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第119話 カジノの街

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次の朝
ベルと信道が一晩かけてエンジンを応急修理をしてくれたおかげで涼達は海を渡る事が出来る。

「グガァァァ~」

ベルは信道の背中で爆睡中。

「子供だな…」
「実際ベルちゃんは子供ですけどね」
「嬢ちゃん遅くまで頑張っていたからな」
「のぶさんも休んでくれ」
「ああ、そうするわ。俺は嬢ちゃんと治療室のベットで寝てるわ~またな~」

信道も流石に疲れたのかあくびをするとベルを背負ったままその場を後にした。

「操縦出来るのか?」
「まあな。ベルに頼んでこの操縦桿も取り付けた!」
「は?オイ…ゲームのコントローラーじゃん」
「コントローラ?」
「気にすんなアリシア。」

まあ、こいつらに車やら戦艦の運転なんかまず出来ないしな。
ゲームなら…か…
ゲーム感覚は否めないが、動かせるならいいか。
実際、特撮にも紐引っ張って操縦した奴いたし。
和樹はコントローラを操作するとエンジンがかかり勢いよくもとい凄い五月蝿い音が響く。

「あれ?こんな五月蝿い音してたか?」
「応急修理だからな。仕方ないだろ!」

あり合わせの部品じゃ仕方ないか。
しかし、よくエンジンを動かすまでいじれたな。
やっぱベルは天才だなマジで。

「よし、発進だ!」

和樹はそう言うとボタンを押すとスターダムオリオン号は前に進み始めた。

「おお!動いたぞ!」
「だが、あくまでも応急処置にすぎないからな。陸地に着いたらこいつを隠して部品を調達しないとな!」

ここは魔王軍のテリトリーの魔界だからな一様は。
何とかして修理しないといけないな。

「陸地までどれくらいかかる?」
「ざっと50キロだからな。昼過ぎには何とかつかないとな」
「うーむ変じゃないか?」
「何がだよカイエン?」
「あの斑鳩が魔王とグルなら俺達が魔界に向かった事も知ってるはずだろ?」

あ、確かにそうだよな。

「だが、全然出会さないのは何でだ?」
「確かに魔界に俺達を来た事はきっと連中の耳にも入ってる筈だ、でも兵士1人見当たらないよな?」
「確かにおかしいですよね?」
「我輩達に恐れをなしたのでは?」

いや、それは絶対にないだろ!
恐れなしたなら最初から喧嘩をうってこないだろ。

「思うによ、ここには奴等いないんじゃないか?」
「何が言いたいんだよカイエン?」
「要するに、奴等は此処に基地は愚か城すら立てておらず人任せって事さ!」
「つまり何ですぞカイエン殿??」
「奴等にとっちゃ此処は言わば取り尽くした炭鉱跡地って奴じゃないかって話だ!」

そうか、奴等が襲って来ないのは自分達のテリトリーに俺達が入ってないからか!
カイエンの言う通りかもしれない。
此処はかつて魔石が取れた大陸だった、しかし、取り尽くし此処に核実験場を作ったが爆発して放射線まみれだから奴等は汚染を恐れてこの辺りには奴らの基地や拠点はない。ていう事か。

「でだ、人任せってのは此処いら一体を仕切っているのはその間藤って異世界人だけって事だろ?つまりだヤバイ敷地をわざわざ自分達が占領する必要がないから都合がいい奴に任せてるんだきっと!」
「用済みではあるが監視は必要って事か!」
「その監視は俺達を知らないから襲ってこないのさ。」

なるほどな。確かにそれなら話の合点が行くし、わざわざ放射線だらけの跡地を自分達が苦しい思いして監視する必要はないか。
 
「ていう事はその間藤って奴は核実験の関係者って事になりますね?」
「関係者なら対処法がわかっているから任せられるって事か!」
「何にしてもそんな危ない物を世にばらまく奴はほっとく訳にはいかないぜ!」
「それに其奴を取っ捕まえ戻る方法を吐かせないとならないからな!」

帰る手がかりは魔人族の技術しかない。
関係者ならきっと何か知ってるはずだ!

「皆さんとりあえずご飯にしませんか?」

リアがおにぎりを持って来た。
この異世界にも米があるから凄いよな。
のぶさんが予め沢山用意してくれたのだ。
今ある食料だと、頑張っても3日、水は幸いタンクに穴はなかったからシャワーに使っても何とか2週間は持つ。
しかし、戻れない以上はこの魔界で調達しながら進むしかないか。

「そうだな。食べてるウチにつくだろ」

涼はそう言うと手に取り頬張る。

「おにぎりか~懐かしな」
「ああ」
「ですね…」

3人は故郷と家族を思い出す。
自分達がいかに愚かな行いをし帰れなくなり家族に顔向けできないほどの罪を背負った事か。
しかし、仲間達がもう一度償うチャンスをくれた事を忘れない。忘れてはならない。


しばらくするとセンサーが反応し大きな音が鳴る。

「な、何だ?」
「陸地だな!」

和樹は自動操縦を解除するとコントローラを再び握る。

「ふあ~何でありますか~」
「敵襲か?」

寝ぼけた顔のベルが入って来た。
あくびをしながら信道も来た。たくだらしないんだから。

「いえ、西の陸地についたんですよ!」
「着いたでありますか!?」
「やったな!」
「でも飛べないから陸には歩いていくしかないぞ」

船の飛行ユニットは木っ端微塵にバラバラになってしまって飛べないのだ現在。

「でもこの先の村は確か…」
「飢えた人で溢れてんだよな?」
「空から飛んで行くか?」
「いや、待てや」

信道が待ったをかける。

「皆んな、悪いけど一食断食する覚悟を頼めないか?俺…」
「いいに決まってるだろ!」
「涼…」
「のぶさんならそう言うと思ってたよ。ほっとけないんだろ?」

信道はあの飢えていた人達をほっとく事が出来ない。食べ物がないほど飢えるなんてよほどの事だ。

「まあ、信道なら言うと思ったわ」
「のぶは意外に素直じゃないからな」
「同感」
「のぶさんは優しいですからね」
「良ければ我輩の尻尾も使って下され!」
「それは要らない」
「なんですとー!」

きっぱり断る信道に笑う仲間達。

「師匠!俺も同じ気持ちです!」
「のぶさんのご飯は美味しいですから」
「食べさせてあげましょう信道さん」
「お前ら…」

話してるウチに陸地がはっきり見えて来た。
船を海岸へ寄せる。


「よし、チームを分けよう!のぶさん達は村の人達に炊き出しを持って行くチーム。俺達はポーカーシティへ向かう。残りは船を守ってくれ!」

チーム分けは涼、カイエン、アリシア、和樹が間藤ジンのいるポーカーシティへ向かうAチーム。
外れの村の人達に炊き出しを持っていく、Bチームは信道、海斗、リア、コハク、残りの愛、ルーガル、ベルは船で留守番だ。

「こら涼!俺を連れてけティラ!」

格納庫からルビティラがコックピットへ入って来た。
「気持ちはありがたいが、飛べる奴じゃなきゃ迎えないだろ!」
「俺は飛べるティラよ!!」
「ルビティラはそれ以上小さくなれないだろ?」
「嫌だ行くティラ!!」

駄々をこねるルビティラ。

「お前は目立ちすぎるんだよルビティラ!」
「わかってくれルビティラ!」
「嫌だティラ!!」
「たく、頭でっかちだなお前は!」
「いいじゃないルビティラちゃん私の護衛って事で来なさい!」
「姫!!大好きティラ!」

ルビティラはアリシアに擦り寄る。

「くすぐったいよルビティラちゃん!」
「ティラ!」
「マジで連れていくのかよ!?」
「ルビティラちゃん確かに飛べる様になったもの!それに居た方がいざって時頼もしいわ!」
「そーだそーだティラ!」

ブーイングすんなよ!全く。

「これは命令です!」
「こんな時だけお姫様かよ!!」
「私お姫様です!」

仰る通りです。

「涼…諦めよう。姫さまはテコでも動かないぞ」
「こうなると姫は頑固だからな」
「しゃあないか、ルビティラ。しっかりアリシアを護衛すんだぞ!」
「オウ!任せとけティラ!」

話が纏まり海岸へ降り立つ涼達。
ルビティラは身体を少しだけ大きくすると4人を背に乗せルビティラ・ベリルに変わると肩のキャノン砲の下からバーナーから火が吹き出すと飛び上がる。

「本当に飛んでるな!」
「コックピットに入りゃいいだろ?」
「この方が気持ちいいティラ!」
「いやどうでもいいがよ熱いんだけどよコレ!」

左右のバーナーの熱がもろに当たるカイエン。

「じゃあ、行って来まーす!」
「留守番はお任せでありますよ!」
「ご武運を!」
「先生!気をつけて!」

ルビティラは身体を伸ばすとバーナーを更に加速させ飛んで行った。

「いやだから熱いんだよ!俺は!!」

カイエンは熱さに耐えられず声を上げた。
誰か場所変われよ!!


「大丈夫でしょうか?」
「さあ?」
「まあ、涼だ。何とかするだろ。さあ俺達も行くぞ!」
「「はい!」」

信道達も難民達の村へ出発する。
荷車に大量の食材を乗せて。


しばらくルビティラに乗っている涼達。
もうすっかり夕方になってしまった。

「しかし、まだ着かないのか?」
「もう暗くなって来 きたわよ」
「一様食料と水は持って来たが、野宿はな~」
「なーに火なら魔宝術があるし何とかなるさ」
「何でもいいけどよ…だから熱いんだよ!マジで!」

カイエン五月蝿いティラ。
何だとこの野郎!!
回想シーンで喧嘩しないの!!

「ん?涼。」
「どしたよ?」
「何かやたらと明るいティラよ!」
「はあ?明るい?」

ルビティラの言った事が直ぐにわかった。
涼達の目の前に広がるは、何とカジノ街だった。

「は?カジノ街??」
「明るいわね」
「カジノ街は眠らない街だからな」
「いやそこじゃないだろ。何でこんな所にカジノ街があるかって話だろ??」

涼達は訳がわからないまま、とりあえず着陸しルビティラも小さくなる。しかし涼達と近い背丈だが。ルビティラはこれ以上は小さくなれないのだ。

「ルビティラとりあえずこれ羽織っとけ」

カイエンはルビティラにランチクロスを被せた。ルビティラは大きいため丁度いいのだ。

「行きましょう!」

アリシア達はカジノ街の検問のゲートに向かう。

「なあ、この街は?」
「ここは夢を掴む場所!ポーカーシティでございます!」

タキシードを来たガードマンらしき男が答えた。
ポーカーシティはこの街か!?
何か随分と豊かって言うか金持ちばっかりの感じって言うか…まるでラスベガスだな。

「入場料をお願いします!」
「は?入るだけで金かかるのか!?」
「はい、1人20万ゴールドです!」
「は?ゴールド??」

ガネットの世界と通貨が違う為意味が解らない涼達。

「涼、1人20万円って事じゃないか?多分…」
「なるほどなって…20万だと!?ふざけんな!!」

涼は声を上げた。

「でしたら…お引き取り下さい!」

ガードマンは笑いながら何と銃を取り出し涼の頭に当てる。

「ひぃ!?」
「涼ここは一旦!」
「離れよう!」
「し、失礼しました!」
「ティラ!」

ルビティラは涼を加えて走り出し。
アリシア達も続く。4人と1匹は取り敢えず薮の中へ消えた。

ガードマンの男が懐に銃をしまうと無線機を取り出した。

「こちら。正門。ジン様、見知らぬ奴です」

無線から聞こえるガードマンの声。
その声が響く闇の中で不気味に笑う笑み。
間藤ジンが葉巻を加えながら椅子に座り踏ん反り返るのだった。


追い出された涼達は薮の中で作成会議。

「さてと、どうやってあのマッチョをかいくぐり中に入るかだが」
「強行突破するか?」
「駄目よ。被害が出るわよ!」
「空から入るティラ!」
「あれだけ明るいいと直ぐに見つかるだろ!」

確かに昼間みたいに明るいからな~

「よし、コレを使う!:

カイエンは人口宝石を取り出す。

「ステルス宝石か!!」
「確かにそれならバレずに入れる、」
「でも10秒しかないのよ。オマケに連続使用が効かないし何よりパワー直ぐ減るから下手には使えないわよ」
「でも、コレを使うのがベストな作成だ」

ステルス宝石は10秒だけ使用者の身体を光学迷彩化させ見えなくする人口宝石だ。
しかし、問題はルビティラだ。
ステルス宝石は1人につき一個1人しか使えずおまけにエネルギーが激しいから連続での使用に向かない上にルビティラにはかけられない。

「ルビティラちゃんには…」
「かけらないからな…」
「ルビティラ。お前はここにいろ!」
「えー!ここまで来てないティラよ!」
「えーじゃない!仕方ないだろ!コレは範囲型じゃないんだから!」
「カイエンが作ったティラ!何とかしろティラ!」

分からず屋だなこいつ!!

「要は見えなければいいのよね?」
「まあな」
「だったらコレよ!」

アリシアは人口宝石を取り出す。


「よし今だ!」

涼達はステルス宝石を取り出し剣にはめ込みグリップを引いた。

「「「「ステルス宝石!」」」」

4人の姿が見えなくなった。
4人は急いで入り口の門を通り抜けると建物の影に飛び込む。
ギリギリ時間切れになり4人の姿が戻った。

「上手くいったな!」
「これで暫くは使えないか…」
「ルビティラは?」
「大丈夫よ!」
「ここティラよ!」

姿は無いが声は聞こえる。
よーく見るとルビティラの輪郭がはっきり見える様になってきた。
よく見たら背景を投影している。これは…鏡か!

「鏡宝石(カガミジュエル)よ!」

鏡宝石はアリシアが作った人口宝石で指定した対象を一時的鏡の様に出来るのだ。
アリシアが朝の手入れで髪を弄る際に使うのだ。
鏡ない場所もあるからだ。

「なるほどな!鏡になれば全身が周りを写すから周囲に擬態して溶け込んだ訳か!」
「血の通った生き物には使えないけど。宝石獣なら大丈夫なのよ!」

姫様賢い。
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