スーツアクターだった俺が異世界で戦隊初めました!

桐生連

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第129話 なりすまし

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魔界からガネットがある元の異世界へ帰還した涼達。
しかし、以前の様な美しい街並みや森や林があった異世界ではなく、そこら中は焼け野原で至る所に建てられた斑鳩の国旗。
涼達が魔界へ行っている間にこの異世界は斑鳩帝国に侵略されていたのだ。

「な、何だよコレ!?」
「我輩達の世界が…」
「侵略されてる!!」
「あのクソ王子!!」
「ベル。ここはどの辺りだ?」

窓を見ていた涼が振り向きベルに確認を取る。

「ここは…カイアナスであります!!」
「カイアナスって…ここが!?」

カイアナスは亜人が沢山いた港町だったはずだが、亜人はおらずていうか誰も居ない。
街は壊され居た住人達は何処へ行ったんだ??

ドカンッ!

何処からか大砲の音が鳴り響く。

「大砲の音!?」
「何処だ!?」
「少し先の村であります!」
「ベル向かってくれ!」
「無理であります…」

よく見たらエンジンが悲鳴をあげている。
墜落寸前までボロボロになっている。ていうか本当にこのままじゃ墜落しちまう。

「ベル、降ろせ!」
「どうするんでありますか?」
「宝石獣達で現場へ飛んでいく!」
「それしかないか」
「行きましょう!」
「何が起きているか確かめないとなりませぬからな!」
「了解であります!私はここでエンジンを修理しとくでありますから!」

ボロボロになったスターダムオリオン号は着陸した。
格納庫が開くと巨大化したルビティラ・ベリルに乗り込む涼達。涼はレッド・ベリルは使えないがルビティラは運良く影響を受けなかったらしく変身できる。

「涼。行くティラよ!」
「飛べルビティラ!」
「ティラ!」
「ベル。後は頼んだ!」
「結界(シールド)を貼るから大丈夫でありますよ!」

ルビティラ・ベリルは肩のブースターからジェットエンジンを噴射させると砲撃があった方へ飛んで行った。

カイアナスの近くの村では、武器を持った斑鳩の兵士達と魔王軍の兵士達が武器を持って村を襲っている。

「怯むな!向かい撃て!!」
武器を持った見知らぬ人達が村の人々を庇いながら戦っている。

「殺せ!殺せ!ジュリアン様と我ら勇者に刃向かう奴は皆殺しだ!これは正義の鉄槌だ!」

鎧を着た巨大な宝石で出来た斧を構えている男が声を上げる。

「貴様が勇者だと!?嘘をつくな!」
「テロリスト共が鬱陶しい!!」

鎧男が宝石の斧を振りかざすと凄まじい衝撃波を放ち周りの者達もろとも吹き飛ばした。

「くっ!何て力だ!」

剣を地面に刺し膝をつく男。

「革命軍など恐れるに足らず。ジュリアン様の配下に加われば人生は勝ち組であり、故に我は勇者に選ばれた!この勇者の武器が何よりの証!」
「我々はレジスタンスだ!」
「どっちも同じだ!」
「本物の勇者は貴様の様な外道とは聞いていないぞ!」
「噂など宛にはならん。勇者は我らとジュリアン様が正義だ。貴様らテロリストは死刑だ!」

鎧男は笑いながら膝をついている男に斧を振りかざす。

「くっ!」

男は目を瞑る。

「ティラ!」
「おっと!」

ルビティラは口から炎を放ち鎧男を引き離した。
ルビティラの背中から飛び降りた五人は着地。

「な、何だ貴様達は!?」
「俺達が居ない間に随分と好きに暴れてくれたみたいだな!」
「随分と頭の悪そうな奴が馬鹿やってるもんだ」
「な、何だと!!」
「大丈夫ですか!?」
「は、はい…」

リアはレジスタンスの男に治癒宝石で治療する。

「貴様ら我の邪魔をする気か!」
「当たり前だ!罪もない人々を攻撃しやがって!」
「我はジュリアン様の名により逆らう者を罰しているだけにすぎん。勇者の仕事をしているんだからな!」

は?勇者の仕事だぁ!?

「お前が勇者だと!?」
「そうだ、我を含めた七人はジュリアン様に忠誠を誓う騎士であり、この世界が認めし勇者なり!わかったら消えうせろ!」
「アンタ…馬鹿だろ」
「な、貴様っ!!」

鎧男は声を上げた。

「よそ者が我を愚弄し反旗を翻すか!兵士達をジュリアン様の為にこのよそ者を殺してしまえ!!」

斑鳩の兵士と魔王軍の兵士達が剣を引き抜く。

「成る程な。噂に聞いた成りすましはお前達だったんだな!」
「成りすましだと?」
「アリソナ砂漠の人達を唆して革命を起こしたのはお前らだったんだな!」
「アリソナ砂漠だぁ?それは我の管轄外だ。彼処はアイカ女王が既に制圧したからな!もはや革命の必要にあらず!」
「アイカ女王!?」

泥棒女が女王だと!?
一体全体何が起きてるんだ?とにかく情報が足りなすぎるからなコイツを捕まえて吐かせるしかない。

「降参するなら今のうちだぞ小僧!!」
「降参するか髭やろう!今から軽くもんでやらぁ!!」
「じゃあ、隠れていて下さいね!」

治療を終えたリアが涼達の元へ戻る。

「貴方達は一体!?」
「俺達は戦隊だ!」
「戦隊だと?ん、その剣は!」

涼達は宝救剣を抜き勇者石をはめ込む。

レッド!ザ!宝救武装!
ブルー!ザ!宝救武装!
ブラック!ザ!宝救武装!
グリーン!ザ!宝救武装!
ピンク!ザ!宝救武装!

「「「「「宝救武装!」」」」」

五人の掛け声で剣から光の粒子が吹き出し五人の身体に纏うと各色のスーツとブーツと手袋と勇者達の魂である魔宝石と同じ宝石の鎧が装着され最後にパートナーである宝石獣を模したヘルメットを装着し変身完了した。

「その姿は!?貴様達はまさか!!」

鎧男は驚きを隠せない。
何故ならジュリアンが始末したはずの勇者達が目の前にいるのだから。

「アレはまさしく勇者の剣、それにあの姿は間違いなく噂に聞いた魔王軍討伐ギルドの勇者達!!」

「ありえん。この偽物がっ!!」

鎧男が宝石の斧を構えて涼に突っ込み振りかざす。

「久々の名乗りの邪魔すんじゃねーーーー!」
「ぐはっ!!」 

涼はそう言うと鎧男の顔に斬撃を放ちぶっ飛ばした。
鼻血を出しながら吹っ飛ぶ鎧男。

えーーーーーーー!?何て理不尽!!

ていうかシリアスな展開じゃないのかここはよ!!

「な、何をする!?」
「名乗りの邪魔すっからだ!いいから最後まで見てろ!」
「は、はい…」
「涼…流石に今のは理不尽なんじゃ…」

「情熱のルビー!」

聞いてないし…つかやるのやっぱり…

「ホウキュウレッド!」
「たく、激突のオニキス!ホウキュウブラック!」
「はぁ~揺蕩うアクアマリン!ホウキュウブルー!」
「疾風のエメラルド!ホウキュウグリーン!」
「輝くピンクダイヤ!ホウキュウピンク!」
「「「「「勇気の宝石身に纏い!」」」」」
「宝石戦隊!」
「「「「「ホウキュウジャー!」」」」」

名乗り終えると五人の後ろに五色の花火が上がる。

くぅーーーーーー久々の直りは最高ーーーー!
それがやりたかっただけだろ!
全く君って奴は…
我輩も嬉しいですぞ!
あらあら…

「貴様らふざけてるのか!!さっさと殺せ!!」

鎧男は声を上げると斧を片手に兵士達と共に涼達に襲いかかる。

「ふざけてるのはお前らだろうが!」

涼達も剣を構えて向かいうつ。

「来いや髭鎧!!」
「黙れやっ!!」

鎧男の斧と涼の剣がぶつかり火花を散らす。

「だぁぁぁぁ!」

兵士がルーガルに剣を振りかざすがそこにルーガルの姿は無かった。

「アレ?何処へ消えた!?」

兵士達は周りを見渡すがルーガルの姿は無かった。
それもそのはず、ルーガルは空に居た。

「我輩はここだ!」

ルーガルの背中から翼が生えていた。
変身すると尻尾や翼は収納され消えるがドラゴニュートに進化したルーガルは翼のみを出して空を自由に飛べる様になったのだ。

「アレ?蜥蜴は飛べないはずじゃ…ぐは!!」

斑鳩の兵士がそう言うとルーガルの伸ばしたラプトルバンカーが斑鳩の兵士を突き飛ばした。

「我輩はドラゴニュート!蜥蜴ではない!!」

ルーガルは剣を構え勇者石をはめ込み持ち手の下のグリップを引いた。

「くらえ!」

ルーガルは上空から宝救剣を振りかざすと巨大な竜巻を作り出し兵士達を纏めて絡めとり竜巻に閉じ込めた。

「やるな!ルーガル!」
「カイエン殿!」

何やら首がエネルギー体の馬に跨り空をかけているカイエンが武器を構えて飛んできた。
カイエンは死神に進化した事で、死神が乗る馬を召喚する事ができる様になったのだ。
首がエネルギーの馬 バルキリーに跨り鎌を使い竜巻に閉じ込めた兵士達を斬りまくる。兵士達は竜巻が消えるとバッサバッサと地面に落ちていく。
死神の鎌は斬った者の命を奪う力がある。

「安心しろ生命力を少し狩るだけだ」

手加減しているので命は奪わない、しかし兵士達は泡を吹いている。アレは手加減してるのか!?

「流石カイエン殿!まさか飛べる様になっておられるとは!」
「お前も凄いな!ルーガル!」
「放て!」

兵士達は大砲を無数のぶっ放す。
しかし、2人は武器を振りかざし弾を全て叩っ斬ると斬撃で大砲をも全て破壊した。
兵士達はビビって逃げて行く。

「思い知ったか!」
「我輩達名コンビに敵うものか!」

パワーアップした2人の名コンビっぷりは流石である。

「動物化(ビースト)!」

コハクは叫ぶと飛び上がると身体が変化していき忽ち虎の姿に変わる。スーツは着たままだが、体つきが虎になり四つん這いで爪を生やし尻尾は鉄製のワイヤーの鉤突きの武装が追加されてマスクは虎の様な物に変わり牙が生えた。しかし、身体の大きさは変わらないが…

「ガオッ!」

コハクは雄叫びをあげた。

「な、何だこいつらは!?」
「ガオッ!」

コハクは爪を伸ばし斬りかかってくる兵士達を蹴散らしていく。

「貴様!」

カキンッ!

コハクのマスクが牙を伸ばし兵士の剣にまさか噛みつきそのまま振り回し他の兵士達へ投げ飛ばした。
投げ飛ばされた兵士に激突された兵士達はボーリングのピンみたいに吹っ飛ばされた。

「獣人化(ワービースト)!」

コハクは虎のガタイのまま立ち上がると上半身が筋肉質で下半身も逞しくなりマスクもプロレスみたいになってる。

「ガオッ!行くぞ!」

コハクは地面を殴ると地割れを起こし兵士達をその地割れに落として行く。
向かって来た兵士達を片手でぶん投げては素早い動きで後ろを取り殴っては吹っ飛ばす、獣人化は格闘形態でパワーが跳ね上がる。
獣化は虎の姿になりそのまま野生のパワー全開で敵を素早い動きで翻弄し爪や牙を使い戦う俊敏形態である。

「トドメと行くか!」

コハクは元の姿に戻ると剣に勇者石をはめ込みグリップを引き。さらに左につけたトリケラキャノンも同時に技を放つ。

「くらえ!」

コハクはジャンプし空中で回転しながら剣を振りかざし水の刃を放つと兵士達に当たり大爆発を起こすと水の柱が上がり兵士達は空中へ上がると着地したコハクのトリケラキャノンからトリケラトプスの巨大なエネルギー砲が放たれ上空の兵士達を一網打尽にした。
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