
「だったらそのキザ野郎と契約してろ。まっ。俺には関係ねぇけどな。…じゃあお先に~。」
「キザ野郎って…ってお前どこに行って」
「お前には関係ねぇだろ?…じゃあな。キザ男。」
そのままどこかに行ってしまうサラに豊とリィナは首を傾げていた。サラの言っている意味もよく分からない。まるで自分に、いや、アスカにわざと嫌われるような行動をとっているような。…サラがまるで好意を抱かれていると分かっているものの自分の事を好きにならないで欲しいと言っているような感覚に豊は陥るのだ。
「サラも相変わらずね~。本当はアスカがサラのことを道具じゃなくて人として見られてるって分かってるのに。」
「!!?レジーナ!??なんでここに?」
突如として現れたレジーナに驚く豊とリィナではあるが彼女はにっこりと微笑んでから彼らに言い放つ。
「2人がいつ契約をするのかを査定しに来てたの。ちょうど会ったからこっちも驚いたけどね~。」
「いや…こっちもだが。」
呆れている様子のリィナにレジーナは彼女の肩に両手を添えた。
「いいリィナ?サラみたいにあんなにそっけない態度は取らなくても相棒とはちょうどいい距離で接するのよ?…情なんか持たれたら違反なんだから。」
「違反?それってどういうこと?」
レジーナの言葉に豊が問い掛ければ彼女は深く溜息を吐いてから答えた。
「私たちはあくまでも道具なのよ?情なんか持たれたら意志があるって思われて焼かれるのよ。…そういう書物は私は何度もあるわ。」
「なんで?なんでそんな酷いことを…?」
するとレジーナは冷たく言い放った。
「書物に意志があると思うのはおかしいからよ。それだけのことよ。」
冷酷な言葉でリィナは少し悲しげな瞳を持つのだが反撃する人間がここに居た。
「そんなの…おかしいよ!書物にだって人間と同じ感情があったって!別に悪いことではないよ!…そんなの、その考えの方がおかしいよ!」
「…志郎。」
豊の言葉にリィナは1人、自身のあるはずの無い心が灯されたような心地になるのであった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
【R18】異世界なら彼女の母親とラブラブでもいいよね!
SoftCareer
ファンタジー
幼なじみの彼女の母親と二人っきりで、期せずして異世界に飛ばされてしまった主人公が、
帰還の方法を模索しながら、その母親や異世界の人達との絆を深めていくというストーリーです。
性的描写のガイドラインに抵触してカクヨムから、R-18のミッドナイトノベルズに引っ越して、
お陰様で好評をいただきましたので、こちらにもお世話になれればとやって参りました。
(こちらとミッドナイトノベルズでの同時掲載です)
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる