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第14話 勇者にした責任を取るんだ

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涼達が城下町で牢屋へ放り込まれた頃、馬車で待機しているルーガルとカイエンは流石に遅すぎると思う。

「遅いな涼達…」

首を膝に乗せて耳かきしているカイエン。
器用というかやっぱホラーだわ…

「カイエン殿!ラルトル見ませんでしたかの?」

「は?居ないのか?」

あの不良宝石獣め!さては涼達についていきやがったな…退屈嫌いだからアイツ。

「ギャオ!」

大変だー!んなんだ?ラルトルが血相書いて馬車に飛び込んで来た。

そしてルーガルに激突した。

「痛い。ラルトル!お主どこへ行っていたのだ!」

「シャーーー!」

ヤバイヤバイあそこヤバイ!って落ち着かんか!

「ラルトル何があった?」

「ギャオ!ギャオ!」

何!?涼達が牢屋へ放り込まれたー!? 

「牢屋とはどういう事だ!」

「つか何でそうなったんだ!」

「ギャオー!」

は!?泥棒女が王の関係者?で、でっち上げの話を鵜呑みにされ宝救剣もとられただぁ!

「誰に奪われたのだ!」

「ギャオ!」

先代勇者達に奪われた!?

「マジかよ…あの国は魔人族とグルだったのかよ!」

「という事は次の狙いは我輩達か!?」

「だろうな…」

マジかよ、宝救剣を取られたって事はアイツら戦えないのか…嫌な予感はしたが、まさか魔人族とグルだったなんてな。

「ウガァァァ!」

雄叫びを上げるルビティラ。

「落ち着けルビティラ!勿論助けに行くさ!」

「ケラ…」

「パッキ…」

お前らも泣いてんじゃない!

「ここに居たんじゃいずれ嗅ぎつかれちまう!」

「どうすれば?」

「乗り込むしかないだろ!」

「ですな!」

二人は馬車を降りて宝救剣に各チェンジストーンをはめ込む。

ブラック!ザ!宝救武装!
グリーン!ザ!宝救武装!

「「宝救武装」」

二人は変身した。

「みんなも来い!」

宝石獣達は小さいまま二人の肩に乗る。

「頼むぜルビティラ!」

「ウガァァァ!」

ルビティラは二人を背に乗せてガネット国へ急いだ。
 
城では待機している2人を探す為の別働隊と先代勇者の3人が城の広い敷地へ集まり出発を開始
する。

「宝石獣達何処にいるかな?」

「何処へ居ても捕まえるだけだ」

「あれだけ目立つ生き物ですから直ぐに見つかりますよ!」

先代勇者達は兵士を集い国の外へ向かっている。

「カイト様~ルビーなのですが!」

「わかっているさ!アイカ。君と山分けさ」

「カイト様~~」

馬鹿丸出しだカイト…騙されやすいからなアイツはいつもゲームでナンパ相手は決まってネカマだったからな。

「はぁ~ついていけませんね~」

グラグラグラ

「な、なんだ??」

「地震か?」

「いえ違いますね!レアモンスターです!

アインがそう言った。

「ウガアァァァ!」

街の広場から巨大なオレンジ色のワニの宝石獣が飛び出して来た。 

「あーーアイツは!」

「宝石獣デイノスクス!」

「ウガァァァァァァァーーーーーー!」

宝石獣デイノスクス。

「よりによってアイツかよ…気性が荒すぎて手に負えないんだろ」

「ああ、爺いのくせにかなり気性が荒いからなあのワニは!」 

前に居た同僚の宝石獣で女だからとデレデレして懐いたんだよなあのワニは確か。

「ですが好機です!奴の体はオレンジのガーネットかなりの値打ち物です!」

宝石獣デイノニクスと呼ばれたワニは身体がキラキラのガーネットで出来ていてかなり豪華な宝石獣だった。

「あの宝石獣捕獲するんですよね!」

アイカは目を輝かせる。こんな巨大な宝石なら是非独り占めしたい。

「よーし一丁アイカの為にあのワニを捕まえるか!」

「まあ、脱落した同僚の忘れもんだ使っても文句は言われないだろ!」

カズと呼ばれた先代勇者は奪った宝救剣を構える。

「そうですねアレは元々僕達のパーティの私物ですから!」

「でしたら怪人にやらせましょう!」

「お任せを!」

2人も奪いとった剣を構える。

アイカが呼び出した煙突の怪人がそう言うと黒いダイヤを飲み込むと怪人は巨大化した。

「いいですわね!息の根を止めてあのガーネットを勇者様達の元へ持ってくるんですわよ!」

「イエッサー!」

煙突の怪人はデイノニクスに火の玉を放つ。

デイノニクスは尻尾で弾き飛ばす。
その火の玉は街に降りかかり辺りが爆発する。
逃げ惑う人々。

「な、何だありゃ!」

「あのワニですぞ!何で街中にあのデカイワニが!」

街に着いた二人はこの状況を理解出来ない、確かにマズイなこりゃ。

人々が逃げ回っている。

「あの馬鹿勇者共、民よりお宝ってか!」

宝石獣デイノスクスと煙突の怪人が激しい戦いを繰り広げている。

「涼達を助けなきゃならんのにアレをどうすりゃいんだよ!」

「しかしほっといたらあのワニは魔人族に!」

何で出てきたんだあのワニは!

「ティラ!」

俺達が止めるって無茶言うなお前!

「合体して止めるってか?涼達がいないんだぞ!」

「ティラ!」

少しの間なら俺達だけで動かせるって!

「どの位だ?」

「ティラ…」

15分だけ俺達抜きで人型を維持出来るんだな。

「15分って短すぎますぞ!」

けどやるしかないか…

「わかった!ルビティラ少しの間ホウキュウオーでアイツらを止めてくれ!」

「ティラ!」

「ケラ!」

「パッキー」

やるぞと三体は元の姿に戻る。

「お前達は我輩達と頼むぞ!」

オニステとラルトルは二人について行く。

「よし!宝石合体!」

カイエンの掛け声でルビティラ達は身体をバラし集まりホウキュウオーに合体した。

「ウガァァァ!」

ルビティラは行けと叫ぶ。

「必ず戻る!それまで頼んだ!」

「危険になったら逃げるんだぞ!」

二人は城へ走った。

「何だ?またなんか出たぞ!」

「アレは宝石巨人か?」

「確か報告にあったホウキュウオーとか言う奴ですね!」

アインは兵士達の報告を聞いていたので知っていた。幹部ですから。

「俺達の時はあんなシステムは無かったぞ!」

「ちょうどいいですわ!カモが転がってきましたわ!」

アイカはそう言うと指を鳴らし魔人族の兵士を呼び出し4体に黒いダイヤを食わせた。

敵兵達まで巨大化した。

「あのデカイ巨人を捕獲しなさい!」

巨大化した敵兵達はホウキュウオーに襲いかかる。

「ティラ!」

うっとしい…なたく…

「ケラ!」

とにかくやりましょう!

「パッキー!」

僕頑張る!

「グル…」

デイノスクスはホウキュウオー達の側に来た。

「ティラ?」

アンタ?

「グルル…」

邪魔はするなよ…

「ウガァァァ!」

ぬかせ!行くぞ!

ホウキュウオーとデイノスクスは共闘して敵に迎えうつ。

「陛下!街で怪物と宝石獣が暴れています!」

「慌てるな勇者達が解決してくれる!」

「陛下!城に賊どもの仲間が忍び込みまし
た!」

「何だと!早くさがしださないか!」

玉座が騒がしい頃、牢屋では涼は寝転がり、リアとコハクは鉄格子から何とか脱出出来ないか模索している。

「なんか揺れてる!?」

「やな予感がする何とか脱出しなきゃ」

「……」

涼は頭が真っ白だ。

全てを否定された…この世界は特撮を受け入れない…当たり前かそんな物は無い世界だ…受け入れられなくて当たり前か…俺はヒーローなんかじゃない…わかっていたのに…

「涼さん?」

「涼、大丈夫か?」 

「俺は…ヒーローなんかじゃなかった…」

涼…宝救剣も取られて全てを否定されてかなり参ってる…

「涼しっかりするんだ!」

「気をしっかり涼さん!」

「みんな大丈夫か!」

奥から兵士を蹴散らして正面突破してきたカイエンとルーガルが助けに来た。

「カイエン、ルーガル!」

「来てくれたんですね!」

「当たり前だ!我輩達は仲間だからな!」

「涼、大丈夫か?涼?」

どうしたんだ?あのテンションだけは高い涼がこんな黙り込んでる。

「何があった?」

「宝救剣を馬鹿勇者に奪われて自分の全てを全否定されたから…」

「参ってしまったんです」

全てを仕組まれて裏切られて自分のアイデンティティを否定されたか…

「涼…お前のヒーロー像はそんなもんか?」

「カイエン殿?」

「そうなら…お前さふざけんなよ!」

カイエンは涼の胸元を掴みあげる。

「カイエン!」

「何をしてるんですか!?こんな時に!」

「そうですよ!仲間割れしてる場合じゃ!」

「お前らは黙ってろ!」

カイエンは三人を黙らせる。

「涼…お前には責任があるんだ!俺達を勇者に導いた責任がな!」

責任…

「お前言ったよな?勇者はヒーローで戦隊だって!」

そんな事言ったか俺…?自分の言葉も分からなくなってきた…

「お前は馬鹿丸出しで訳わからない事ばっか抜かすけどな…お前は勇者なんだよ!俺達は魔物としか言われず蔑まれてきた…」

俺達デュラハン、リザードマン、亜人族は人間族からみりゃ怪物だ。けどお前に出会えたから俺達は…

「俺達はなお前のおかげで勇者になれた!紛れもなく!怪物の俺が勇者だぞ!使命を達成したら俺達の世界も変わるんだ!」

「そうですぞ!我輩が小さくても勇者になれると涼殿が言ってくださった!我輩、ホウキュウジャーになれて誇らしいですぞ!」

「亜人も勇者になれる!教えてくれたのは貴方ですよ涼さん!」

「僕は成り行きでなったが、けど今は勇者で良かったと思う!僕達は誰にも出来ない事をやっているんだ!」

そうだ、差別されても僕達が勇者に選ばれ事は変わらないし無しにはならない!

「涼!みんなこの現実を変えたいと強く思ってんだ!王様が否定?上等じゃねーか!土下座させて助けてくれって言わせてやろうぜ!」

「我輩達の正義は誰かに評価されたい訳ではないですぞ!」

「他人の評価なんかそれこそ肩書きです!」

「僕達は今を変える為にルビティラ達の無念を晴らす為に人々が笑える世界にする為にやるんだ!」

ルビティラの無念…笑える世界を…

「それがお前の言う!」

「「「「戦隊なんだろ!」」」」

みんな…ありがとう…

「馬鹿だな…俺は確かに肩書きなんか関係ない!誰が言おうと俺は…俺達は戦隊だ!」

涼はそう言うと立ち上がり牢屋の扉を蹴飛ばす。

「さあ、行こうぜ!」
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