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第六章
□総合合同訓練の知らせ
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どうしてこうなったのかわからない。
いや、以前シュラが第一騎士団長であるジェンド団長とそんな話をしていたのは見かけた。
「騎士団の総合合同訓練」
ヒリングス副団長の書類仕事をしていると、至急扱いで入ってきた書類がそれだった。
総合と言うことは、一から十の騎士団すべてということなのだろう。
日時と場所が書かれ、訓練内容も細かく書かれている。
五回に分けて行われる内容となっていて、それならば、日常の業務に支障は出ないだろうとは思うのだが……。問題は最終日だ。
「各騎士団の精鋭のみを集めたなかに、なぜ私が入って……。後方で、お偉いさんへのお茶出し係などではないのですか?」
「そんなわけはないだろう。あれだけ派手にやっておいて、目を付けられぬはずがあるまい」
ソファで優雅にお茶を飲んでいるヒリングス副団長が、愉快げに言う。
「あれ、とは、なんのことでしょうか」
どのことなのかわからずに、素直に尋ねれば、にやりと笑まれた。
「豊穣の巫女の市中警備には、我々第五も当たったのは知っているだろう。魔獣に遭遇した場所は、どこだったか覚えているな?」
確かに我々の管轄内でしたが、いつもサボっているのだから、あの日だっていつも通りサボっていたに違いないのに。
「ふふん、私とて腐っても副団長だぞ。魔獣に関わる男を捕らえるために、骨を折ったのだ。まぁ、魔獣自体はお前が下したから、予定よりは楽だったがな」
ボルテス団長がいたのは知っているが、まさかこの人までとは。
確かに腐っても副団長で、魔法の扱いは一級品だものな。自分で腐っても、などというのはどうかと思うが。
「あれは面白い技だ、魔獣の魔力を奪っていただろう?」
興味深げに聞いてくる彼に、なんと答えて良いものやら。魔力吸収について、教えてもいいものか否か。
「お前の従騎士が、私には無理だと言っていたな。私のように魔力総量の多い人間は、魔力の器を空けてからでないと、魔力吸収できないのだと。私は総量も多いし、魔力の回復も早いから、実に残念だ」
自慢しているのか、それとも本当に残念に思っているのか、微妙なところだ。
「だがお前は魔力の器に余裕があるんだな。離れた場所からでも魔力を抜けるというのは、実に素晴らしい、有意義な技だ。魔力渡しのように、副作用はないのか?」
ぎくりとした内心を押さえて、処理すべき書類を整えていく。
「魔力渡しとは違いますが、多少はあります。副団長、右手が空いているのでしたら、こちらの書類をお任せしていいでしょうか」
「いかんいかん、重要な用事を忘れていた。ではバルザクト・アーバイツ、頼んだぞ」
「承知致しました」
そそくさと逃げた副団長が閉めたドアにため息を吐きながら、次の書類へと取りかかった。
◇◆◇
「え? 総合、合同、訓練、ですか?」
以前合同訓練がどうのと気にしていたシュラに、明日公表される予定の合同訓練の話をすると、彼は目をしばたかせてからソファでくつろいでいる私に詰め寄った。
今日は私の方が部屋に戻るのが早かったので、自主訓練でボロボロになっている彼に浄化の魔法をかけてやる。
「そ、そ、そそそそれって、どっ、どことどこが訓練するんですかっ!」
魔法の残滓をキラキラとまとった彼がソファに座る私に詰め寄った。
「だから、総合合同訓練だと言っただろう。第一から第十までの騎士団全てで訓練するんだ。もちろん一日でどうのということはないぞ、数日に分けて、業務に支障がないように計らいながら計画されているからな」
てっきり、そういったことも知っているかと思ったが、そうではなかったんだな。
彼は興奮気味に歩き回っているので、それを見るともなしに眺める。
「そんな、騎士団が全部で訓練だなんて。そんな裏設定、あったのか……開発しか知らない、隠しストーリー? それなら……それなら、このまま第五に居ても、死なせずに済むかもしれない……」
私の正面を横切りかけた彼が立ち止まり、漆黒の目が私を捕らえ――それから、はじめて出会った頃に比べて、随分と精悍になったその顔が泣きそうに歪んだ。
『死なせずに済む』のは私なのだろうと察することができるくらいには、シュラのことを理解している私は、ソファから身を起こして彼を見あげて静かに手を伸ばした。
私の手に惹かれるように近づいてきた彼の冷たい頬を撫でると、はらりと彼の目から涙がこぼれ落ちて、私の手を濡らす。
「バル、ザクトさま……」
「私は死なぬよ、シュラ。お前と共に訓練したお陰で、並の騎士よりも強くなったからな。お前とて、容易に死なぬ強さを得ているだろう? だから、もう泣くな。その時までに、私ももっと強くなるから」
彼の手を引いて私の隣に座らせれば、彼の泣き顔が私の肩に伏せられ、私の言葉に同意するように小さく頷かれた。
固い黒髪を撫で、筋肉の浮く背を、幼子にするように小さく叩いて宥める。
「バルザクト様がイケメン過ぎて、つらい……」
彼の腕がゆるく背に回り、ため息と共にこぼされた言葉に笑ってしまう。
いけめん、というのが悪い意味ではないということは既に知っている、かっこいいと同義語だと、以前シュラが言っていた。
「体格的には俺が上だけど……精神的に、バルザクト様のほうが絶対に上……どうしよう、俺、覚悟決めなきゃダメだろうか」
耳元でブツブツと呟く彼の頭を叩き、体を離した。
「元気が出てきたようだな。明日は休暇だ、ゆっくりと休むといい」
ソファから立ち上がった私の腰に、彼の腕が回り、黒い目が見上げてくる。
成人した男だというのに仔犬のような愛らしさを感じてしまい、その喉をするりと撫でた。仔犬のように気持ちよさそうに目が細められ、頬に置いた手にすり寄られる。
「どうした? シュラ」
「最近全然一緒にいられなかったので。もっと、バルザクト様と一緒に居たいです」
私の手を弱い力で掴み、その内側に唇を寄せるのを好きにさせる。
「すまんな、私はもう寝たい」
彼の薄い唇を親指の腹でなぞりながら苦笑しながら伝えると、不満そうに指先を甘噛みされた。上目遣いに見上げられ、胸がちいさく絞られたように苦しさを覚えるが、顔には出さぬように堪える。
「バルザクト様……」
掠れた彼の声に甘さを感じる。
ああ、駄目だ――何もかもが愛しい。
「シュラ、お前ももう寝なさい」
愛しい彼を見ていられなくて手を振って明かりを落とせば、窓から月の仄かな明かりが射し込む。
「明日は朝から用があるのでな、早く寝ておかねばならん。ああ、休日だからといって、自堕落に過ごすことのないようにな。さぁ、離してくれ」
腰を離さぬ彼の手を諫めるように叩くと、彼は不本意そうな気配ではあるものの、それ以上は引き留めずに解放してくれた。
「おやすみなさい、バルザクト様」
「おやすみ、シュラ。よい夢を」
退いてくれた優しい彼のこめかみに口付けをおとし、部屋へ逃げ込む。
明日は久し振りにギルドへ顔を出す予定だ、そして思い切り体を動かそう。
健全な魂は健全な肉体に宿るという。
私の魂が健全かどうかはわからぬが、シュラが憂えるその時まで健全な肉体を保持しなくてはな。
いや、以前シュラが第一騎士団長であるジェンド団長とそんな話をしていたのは見かけた。
「騎士団の総合合同訓練」
ヒリングス副団長の書類仕事をしていると、至急扱いで入ってきた書類がそれだった。
総合と言うことは、一から十の騎士団すべてということなのだろう。
日時と場所が書かれ、訓練内容も細かく書かれている。
五回に分けて行われる内容となっていて、それならば、日常の業務に支障は出ないだろうとは思うのだが……。問題は最終日だ。
「各騎士団の精鋭のみを集めたなかに、なぜ私が入って……。後方で、お偉いさんへのお茶出し係などではないのですか?」
「そんなわけはないだろう。あれだけ派手にやっておいて、目を付けられぬはずがあるまい」
ソファで優雅にお茶を飲んでいるヒリングス副団長が、愉快げに言う。
「あれ、とは、なんのことでしょうか」
どのことなのかわからずに、素直に尋ねれば、にやりと笑まれた。
「豊穣の巫女の市中警備には、我々第五も当たったのは知っているだろう。魔獣に遭遇した場所は、どこだったか覚えているな?」
確かに我々の管轄内でしたが、いつもサボっているのだから、あの日だっていつも通りサボっていたに違いないのに。
「ふふん、私とて腐っても副団長だぞ。魔獣に関わる男を捕らえるために、骨を折ったのだ。まぁ、魔獣自体はお前が下したから、予定よりは楽だったがな」
ボルテス団長がいたのは知っているが、まさかこの人までとは。
確かに腐っても副団長で、魔法の扱いは一級品だものな。自分で腐っても、などというのはどうかと思うが。
「あれは面白い技だ、魔獣の魔力を奪っていただろう?」
興味深げに聞いてくる彼に、なんと答えて良いものやら。魔力吸収について、教えてもいいものか否か。
「お前の従騎士が、私には無理だと言っていたな。私のように魔力総量の多い人間は、魔力の器を空けてからでないと、魔力吸収できないのだと。私は総量も多いし、魔力の回復も早いから、実に残念だ」
自慢しているのか、それとも本当に残念に思っているのか、微妙なところだ。
「だがお前は魔力の器に余裕があるんだな。離れた場所からでも魔力を抜けるというのは、実に素晴らしい、有意義な技だ。魔力渡しのように、副作用はないのか?」
ぎくりとした内心を押さえて、処理すべき書類を整えていく。
「魔力渡しとは違いますが、多少はあります。副団長、右手が空いているのでしたら、こちらの書類をお任せしていいでしょうか」
「いかんいかん、重要な用事を忘れていた。ではバルザクト・アーバイツ、頼んだぞ」
「承知致しました」
そそくさと逃げた副団長が閉めたドアにため息を吐きながら、次の書類へと取りかかった。
◇◆◇
「え? 総合、合同、訓練、ですか?」
以前合同訓練がどうのと気にしていたシュラに、明日公表される予定の合同訓練の話をすると、彼は目をしばたかせてからソファでくつろいでいる私に詰め寄った。
今日は私の方が部屋に戻るのが早かったので、自主訓練でボロボロになっている彼に浄化の魔法をかけてやる。
「そ、そ、そそそそれって、どっ、どことどこが訓練するんですかっ!」
魔法の残滓をキラキラとまとった彼がソファに座る私に詰め寄った。
「だから、総合合同訓練だと言っただろう。第一から第十までの騎士団全てで訓練するんだ。もちろん一日でどうのということはないぞ、数日に分けて、業務に支障がないように計らいながら計画されているからな」
てっきり、そういったことも知っているかと思ったが、そうではなかったんだな。
彼は興奮気味に歩き回っているので、それを見るともなしに眺める。
「そんな、騎士団が全部で訓練だなんて。そんな裏設定、あったのか……開発しか知らない、隠しストーリー? それなら……それなら、このまま第五に居ても、死なせずに済むかもしれない……」
私の正面を横切りかけた彼が立ち止まり、漆黒の目が私を捕らえ――それから、はじめて出会った頃に比べて、随分と精悍になったその顔が泣きそうに歪んだ。
『死なせずに済む』のは私なのだろうと察することができるくらいには、シュラのことを理解している私は、ソファから身を起こして彼を見あげて静かに手を伸ばした。
私の手に惹かれるように近づいてきた彼の冷たい頬を撫でると、はらりと彼の目から涙がこぼれ落ちて、私の手を濡らす。
「バル、ザクトさま……」
「私は死なぬよ、シュラ。お前と共に訓練したお陰で、並の騎士よりも強くなったからな。お前とて、容易に死なぬ強さを得ているだろう? だから、もう泣くな。その時までに、私ももっと強くなるから」
彼の手を引いて私の隣に座らせれば、彼の泣き顔が私の肩に伏せられ、私の言葉に同意するように小さく頷かれた。
固い黒髪を撫で、筋肉の浮く背を、幼子にするように小さく叩いて宥める。
「バルザクト様がイケメン過ぎて、つらい……」
彼の腕がゆるく背に回り、ため息と共にこぼされた言葉に笑ってしまう。
いけめん、というのが悪い意味ではないということは既に知っている、かっこいいと同義語だと、以前シュラが言っていた。
「体格的には俺が上だけど……精神的に、バルザクト様のほうが絶対に上……どうしよう、俺、覚悟決めなきゃダメだろうか」
耳元でブツブツと呟く彼の頭を叩き、体を離した。
「元気が出てきたようだな。明日は休暇だ、ゆっくりと休むといい」
ソファから立ち上がった私の腰に、彼の腕が回り、黒い目が見上げてくる。
成人した男だというのに仔犬のような愛らしさを感じてしまい、その喉をするりと撫でた。仔犬のように気持ちよさそうに目が細められ、頬に置いた手にすり寄られる。
「どうした? シュラ」
「最近全然一緒にいられなかったので。もっと、バルザクト様と一緒に居たいです」
私の手を弱い力で掴み、その内側に唇を寄せるのを好きにさせる。
「すまんな、私はもう寝たい」
彼の薄い唇を親指の腹でなぞりながら苦笑しながら伝えると、不満そうに指先を甘噛みされた。上目遣いに見上げられ、胸がちいさく絞られたように苦しさを覚えるが、顔には出さぬように堪える。
「バルザクト様……」
掠れた彼の声に甘さを感じる。
ああ、駄目だ――何もかもが愛しい。
「シュラ、お前ももう寝なさい」
愛しい彼を見ていられなくて手を振って明かりを落とせば、窓から月の仄かな明かりが射し込む。
「明日は朝から用があるのでな、早く寝ておかねばならん。ああ、休日だからといって、自堕落に過ごすことのないようにな。さぁ、離してくれ」
腰を離さぬ彼の手を諫めるように叩くと、彼は不本意そうな気配ではあるものの、それ以上は引き留めずに解放してくれた。
「おやすみなさい、バルザクト様」
「おやすみ、シュラ。よい夢を」
退いてくれた優しい彼のこめかみに口付けをおとし、部屋へ逃げ込む。
明日は久し振りにギルドへ顔を出す予定だ、そして思い切り体を動かそう。
健全な魂は健全な肉体に宿るという。
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