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第78話 守護者はカエル!?
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アリシア達が船の旅を始めて早くも3日がたった。道中船酔い続きでコハクはフラフラだった。
そして4人は港町ナターシャへ到着した。
アバロスへはこの街からすぐ近くにある為ここに経由するのだ。
「やっと…陸地だ」
「全くずっと船酔いなんて」
「仕方ないだろ!」
「お祖母様アバロスまではどれくらいですか?」
「あの馬車へ乗ればすぐ着くは行きましょう!」
アリシア達はアバロスを通る馬車を見つけると銀貨4枚を払い乗り込んだ。
馬車の中は基地の荷馬車とは大違いだ。
やはり人が乗るように作った物は乗り心地が違うのだ。
「基地の馬車とは大違いですね」
「アレは荷馬車だから元々」
「馬車の中に別の空間があるなんて今思うと凄いわねやっぱり」
「涼くんが作ったのよね?」
「はい。私達と出会ったばかりの頃に」
「乗り心地の悪さを何とかする為に作ったはずが今じゃ移動拠点だからね」
なんて話をしている間にアリシア達はアバロスへ到着した。
アバロス
古い石畳の街並みに木組みの家が並びその先には勇者を召喚したと言う石の祭壇があるらしい。
「ここが始まりの地」
「アバロス」
「ここにレッドベリルの手がかりがあるのね」
「みんな。まずは宿屋に行って基地の冷蔵庫と繋げてみんなを呼びましょう。」
「おっと信道達をこっちに呼ばなきゃ!」
アリシア達はアバロスの宿屋に向かい金貨5枚を払いチェックインした。
高い金を払っただけあり中々豪勢な部屋に泊まれた。アリシア達は部屋のキャビネットにマーキングをする。マーキングの際はスタンプを押すだけだ。
マーキングを完了するとアリシアはキャビネットを開けて中に入るとその先は見慣れた基地のキッチンだった。
「みんなお待たせ!」
「おお姫様!来ましたか!」
「ルーガルみんなを集めて通って来て!」
「わかりましたぞ!」
ルーガルは皆を呼びに向かう。
信道、ルーガル、カイエンはアリシア達と合流した。
和樹達は再び留守番だ。涼とルビティラもだ。
「みんな集まったわね?」
「はい集まりました。」
「では先生の所へ向かいます」
「マナリア様。つかぬ事を聞きますが、そのヴァンフォワード殿とはどんな方なのですか?」
「いい質問だけど、会えばわかるわ。後…びっくりすると思う…」
アリシア達はアバロスから少し離れた森の奥へ進んで行く。獣道の先には洞窟があった。
「この洞窟の先に先生がいるの」
「とても人間がいるようには見えないな」
洞窟に入ると周りで苔やきのこが辺りを照らし更には光る鉱石まである。
しばらく歩くと小さな滝が流れている水脈で道は途絶えた。
「いきどまりよお祖母様!」
「先生!ヴァンフォワード先生!私ですマナリアです!」
マナリアの声が反響し響き渡る。
「大きい声出さんでも聞こえとるわ」
ん?どっから声がする。
「今の声は?」
「マナリア久々だな。相変わらず変わっておらず。」
「先生もいつまでその姿なんですか?」
「さあな?」
「何処から声が?」
「此処じゃ!」
「え?」
「此処じゃて!」
「ん?」
ルーガルの足元に居るのは小さな蝦蟇蛙。
「おお!蛙ですぞ!我輩よく食しておりましたぞ!」
ルーガルはそう言って蛙を持ち上げる。
「ワシを食うな!この蜥蜴が!」
蛙はルーガルから逃げアリシアの頭に飛びつく。
「え?」
「イヤー蛙が喋った~~!?」
アリシアは声を上げそして倒れた。
「姫さま!」
「何じゃお前達は!」
「蛙が喋ってる…」
「ワシは人じゃあ!」
「みんなあのね、この蛙がヴァンフォワード先生なの…」
は?はいーーーーーー!?
この髭生やした気味の悪い蝦蟇蛙が!?
「マジかよ」
「これが初代勇者!?」
「どうみても蛙ですぞ!」
「食用なは向かないな蛙はな」
「だからワシは蛙じゃないわい!」
声を上げる蛙ことヴァンフォワード・エンブレム四世。彼がこの地に初代勇者を召喚したその人であり自身もまた初代勇者の1人でもある。
「本当にアンタが初代勇者の1人なんだな?」
「そうじゃ!」
「どうみても蛙じゃないか!」
「好きでこんな姿になったんじゃないわい!」
「先生!」
「あの、初代勇者様のパーティの方と見てお聞きしたい事があり馳せ参じました。」
「お主は?」
「アリシア・フォン・ガネット。初代勇者様の血統で賢者マナリア様の曾孫です」
「お前の曾孫じゃと!?しばらく会わんうちに結婚してたのかお前は!」
「はい。私はこの子の曾祖母です…一様」
「自分の曾孫に一様をつけるでないわ!」
さっきからお祖母様怒られてばっかり…あの蛙さん本当に何なのかしら?
「で、定の子孫がワシに何のようだ?」
「あ、はい。あの幻の宝石レッドベリルをご存知ですか?」
「レッドベリルじゃと!?」
「知ってるんですね!やはり!」
「知ってるも何もワシが封印したんだ」
「それは何処にあるんですか!?」
「何じゃあの忌まわしき宝石が目当てで来たのか!?」
「はい!仲間を助ける為に必要なんです!」
「駄目じゃ!アレだけは絶対に駄目じゃ!」
ヴァンフォワードは断固として拒否する。
「何故ですか!?本に書いた様に生き物の頂点に君臨する力を持った宝石なんでしょ!?」
「本は誤解を招く」
「アンタが書いた本だろ?俺達はそれを頼りに来たんだぜ。今更なんだよ!」
「そうですぞ!」
「ちょい待て2人とも!なあ、爺さん。忌まわしき宝石って言ったよな?アレはなんだ?」
「お主はいい質問をするな…お前達ちょっとついてこい」
ヴァンフォワードはぴょんぴょん飛びながら何処かへ向かう。
アリシア達は跡を追っていくとあろう事か水の中に飛び込んでいった。
「水に入ったぞ」
「早くこんか!」
再び水に潜るヴァンフォワード。
「行くしかないか!」
コハクは飛び込んだ。
「コハク!」
「ぶはぁ!なんか空気があるぞ」
「空気?水ん中だろ??」
「いいから来い!」
コハクは潜る。
「ええい!行くわよ!」
「行きましょう!」
「我輩水の中はちょっと…」
「お前蜥蜴だろルーガル」
「我輩はイモリじゃありませんぞカイエン殿!」
「揉めるな。行け!」
信道は2人を水の中へ押すと2人は落ちた。
「((((;゚Д゚)))))))」
「ぷはぁ!何すんだのぶ!」
浮かんできたカイエンの頭。
「カイエン殿頭だけが落ちましたぞ!」
「わかってるわ!」
カイエンの本体も頭を取り付けると水に飛び込んだ。
「わりいわりい」
信道は鉢巻をしっかりと縛り水に飛び込んだ。
全員が水に入るとなんと空気であふれていたの
だ。水の中なのに空気がある!
「どうなってるのこれ?」
「水の中なのに空気が?」
「なんかの幻覚か?」
「いや、封印したレッドベリルの力の一部じゃ。この先だついてこい!」
ヴァンフォワードは平泳ぎしながら進んで行く。アリシア達も跡を追いかける。
しばらく酸素に溢れた水の中を歩いているとやがて上から光が差してきた。出口だ!
ヴァンフォワードが水から飛び出すとアリシア達も水から上がる。
「ぷはぁ!やけに明るいわね?」
「確かにまるで昼間です」
「此処洞窟だよな?」
「此処は外の光が入るのですかな?」
「見た感じ思いっきり奥だぞ。」
「アレが正体じゃないか?」
「アレって…」
7人は上を見上げると天井から巨大な赤紫色の原石が眩い光を放っている。
「何だアレは?」
「アレがレッドベリルじゃ」
「レッドベリルですと!?」
「アレが!」
「緑柱石だったのか!」
「緑柱石?」
「アクアマリンやエメラルドグリーンの原石よ。2人の宝石獣も同じ原石から生まれたのよ」
緑柱石とはアクアマリンやエメラルドグリーンと言った宝石が取れる鉱石でレッドベリルは極稀に取れる事がある程同希少なのだ。
「しかしこんなにデカイなんて」
「これだけあればルビティラちゃんを助けられるわ!」
「一体何が忌まわしき宝石なんだよ爺さん」
「この宝石は人知を超えた力がある。故に人間が手に触れた最後…廃になる」
「廃になるって…」
「見とけ!」
ヴァンフォワードはその辺の石ころをレッドベリルに投げた瞬間。
石が触れた瞬間、石は消し炭になり消えた。
「マジかよ…」
「封印越しでもあのパワーだ。解いて誰かに使えばあの石の様になる」
確かに人知を超えた危険な宝石だった。
レッドベリルは生き物の頂点に君臨する力を与えるのでは触れた物を一瞬で廃にする危険な宝石だった。まさに太陽そのものだった。
「仮にアレを人間が手に入れたらどうなるんですか?」
「人間が廃になるだけじゃ。」
「でもブラキオは宝石獣の身体の修復に使えるって言ってました!」
「宝石獣の修復じゃと?」
「ルビーの宝石獣が死にそうなんです。」
「だからコイツを使わせてほしい!」
「その宝石獣も燃えて消えるかもしれないんじゃぞ!だからこれだけは宝石獣にならなかったんじゃから!」
「でもルビティラちゃんを助けないと仲間が、涼を助けられないの!」
「し、しかし仮に相性が良かったとしてもそれで死んだらもとこもないじゃろ。」
確かにレッドベリルでルビティラを治したとしてもだそのパワーが涼にも伝われば涼が死んでしまう可能性もある。
「爺さん。この宝石は一様は宝石獣にも使えるんだよな?」
「ま、まあ理論上はな…赤い宝石獣は火の属性が強いからあるいは…」
「だったら使わせて下さい!」
「だ、だがしかしだな」
「涼は後8時間しか命を維持出来ないのよ!例えどんな結果であっても…大事な人が目の前で死ぬよりずっとマシよ!!」
「だが、例え移植出来たとしてもその契約者がどんな事になるかは…」
「先生お願いします!」
マナリアは頭を深く下げる。
「マナリア…だがな…」
「私の曾孫の大切な人を救う為なんです。どうかあの宝石を使わせて下さい」
「ヴァンフォワード様お願いします!涼を助けてください!」
「お願いします!」
「僕達にはもうこの宝石に頼るしかないんです!」
「何とぞお力添えを頼みます!」
「爺さん頼む!」
「俺達にはあの馬鹿がどうしても必要なんです。だからお願いします!」
「先生お願いします…どうか曾孫達の願いを」
「う…」
あのマナリアが涙を浮かべる程訴えてくるとはな。それに蛙に土下座までして願うとはな。ブラキオよお前の今パートナーは定にそっくりだな。
「わかった…その宝石獣を連れてこい」
「先生!」
「しかし猶予はないぞ。この宝石の封印を解いたら最後触れる事さえ自殺行為に変わるのだ。ワシでさえ数秒しか触れる事は叶わぬ。その宝石のが力に負けたらこの一帯が焼け野原かもしれん。その時はこの石を遥か彼方へ飛ばす。それでいいな?」
「はい!お願いします!」
「よしまずは岩から出さないとな」
ヴァンフォワードは懐から杖を取り出して振るう。すると岩にめり込んでいたレッドベリルが岩から綺麗に抜け地面に浮く。
近くで見ると何て輝きだ。まじで太陽みたいだ。
「よしお前達その砕けた宝石獣を連れてくるんじゃ」
「水中は無理だ」
「案ずるな術式を施した。潜れば一瞬で個々に来る」
「さすが先生ぬかりないですね!」
「元祖大賢者だからな」
~🎶
アリシアの通信ジュエルから音楽が鳴り響く。
「ベルちゃん?」
アリシアは剣にはめ込みグリップを引く。
(皆さん一大事でありますよ!!)
「な、なんだどうした?」
(魔人族の兵士達が妙な要塞に乗ってアンジェラに来てるであります!)
「な、なんだとっ!?」
敵が攻めてきたのか!?奴らに涼の事がバレたのか??
ドッカーン
洞窟が揺れた。
「今度はなんだよ!?」
ヴァンフォワードか片手から泡を作ると洞窟の外の風景が浮かび上がる。
「な、アイカにガリウス卿!?」
「なんて事だ、このアバロスに魔人族の軍隊が来とる!」
(に、二ヶ所同時攻撃でありますか!?)
「何で奴らがこの街に!?」
(こっちではデカイのが来たでありますよ!)
「どうしよう…ルビティラの生命維持で宝石獣達は戦えない…」
「私がアンジェラに戻るわ!兵士だけなら私でも時間は稼げるから!みんなはこっちをお願い。」
「わかったわ!」
「よし。リアと姫様はルビティラを運べ!残った奴はアバロスを守れ!俺もアンジェラへ行く」
「わかりました!姫様行きましょう!」
「ええ。信道ブラキオを使ってブラキオならまだパワーがあるはずよアンジェラを守って!」
「あいよ!」
(のぶさんバックアップの準備は万全でありめす!でわ後ほど!)
ベルは通信を切った。
「行きましょう!」
「みんな気をつけて!」
「頼んだぞ!よし俺達も行くぞ!」
「ガッテン!」
「お爺さん後は頼みます!」
皆はそれぞれの役割の為に洞窟から出て行った。
「生きて帰れよ!」
ヴァンフォワードは声援を送るとレッドベリルを維持する準備に取り掛かる。
そして4人は港町ナターシャへ到着した。
アバロスへはこの街からすぐ近くにある為ここに経由するのだ。
「やっと…陸地だ」
「全くずっと船酔いなんて」
「仕方ないだろ!」
「お祖母様アバロスまではどれくらいですか?」
「あの馬車へ乗ればすぐ着くは行きましょう!」
アリシア達はアバロスを通る馬車を見つけると銀貨4枚を払い乗り込んだ。
馬車の中は基地の荷馬車とは大違いだ。
やはり人が乗るように作った物は乗り心地が違うのだ。
「基地の馬車とは大違いですね」
「アレは荷馬車だから元々」
「馬車の中に別の空間があるなんて今思うと凄いわねやっぱり」
「涼くんが作ったのよね?」
「はい。私達と出会ったばかりの頃に」
「乗り心地の悪さを何とかする為に作ったはずが今じゃ移動拠点だからね」
なんて話をしている間にアリシア達はアバロスへ到着した。
アバロス
古い石畳の街並みに木組みの家が並びその先には勇者を召喚したと言う石の祭壇があるらしい。
「ここが始まりの地」
「アバロス」
「ここにレッドベリルの手がかりがあるのね」
「みんな。まずは宿屋に行って基地の冷蔵庫と繋げてみんなを呼びましょう。」
「おっと信道達をこっちに呼ばなきゃ!」
アリシア達はアバロスの宿屋に向かい金貨5枚を払いチェックインした。
高い金を払っただけあり中々豪勢な部屋に泊まれた。アリシア達は部屋のキャビネットにマーキングをする。マーキングの際はスタンプを押すだけだ。
マーキングを完了するとアリシアはキャビネットを開けて中に入るとその先は見慣れた基地のキッチンだった。
「みんなお待たせ!」
「おお姫様!来ましたか!」
「ルーガルみんなを集めて通って来て!」
「わかりましたぞ!」
ルーガルは皆を呼びに向かう。
信道、ルーガル、カイエンはアリシア達と合流した。
和樹達は再び留守番だ。涼とルビティラもだ。
「みんな集まったわね?」
「はい集まりました。」
「では先生の所へ向かいます」
「マナリア様。つかぬ事を聞きますが、そのヴァンフォワード殿とはどんな方なのですか?」
「いい質問だけど、会えばわかるわ。後…びっくりすると思う…」
アリシア達はアバロスから少し離れた森の奥へ進んで行く。獣道の先には洞窟があった。
「この洞窟の先に先生がいるの」
「とても人間がいるようには見えないな」
洞窟に入ると周りで苔やきのこが辺りを照らし更には光る鉱石まである。
しばらく歩くと小さな滝が流れている水脈で道は途絶えた。
「いきどまりよお祖母様!」
「先生!ヴァンフォワード先生!私ですマナリアです!」
マナリアの声が反響し響き渡る。
「大きい声出さんでも聞こえとるわ」
ん?どっから声がする。
「今の声は?」
「マナリア久々だな。相変わらず変わっておらず。」
「先生もいつまでその姿なんですか?」
「さあな?」
「何処から声が?」
「此処じゃ!」
「え?」
「此処じゃて!」
「ん?」
ルーガルの足元に居るのは小さな蝦蟇蛙。
「おお!蛙ですぞ!我輩よく食しておりましたぞ!」
ルーガルはそう言って蛙を持ち上げる。
「ワシを食うな!この蜥蜴が!」
蛙はルーガルから逃げアリシアの頭に飛びつく。
「え?」
「イヤー蛙が喋った~~!?」
アリシアは声を上げそして倒れた。
「姫さま!」
「何じゃお前達は!」
「蛙が喋ってる…」
「ワシは人じゃあ!」
「みんなあのね、この蛙がヴァンフォワード先生なの…」
は?はいーーーーーー!?
この髭生やした気味の悪い蝦蟇蛙が!?
「マジかよ」
「これが初代勇者!?」
「どうみても蛙ですぞ!」
「食用なは向かないな蛙はな」
「だからワシは蛙じゃないわい!」
声を上げる蛙ことヴァンフォワード・エンブレム四世。彼がこの地に初代勇者を召喚したその人であり自身もまた初代勇者の1人でもある。
「本当にアンタが初代勇者の1人なんだな?」
「そうじゃ!」
「どうみても蛙じゃないか!」
「好きでこんな姿になったんじゃないわい!」
「先生!」
「あの、初代勇者様のパーティの方と見てお聞きしたい事があり馳せ参じました。」
「お主は?」
「アリシア・フォン・ガネット。初代勇者様の血統で賢者マナリア様の曾孫です」
「お前の曾孫じゃと!?しばらく会わんうちに結婚してたのかお前は!」
「はい。私はこの子の曾祖母です…一様」
「自分の曾孫に一様をつけるでないわ!」
さっきからお祖母様怒られてばっかり…あの蛙さん本当に何なのかしら?
「で、定の子孫がワシに何のようだ?」
「あ、はい。あの幻の宝石レッドベリルをご存知ですか?」
「レッドベリルじゃと!?」
「知ってるんですね!やはり!」
「知ってるも何もワシが封印したんだ」
「それは何処にあるんですか!?」
「何じゃあの忌まわしき宝石が目当てで来たのか!?」
「はい!仲間を助ける為に必要なんです!」
「駄目じゃ!アレだけは絶対に駄目じゃ!」
ヴァンフォワードは断固として拒否する。
「何故ですか!?本に書いた様に生き物の頂点に君臨する力を持った宝石なんでしょ!?」
「本は誤解を招く」
「アンタが書いた本だろ?俺達はそれを頼りに来たんだぜ。今更なんだよ!」
「そうですぞ!」
「ちょい待て2人とも!なあ、爺さん。忌まわしき宝石って言ったよな?アレはなんだ?」
「お主はいい質問をするな…お前達ちょっとついてこい」
ヴァンフォワードはぴょんぴょん飛びながら何処かへ向かう。
アリシア達は跡を追っていくとあろう事か水の中に飛び込んでいった。
「水に入ったぞ」
「早くこんか!」
再び水に潜るヴァンフォワード。
「行くしかないか!」
コハクは飛び込んだ。
「コハク!」
「ぶはぁ!なんか空気があるぞ」
「空気?水ん中だろ??」
「いいから来い!」
コハクは潜る。
「ええい!行くわよ!」
「行きましょう!」
「我輩水の中はちょっと…」
「お前蜥蜴だろルーガル」
「我輩はイモリじゃありませんぞカイエン殿!」
「揉めるな。行け!」
信道は2人を水の中へ押すと2人は落ちた。
「((((;゚Д゚)))))))」
「ぷはぁ!何すんだのぶ!」
浮かんできたカイエンの頭。
「カイエン殿頭だけが落ちましたぞ!」
「わかってるわ!」
カイエンの本体も頭を取り付けると水に飛び込んだ。
「わりいわりい」
信道は鉢巻をしっかりと縛り水に飛び込んだ。
全員が水に入るとなんと空気であふれていたの
だ。水の中なのに空気がある!
「どうなってるのこれ?」
「水の中なのに空気が?」
「なんかの幻覚か?」
「いや、封印したレッドベリルの力の一部じゃ。この先だついてこい!」
ヴァンフォワードは平泳ぎしながら進んで行く。アリシア達も跡を追いかける。
しばらく酸素に溢れた水の中を歩いているとやがて上から光が差してきた。出口だ!
ヴァンフォワードが水から飛び出すとアリシア達も水から上がる。
「ぷはぁ!やけに明るいわね?」
「確かにまるで昼間です」
「此処洞窟だよな?」
「此処は外の光が入るのですかな?」
「見た感じ思いっきり奥だぞ。」
「アレが正体じゃないか?」
「アレって…」
7人は上を見上げると天井から巨大な赤紫色の原石が眩い光を放っている。
「何だアレは?」
「アレがレッドベリルじゃ」
「レッドベリルですと!?」
「アレが!」
「緑柱石だったのか!」
「緑柱石?」
「アクアマリンやエメラルドグリーンの原石よ。2人の宝石獣も同じ原石から生まれたのよ」
緑柱石とはアクアマリンやエメラルドグリーンと言った宝石が取れる鉱石でレッドベリルは極稀に取れる事がある程同希少なのだ。
「しかしこんなにデカイなんて」
「これだけあればルビティラちゃんを助けられるわ!」
「一体何が忌まわしき宝石なんだよ爺さん」
「この宝石は人知を超えた力がある。故に人間が手に触れた最後…廃になる」
「廃になるって…」
「見とけ!」
ヴァンフォワードはその辺の石ころをレッドベリルに投げた瞬間。
石が触れた瞬間、石は消し炭になり消えた。
「マジかよ…」
「封印越しでもあのパワーだ。解いて誰かに使えばあの石の様になる」
確かに人知を超えた危険な宝石だった。
レッドベリルは生き物の頂点に君臨する力を与えるのでは触れた物を一瞬で廃にする危険な宝石だった。まさに太陽そのものだった。
「仮にアレを人間が手に入れたらどうなるんですか?」
「人間が廃になるだけじゃ。」
「でもブラキオは宝石獣の身体の修復に使えるって言ってました!」
「宝石獣の修復じゃと?」
「ルビーの宝石獣が死にそうなんです。」
「だからコイツを使わせてほしい!」
「その宝石獣も燃えて消えるかもしれないんじゃぞ!だからこれだけは宝石獣にならなかったんじゃから!」
「でもルビティラちゃんを助けないと仲間が、涼を助けられないの!」
「し、しかし仮に相性が良かったとしてもそれで死んだらもとこもないじゃろ。」
確かにレッドベリルでルビティラを治したとしてもだそのパワーが涼にも伝われば涼が死んでしまう可能性もある。
「爺さん。この宝石は一様は宝石獣にも使えるんだよな?」
「ま、まあ理論上はな…赤い宝石獣は火の属性が強いからあるいは…」
「だったら使わせて下さい!」
「だ、だがしかしだな」
「涼は後8時間しか命を維持出来ないのよ!例えどんな結果であっても…大事な人が目の前で死ぬよりずっとマシよ!!」
「だが、例え移植出来たとしてもその契約者がどんな事になるかは…」
「先生お願いします!」
マナリアは頭を深く下げる。
「マナリア…だがな…」
「私の曾孫の大切な人を救う為なんです。どうかあの宝石を使わせて下さい」
「ヴァンフォワード様お願いします!涼を助けてください!」
「お願いします!」
「僕達にはもうこの宝石に頼るしかないんです!」
「何とぞお力添えを頼みます!」
「爺さん頼む!」
「俺達にはあの馬鹿がどうしても必要なんです。だからお願いします!」
「先生お願いします…どうか曾孫達の願いを」
「う…」
あのマナリアが涙を浮かべる程訴えてくるとはな。それに蛙に土下座までして願うとはな。ブラキオよお前の今パートナーは定にそっくりだな。
「わかった…その宝石獣を連れてこい」
「先生!」
「しかし猶予はないぞ。この宝石の封印を解いたら最後触れる事さえ自殺行為に変わるのだ。ワシでさえ数秒しか触れる事は叶わぬ。その宝石のが力に負けたらこの一帯が焼け野原かもしれん。その時はこの石を遥か彼方へ飛ばす。それでいいな?」
「はい!お願いします!」
「よしまずは岩から出さないとな」
ヴァンフォワードは懐から杖を取り出して振るう。すると岩にめり込んでいたレッドベリルが岩から綺麗に抜け地面に浮く。
近くで見ると何て輝きだ。まじで太陽みたいだ。
「よしお前達その砕けた宝石獣を連れてくるんじゃ」
「水中は無理だ」
「案ずるな術式を施した。潜れば一瞬で個々に来る」
「さすが先生ぬかりないですね!」
「元祖大賢者だからな」
~🎶
アリシアの通信ジュエルから音楽が鳴り響く。
「ベルちゃん?」
アリシアは剣にはめ込みグリップを引く。
(皆さん一大事でありますよ!!)
「な、なんだどうした?」
(魔人族の兵士達が妙な要塞に乗ってアンジェラに来てるであります!)
「な、なんだとっ!?」
敵が攻めてきたのか!?奴らに涼の事がバレたのか??
ドッカーン
洞窟が揺れた。
「今度はなんだよ!?」
ヴァンフォワードか片手から泡を作ると洞窟の外の風景が浮かび上がる。
「な、アイカにガリウス卿!?」
「なんて事だ、このアバロスに魔人族の軍隊が来とる!」
(に、二ヶ所同時攻撃でありますか!?)
「何で奴らがこの街に!?」
(こっちではデカイのが来たでありますよ!)
「どうしよう…ルビティラの生命維持で宝石獣達は戦えない…」
「私がアンジェラに戻るわ!兵士だけなら私でも時間は稼げるから!みんなはこっちをお願い。」
「わかったわ!」
「よし。リアと姫様はルビティラを運べ!残った奴はアバロスを守れ!俺もアンジェラへ行く」
「わかりました!姫様行きましょう!」
「ええ。信道ブラキオを使ってブラキオならまだパワーがあるはずよアンジェラを守って!」
「あいよ!」
(のぶさんバックアップの準備は万全でありめす!でわ後ほど!)
ベルは通信を切った。
「行きましょう!」
「みんな気をつけて!」
「頼んだぞ!よし俺達も行くぞ!」
「ガッテン!」
「お爺さん後は頼みます!」
皆はそれぞれの役割の為に洞窟から出て行った。
「生きて帰れよ!」
ヴァンフォワードは声援を送るとレッドベリルを維持する準備に取り掛かる。
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お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
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※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。
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