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《罪人の炎》

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 ニタニタとあくどい笑みを見せた三人にシギュンは鋭い視線を向けた。……彼らは昨日、シギュンが情事の相手をさせられた人間たちだ。
 シギュンを一瞥してからヨルに視線を向ける。細身で小柄の鮮やかな赤い髪をしたヨルに、男たちは興味ありげな顔をした。
「ひゅ~! この子も結構いいじゃん~。変わった子だね~」
「あぁ、こんな筋肉ムキムキな奴より良さそうだな! セックスの相手に困ることはないんじゃねぇの?」
 二人が下品な笑い方をしていると一人がヨルに触れようとしてきたので、シギュンが払いのけた。……この行為には男もさすがに腹が立ったようで。
「おい、シスター? 俺らはお前らの国に大金を貢いでここまで来たんだぜ? 叩くのはないんじゃねぇの?」
 ぐぅの音が出ない。その通りだ。実はこの男たちはこのサンクチュアリに献金をしてくれたので、仕方なく引き受けたのだ。ほかのシスターが男たちの無様な様相と酷すぎる情事に傷ついている姿を見て、シギュンが申し出てまとめて相手をした……ということになったのだ。
「それは……そうですが」
「だったらさ――」
 男は座っているシギュンを立ち上がらせ、どこかに連れ去ろうとする。シギュンは悪寒がした。この男に見せしめでヤられると直感したからだ。
 声を上げれば愛し合っている皆は逃げ惑うだろう。それはそれで嫌だった。
(私が我慢をすればいい話。……だったら受け入れなければ)
 茂みを指され頷こうとした……その時であった。
「おい、待て」
 ヨルの低い声が響いた。すると男は舌打ちを売ってはシギュンをぞんざいに扱って捨てるように離し、ヨルの元へ行く。
 ヨルはエメラルドグリーンをした猫のような瞳をしてから、わざと鼻で笑うしぐさをした。容量の小さい頭の男はカチンとして、ヨルの首を掴み上げた。
「ヨル!!!」
 シギュンが駆け寄ろうとすると「来るな!」とヨルが叫んだ。男は馬鹿にされているのだと思ってきつくヨルの首を締め上げる。
「てめぇ……、俺を馬鹿にしているな!」
「あぁ、馬鹿にしているよ。これからのことを馬鹿にしても無駄だけどね」
「……はぁ? なに言って――」
 すると男は掴み上げている手元から流れ込むように炎を吐き出されたのだ。灼熱の炎に男は驚愕をして滑稽な踊りを見せる。だが火の勢いは止まらない。
 ぼぅぼぅと炎は男の全身を纏って、男が噴水に駆け込もうとするには時すでに遅し。――男は火だるまになって、その場に倒れ込んだ。
 辺りが静寂と化し、シギュンたちも目を見開いている。だが一人の女性が「きゃぁーーー!!!」と叫んだ途端に、広場の全員が逃げ惑った。
 男二人は焼身した仲間を見て怖さのあまり小便をチビって逃げてしまう。しかしシギュンはなにがなんだが分からない様子で、ヨルを見つめる。
 花々が咲き誇り、草木も生い茂るなかで起きた焼身殺人の犯人は……目の前に居る、赤髪の美青年であったのだ。
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