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第一章
■五月山修羅の予兆
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□修羅サイド□
画面で見たよりももっと柔らかな金色だった。
瞳の青は濃く、見つめられると吸い込まれそうな程で。
生気の薄い白肌に、薄い唇の橙がかった唇がゆっくりと弧を描く微笑みはとても穏やかで。
伸ばされた手に掴まれ、その腕の中に囲われる。
自分がバルザクトよりも小さくなっていることに気づきながらも、ああ、これがヒロインの身長での彼との差なのかと、頭のどこかで納得していた。
『シュラ……』
少し高い彼の声が、耳朶をくすぐる。
細く見えても騎士である彼の腕は力強い、それは今日知った。
凜々しい騎士服に身を包み、剣を腰に佩くその立ち姿は惚れ惚れする。
穏やかな貴族の令息であるはずなのに、騎士団という場所にその身を置く理由は作中では出てこなかった。
『バルザクト様――』
呼びかければ、嬉しそうに微笑んで、指先で頬を撫でてくる。
甘い空気に胸が痺れるのを感じながら、これは夢なのだと……ヒロインの夢なのだと頭のどこかが冷静に分析する。
それでも、彼の手を、視線を、このまま独り占めしていたいと、手を伸ばし彼の背に腕を回せばいつの間にか視線の高さが逆転していた。
『シュラ』
柔らかく細められた眼は、修羅を見上げている。ヒロインではなく、修羅を。
先程までよりもずっと親しげなその視線に、修羅は歓喜する。
『バルザクト様――俺は、あなたを――』
その先に何を続けようとしていたのかはわからない、踵を上げたバルザクトに唇を奪われたから。
男同士――禁忌であるという意識に胸を締め付けられながら、意識が深く沈んでゆく。
翌朝には、夢の記憶は消えていた。
画面で見たよりももっと柔らかな金色だった。
瞳の青は濃く、見つめられると吸い込まれそうな程で。
生気の薄い白肌に、薄い唇の橙がかった唇がゆっくりと弧を描く微笑みはとても穏やかで。
伸ばされた手に掴まれ、その腕の中に囲われる。
自分がバルザクトよりも小さくなっていることに気づきながらも、ああ、これがヒロインの身長での彼との差なのかと、頭のどこかで納得していた。
『シュラ……』
少し高い彼の声が、耳朶をくすぐる。
細く見えても騎士である彼の腕は力強い、それは今日知った。
凜々しい騎士服に身を包み、剣を腰に佩くその立ち姿は惚れ惚れする。
穏やかな貴族の令息であるはずなのに、騎士団という場所にその身を置く理由は作中では出てこなかった。
『バルザクト様――』
呼びかければ、嬉しそうに微笑んで、指先で頬を撫でてくる。
甘い空気に胸が痺れるのを感じながら、これは夢なのだと……ヒロインの夢なのだと頭のどこかが冷静に分析する。
それでも、彼の手を、視線を、このまま独り占めしていたいと、手を伸ばし彼の背に腕を回せばいつの間にか視線の高さが逆転していた。
『シュラ』
柔らかく細められた眼は、修羅を見上げている。ヒロインではなく、修羅を。
先程までよりもずっと親しげなその視線に、修羅は歓喜する。
『バルザクト様――俺は、あなたを――』
その先に何を続けようとしていたのかはわからない、踵を上げたバルザクトに唇を奪われたから。
男同士――禁忌であるという意識に胸を締め付けられながら、意識が深く沈んでゆく。
翌朝には、夢の記憶は消えていた。
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