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第七章
□警護を学ぶ
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「――であるから、要人の警護で必要なのは、相互の信頼関係である。もし信頼関係が無かった場合、どういったことが考えられるか、答えてみろ騎士バルザクト」
迷宮暴走の時に、共に王妃殿下達を護衛していた第一騎士団の壮年の騎士ドルトス・クレールから、一対一で講義を受けていた。
「例えば、隠れていていただきたいときに、勝手に移動されてしまうとか、でしょうか」
「そうだな。信頼関係がなければ、こちらの指示が軽んじられてしまう。それはとても危険なことだ、要人にとってもこちらにとっても」
第一騎士団の主な仕事は、王族の警護なので。市中警備を主としていた第五騎士団とは全然性質が違っているわけで。こうして基礎的なことを教授いただいていて、及第点が取れるまでは現場の仕事は出来ないと言われている。
「あと半月後にある、新年の祝賀行事までには、ある程度の実績も積みたいから、がっつり詰め込んでいくぞ」
一番最初に騎士ドルトスにそう言われた。
祝賀行事の式典で、王妃殿下の護衛につくことで、国内に『女性騎士』の存在を知らせるということだ。能力ある女性が、騎士を目指す切っ掛けにしてほしいとの思惑がある。
「すぐに女性だけの騎士団を創設することはできないだろう、だが君がいることで、可能性がゼロではなくなった。これは凄いことだ」
ジェンド団長が感慨深げにそう言っていた。
今まで、女性の騎士という考えは最初から無かった、存在すらしなかったものが生まれたのだ。それを育てるのは、生半可なことではないだろうが、共に頑張ろうと言っていただいた。
不安は、ある。
私ひとり、騎士であって本当に後に続いてくれる人がいるだろうか。尻すぼみのまま終わってしまうのではないか、そうなったときジェンド団長や、計画した王太子殿下の顔に泥を塗ってしまうのではないか。そういった思いは、いつも胸の深くに渦巻いている。
だが、それでもやるしかないのだ。行動する以外に、私のできることはない。
悩んで、不安になって、逃げ出したくなったとて、それらはなにひとつ有用なことではない。まずは行動する、それだけがたった一つ重要なことだ。
いままでだってそうしてきた、そうしてきたからこそ、こうして今の私が在る。
だから、練習用の剣を携え、第一騎士団の使う訓練場に堂々と入っていく、眉を顰める者、あからさまに視線を逸らして私を居ない者とする者、そんなのは気にすることではない。
「騎士ドルトスの座学は終わったのか?」
「はい今日の分は。宿題をたくさんいただいてまいりました」
気さくに声を掛けてくれたのは、騎士ピルケス・オルドーだった。豊穣の巫女の禊ぎの日に、令嬢を部屋に連れて来た彼だったが、あの日の傍若無人さはなくなっている。
ジェンド団長が、訓練を見直し根性をたたき直したと言っていたが。こんなに早くどうにかなるものなのだろうか。
それとも……よほど訓練が、苛烈だったのだろうか。
「どうだ、私と手合わせをしないか」
「ありがとうございます! お願いいたしますっ」
早々に訓練相手が見つかってよかった、当分はひとりで自主訓練に励まなくてはならないだろうと思っていたから。
剣を合わせれば、向こうも変な手加減をせずに打ち込んでくれる。それがとても嬉しい。
やや暫く、ふたりで剣を合わせることに熱中していたが、唐突に横から殺気を感じて飛び退き、身を低くして剣を構えた。
「やあやあ、二人共随分夢中になっていたようだな」
「ジェンド団長っ」
私と同じように、離脱して身構えた騎士ピルケスは、殺気を消したジェンド団長に嬉しそうに近づいていった。殺気ではなく声を掛けてくださればいいのに、と思いながら私も彼に続く。
「声を掛けても気付かぬ程の集中は感心するが、実戦の場合はそうも言って居られぬ。周囲の状況を把握した上で戦闘するようにしたほうがいいな」
「はいっ」
二人揃って返事をし、ジェンド団長が満足そうに頷く。まだまだ未熟な自分に恥じ入りたくなるが、団長からの指導いただいたように戦えるよう訓練せねば。
「バルザクトにこれをやろう」
「ありがとう、ございま……」
表紙の文字を見て、嫌な汗が背中を伝う。本の装丁でわかったのか、ピルケスも気の毒そうな視線を送ってくる。
「貴族名鑑の最新版だ。第一騎士団の最初の関門と言っていいだろう、これを暗記してこい。まずは現当主と奥方まででいい。追々、すべて覚えてもらうからな」
「はい」
訓練もそこそこに、自室に戻り本を捲る。本を暗記したら、次は顔と一致させなくてはいけない。
昔は私も嗜みとして多少覚えてはいたが、第五騎士団にいる間にすっかりと忘れていた。それに代替わりしている家も多く見受けられる。
その上、騎士ドルトスからの宿題も、これとは別にある。
「頭が破裂しそうだな……」
弱音を吐いたところで、実際に頭は破裂しないし、これをこなさないという選択肢もないのだからと、紙を取り出しペンを握った。
◇◆◇
なんとか、騎士ドルトスから及第点をもらい、護衛としての実地訓練として、王妃殿下と王太子妃殿下のお茶会の場に居る。
王宮の中ではちいさなサロンだが、午後の爽やかな日の光が多く入り、温かく心地よい部屋だ。
大きな窓から庭園に出られるようになっているが、今日は晴れているわりに風の強い日なので窓はぴったりと閉められている。
ドアの前に二人、窓際に二人護衛が付く。そのうちの一人が私だ、ドアの側に立ち、外のようすに耳をそばだて、周囲に気を配る。
姿勢は崩さず、要人の会話の内容に聞き耳を立てるようなまねをしてもいけない。
教えられたことを必死でこなす。きっと緊張しきっていた顔だったのだろう、会がお開きになるときに、王妃殿下がクスクスと上品に笑いながら、私を招き寄せた。
近づいていいものか迷い、ドアの反対側に立つ騎士ドルトスに視線を向ければ、頷きで了承をもらったので、固まってちょっと軋む足を動かして、王妃殿下の近くで跪いた。
「ご苦労様でした。第一騎士団になって、初めての護衛の任務はいかがでしたか?」
「はい。以前一度、なにもわからぬままに、豊穣の巫女の護衛をやらせていただきましたが、あの頃の自分の無知さを痛感いたしました」
本来の護衛任務の、なんと気の張ることか。
なにも知らなかったからこそ、あの任務を遂行できたのだと今ならわかる。
「ふふっ。第一に入ってすぐの騎士は、みな、今日のあなたのように、緊張していましたよ。ねぇ? ドルトス」
「何事も慣れですから。慣れれば、自然と廊下の物音を判別できますし、どこに意識を向けるのが効率的かもわかってまいりますから。良い意味で、力の抜きようも覚えます」
若い騎士の教師役を勤めている彼の鷹揚な言葉に、王妃殿下も微笑んで頷くのを見ながら、果たしてどれ程の経験を積めばその域に達するのだろうと思う。
なんにせよ、まずは一歩を踏み出したのだ、これからも日々研鑽を積むことで習得できるだろう。
「そういえば、バルザクト。あなたの故郷では、成人したら女性名を名乗るのでしょう? あなたにも、女性名があるのではなくて?」
王妃殿下にそう尋ねられ、実は……と、母から与えられていた名をお教えした。
「ファーネ、いい名ではありませんか。もし不都合がないのなら、これからその名を名乗ってはいかがかしら」
「私は構わないのですが……、名として登録しておりませんので、問題があるのではないかと」
「それはなんとかするわ。もし女性名がなければ、わたくしが考えようと思っていたのだけれど、お母様のくださったものがあるならば、それが一番ね」
そこまで言われて、バルザクトという名では、きっと不都合があるのだと察する。
「可能ならば、バルザクトの名も残しておきたいのですが」
長く使っていた名を無くしてしまうには惜しくてそう申し出ると、王妃殿下は鷹揚に了承くださった。
「もちろんかまわないわ、バルザクト・ファーネ・アーバイツならば、語呂もいいわね? ね、ヘレイナ」
「ええ、とてもいいと思いますわ。凜々しさの中に柔らかさがあって、素敵です」
王太子妃殿下も嬉しそうに言ってくださるので、勇気が出る。
「ではバルザクト、あなたは今からファーネを名乗りなさい。ドルトス、そのように周知しておいて頂戴ね」
「承知いたしました」
「ありがとうございます」
ギルドだけではなく、公的にファーネの名が認められる嬉しさに頬が緩む。
そういえばギルドだが、迷宮暴走から一度も顔を出していないので登録は抹消されているだろう。
一定期間に依頼を受けないとそうなると言われていたし、なにより第一騎士団になってしまってはギルドに名があることが不味いだろうとわかるけれど、少しだけあの場所を惜しく思った。
迷宮暴走の時に、共に王妃殿下達を護衛していた第一騎士団の壮年の騎士ドルトス・クレールから、一対一で講義を受けていた。
「例えば、隠れていていただきたいときに、勝手に移動されてしまうとか、でしょうか」
「そうだな。信頼関係がなければ、こちらの指示が軽んじられてしまう。それはとても危険なことだ、要人にとってもこちらにとっても」
第一騎士団の主な仕事は、王族の警護なので。市中警備を主としていた第五騎士団とは全然性質が違っているわけで。こうして基礎的なことを教授いただいていて、及第点が取れるまでは現場の仕事は出来ないと言われている。
「あと半月後にある、新年の祝賀行事までには、ある程度の実績も積みたいから、がっつり詰め込んでいくぞ」
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「すぐに女性だけの騎士団を創設することはできないだろう、だが君がいることで、可能性がゼロではなくなった。これは凄いことだ」
ジェンド団長が感慨深げにそう言っていた。
今まで、女性の騎士という考えは最初から無かった、存在すらしなかったものが生まれたのだ。それを育てるのは、生半可なことではないだろうが、共に頑張ろうと言っていただいた。
不安は、ある。
私ひとり、騎士であって本当に後に続いてくれる人がいるだろうか。尻すぼみのまま終わってしまうのではないか、そうなったときジェンド団長や、計画した王太子殿下の顔に泥を塗ってしまうのではないか。そういった思いは、いつも胸の深くに渦巻いている。
だが、それでもやるしかないのだ。行動する以外に、私のできることはない。
悩んで、不安になって、逃げ出したくなったとて、それらはなにひとつ有用なことではない。まずは行動する、それだけがたった一つ重要なことだ。
いままでだってそうしてきた、そうしてきたからこそ、こうして今の私が在る。
だから、練習用の剣を携え、第一騎士団の使う訓練場に堂々と入っていく、眉を顰める者、あからさまに視線を逸らして私を居ない者とする者、そんなのは気にすることではない。
「騎士ドルトスの座学は終わったのか?」
「はい今日の分は。宿題をたくさんいただいてまいりました」
気さくに声を掛けてくれたのは、騎士ピルケス・オルドーだった。豊穣の巫女の禊ぎの日に、令嬢を部屋に連れて来た彼だったが、あの日の傍若無人さはなくなっている。
ジェンド団長が、訓練を見直し根性をたたき直したと言っていたが。こんなに早くどうにかなるものなのだろうか。
それとも……よほど訓練が、苛烈だったのだろうか。
「どうだ、私と手合わせをしないか」
「ありがとうございます! お願いいたしますっ」
早々に訓練相手が見つかってよかった、当分はひとりで自主訓練に励まなくてはならないだろうと思っていたから。
剣を合わせれば、向こうも変な手加減をせずに打ち込んでくれる。それがとても嬉しい。
やや暫く、ふたりで剣を合わせることに熱中していたが、唐突に横から殺気を感じて飛び退き、身を低くして剣を構えた。
「やあやあ、二人共随分夢中になっていたようだな」
「ジェンド団長っ」
私と同じように、離脱して身構えた騎士ピルケスは、殺気を消したジェンド団長に嬉しそうに近づいていった。殺気ではなく声を掛けてくださればいいのに、と思いながら私も彼に続く。
「声を掛けても気付かぬ程の集中は感心するが、実戦の場合はそうも言って居られぬ。周囲の状況を把握した上で戦闘するようにしたほうがいいな」
「はいっ」
二人揃って返事をし、ジェンド団長が満足そうに頷く。まだまだ未熟な自分に恥じ入りたくなるが、団長からの指導いただいたように戦えるよう訓練せねば。
「バルザクトにこれをやろう」
「ありがとう、ございま……」
表紙の文字を見て、嫌な汗が背中を伝う。本の装丁でわかったのか、ピルケスも気の毒そうな視線を送ってくる。
「貴族名鑑の最新版だ。第一騎士団の最初の関門と言っていいだろう、これを暗記してこい。まずは現当主と奥方まででいい。追々、すべて覚えてもらうからな」
「はい」
訓練もそこそこに、自室に戻り本を捲る。本を暗記したら、次は顔と一致させなくてはいけない。
昔は私も嗜みとして多少覚えてはいたが、第五騎士団にいる間にすっかりと忘れていた。それに代替わりしている家も多く見受けられる。
その上、騎士ドルトスからの宿題も、これとは別にある。
「頭が破裂しそうだな……」
弱音を吐いたところで、実際に頭は破裂しないし、これをこなさないという選択肢もないのだからと、紙を取り出しペンを握った。
◇◆◇
なんとか、騎士ドルトスから及第点をもらい、護衛としての実地訓練として、王妃殿下と王太子妃殿下のお茶会の場に居る。
王宮の中ではちいさなサロンだが、午後の爽やかな日の光が多く入り、温かく心地よい部屋だ。
大きな窓から庭園に出られるようになっているが、今日は晴れているわりに風の強い日なので窓はぴったりと閉められている。
ドアの前に二人、窓際に二人護衛が付く。そのうちの一人が私だ、ドアの側に立ち、外のようすに耳をそばだて、周囲に気を配る。
姿勢は崩さず、要人の会話の内容に聞き耳を立てるようなまねをしてもいけない。
教えられたことを必死でこなす。きっと緊張しきっていた顔だったのだろう、会がお開きになるときに、王妃殿下がクスクスと上品に笑いながら、私を招き寄せた。
近づいていいものか迷い、ドアの反対側に立つ騎士ドルトスに視線を向ければ、頷きで了承をもらったので、固まってちょっと軋む足を動かして、王妃殿下の近くで跪いた。
「ご苦労様でした。第一騎士団になって、初めての護衛の任務はいかがでしたか?」
「はい。以前一度、なにもわからぬままに、豊穣の巫女の護衛をやらせていただきましたが、あの頃の自分の無知さを痛感いたしました」
本来の護衛任務の、なんと気の張ることか。
なにも知らなかったからこそ、あの任務を遂行できたのだと今ならわかる。
「ふふっ。第一に入ってすぐの騎士は、みな、今日のあなたのように、緊張していましたよ。ねぇ? ドルトス」
「何事も慣れですから。慣れれば、自然と廊下の物音を判別できますし、どこに意識を向けるのが効率的かもわかってまいりますから。良い意味で、力の抜きようも覚えます」
若い騎士の教師役を勤めている彼の鷹揚な言葉に、王妃殿下も微笑んで頷くのを見ながら、果たしてどれ程の経験を積めばその域に達するのだろうと思う。
なんにせよ、まずは一歩を踏み出したのだ、これからも日々研鑽を積むことで習得できるだろう。
「そういえば、バルザクト。あなたの故郷では、成人したら女性名を名乗るのでしょう? あなたにも、女性名があるのではなくて?」
王妃殿下にそう尋ねられ、実は……と、母から与えられていた名をお教えした。
「ファーネ、いい名ではありませんか。もし不都合がないのなら、これからその名を名乗ってはいかがかしら」
「私は構わないのですが……、名として登録しておりませんので、問題があるのではないかと」
「それはなんとかするわ。もし女性名がなければ、わたくしが考えようと思っていたのだけれど、お母様のくださったものがあるならば、それが一番ね」
そこまで言われて、バルザクトという名では、きっと不都合があるのだと察する。
「可能ならば、バルザクトの名も残しておきたいのですが」
長く使っていた名を無くしてしまうには惜しくてそう申し出ると、王妃殿下は鷹揚に了承くださった。
「もちろんかまわないわ、バルザクト・ファーネ・アーバイツならば、語呂もいいわね? ね、ヘレイナ」
「ええ、とてもいいと思いますわ。凜々しさの中に柔らかさがあって、素敵です」
王太子妃殿下も嬉しそうに言ってくださるので、勇気が出る。
「ではバルザクト、あなたは今からファーネを名乗りなさい。ドルトス、そのように周知しておいて頂戴ね」
「承知いたしました」
「ありがとうございます」
ギルドだけではなく、公的にファーネの名が認められる嬉しさに頬が緩む。
そういえばギルドだが、迷宮暴走から一度も顔を出していないので登録は抹消されているだろう。
一定期間に依頼を受けないとそうなると言われていたし、なにより第一騎士団になってしまってはギルドに名があることが不味いだろうとわかるけれど、少しだけあの場所を惜しく思った。
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