120 / 164
第119話 カジノの街
しおりを挟む
次の朝
ベルと信道が一晩かけてエンジンを応急修理をしてくれたおかげで涼達は海を渡る事が出来る。
「グガァァァ~」
ベルは信道の背中で爆睡中。
「子供だな…」
「実際ベルちゃんは子供ですけどね」
「嬢ちゃん遅くまで頑張っていたからな」
「のぶさんも休んでくれ」
「ああ、そうするわ。俺は嬢ちゃんと治療室のベットで寝てるわ~またな~」
信道も流石に疲れたのかあくびをするとベルを背負ったままその場を後にした。
「操縦出来るのか?」
「まあな。ベルに頼んでこの操縦桿も取り付けた!」
「は?オイ…ゲームのコントローラーじゃん」
「コントローラ?」
「気にすんなアリシア。」
まあ、こいつらに車やら戦艦の運転なんかまず出来ないしな。
ゲームなら…か…
ゲーム感覚は否めないが、動かせるならいいか。
実際、特撮にも紐引っ張って操縦した奴いたし。
和樹はコントローラを操作するとエンジンがかかり勢いよくもとい凄い五月蝿い音が響く。
「あれ?こんな五月蝿い音してたか?」
「応急修理だからな。仕方ないだろ!」
あり合わせの部品じゃ仕方ないか。
しかし、よくエンジンを動かすまでいじれたな。
やっぱベルは天才だなマジで。
「よし、発進だ!」
和樹はそう言うとボタンを押すとスターダムオリオン号は前に進み始めた。
「おお!動いたぞ!」
「だが、あくまでも応急処置にすぎないからな。陸地に着いたらこいつを隠して部品を調達しないとな!」
ここは魔王軍のテリトリーの魔界だからな一様は。
何とかして修理しないといけないな。
「陸地までどれくらいかかる?」
「ざっと50キロだからな。昼過ぎには何とかつかないとな」
「うーむ変じゃないか?」
「何がだよカイエン?」
「あの斑鳩が魔王とグルなら俺達が魔界に向かった事も知ってるはずだろ?」
あ、確かにそうだよな。
「だが、全然出会さないのは何でだ?」
「確かに魔界に俺達を来た事はきっと連中の耳にも入ってる筈だ、でも兵士1人見当たらないよな?」
「確かにおかしいですよね?」
「我輩達に恐れをなしたのでは?」
いや、それは絶対にないだろ!
恐れなしたなら最初から喧嘩をうってこないだろ。
「思うによ、ここには奴等いないんじゃないか?」
「何が言いたいんだよカイエン?」
「要するに、奴等は此処に基地は愚か城すら立てておらず人任せって事さ!」
「つまり何ですぞカイエン殿??」
「奴等にとっちゃ此処は言わば取り尽くした炭鉱跡地って奴じゃないかって話だ!」
そうか、奴等が襲って来ないのは自分達のテリトリーに俺達が入ってないからか!
カイエンの言う通りかもしれない。
此処はかつて魔石が取れた大陸だった、しかし、取り尽くし此処に核実験場を作ったが爆発して放射線まみれだから奴等は汚染を恐れてこの辺りには奴らの基地や拠点はない。ていう事か。
「でだ、人任せってのは此処いら一体を仕切っているのはその間藤って異世界人だけって事だろ?つまりだヤバイ敷地をわざわざ自分達が占領する必要がないから都合がいい奴に任せてるんだきっと!」
「用済みではあるが監視は必要って事か!」
「その監視は俺達を知らないから襲ってこないのさ。」
なるほどな。確かにそれなら話の合点が行くし、わざわざ放射線だらけの跡地を自分達が苦しい思いして監視する必要はないか。
「ていう事はその間藤って奴は核実験の関係者って事になりますね?」
「関係者なら対処法がわかっているから任せられるって事か!」
「何にしてもそんな危ない物を世にばらまく奴はほっとく訳にはいかないぜ!」
「それに其奴を取っ捕まえ戻る方法を吐かせないとならないからな!」
帰る手がかりは魔人族の技術しかない。
関係者ならきっと何か知ってるはずだ!
「皆さんとりあえずご飯にしませんか?」
リアがおにぎりを持って来た。
この異世界にも米があるから凄いよな。
のぶさんが予め沢山用意してくれたのだ。
今ある食料だと、頑張っても3日、水は幸いタンクに穴はなかったからシャワーに使っても何とか2週間は持つ。
しかし、戻れない以上はこの魔界で調達しながら進むしかないか。
「そうだな。食べてるウチにつくだろ」
涼はそう言うと手に取り頬張る。
「おにぎりか~懐かしな」
「ああ」
「ですね…」
3人は故郷と家族を思い出す。
自分達がいかに愚かな行いをし帰れなくなり家族に顔向けできないほどの罪を背負った事か。
しかし、仲間達がもう一度償うチャンスをくれた事を忘れない。忘れてはならない。
しばらくするとセンサーが反応し大きな音が鳴る。
「な、何だ?」
「陸地だな!」
和樹は自動操縦を解除するとコントローラを再び握る。
「ふあ~何でありますか~」
「敵襲か?」
寝ぼけた顔のベルが入って来た。
あくびをしながら信道も来た。たくだらしないんだから。
「いえ、西の陸地についたんですよ!」
「着いたでありますか!?」
「やったな!」
「でも飛べないから陸には歩いていくしかないぞ」
船の飛行ユニットは木っ端微塵にバラバラになってしまって飛べないのだ現在。
「でもこの先の村は確か…」
「飢えた人で溢れてんだよな?」
「空から飛んで行くか?」
「いや、待てや」
信道が待ったをかける。
「皆んな、悪いけど一食断食する覚悟を頼めないか?俺…」
「いいに決まってるだろ!」
「涼…」
「のぶさんならそう言うと思ってたよ。ほっとけないんだろ?」
信道はあの飢えていた人達をほっとく事が出来ない。食べ物がないほど飢えるなんてよほどの事だ。
「まあ、信道なら言うと思ったわ」
「のぶは意外に素直じゃないからな」
「同感」
「のぶさんは優しいですからね」
「良ければ我輩の尻尾も使って下され!」
「それは要らない」
「なんですとー!」
きっぱり断る信道に笑う仲間達。
「師匠!俺も同じ気持ちです!」
「のぶさんのご飯は美味しいですから」
「食べさせてあげましょう信道さん」
「お前ら…」
話してるウチに陸地がはっきり見えて来た。
船を海岸へ寄せる。
「よし、チームを分けよう!のぶさん達は村の人達に炊き出しを持って行くチーム。俺達はポーカーシティへ向かう。残りは船を守ってくれ!」
チーム分けは涼、カイエン、アリシア、和樹が間藤ジンのいるポーカーシティへ向かうAチーム。
外れの村の人達に炊き出しを持っていく、Bチームは信道、海斗、リア、コハク、残りの愛、ルーガル、ベルは船で留守番だ。
「こら涼!俺を連れてけティラ!」
格納庫からルビティラがコックピットへ入って来た。
「気持ちはありがたいが、飛べる奴じゃなきゃ迎えないだろ!」
「俺は飛べるティラよ!!」
「ルビティラはそれ以上小さくなれないだろ?」
「嫌だ行くティラ!!」
駄々をこねるルビティラ。
「お前は目立ちすぎるんだよルビティラ!」
「わかってくれルビティラ!」
「嫌だティラ!!」
「たく、頭でっかちだなお前は!」
「いいじゃないルビティラちゃん私の護衛って事で来なさい!」
「姫!!大好きティラ!」
ルビティラはアリシアに擦り寄る。
「くすぐったいよルビティラちゃん!」
「ティラ!」
「マジで連れていくのかよ!?」
「ルビティラちゃん確かに飛べる様になったもの!それに居た方がいざって時頼もしいわ!」
「そーだそーだティラ!」
ブーイングすんなよ!全く。
「これは命令です!」
「こんな時だけお姫様かよ!!」
「私お姫様です!」
仰る通りです。
「涼…諦めよう。姫さまはテコでも動かないぞ」
「こうなると姫は頑固だからな」
「しゃあないか、ルビティラ。しっかりアリシアを護衛すんだぞ!」
「オウ!任せとけティラ!」
話が纏まり海岸へ降り立つ涼達。
ルビティラは身体を少しだけ大きくすると4人を背に乗せルビティラ・ベリルに変わると肩のキャノン砲の下からバーナーから火が吹き出すと飛び上がる。
「本当に飛んでるな!」
「コックピットに入りゃいいだろ?」
「この方が気持ちいいティラ!」
「いやどうでもいいがよ熱いんだけどよコレ!」
左右のバーナーの熱がもろに当たるカイエン。
「じゃあ、行って来まーす!」
「留守番はお任せでありますよ!」
「ご武運を!」
「先生!気をつけて!」
ルビティラは身体を伸ばすとバーナーを更に加速させ飛んで行った。
「いやだから熱いんだよ!俺は!!」
カイエンは熱さに耐えられず声を上げた。
誰か場所変われよ!!
「大丈夫でしょうか?」
「さあ?」
「まあ、涼だ。何とかするだろ。さあ俺達も行くぞ!」
「「はい!」」
信道達も難民達の村へ出発する。
荷車に大量の食材を乗せて。
しばらくルビティラに乗っている涼達。
もうすっかり夕方になってしまった。
「しかし、まだ着かないのか?」
「もう暗くなって来 きたわよ」
「一様食料と水は持って来たが、野宿はな~」
「なーに火なら魔宝術があるし何とかなるさ」
「何でもいいけどよ…だから熱いんだよ!マジで!」
カイエン五月蝿いティラ。
何だとこの野郎!!
回想シーンで喧嘩しないの!!
「ん?涼。」
「どしたよ?」
「何かやたらと明るいティラよ!」
「はあ?明るい?」
ルビティラの言った事が直ぐにわかった。
涼達の目の前に広がるは、何とカジノ街だった。
「は?カジノ街??」
「明るいわね」
「カジノ街は眠らない街だからな」
「いやそこじゃないだろ。何でこんな所にカジノ街があるかって話だろ??」
涼達は訳がわからないまま、とりあえず着陸しルビティラも小さくなる。しかし涼達と近い背丈だが。ルビティラはこれ以上は小さくなれないのだ。
「ルビティラとりあえずこれ羽織っとけ」
カイエンはルビティラにランチクロスを被せた。ルビティラは大きいため丁度いいのだ。
「行きましょう!」
アリシア達はカジノ街の検問のゲートに向かう。
「なあ、この街は?」
「ここは夢を掴む場所!ポーカーシティでございます!」
タキシードを来たガードマンらしき男が答えた。
ポーカーシティはこの街か!?
何か随分と豊かって言うか金持ちばっかりの感じって言うか…まるでラスベガスだな。
「入場料をお願いします!」
「は?入るだけで金かかるのか!?」
「はい、1人20万ゴールドです!」
「は?ゴールド??」
ガネットの世界と通貨が違う為意味が解らない涼達。
「涼、1人20万円って事じゃないか?多分…」
「なるほどなって…20万だと!?ふざけんな!!」
涼は声を上げた。
「でしたら…お引き取り下さい!」
ガードマンは笑いながら何と銃を取り出し涼の頭に当てる。
「ひぃ!?」
「涼ここは一旦!」
「離れよう!」
「し、失礼しました!」
「ティラ!」
ルビティラは涼を加えて走り出し。
アリシア達も続く。4人と1匹は取り敢えず薮の中へ消えた。
ガードマンの男が懐に銃をしまうと無線機を取り出した。
「こちら。正門。ジン様、見知らぬ奴です」
無線から聞こえるガードマンの声。
その声が響く闇の中で不気味に笑う笑み。
間藤ジンが葉巻を加えながら椅子に座り踏ん反り返るのだった。
追い出された涼達は薮の中で作成会議。
「さてと、どうやってあのマッチョをかいくぐり中に入るかだが」
「強行突破するか?」
「駄目よ。被害が出るわよ!」
「空から入るティラ!」
「あれだけ明るいいと直ぐに見つかるだろ!」
確かに昼間みたいに明るいからな~
「よし、コレを使う!:
カイエンは人口宝石を取り出す。
「ステルス宝石か!!」
「確かにそれならバレずに入れる、」
「でも10秒しかないのよ。オマケに連続使用が効かないし何よりパワー直ぐ減るから下手には使えないわよ」
「でも、コレを使うのがベストな作成だ」
ステルス宝石は10秒だけ使用者の身体を光学迷彩化させ見えなくする人口宝石だ。
しかし、問題はルビティラだ。
ステルス宝石は1人につき一個1人しか使えずおまけにエネルギーが激しいから連続での使用に向かない上にルビティラにはかけられない。
「ルビティラちゃんには…」
「かけらないからな…」
「ルビティラ。お前はここにいろ!」
「えー!ここまで来てないティラよ!」
「えーじゃない!仕方ないだろ!コレは範囲型じゃないんだから!」
「カイエンが作ったティラ!何とかしろティラ!」
分からず屋だなこいつ!!
「要は見えなければいいのよね?」
「まあな」
「だったらコレよ!」
アリシアは人口宝石を取り出す。
「よし今だ!」
涼達はステルス宝石を取り出し剣にはめ込みグリップを引いた。
「「「「ステルス宝石!」」」」
4人の姿が見えなくなった。
4人は急いで入り口の門を通り抜けると建物の影に飛び込む。
ギリギリ時間切れになり4人の姿が戻った。
「上手くいったな!」
「これで暫くは使えないか…」
「ルビティラは?」
「大丈夫よ!」
「ここティラよ!」
姿は無いが声は聞こえる。
よーく見るとルビティラの輪郭がはっきり見える様になってきた。
よく見たら背景を投影している。これは…鏡か!
「鏡宝石(カガミジュエル)よ!」
鏡宝石はアリシアが作った人口宝石で指定した対象を一時的鏡の様に出来るのだ。
アリシアが朝の手入れで髪を弄る際に使うのだ。
鏡ない場所もあるからだ。
「なるほどな!鏡になれば全身が周りを写すから周囲に擬態して溶け込んだ訳か!」
「血の通った生き物には使えないけど。宝石獣なら大丈夫なのよ!」
姫様賢い。
ベルと信道が一晩かけてエンジンを応急修理をしてくれたおかげで涼達は海を渡る事が出来る。
「グガァァァ~」
ベルは信道の背中で爆睡中。
「子供だな…」
「実際ベルちゃんは子供ですけどね」
「嬢ちゃん遅くまで頑張っていたからな」
「のぶさんも休んでくれ」
「ああ、そうするわ。俺は嬢ちゃんと治療室のベットで寝てるわ~またな~」
信道も流石に疲れたのかあくびをするとベルを背負ったままその場を後にした。
「操縦出来るのか?」
「まあな。ベルに頼んでこの操縦桿も取り付けた!」
「は?オイ…ゲームのコントローラーじゃん」
「コントローラ?」
「気にすんなアリシア。」
まあ、こいつらに車やら戦艦の運転なんかまず出来ないしな。
ゲームなら…か…
ゲーム感覚は否めないが、動かせるならいいか。
実際、特撮にも紐引っ張って操縦した奴いたし。
和樹はコントローラを操作するとエンジンがかかり勢いよくもとい凄い五月蝿い音が響く。
「あれ?こんな五月蝿い音してたか?」
「応急修理だからな。仕方ないだろ!」
あり合わせの部品じゃ仕方ないか。
しかし、よくエンジンを動かすまでいじれたな。
やっぱベルは天才だなマジで。
「よし、発進だ!」
和樹はそう言うとボタンを押すとスターダムオリオン号は前に進み始めた。
「おお!動いたぞ!」
「だが、あくまでも応急処置にすぎないからな。陸地に着いたらこいつを隠して部品を調達しないとな!」
ここは魔王軍のテリトリーの魔界だからな一様は。
何とかして修理しないといけないな。
「陸地までどれくらいかかる?」
「ざっと50キロだからな。昼過ぎには何とかつかないとな」
「うーむ変じゃないか?」
「何がだよカイエン?」
「あの斑鳩が魔王とグルなら俺達が魔界に向かった事も知ってるはずだろ?」
あ、確かにそうだよな。
「だが、全然出会さないのは何でだ?」
「確かに魔界に俺達を来た事はきっと連中の耳にも入ってる筈だ、でも兵士1人見当たらないよな?」
「確かにおかしいですよね?」
「我輩達に恐れをなしたのでは?」
いや、それは絶対にないだろ!
恐れなしたなら最初から喧嘩をうってこないだろ。
「思うによ、ここには奴等いないんじゃないか?」
「何が言いたいんだよカイエン?」
「要するに、奴等は此処に基地は愚か城すら立てておらず人任せって事さ!」
「つまり何ですぞカイエン殿??」
「奴等にとっちゃ此処は言わば取り尽くした炭鉱跡地って奴じゃないかって話だ!」
そうか、奴等が襲って来ないのは自分達のテリトリーに俺達が入ってないからか!
カイエンの言う通りかもしれない。
此処はかつて魔石が取れた大陸だった、しかし、取り尽くし此処に核実験場を作ったが爆発して放射線まみれだから奴等は汚染を恐れてこの辺りには奴らの基地や拠点はない。ていう事か。
「でだ、人任せってのは此処いら一体を仕切っているのはその間藤って異世界人だけって事だろ?つまりだヤバイ敷地をわざわざ自分達が占領する必要がないから都合がいい奴に任せてるんだきっと!」
「用済みではあるが監視は必要って事か!」
「その監視は俺達を知らないから襲ってこないのさ。」
なるほどな。確かにそれなら話の合点が行くし、わざわざ放射線だらけの跡地を自分達が苦しい思いして監視する必要はないか。
「ていう事はその間藤って奴は核実験の関係者って事になりますね?」
「関係者なら対処法がわかっているから任せられるって事か!」
「何にしてもそんな危ない物を世にばらまく奴はほっとく訳にはいかないぜ!」
「それに其奴を取っ捕まえ戻る方法を吐かせないとならないからな!」
帰る手がかりは魔人族の技術しかない。
関係者ならきっと何か知ってるはずだ!
「皆さんとりあえずご飯にしませんか?」
リアがおにぎりを持って来た。
この異世界にも米があるから凄いよな。
のぶさんが予め沢山用意してくれたのだ。
今ある食料だと、頑張っても3日、水は幸いタンクに穴はなかったからシャワーに使っても何とか2週間は持つ。
しかし、戻れない以上はこの魔界で調達しながら進むしかないか。
「そうだな。食べてるウチにつくだろ」
涼はそう言うと手に取り頬張る。
「おにぎりか~懐かしな」
「ああ」
「ですね…」
3人は故郷と家族を思い出す。
自分達がいかに愚かな行いをし帰れなくなり家族に顔向けできないほどの罪を背負った事か。
しかし、仲間達がもう一度償うチャンスをくれた事を忘れない。忘れてはならない。
しばらくするとセンサーが反応し大きな音が鳴る。
「な、何だ?」
「陸地だな!」
和樹は自動操縦を解除するとコントローラを再び握る。
「ふあ~何でありますか~」
「敵襲か?」
寝ぼけた顔のベルが入って来た。
あくびをしながら信道も来た。たくだらしないんだから。
「いえ、西の陸地についたんですよ!」
「着いたでありますか!?」
「やったな!」
「でも飛べないから陸には歩いていくしかないぞ」
船の飛行ユニットは木っ端微塵にバラバラになってしまって飛べないのだ現在。
「でもこの先の村は確か…」
「飢えた人で溢れてんだよな?」
「空から飛んで行くか?」
「いや、待てや」
信道が待ったをかける。
「皆んな、悪いけど一食断食する覚悟を頼めないか?俺…」
「いいに決まってるだろ!」
「涼…」
「のぶさんならそう言うと思ってたよ。ほっとけないんだろ?」
信道はあの飢えていた人達をほっとく事が出来ない。食べ物がないほど飢えるなんてよほどの事だ。
「まあ、信道なら言うと思ったわ」
「のぶは意外に素直じゃないからな」
「同感」
「のぶさんは優しいですからね」
「良ければ我輩の尻尾も使って下され!」
「それは要らない」
「なんですとー!」
きっぱり断る信道に笑う仲間達。
「師匠!俺も同じ気持ちです!」
「のぶさんのご飯は美味しいですから」
「食べさせてあげましょう信道さん」
「お前ら…」
話してるウチに陸地がはっきり見えて来た。
船を海岸へ寄せる。
「よし、チームを分けよう!のぶさん達は村の人達に炊き出しを持って行くチーム。俺達はポーカーシティへ向かう。残りは船を守ってくれ!」
チーム分けは涼、カイエン、アリシア、和樹が間藤ジンのいるポーカーシティへ向かうAチーム。
外れの村の人達に炊き出しを持っていく、Bチームは信道、海斗、リア、コハク、残りの愛、ルーガル、ベルは船で留守番だ。
「こら涼!俺を連れてけティラ!」
格納庫からルビティラがコックピットへ入って来た。
「気持ちはありがたいが、飛べる奴じゃなきゃ迎えないだろ!」
「俺は飛べるティラよ!!」
「ルビティラはそれ以上小さくなれないだろ?」
「嫌だ行くティラ!!」
駄々をこねるルビティラ。
「お前は目立ちすぎるんだよルビティラ!」
「わかってくれルビティラ!」
「嫌だティラ!!」
「たく、頭でっかちだなお前は!」
「いいじゃないルビティラちゃん私の護衛って事で来なさい!」
「姫!!大好きティラ!」
ルビティラはアリシアに擦り寄る。
「くすぐったいよルビティラちゃん!」
「ティラ!」
「マジで連れていくのかよ!?」
「ルビティラちゃん確かに飛べる様になったもの!それに居た方がいざって時頼もしいわ!」
「そーだそーだティラ!」
ブーイングすんなよ!全く。
「これは命令です!」
「こんな時だけお姫様かよ!!」
「私お姫様です!」
仰る通りです。
「涼…諦めよう。姫さまはテコでも動かないぞ」
「こうなると姫は頑固だからな」
「しゃあないか、ルビティラ。しっかりアリシアを護衛すんだぞ!」
「オウ!任せとけティラ!」
話が纏まり海岸へ降り立つ涼達。
ルビティラは身体を少しだけ大きくすると4人を背に乗せルビティラ・ベリルに変わると肩のキャノン砲の下からバーナーから火が吹き出すと飛び上がる。
「本当に飛んでるな!」
「コックピットに入りゃいいだろ?」
「この方が気持ちいいティラ!」
「いやどうでもいいがよ熱いんだけどよコレ!」
左右のバーナーの熱がもろに当たるカイエン。
「じゃあ、行って来まーす!」
「留守番はお任せでありますよ!」
「ご武運を!」
「先生!気をつけて!」
ルビティラは身体を伸ばすとバーナーを更に加速させ飛んで行った。
「いやだから熱いんだよ!俺は!!」
カイエンは熱さに耐えられず声を上げた。
誰か場所変われよ!!
「大丈夫でしょうか?」
「さあ?」
「まあ、涼だ。何とかするだろ。さあ俺達も行くぞ!」
「「はい!」」
信道達も難民達の村へ出発する。
荷車に大量の食材を乗せて。
しばらくルビティラに乗っている涼達。
もうすっかり夕方になってしまった。
「しかし、まだ着かないのか?」
「もう暗くなって来 きたわよ」
「一様食料と水は持って来たが、野宿はな~」
「なーに火なら魔宝術があるし何とかなるさ」
「何でもいいけどよ…だから熱いんだよ!マジで!」
カイエン五月蝿いティラ。
何だとこの野郎!!
回想シーンで喧嘩しないの!!
「ん?涼。」
「どしたよ?」
「何かやたらと明るいティラよ!」
「はあ?明るい?」
ルビティラの言った事が直ぐにわかった。
涼達の目の前に広がるは、何とカジノ街だった。
「は?カジノ街??」
「明るいわね」
「カジノ街は眠らない街だからな」
「いやそこじゃないだろ。何でこんな所にカジノ街があるかって話だろ??」
涼達は訳がわからないまま、とりあえず着陸しルビティラも小さくなる。しかし涼達と近い背丈だが。ルビティラはこれ以上は小さくなれないのだ。
「ルビティラとりあえずこれ羽織っとけ」
カイエンはルビティラにランチクロスを被せた。ルビティラは大きいため丁度いいのだ。
「行きましょう!」
アリシア達はカジノ街の検問のゲートに向かう。
「なあ、この街は?」
「ここは夢を掴む場所!ポーカーシティでございます!」
タキシードを来たガードマンらしき男が答えた。
ポーカーシティはこの街か!?
何か随分と豊かって言うか金持ちばっかりの感じって言うか…まるでラスベガスだな。
「入場料をお願いします!」
「は?入るだけで金かかるのか!?」
「はい、1人20万ゴールドです!」
「は?ゴールド??」
ガネットの世界と通貨が違う為意味が解らない涼達。
「涼、1人20万円って事じゃないか?多分…」
「なるほどなって…20万だと!?ふざけんな!!」
涼は声を上げた。
「でしたら…お引き取り下さい!」
ガードマンは笑いながら何と銃を取り出し涼の頭に当てる。
「ひぃ!?」
「涼ここは一旦!」
「離れよう!」
「し、失礼しました!」
「ティラ!」
ルビティラは涼を加えて走り出し。
アリシア達も続く。4人と1匹は取り敢えず薮の中へ消えた。
ガードマンの男が懐に銃をしまうと無線機を取り出した。
「こちら。正門。ジン様、見知らぬ奴です」
無線から聞こえるガードマンの声。
その声が響く闇の中で不気味に笑う笑み。
間藤ジンが葉巻を加えながら椅子に座り踏ん反り返るのだった。
追い出された涼達は薮の中で作成会議。
「さてと、どうやってあのマッチョをかいくぐり中に入るかだが」
「強行突破するか?」
「駄目よ。被害が出るわよ!」
「空から入るティラ!」
「あれだけ明るいいと直ぐに見つかるだろ!」
確かに昼間みたいに明るいからな~
「よし、コレを使う!:
カイエンは人口宝石を取り出す。
「ステルス宝石か!!」
「確かにそれならバレずに入れる、」
「でも10秒しかないのよ。オマケに連続使用が効かないし何よりパワー直ぐ減るから下手には使えないわよ」
「でも、コレを使うのがベストな作成だ」
ステルス宝石は10秒だけ使用者の身体を光学迷彩化させ見えなくする人口宝石だ。
しかし、問題はルビティラだ。
ステルス宝石は1人につき一個1人しか使えずおまけにエネルギーが激しいから連続での使用に向かない上にルビティラにはかけられない。
「ルビティラちゃんには…」
「かけらないからな…」
「ルビティラ。お前はここにいろ!」
「えー!ここまで来てないティラよ!」
「えーじゃない!仕方ないだろ!コレは範囲型じゃないんだから!」
「カイエンが作ったティラ!何とかしろティラ!」
分からず屋だなこいつ!!
「要は見えなければいいのよね?」
「まあな」
「だったらコレよ!」
アリシアは人口宝石を取り出す。
「よし今だ!」
涼達はステルス宝石を取り出し剣にはめ込みグリップを引いた。
「「「「ステルス宝石!」」」」
4人の姿が見えなくなった。
4人は急いで入り口の門を通り抜けると建物の影に飛び込む。
ギリギリ時間切れになり4人の姿が戻った。
「上手くいったな!」
「これで暫くは使えないか…」
「ルビティラは?」
「大丈夫よ!」
「ここティラよ!」
姿は無いが声は聞こえる。
よーく見るとルビティラの輪郭がはっきり見える様になってきた。
よく見たら背景を投影している。これは…鏡か!
「鏡宝石(カガミジュエル)よ!」
鏡宝石はアリシアが作った人口宝石で指定した対象を一時的鏡の様に出来るのだ。
アリシアが朝の手入れで髪を弄る際に使うのだ。
鏡ない場所もあるからだ。
「なるほどな!鏡になれば全身が周りを写すから周囲に擬態して溶け込んだ訳か!」
「血の通った生き物には使えないけど。宝石獣なら大丈夫なのよ!」
姫様賢い。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説


クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。

~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。
破滅の女神
ファンタジー
18歳の誕生日…先月死んだ、おじぃちゃんから1冊の本が届いた。
小さい頃の思い出で1ページ目に『この本は異世界冒険記、あなたの物語です。』と書かれてるだけで後は真っ白だった本だと思い出す。
本の表紙にはドラゴンが描かれており、指輪が付属されていた。
お遊び気分で指輪をはめて本を開くと、そこには2ページ目に短い文章が書き加えられていた。
その文章とは『さぁ、あなたの物語の始まりです。』と…。
次の瞬間、僕は気を失い、異世界冒険の旅が始まったのだった…。
本作品は『カクヨム』で掲載している物を『アルファポリス』用に少しだけ修正した物となります。

転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件
月風レイ
ファンタジー
普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。
そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。
そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。
そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。
そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。
食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。
不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。
大修正中!今週中に修正終え更新していきます!
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる