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*《欲しい》
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池田が居た。りん兄さんが居た――
鏡梨は父親の鏡史へなにも言わずに部屋へ駆け込んだ。動悸がする。眩暈も息切れもした。池田には小さな頃から離れられるまで散々させられた。
自分にお人形さんごっこと呼ばせて遊ばされたこと。
着替えさせられて触れられたこと。
触れられて男に発情を抱くような身体になったこと。
――自分が異端である存在へと確執させたこと。
自分の感性を歪められた存在が目の前に居た。それだけで吐き出しそうになってしまう。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
滑り込むようにベッドへと入り込みうずくまる。怖かった。怖くて堪らなかった。
自分が異常な存在であることを作り上げた男にまた会ってしまったのだ。
触れてはならぬ、触れても近づくのも恐れた男に――また出会ってしまったのだ。
これからどうなってしまったのと思うと恐怖でしかない。
「またあの男に……俺は、また、あいつの着せ替え人形に……なるのか」
そう思うたびに心が咽いで激痛が走るのだ。
もうあの男に利用などされたくない……身体に布団を埋めて肩で呼吸したのだ。
――ガチャリと音がした。
「鏡梨……。平気か?」
「双葉、か……?」
声を震わせて振り向けば、肩にタオルを下げた双葉が顔を覗き込む。
心配げな顔をしたその顔は鏡梨を安心させるようになっていた。――涙が零れては落ちる。双葉が強く抱擁した。
これで何度目の熱い抱擁なのだろうか。
「こわい……怖いよ……ふたば……。――あいつが、こわ、い……」
「どうした、急に? なにがあって――」
鏡梨は双葉に抱き締め返しキスをした。……美しい青年の濡れた涙に双葉は酔う。
「よしよし。怖い……か。――だったら、お前を溺れさせてやるよ。忘れさせるぐらい」
触れるだけのキスから口を開けさせて舌をねじ込んだ。執拗で淫らで、淫靡なキスに酔いすべてを忘れるほどのキスを捧げる。
「んぅ……んぅ……ふぅ……んぅ――んぅ……」
「キスだけじゃ物足りねぇか?」
「う……ん」
「じゃあお前を奪ってもいいか? 身も心も。――なにもかも」
ベッドに上がり込みシャツをたくし上げ平たい胸にキスをした。淡いつぼみにもキスをすれば魚のように身体が跳ねて身体を震わせた。
「うひ……うぅ……」
「ははっ。可愛い奴だな、お前は……さ」
べろりと舌で愛撫をされて下へと急かされてズボンを引き剥がされる。顔を紅潮させて「なにすんだよ……」などと言えば、双葉がニヒルに微笑んで股を広げたのだ。
下着から蜜が溢れ出し濡れている鏡梨自身を食んだ。ヒクつかせる鏡梨に双葉は下着を剥ぎ取って――直接食んで見せれば、みるみるうちに顔が憂いで真っ赤になる。
「ふた……ば……、もう……うしろ、ほぐ、して……」
「ははっ。――強欲な奴になって、嬉しいぜ?」
背を向かされて「ハンドクリームとかないか?」そう尋ねられると、机の引き出しにあると告げれば双葉はガサゴソと探して取り出した。
「よし。――いいぜ、指挿れるから、な」
臀部を曝け出されて蕾にハンドクリームを塗りたくられて指を侵入させられる。
「あっふ……んぅ……んひぃ――」
「こら、声抑えてろ。マスターにバレる」
「う……うん」
手で唇を抑えて声を出さぬようにする鏡梨の可愛らしさに胸を弾ませつつも、双葉は指を掻き回した。
グチグチと掻き混ぜて指を侵入させ、鏡梨を甘美に乱れさせる。
「あふ……んぅ……んぅ……、ふた、ば……挿れて。俺を、壊して」
「壊す? お前を、か?」
鏡梨は泣き出しながら頷いた。「俺は異端だから。変態だから……」そう言って仰向けになってキスを強請る。
双葉は呆気に取られて目を丸くした。鏡梨の必死な顔つきはあまりにも悲嘆だが――美しかった。
「そうか。――俺を受け入れて、溺れさせてやるよ」
双葉がいやらしげに微笑んだ。熱く太い怒張が垣間見えた。顔を赤面する前に……充てがわれて同時に奪うようなキスをする。
獣に溺れた美青年は何度も達した。息をするのも忘れてキスをし、異端な自分を受け入れて欲しいと願う。
獣は――双葉は応えた。異常であると罵っている美青年を、憂いを重ねた彼をどうにかして助けたかったのだ。
溺れるようなセックスをしてから鏡梨は昏々と眠り、気が付けば閉店時間へとなっていた。隣には双葉が見下ろすように起きており、にっこりと微笑んでは「風呂入りに行こうぜ」なんて軽やかに連れ出されるのだ。
父親の鏡史には双葉が要件を伝えていたらしく「マスターが風呂場掃除して置いといてって言ってたぜ」なんて言いながら露天風呂に入っている。
青く澄んだ色の風呂は月明かりに照らされて海のように奇麗であった。
「なぁ鏡梨。――マスターに話さないか。お前のことをさ」
鏡梨は鼻で笑う。言えるのなら苦労などしない。
「……ヒップホップなんてアウトローな世界に入り浸っていたなんて知られたら、父さんは悲しむよ」
「悲しまないさ。ただ、考えるだろうな。――でも」
ザブンと音がして双葉が鏡梨を抱き寄せた。幾度も熱い抱擁をするのだからどうしてこの男はハグをするのが好きなのだろうかと、うんざりを通り越して惚れてしまうなんて……言えない。
「マスターはお前のご両親で心配しているんだ。言わないよりかは良いだろう?」
「それは……」
「俺と一緒にプロの世界に来てくれるんだろう?」
ニヒルで悪戯な笑みに鏡梨は嘘が吐けなくなった。
その大胆な容姿と性格に惚れてしまった。それでも異端な自分を見てくれて、安心させてくれる獣を欲してしまうのだ。
――お前が欲しい。双葉が欲しい。
鏡梨は不敵な笑みを零し「わかったよ」そう伝えて背中に腕を回すのだ。
二人は深い海の中で熱い抱擁をしたのだ。
鏡梨は父親の鏡史へなにも言わずに部屋へ駆け込んだ。動悸がする。眩暈も息切れもした。池田には小さな頃から離れられるまで散々させられた。
自分にお人形さんごっこと呼ばせて遊ばされたこと。
着替えさせられて触れられたこと。
触れられて男に発情を抱くような身体になったこと。
――自分が異端である存在へと確執させたこと。
自分の感性を歪められた存在が目の前に居た。それだけで吐き出しそうになってしまう。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
滑り込むようにベッドへと入り込みうずくまる。怖かった。怖くて堪らなかった。
自分が異常な存在であることを作り上げた男にまた会ってしまったのだ。
触れてはならぬ、触れても近づくのも恐れた男に――また出会ってしまったのだ。
これからどうなってしまったのと思うと恐怖でしかない。
「またあの男に……俺は、また、あいつの着せ替え人形に……なるのか」
そう思うたびに心が咽いで激痛が走るのだ。
もうあの男に利用などされたくない……身体に布団を埋めて肩で呼吸したのだ。
――ガチャリと音がした。
「鏡梨……。平気か?」
「双葉、か……?」
声を震わせて振り向けば、肩にタオルを下げた双葉が顔を覗き込む。
心配げな顔をしたその顔は鏡梨を安心させるようになっていた。――涙が零れては落ちる。双葉が強く抱擁した。
これで何度目の熱い抱擁なのだろうか。
「こわい……怖いよ……ふたば……。――あいつが、こわ、い……」
「どうした、急に? なにがあって――」
鏡梨は双葉に抱き締め返しキスをした。……美しい青年の濡れた涙に双葉は酔う。
「よしよし。怖い……か。――だったら、お前を溺れさせてやるよ。忘れさせるぐらい」
触れるだけのキスから口を開けさせて舌をねじ込んだ。執拗で淫らで、淫靡なキスに酔いすべてを忘れるほどのキスを捧げる。
「んぅ……んぅ……ふぅ……んぅ――んぅ……」
「キスだけじゃ物足りねぇか?」
「う……ん」
「じゃあお前を奪ってもいいか? 身も心も。――なにもかも」
ベッドに上がり込みシャツをたくし上げ平たい胸にキスをした。淡いつぼみにもキスをすれば魚のように身体が跳ねて身体を震わせた。
「うひ……うぅ……」
「ははっ。可愛い奴だな、お前は……さ」
べろりと舌で愛撫をされて下へと急かされてズボンを引き剥がされる。顔を紅潮させて「なにすんだよ……」などと言えば、双葉がニヒルに微笑んで股を広げたのだ。
下着から蜜が溢れ出し濡れている鏡梨自身を食んだ。ヒクつかせる鏡梨に双葉は下着を剥ぎ取って――直接食んで見せれば、みるみるうちに顔が憂いで真っ赤になる。
「ふた……ば……、もう……うしろ、ほぐ、して……」
「ははっ。――強欲な奴になって、嬉しいぜ?」
背を向かされて「ハンドクリームとかないか?」そう尋ねられると、机の引き出しにあると告げれば双葉はガサゴソと探して取り出した。
「よし。――いいぜ、指挿れるから、な」
臀部を曝け出されて蕾にハンドクリームを塗りたくられて指を侵入させられる。
「あっふ……んぅ……んひぃ――」
「こら、声抑えてろ。マスターにバレる」
「う……うん」
手で唇を抑えて声を出さぬようにする鏡梨の可愛らしさに胸を弾ませつつも、双葉は指を掻き回した。
グチグチと掻き混ぜて指を侵入させ、鏡梨を甘美に乱れさせる。
「あふ……んぅ……んぅ……、ふた、ば……挿れて。俺を、壊して」
「壊す? お前を、か?」
鏡梨は泣き出しながら頷いた。「俺は異端だから。変態だから……」そう言って仰向けになってキスを強請る。
双葉は呆気に取られて目を丸くした。鏡梨の必死な顔つきはあまりにも悲嘆だが――美しかった。
「そうか。――俺を受け入れて、溺れさせてやるよ」
双葉がいやらしげに微笑んだ。熱く太い怒張が垣間見えた。顔を赤面する前に……充てがわれて同時に奪うようなキスをする。
獣に溺れた美青年は何度も達した。息をするのも忘れてキスをし、異端な自分を受け入れて欲しいと願う。
獣は――双葉は応えた。異常であると罵っている美青年を、憂いを重ねた彼をどうにかして助けたかったのだ。
溺れるようなセックスをしてから鏡梨は昏々と眠り、気が付けば閉店時間へとなっていた。隣には双葉が見下ろすように起きており、にっこりと微笑んでは「風呂入りに行こうぜ」なんて軽やかに連れ出されるのだ。
父親の鏡史には双葉が要件を伝えていたらしく「マスターが風呂場掃除して置いといてって言ってたぜ」なんて言いながら露天風呂に入っている。
青く澄んだ色の風呂は月明かりに照らされて海のように奇麗であった。
「なぁ鏡梨。――マスターに話さないか。お前のことをさ」
鏡梨は鼻で笑う。言えるのなら苦労などしない。
「……ヒップホップなんてアウトローな世界に入り浸っていたなんて知られたら、父さんは悲しむよ」
「悲しまないさ。ただ、考えるだろうな。――でも」
ザブンと音がして双葉が鏡梨を抱き寄せた。幾度も熱い抱擁をするのだからどうしてこの男はハグをするのが好きなのだろうかと、うんざりを通り越して惚れてしまうなんて……言えない。
「マスターはお前のご両親で心配しているんだ。言わないよりかは良いだろう?」
「それは……」
「俺と一緒にプロの世界に来てくれるんだろう?」
ニヒルで悪戯な笑みに鏡梨は嘘が吐けなくなった。
その大胆な容姿と性格に惚れてしまった。それでも異端な自分を見てくれて、安心させてくれる獣を欲してしまうのだ。
――お前が欲しい。双葉が欲しい。
鏡梨は不敵な笑みを零し「わかったよ」そう伝えて背中に腕を回すのだ。
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