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《赤髪の免罪》
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ヨルは現在、とんでもないほど緊張をしている。――なぜならば、今からシギュンの友人と会うからだ。
しかも会う友人はアメリカ国籍と言うではないか。明らかに握手を求めるに違いない。もしかしたらハグだってされるかもしれない。
(シギュンは大丈夫だって言うけれど……、俺は親父の炎が、業が晴れていないかもしれないし……)
……やっぱり、帰ろうかな。
だが人目を避けて帰ろうかと思った時にはすでに遅かった。シギュンが色白な男性と色黒な女性を連れて現れたのだから。
……やばい!
時すでに遅し。しかしシギュンは微笑みながら英語で二人に話していく。だがヨルも英語は履修済みなので二人がなにを言っているのかは大体わかるようだ。
「へぇ~、この子がシギュンの彼女さんか~!」
「結構可愛い顔しているよね~。シギュンやるじゃん」
(彼女って……?)
シギュンをふと見るとなぜか知らん顔をされてしまいヨルは不思議に思う。別に傍から見れば、自分の方が女っぽいのは自覚しているからだ。……とてつもなく虚しいが。
すると自分よりも高いそばかすを散らせた金髪の男が手を差しだした。
「ハジメマシテ、僕、レイフロ・アティクリーとイイマス。レイフロでいいよ。――よろしく」
やはり握手を求められた。ここはこのレイフロという人間のために名前を告げるだけかどうかさえ迷った。しかしシギュンに、「ヨル、手をとって?」嬉々として伝える彼に……ヨルは躊躇いながら手を差し伸ばしたのだ。
「ヨロシク、ヨル。コレカラモ……って、ヨル?」
「……」
自身の災厄は、業は現れなかった。こうして人と触れ合えることができた。
――それだけで、涙を零しそうになるがぐっと堪えて、ヨルは不器用に笑うのだ。
「よろしく、レイフロ」
赤い髪の青年の晴れやかな笑みに、シギュンを含めた三人は見惚れてしまうほどであった。
~Fin~
しかも会う友人はアメリカ国籍と言うではないか。明らかに握手を求めるに違いない。もしかしたらハグだってされるかもしれない。
(シギュンは大丈夫だって言うけれど……、俺は親父の炎が、業が晴れていないかもしれないし……)
……やっぱり、帰ろうかな。
だが人目を避けて帰ろうかと思った時にはすでに遅かった。シギュンが色白な男性と色黒な女性を連れて現れたのだから。
……やばい!
時すでに遅し。しかしシギュンは微笑みながら英語で二人に話していく。だがヨルも英語は履修済みなので二人がなにを言っているのかは大体わかるようだ。
「へぇ~、この子がシギュンの彼女さんか~!」
「結構可愛い顔しているよね~。シギュンやるじゃん」
(彼女って……?)
シギュンをふと見るとなぜか知らん顔をされてしまいヨルは不思議に思う。別に傍から見れば、自分の方が女っぽいのは自覚しているからだ。……とてつもなく虚しいが。
すると自分よりも高いそばかすを散らせた金髪の男が手を差しだした。
「ハジメマシテ、僕、レイフロ・アティクリーとイイマス。レイフロでいいよ。――よろしく」
やはり握手を求められた。ここはこのレイフロという人間のために名前を告げるだけかどうかさえ迷った。しかしシギュンに、「ヨル、手をとって?」嬉々として伝える彼に……ヨルは躊躇いながら手を差し伸ばしたのだ。
「ヨロシク、ヨル。コレカラモ……って、ヨル?」
「……」
自身の災厄は、業は現れなかった。こうして人と触れ合えることができた。
――それだけで、涙を零しそうになるがぐっと堪えて、ヨルは不器用に笑うのだ。
「よろしく、レイフロ」
赤い髪の青年の晴れやかな笑みに、シギュンを含めた三人は見惚れてしまうほどであった。
~Fin~
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