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第49話 幸せは
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その後、落ち着いた私たちと両親、アレクシス様で話し合いすることになった。アレクシス様と私は来客側のソファーに座り、両親とブランシェは向かい側に座る。
「この度は多大なご迷惑をおかけして、誠に申し訳ございませんでした」
ブランシェと両親、そして私がアレクシス様に深々と礼を取った。
しかしアレクシス様は最初から相手を間違えていなかったわけだから、これ以上問題視しないと言った。さらに自分が名前をきちんと確認しなかったことを謝罪され、改めて私、アンジェリカと結婚する旨が伝えられた。
私の元婚約者、カーティス様はと言うと、彼は自宅で謹慎させられているそうだ。私に直接謝罪したいらしいが、私自身、彼に他人行儀な態度で接していたことを深く自省した上で、その気持ちだけで謝罪を受け取ったことにした。
ブランシェとカーティス様のことはこれから両家で話し合うとのこと。けじめとして二人に何らかの形で償わせると父は言う。
一方、双方の家の矜持もあるので多くは口出さないが、もしそれがパストゥール家の面目を考えてのことだったら望まないとアレクシス様は意思を伝えた。
彼らの愛に変わりがないようなら、このまま二人を結婚させる方向に進むかもしれない。
アレクシス様を横に背伸びしたい利己的な考えからだろうか。あるいは彼の寛容さに触れてきて少しは心が成長できたのだろうか。どういった形になるにしろ、もう一人の自分であるブランシェ、そして彼女を支えてくれたカーティス様には幸せでいてもらいたいと切に思った。
話し合いを終えて軽い昼食を取った後、弟クラウスと妹サラと顔を合わせて少し触れ合うとまた来ることを約束して私たちはベルトラン家を後にした。
「アレクシス様、本日はありがとうございました」
「いや」
馬車に揺られながら私たちは我が家、パストゥール家へと向かう。
「ブランシェは。ブランシェも種類は違えどわたくしと同じ悩みを抱えていたのですね」
私たちは無いものねだりして、周りの人たちを困らせる我儘な子供だった。
「誰しも、人にはあるのに自分には無いことを悩んだりする。君たちは誰よりも近しい存在だからこそ自分とは異なる所がより目についてしまうのだろう。それでいて相手の心の中までは見通せない。見えたとしても自己否定が強いとそれらから目を逸らしてしまう」
「……ええ。そうですね」
それは私の弱さだ。自分に自信がなかったら。人を助けられるほど強くなかったから。自分のことで精一杯だったから。だから私は目を逸らした。でも、もう目を逸らしたくない。負けたくない。――自分自身に。
「わたくし、強くなるためにもっと自分を愛することにします。世界で一番自分のことを愛そうと思います」
自分を愛せない者が人を愛したり、優しくしたりすることなどできない。
アレクシス様が私を愛してくれたように私も自分をもっと愛そう。
「それは無理な話だな」
「え、な」
アレクシス様から自分の決意を覆すように断言されて、愕然と見つめる。
「世界で一番君を愛するのは」
そう言って動揺する私の唇に熱い唇を重ねた。すぐに私から離れたアレクシス様は唇の端を少し上げて笑む。
「私だからだ」
「っ! で、では。わたくしは世界で二番目に自分自身を、世界で一番目にアレクシス様を」
愛すると誓いましょう。
今度は私から近付いてアレクシス様に口づけした。
「ラウラ、だ、だから駄目よ! こら駄目ってば!」
私たちは本日、約束していた海にやって来ている。
ラウラはお構いなしに海へと足を踏み入れていくと、あっという間に私の腰まで水浸しにした。
「だから替えの服はないんだってば」
「ラウラを扱うのはまだまだのようだな」
アレクシス様は嘆く私の姿を見てまた笑う。
「もう! 笑っていないで止めてくださいな」
「悪い。青い空と海を背景にした君は、夢のように輝いてあまりにも美しいから」
「――っ。では、夢から目覚めてわたくしが消えないように手を伸ばして捕まえてください」
そう言うとアレクシス様は面映ゆそうに笑みを浮かべて私の手を取った。
私たちは海から出ると以前のように砂浜に座りこんで景色を楽しんでいたが、ふとアレクシス様が口を開いた。
「アンジェリカ。思ったんだが、アンジェリカとして式のやり直しをするのはどうだろうか」
「そう、ですね」
神の前で誓ったのはブランシェの名だった。
しかし。
「確かにあの時のわたくしはブランシェの名を名乗っていましたが、ブランシェの気持ちでも、ましてアンジェリカの気持ちでもありませんでした。ですがアレクシス様はわたくしの名に誓ってくださったのではないのでしょう。目の前のわたくしに誓ってくださった」
「ああ」
「わたくしも目の前のあなた様に世界で一番目に愛すると誓った。神の前で誓わなくてもいいのです。名のもとに誓わなくてもいいのです。わたくしたちは目の前の人物に誓ったのですから。――ですから式のやり直しは必要ありません」
「そうか」
アレクシス様は微笑んだ。
「ええ。……あ。そう言えば、わたくしたちはここで出会ったのですよね。プライベートビーチなのにどうしてわたくしはここに来ていたのでしょう」
「私も覚えていないが、君が迷い込んだか、近くにいて私が招き寄せたのかもしれない」
私は頷くと座ったまま振り返って離れた所にある崖を指差す。
もう頭痛もふらつきも起こらない。
「あの崖のお花でしょう。アレクシス様が取ろうとしたお花は」
「ああ。そうだな」
季節がいくつ巡っても、花は何代にも渡って生命を受け継ぎながら美しく咲く。
「アレクシス様は立派な方になられました。もう度胸試しは必要ありませんね」
「さあ。どうかな。まだまだだと思うが」
「まだだとしてももう度胸試しは止めていただきたいですわ」
「そうだな」
苦笑するアレクシス様を横目に私は鞄から赤い髪飾りを取り出す。
「わたくしは赤いお花が好きです。自分には無い華やかさを求めていたのだと思っていました。ですが、アレクシス様がお花を取ったら私の髪に付けてくれると約束してくださったことが頭のどこかに残っていて、それで赤色が好きになったのかもしれません」
わたくしの初恋もアレクシス様かもしれないですねと笑うと彼は、だといいなと照れた様子で微笑んだ。
「アレクシス様、このお花をわたくしに付けてくださいますか」
髪飾りを差し出すと少し困った様子でぎこちなさそうに付けてくれた。
「ありがとうございます」
「やはり君は赤い花が似合っている」
「はい。わたくしはアレクシス様が選んでくださった赤いお花が大好きです」
「……愛している。アンジェリカ」
「はい。わたくしもアレクシス様を愛しております」
アレクシス様は離さぬようにと私を強く抱きしめ、私もまた彼の広い背中に手を回した。
幼い頃は、きらきらと輝く海の向こう側には夢や希望で溢れているものだと思っていた。
けれど幸せは――今この腕の中にある。
『あの崖の花を取ったらお前を認めてやるよ』
『何て意地悪な方! こんな方のお話を聞くことはないです!』
『いや。やる。取って君の髪に付けるから。そしたら』
そしたらいつか。
――いつか僕と結婚して。
(終)
「この度は多大なご迷惑をおかけして、誠に申し訳ございませんでした」
ブランシェと両親、そして私がアレクシス様に深々と礼を取った。
しかしアレクシス様は最初から相手を間違えていなかったわけだから、これ以上問題視しないと言った。さらに自分が名前をきちんと確認しなかったことを謝罪され、改めて私、アンジェリカと結婚する旨が伝えられた。
私の元婚約者、カーティス様はと言うと、彼は自宅で謹慎させられているそうだ。私に直接謝罪したいらしいが、私自身、彼に他人行儀な態度で接していたことを深く自省した上で、その気持ちだけで謝罪を受け取ったことにした。
ブランシェとカーティス様のことはこれから両家で話し合うとのこと。けじめとして二人に何らかの形で償わせると父は言う。
一方、双方の家の矜持もあるので多くは口出さないが、もしそれがパストゥール家の面目を考えてのことだったら望まないとアレクシス様は意思を伝えた。
彼らの愛に変わりがないようなら、このまま二人を結婚させる方向に進むかもしれない。
アレクシス様を横に背伸びしたい利己的な考えからだろうか。あるいは彼の寛容さに触れてきて少しは心が成長できたのだろうか。どういった形になるにしろ、もう一人の自分であるブランシェ、そして彼女を支えてくれたカーティス様には幸せでいてもらいたいと切に思った。
話し合いを終えて軽い昼食を取った後、弟クラウスと妹サラと顔を合わせて少し触れ合うとまた来ることを約束して私たちはベルトラン家を後にした。
「アレクシス様、本日はありがとうございました」
「いや」
馬車に揺られながら私たちは我が家、パストゥール家へと向かう。
「ブランシェは。ブランシェも種類は違えどわたくしと同じ悩みを抱えていたのですね」
私たちは無いものねだりして、周りの人たちを困らせる我儘な子供だった。
「誰しも、人にはあるのに自分には無いことを悩んだりする。君たちは誰よりも近しい存在だからこそ自分とは異なる所がより目についてしまうのだろう。それでいて相手の心の中までは見通せない。見えたとしても自己否定が強いとそれらから目を逸らしてしまう」
「……ええ。そうですね」
それは私の弱さだ。自分に自信がなかったら。人を助けられるほど強くなかったから。自分のことで精一杯だったから。だから私は目を逸らした。でも、もう目を逸らしたくない。負けたくない。――自分自身に。
「わたくし、強くなるためにもっと自分を愛することにします。世界で一番自分のことを愛そうと思います」
自分を愛せない者が人を愛したり、優しくしたりすることなどできない。
アレクシス様が私を愛してくれたように私も自分をもっと愛そう。
「それは無理な話だな」
「え、な」
アレクシス様から自分の決意を覆すように断言されて、愕然と見つめる。
「世界で一番君を愛するのは」
そう言って動揺する私の唇に熱い唇を重ねた。すぐに私から離れたアレクシス様は唇の端を少し上げて笑む。
「私だからだ」
「っ! で、では。わたくしは世界で二番目に自分自身を、世界で一番目にアレクシス様を」
愛すると誓いましょう。
今度は私から近付いてアレクシス様に口づけした。
「ラウラ、だ、だから駄目よ! こら駄目ってば!」
私たちは本日、約束していた海にやって来ている。
ラウラはお構いなしに海へと足を踏み入れていくと、あっという間に私の腰まで水浸しにした。
「だから替えの服はないんだってば」
「ラウラを扱うのはまだまだのようだな」
アレクシス様は嘆く私の姿を見てまた笑う。
「もう! 笑っていないで止めてくださいな」
「悪い。青い空と海を背景にした君は、夢のように輝いてあまりにも美しいから」
「――っ。では、夢から目覚めてわたくしが消えないように手を伸ばして捕まえてください」
そう言うとアレクシス様は面映ゆそうに笑みを浮かべて私の手を取った。
私たちは海から出ると以前のように砂浜に座りこんで景色を楽しんでいたが、ふとアレクシス様が口を開いた。
「アンジェリカ。思ったんだが、アンジェリカとして式のやり直しをするのはどうだろうか」
「そう、ですね」
神の前で誓ったのはブランシェの名だった。
しかし。
「確かにあの時のわたくしはブランシェの名を名乗っていましたが、ブランシェの気持ちでも、ましてアンジェリカの気持ちでもありませんでした。ですがアレクシス様はわたくしの名に誓ってくださったのではないのでしょう。目の前のわたくしに誓ってくださった」
「ああ」
「わたくしも目の前のあなた様に世界で一番目に愛すると誓った。神の前で誓わなくてもいいのです。名のもとに誓わなくてもいいのです。わたくしたちは目の前の人物に誓ったのですから。――ですから式のやり直しは必要ありません」
「そうか」
アレクシス様は微笑んだ。
「ええ。……あ。そう言えば、わたくしたちはここで出会ったのですよね。プライベートビーチなのにどうしてわたくしはここに来ていたのでしょう」
「私も覚えていないが、君が迷い込んだか、近くにいて私が招き寄せたのかもしれない」
私は頷くと座ったまま振り返って離れた所にある崖を指差す。
もう頭痛もふらつきも起こらない。
「あの崖のお花でしょう。アレクシス様が取ろうとしたお花は」
「ああ。そうだな」
季節がいくつ巡っても、花は何代にも渡って生命を受け継ぎながら美しく咲く。
「アレクシス様は立派な方になられました。もう度胸試しは必要ありませんね」
「さあ。どうかな。まだまだだと思うが」
「まだだとしてももう度胸試しは止めていただきたいですわ」
「そうだな」
苦笑するアレクシス様を横目に私は鞄から赤い髪飾りを取り出す。
「わたくしは赤いお花が好きです。自分には無い華やかさを求めていたのだと思っていました。ですが、アレクシス様がお花を取ったら私の髪に付けてくれると約束してくださったことが頭のどこかに残っていて、それで赤色が好きになったのかもしれません」
わたくしの初恋もアレクシス様かもしれないですねと笑うと彼は、だといいなと照れた様子で微笑んだ。
「アレクシス様、このお花をわたくしに付けてくださいますか」
髪飾りを差し出すと少し困った様子でぎこちなさそうに付けてくれた。
「ありがとうございます」
「やはり君は赤い花が似合っている」
「はい。わたくしはアレクシス様が選んでくださった赤いお花が大好きです」
「……愛している。アンジェリカ」
「はい。わたくしもアレクシス様を愛しております」
アレクシス様は離さぬようにと私を強く抱きしめ、私もまた彼の広い背中に手を回した。
幼い頃は、きらきらと輝く海の向こう側には夢や希望で溢れているものだと思っていた。
けれど幸せは――今この腕の中にある。
『あの崖の花を取ったらお前を認めてやるよ』
『何て意地悪な方! こんな方のお話を聞くことはないです!』
『いや。やる。取って君の髪に付けるから。そしたら』
そしたらいつか。
――いつか僕と結婚して。
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