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第58話 現れた初代魔王
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ハンターズを倒した矢先に空に亀裂が入り空いた空間からアイカの父ガリウス卿と四人の魔王達が魔界からワームホールを通って現れた。
「魔王達だと!?」
「まさか魔界から来たでありますか!?」
突然の自体に驚き秘密基地から飛び出してベル。
「ベルちゃんどういう事なの?」
「魔人族はワームホールと言う空間からこの異世界へ来るんであります!」
「ワームホールって空間が歪んだら現れるって話のあれか?」
「涼を呼んだ穴ティラ!」
まじか。俺はそれを通って来たのか!
「でも涼を呼んで直ぐにパワー切れたティラ」
「パワーが切れた?」
「お前ら今はその話じゃないだろ!魔王が来たんだぞ!」
カイエンが止めた。
「ガリウス卿。あれだけの事をしといて一体何しに来たのですか!?」
「いやぁ~姫様ご無沙汰でございますね。まさか勇者になられるなんて~こちらの計算違いでしたが宝石神を出して頂き感謝いたします。」
「オイ豚公爵!」
「ぶ、豚!?」
「後ろの連中は何なんだ?」
涼が豚呼ばわりした。
「無礼な私を豚呼ばわりとは!このよそ者め!」
「いいから答えろ豚!」
「亜人風情が私を豚だと!」
だってあの体系は豚以外ないし。
「時期魔王のパパを豚呼ばわりとは失礼にも程がありますわ!」
「魔王候補!?その豚がでありますか!?」
「豚でわない!大陸を滑る魔王陛下達あの無礼な輩を始末してくださいませ!」
「そんな時間はない…」
「コキュートス陛下!」
豚は必死に頼むがそれどこじゃないらしい。
「あー!思い出したであります!あいつらは幹部の魔王達であります!」
「幹部の魔王?」
「初代魔王に仕えている上級魔人族のトップであります。」
「僕達は陛下に選ばれた魔王の一人だ。その辺のやつと一緒にするな」
小柄の3本角の男がそう言った。
「ベルちゃんあの人達知ってるの?」
「であります!一角は魔王 ガルム。二本角は魔王 サディナ、三本角は魔王 オスカル、そしてコキュートスであります。奴らは初代魔王の復活を目的に動いて宝石真達を襲っていた魔王達であります!」
コイツらがルビティラ達の家族を皆殺しにした大元なのか。
「ファーリーヌよく知っていたね。」
「追い出された時に持ち出した資料に書いてあって驚いたでありますよ!」
「ああ~指示書と資料が足りないと思ったら腹いせに奪っていったのか?」
現れたアッシュベルに答えたるベル。
ベルは実は追い出された際にいくつか研究資料を持ち出した際に紛れていた書類にあの魔王達が書かれていたのだ。
「お偉いさん方助けに来てくれたのか!」
「僕達ついにラスボスを引きずりだしましたよ!」
「これで俺達帰れるんだよな!?」
「ええ、ご苦労様です。勇者様方」
ガリウス卿が降りてくるとゆっくりと歩いてくる。
「宝石神よ。よく現れてくれた。初代魔王様もお喜びになりますよ!」
「初代魔王?」
「ああ!ヴァニティさんか!」
「高アカウントのプレイヤーで僕達に帰る方法を教えてくれた人ですね。」
「確か今はアカウントは修復中と聞いたな」
ヴァニティ?それが初代魔王の名前なのか?
ん?ヴァニティって何処かで聞いたような…
「ブラキオサンドライトをどうしよって言うんですか?ガリウス卿!」
「決まってますとも。ヴァニティ様の生贄にし復活させるので。ああ~一世紀越しの願いが成就する。沢山いた宝石獣ではヴァニティ様は復活しなかったからな」
「なんだと!?まさかたった一人復活させる為に宝石獣や人々を殺したってのか!?」
「ヴァニティ様は偉大な魔王陛下です。その恥肉になったのです喜ばしいことだ平民よ」
「ざけんな豚!」
涼は声を上げた。
そんなカルト教復活の為に宝石獣達は皆殺しにされたってのか。
「口が過ぎるぞ。ガリウス卿」
「失礼」
「さーて。あの燃料をささっさと食うかな」
「準備は?」
「出来てるわ」
サディナと呼ばれた女魔王は魔法陣をはりそこから何やら棺桶を取り出した。
「棺桶?」
嫌な予感がする。
「宝石神。ヴァニティ様の生贄となれ!」
コキュートスがそう言うとブラキオサンドライトの足元に巨大な魔法陣がひかれた。
その周りを四人の魔王が浮遊し取り囲む。
「何をするの!」
「決まってるわ。魔王陛下を復活させる為にあの爬虫類を喰ひ殺すのよ」
「アイカ!」
「お前ら。止めろ!」
「させませんわよ!」
アイカが指を鳴らすと無数の兵士達が行く手を阻んだ。
「な!どけよこの野郎!」
あまりの数に前に進まない。
「ルビティラ行け!」
「こっちも無理ティラ!」
宝石獣達も前に縛られた鎖に繋がれて地面に這いつくばってしまっている。
「「「「ジャッジメント」」」」
四人の魔王が術を発動させるとブラキオサンドライトが開いた棺に吸い込まれていく。
「ブラァァァァァ!」
ブラキオサンドライトは声を上げながら吸い込まれていく。
「ブラキオサンドライト!」
みるみるブラキオサンドライトは棺桶に吸い込まれていきそしてあの山より巨大な身体は棺桶に完全に吸い込まれて跡形もなく消えた。
「嘘だろ…」
「そんな…」
「まさか」
「早すぎるだろ」
「…」
「嫌…」
「ブラキオサンドライト!」
アリシアは涙を流しながら声を上げる。
すると宝救聖剣にハマっていた勇者石(チェンジストーン)が砕けた。
つまりブラキオサンドライトは死んだのだ。
アリシアは膝から崩れ落ち下を向く。
「そんな…やっと会えたのに…私のパートナーになってくれたのに…」
アリシアの元に丸いかけらが転がってきた。
ブラキオサンドライトの体の一部であろうアレキサンドライトのかけらだった。
「あははは!勝った。俺達は勝った!」
「これでバッドエンディングに入る」
「これで僕達は帰れますね!」
「さあ、お目覚め下さいませ。初代魔王陛下 ヴァニティ様!」
ガリウス卿が叫ぶと棺桶が開き黒い煙が上がり中から凄い衝撃波が飛んできた。
周りいた兵士達はその圧に耐えられず皆消えていき涼達は皆吹っ飛ばされた。
衝撃波が止むと棺桶から誰か起きる。
「ふぁ~よく寝た」
出てきたのは黒い髪に山羊の様な角を生やし仮面をつけた男だ。
「おお~ヴァニティ様!」
ガリウス卿と四人の魔王は膝をつき頭を下げた。
「お~お前達か!俺の昼寝中悪かったな」
「いやいやヴァニティ様が復活され我ら一同嬉しく思います。」
「コキュートスよお前はいちいち硬いな」
「初代魔王…ヴァニティ!」
「お!マナリアじゃないか。久しいな俺からのプレゼントは喜んでくれたか?」
「呪いをかけられて嬉しい訳ありません!」
何!?呪いをかけたのは魔物じゃなかったのか?
マナリアはヴァニティに歳を取る速さを遅くする呪いをかけた。側からみたら夢みたいなことだがマナリアはただの苦しみだった。
愛する人達と歳をとれず置いてけぼりにされる。こんな疎ましい呪いが他にあるか。
「アレが初代魔王」
「ヴァニティ?」
「傲慢か」
確かになんか俺様気質のいけ好かない野郎だ。
ていうか、あの姿ってまんまじゃないかよ!!
「ヴァニティさん!」
「俺達やりましたよ!」
「ミッションコンプリートです」
三人はヴァニティに近づく。
「お、お前らご苦労だったな」
「さあ!俺達を早く!」
「なんだ?」
「勿論帰るんですよ!」
「約束だろ!」
こいつらに馬鹿な事を吹きかけたのはアイツだったのか!?元の世界に返す条件でアイツらを騙したのか。
「いいだろ帰るといい…黄泉にな」
ヴァニティは嫌な笑みをする。
「え?読み?」
「何を言ってるんですか?」
「俺達は帰れるんですよね?」
「だから黄泉に帰すと言ってるだろ」
「黄泉って。何言って」
「死んでる奴を黄泉に帰して何かへんか?」
は?死んでる?誰が?あの三人が?
「は?何言ってるんですか?」
「分からないか?お前らはとうに死んでるんだよ」
「「「!?」」」
三人の顔が青ざめた。
「死んでるってどういう意味だ…」
「言葉のままだお前らは死んでるんだ」
「ぼ、僕達はゲームにいるんですよ!死んでなんか…」
「お前らはゲームをしたままこの世界に呼ばれたんだよ。」
「は?ゲームをしたままってちょっと待てよ!ここはゲームの中なんだろ?」
カイトは尋ねると高笑いをするヴァニティ達。
「あははは。馬鹿丸出しだなお前ら。お前はゲーム中に魂だけこの世界に召喚されたんだよ。わかりやすく言えば幽霊だお前らは!」
「幽霊って…僕達は確かに生きてるじゃないですか!」
確かに幽霊ならなんで身体があるんだ?
やっぱりコイツらはゲーム中に召喚されたんだな。
「バーカ!そんなのあのブラキオサウルスの力で仮の身体を得ていただけだ。お前らの身体はとうに焼却炉の中だタコが!」
「は…何言ってんだよ?訳が解らない」
「焼却炉って」
「冗談は止めろよ!」
「冗談なもんか。お前らの世界はとうに100年経ってんだ。抜け殻は死亡扱いでとうに焼却炉行きだ。」
なんだって!?つまりコイツらは身体ごと召喚されたんじゃないと。魂…要は精神だけが呼ばれてブラキオの用意した身体にいたってことか!?
「ふざけるなっ。嘘をつくなここがゲームじゃないなら俺達の見えているこの画面はなんだ!」
カズ達は目の前にゲームの画面の様な物が写っている。彼らはこれを見ていた為現実世界の認識がなかったのだ。
「ああそれはな」
ヴァニティが指を鳴らすとカズ達の視界からゲームの画面が消えた。
「俺の気まぐれだ」
「は?消えた?」
「じゃあ此処はゲームじゃない」
「現実の世界だと…」
「お前らは俺が活動時間を伸ばす為のエネルギー集めに協力してもらったんだ。ありがとさん」
三人は崩れ落ちた。
ようやく自分達が道化だった事を理解した。
「なあ、アイカ?嘘だよな?俺達恋人だ嘘だと言ってくれるよな?」
「はぁ?いつから私と下民が恋仲になったんですの?頭おかしいんじゃないの?」
「っ!?」
「ちなみにお前らはやる事やれば黙ってても帰れたんだぜ。勇者だった時はな」
三人は脳内にあの日を思い出す。
目の前がゲーム画面のまま新規イベントだと思いマナリアと信春を下級プレイヤーと思い見下し三人だけで言われた魔物を倒して回っていた。しかし、腕試しがしたいと三人は強い魔物を狩り続けた。それは倒してはいけない生態系を大きく狂わす自然界の大切な生き物だったのだ。更に珍しいアイテムドロップがあるからとゲームの知識でやたらと魔物を狩り過ぎてしまいいつしか生態系は変わり。
更に彼らはログアウトしようとするが出来ず閉じ込められたと思いこんだ中力が足りずに困っていたヴァニティに騙され続けていたのだ。全てはヴァニティがゲーマーの心理を利用した計画だったのだ。
「100年って…一年じゃないのかよ」
「滑稽だ。ここまで馬鹿だったなんてな。100年間お疲れ様。おかげでこの世界を消しやすくなったよ。コンプリートおめでとう」
「「「ふざけるなっ!!!」」」
三人は剣をヴァニティに振りかざすが。
ドカンっ!
三人の剣が爆発し無残に砕け散った。
すると三人の変身は解けた。
「なっ!?」
「そんな!?」
「マジかよ!?」
「剣は予め自爆機能をつけておきましたから。貴方がたはもう用無しですからね。捨てる準備は抜かりありません」
アッシュベルは三人の剣には最初から捨て駒にするのを前提に自爆機能を取り付けていたのだ。
「お前ら!」
涼達がヴァニティ達の元へ走ってきた。
「おやおや勇者共。今更何のようだ?」
「決まってるだろお前らをぶっ飛ばす!」
涼達は剣を構える。
「悪いが今日はやらん」
「逃げんのか!?」
「逃げるは悪の特権」なんだろ?ホウキュウジャーでは」
「お前…!?何でその台詞を!?ていうかお前その格好はまんまで…」
「いずれ分かるさ。またな!」
ヴァニティ達はそう言うと時空の彼方へ消えた。
「魔王ヴァニティ…ふざけた奴だ」
「我輩頭にきましたぞ!」
「許せない」
「姫様大丈夫ですか?」
「ええ。でもブラキオサンドライトが…」
アリシアがブラキオのかけらを抱きしめる。
「ん?オイそのかけら光ってないか?」
「え?」
アリシアが抱いていたブラキオサンドライトのかけらが光り輝いている。
「ど、どうなってんだ??」
かけらがアリシアの手を離れ空中に浮遊しやがて砕けると中から小さな恐竜が出てきた。
「?」
「何だこの宝石獣?」
「チビ…ティラね?」
「好きでチビになった訳ではないわこの無礼者!」
小さな首長竜の宝石獣は喋った。
「は?喋った!?」
「お前一体なんだよ?」
「は?我の背中で散々暴れておいて何て口の利き方をこれだから人間は!」
「背中って…お前まさか!?ブラキオサンドライトなのか、!?」
「ダサい名をつけるな!我は宝石神ブラキオサウルスだ!」
はぁーーー!?何がどうなってんだ??
「魔王達だと!?」
「まさか魔界から来たでありますか!?」
突然の自体に驚き秘密基地から飛び出してベル。
「ベルちゃんどういう事なの?」
「魔人族はワームホールと言う空間からこの異世界へ来るんであります!」
「ワームホールって空間が歪んだら現れるって話のあれか?」
「涼を呼んだ穴ティラ!」
まじか。俺はそれを通って来たのか!
「でも涼を呼んで直ぐにパワー切れたティラ」
「パワーが切れた?」
「お前ら今はその話じゃないだろ!魔王が来たんだぞ!」
カイエンが止めた。
「ガリウス卿。あれだけの事をしといて一体何しに来たのですか!?」
「いやぁ~姫様ご無沙汰でございますね。まさか勇者になられるなんて~こちらの計算違いでしたが宝石神を出して頂き感謝いたします。」
「オイ豚公爵!」
「ぶ、豚!?」
「後ろの連中は何なんだ?」
涼が豚呼ばわりした。
「無礼な私を豚呼ばわりとは!このよそ者め!」
「いいから答えろ豚!」
「亜人風情が私を豚だと!」
だってあの体系は豚以外ないし。
「時期魔王のパパを豚呼ばわりとは失礼にも程がありますわ!」
「魔王候補!?その豚がでありますか!?」
「豚でわない!大陸を滑る魔王陛下達あの無礼な輩を始末してくださいませ!」
「そんな時間はない…」
「コキュートス陛下!」
豚は必死に頼むがそれどこじゃないらしい。
「あー!思い出したであります!あいつらは幹部の魔王達であります!」
「幹部の魔王?」
「初代魔王に仕えている上級魔人族のトップであります。」
「僕達は陛下に選ばれた魔王の一人だ。その辺のやつと一緒にするな」
小柄の3本角の男がそう言った。
「ベルちゃんあの人達知ってるの?」
「であります!一角は魔王 ガルム。二本角は魔王 サディナ、三本角は魔王 オスカル、そしてコキュートスであります。奴らは初代魔王の復活を目的に動いて宝石真達を襲っていた魔王達であります!」
コイツらがルビティラ達の家族を皆殺しにした大元なのか。
「ファーリーヌよく知っていたね。」
「追い出された時に持ち出した資料に書いてあって驚いたでありますよ!」
「ああ~指示書と資料が足りないと思ったら腹いせに奪っていったのか?」
現れたアッシュベルに答えたるベル。
ベルは実は追い出された際にいくつか研究資料を持ち出した際に紛れていた書類にあの魔王達が書かれていたのだ。
「お偉いさん方助けに来てくれたのか!」
「僕達ついにラスボスを引きずりだしましたよ!」
「これで俺達帰れるんだよな!?」
「ええ、ご苦労様です。勇者様方」
ガリウス卿が降りてくるとゆっくりと歩いてくる。
「宝石神よ。よく現れてくれた。初代魔王様もお喜びになりますよ!」
「初代魔王?」
「ああ!ヴァニティさんか!」
「高アカウントのプレイヤーで僕達に帰る方法を教えてくれた人ですね。」
「確か今はアカウントは修復中と聞いたな」
ヴァニティ?それが初代魔王の名前なのか?
ん?ヴァニティって何処かで聞いたような…
「ブラキオサンドライトをどうしよって言うんですか?ガリウス卿!」
「決まってますとも。ヴァニティ様の生贄にし復活させるので。ああ~一世紀越しの願いが成就する。沢山いた宝石獣ではヴァニティ様は復活しなかったからな」
「なんだと!?まさかたった一人復活させる為に宝石獣や人々を殺したってのか!?」
「ヴァニティ様は偉大な魔王陛下です。その恥肉になったのです喜ばしいことだ平民よ」
「ざけんな豚!」
涼は声を上げた。
そんなカルト教復活の為に宝石獣達は皆殺しにされたってのか。
「口が過ぎるぞ。ガリウス卿」
「失礼」
「さーて。あの燃料をささっさと食うかな」
「準備は?」
「出来てるわ」
サディナと呼ばれた女魔王は魔法陣をはりそこから何やら棺桶を取り出した。
「棺桶?」
嫌な予感がする。
「宝石神。ヴァニティ様の生贄となれ!」
コキュートスがそう言うとブラキオサンドライトの足元に巨大な魔法陣がひかれた。
その周りを四人の魔王が浮遊し取り囲む。
「何をするの!」
「決まってるわ。魔王陛下を復活させる為にあの爬虫類を喰ひ殺すのよ」
「アイカ!」
「お前ら。止めろ!」
「させませんわよ!」
アイカが指を鳴らすと無数の兵士達が行く手を阻んだ。
「な!どけよこの野郎!」
あまりの数に前に進まない。
「ルビティラ行け!」
「こっちも無理ティラ!」
宝石獣達も前に縛られた鎖に繋がれて地面に這いつくばってしまっている。
「「「「ジャッジメント」」」」
四人の魔王が術を発動させるとブラキオサンドライトが開いた棺に吸い込まれていく。
「ブラァァァァァ!」
ブラキオサンドライトは声を上げながら吸い込まれていく。
「ブラキオサンドライト!」
みるみるブラキオサンドライトは棺桶に吸い込まれていきそしてあの山より巨大な身体は棺桶に完全に吸い込まれて跡形もなく消えた。
「嘘だろ…」
「そんな…」
「まさか」
「早すぎるだろ」
「…」
「嫌…」
「ブラキオサンドライト!」
アリシアは涙を流しながら声を上げる。
すると宝救聖剣にハマっていた勇者石(チェンジストーン)が砕けた。
つまりブラキオサンドライトは死んだのだ。
アリシアは膝から崩れ落ち下を向く。
「そんな…やっと会えたのに…私のパートナーになってくれたのに…」
アリシアの元に丸いかけらが転がってきた。
ブラキオサンドライトの体の一部であろうアレキサンドライトのかけらだった。
「あははは!勝った。俺達は勝った!」
「これでバッドエンディングに入る」
「これで僕達は帰れますね!」
「さあ、お目覚め下さいませ。初代魔王陛下 ヴァニティ様!」
ガリウス卿が叫ぶと棺桶が開き黒い煙が上がり中から凄い衝撃波が飛んできた。
周りいた兵士達はその圧に耐えられず皆消えていき涼達は皆吹っ飛ばされた。
衝撃波が止むと棺桶から誰か起きる。
「ふぁ~よく寝た」
出てきたのは黒い髪に山羊の様な角を生やし仮面をつけた男だ。
「おお~ヴァニティ様!」
ガリウス卿と四人の魔王は膝をつき頭を下げた。
「お~お前達か!俺の昼寝中悪かったな」
「いやいやヴァニティ様が復活され我ら一同嬉しく思います。」
「コキュートスよお前はいちいち硬いな」
「初代魔王…ヴァニティ!」
「お!マナリアじゃないか。久しいな俺からのプレゼントは喜んでくれたか?」
「呪いをかけられて嬉しい訳ありません!」
何!?呪いをかけたのは魔物じゃなかったのか?
マナリアはヴァニティに歳を取る速さを遅くする呪いをかけた。側からみたら夢みたいなことだがマナリアはただの苦しみだった。
愛する人達と歳をとれず置いてけぼりにされる。こんな疎ましい呪いが他にあるか。
「アレが初代魔王」
「ヴァニティ?」
「傲慢か」
確かになんか俺様気質のいけ好かない野郎だ。
ていうか、あの姿ってまんまじゃないかよ!!
「ヴァニティさん!」
「俺達やりましたよ!」
「ミッションコンプリートです」
三人はヴァニティに近づく。
「お、お前らご苦労だったな」
「さあ!俺達を早く!」
「なんだ?」
「勿論帰るんですよ!」
「約束だろ!」
こいつらに馬鹿な事を吹きかけたのはアイツだったのか!?元の世界に返す条件でアイツらを騙したのか。
「いいだろ帰るといい…黄泉にな」
ヴァニティは嫌な笑みをする。
「え?読み?」
「何を言ってるんですか?」
「俺達は帰れるんですよね?」
「だから黄泉に帰すと言ってるだろ」
「黄泉って。何言って」
「死んでる奴を黄泉に帰して何かへんか?」
は?死んでる?誰が?あの三人が?
「は?何言ってるんですか?」
「分からないか?お前らはとうに死んでるんだよ」
「「「!?」」」
三人の顔が青ざめた。
「死んでるってどういう意味だ…」
「言葉のままだお前らは死んでるんだ」
「ぼ、僕達はゲームにいるんですよ!死んでなんか…」
「お前らはゲームをしたままこの世界に呼ばれたんだよ。」
「は?ゲームをしたままってちょっと待てよ!ここはゲームの中なんだろ?」
カイトは尋ねると高笑いをするヴァニティ達。
「あははは。馬鹿丸出しだなお前ら。お前はゲーム中に魂だけこの世界に召喚されたんだよ。わかりやすく言えば幽霊だお前らは!」
「幽霊って…僕達は確かに生きてるじゃないですか!」
確かに幽霊ならなんで身体があるんだ?
やっぱりコイツらはゲーム中に召喚されたんだな。
「バーカ!そんなのあのブラキオサウルスの力で仮の身体を得ていただけだ。お前らの身体はとうに焼却炉の中だタコが!」
「は…何言ってんだよ?訳が解らない」
「焼却炉って」
「冗談は止めろよ!」
「冗談なもんか。お前らの世界はとうに100年経ってんだ。抜け殻は死亡扱いでとうに焼却炉行きだ。」
なんだって!?つまりコイツらは身体ごと召喚されたんじゃないと。魂…要は精神だけが呼ばれてブラキオの用意した身体にいたってことか!?
「ふざけるなっ。嘘をつくなここがゲームじゃないなら俺達の見えているこの画面はなんだ!」
カズ達は目の前にゲームの画面の様な物が写っている。彼らはこれを見ていた為現実世界の認識がなかったのだ。
「ああそれはな」
ヴァニティが指を鳴らすとカズ達の視界からゲームの画面が消えた。
「俺の気まぐれだ」
「は?消えた?」
「じゃあ此処はゲームじゃない」
「現実の世界だと…」
「お前らは俺が活動時間を伸ばす為のエネルギー集めに協力してもらったんだ。ありがとさん」
三人は崩れ落ちた。
ようやく自分達が道化だった事を理解した。
「なあ、アイカ?嘘だよな?俺達恋人だ嘘だと言ってくれるよな?」
「はぁ?いつから私と下民が恋仲になったんですの?頭おかしいんじゃないの?」
「っ!?」
「ちなみにお前らはやる事やれば黙ってても帰れたんだぜ。勇者だった時はな」
三人は脳内にあの日を思い出す。
目の前がゲーム画面のまま新規イベントだと思いマナリアと信春を下級プレイヤーと思い見下し三人だけで言われた魔物を倒して回っていた。しかし、腕試しがしたいと三人は強い魔物を狩り続けた。それは倒してはいけない生態系を大きく狂わす自然界の大切な生き物だったのだ。更に珍しいアイテムドロップがあるからとゲームの知識でやたらと魔物を狩り過ぎてしまいいつしか生態系は変わり。
更に彼らはログアウトしようとするが出来ず閉じ込められたと思いこんだ中力が足りずに困っていたヴァニティに騙され続けていたのだ。全てはヴァニティがゲーマーの心理を利用した計画だったのだ。
「100年って…一年じゃないのかよ」
「滑稽だ。ここまで馬鹿だったなんてな。100年間お疲れ様。おかげでこの世界を消しやすくなったよ。コンプリートおめでとう」
「「「ふざけるなっ!!!」」」
三人は剣をヴァニティに振りかざすが。
ドカンっ!
三人の剣が爆発し無残に砕け散った。
すると三人の変身は解けた。
「なっ!?」
「そんな!?」
「マジかよ!?」
「剣は予め自爆機能をつけておきましたから。貴方がたはもう用無しですからね。捨てる準備は抜かりありません」
アッシュベルは三人の剣には最初から捨て駒にするのを前提に自爆機能を取り付けていたのだ。
「お前ら!」
涼達がヴァニティ達の元へ走ってきた。
「おやおや勇者共。今更何のようだ?」
「決まってるだろお前らをぶっ飛ばす!」
涼達は剣を構える。
「悪いが今日はやらん」
「逃げんのか!?」
「逃げるは悪の特権」なんだろ?ホウキュウジャーでは」
「お前…!?何でその台詞を!?ていうかお前その格好はまんまで…」
「いずれ分かるさ。またな!」
ヴァニティ達はそう言うと時空の彼方へ消えた。
「魔王ヴァニティ…ふざけた奴だ」
「我輩頭にきましたぞ!」
「許せない」
「姫様大丈夫ですか?」
「ええ。でもブラキオサンドライトが…」
アリシアがブラキオのかけらを抱きしめる。
「ん?オイそのかけら光ってないか?」
「え?」
アリシアが抱いていたブラキオサンドライトのかけらが光り輝いている。
「ど、どうなってんだ??」
かけらがアリシアの手を離れ空中に浮遊しやがて砕けると中から小さな恐竜が出てきた。
「?」
「何だこの宝石獣?」
「チビ…ティラね?」
「好きでチビになった訳ではないわこの無礼者!」
小さな首長竜の宝石獣は喋った。
「は?喋った!?」
「お前一体なんだよ?」
「は?我の背中で散々暴れておいて何て口の利き方をこれだから人間は!」
「背中って…お前まさか!?ブラキオサンドライトなのか、!?」
「ダサい名をつけるな!我は宝石神ブラキオサウルスだ!」
はぁーーー!?何がどうなってんだ??
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