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序章
17話
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俺の声に気付いた潤は俺の方を見ると数秒ほど動きを止めると次の瞬間、猛烈な勢いで駆け付けて来て俺の眼前まで来ると黒いグラサンをサッと取り俺の顔をまじまじと見ると急に瞳をウルウルとさせて終いには人目もはばからずワンワン泣き出してしまった。
俺にとっては一週間ぶりの潤にとっては二ヶ月とちょっとぶりの再会を果たしてから凡そ十分後、潤がやっと泣き止み始めた。
「……潤、もうそろそろ泣き止みそうか」
「……すん、すん……も、申し訳ありませんでした勇人様。大変お見苦しい所をお見せしてしまって」
「いや、そんなことはないよ。むしろ俺との再会にこんなに感激してくれるなんてとても嬉しかったよ。ありがと」
「……いえいえ、私のこの反応は至極当然のことなんですよ。勇人様が二ヶ月前に突然失踪して勇人様の家があったマンションは跡形もなく消えその場所に新たなダンジョンが出来ている始末です。大旦那様と大奥様そして我々芹沢グループ全社員その事実を知ってから一週間ほど仕事が何も手に着きませんでした。…………でも勇人様は生きてらっしゃった。……はっ、こうしてはいられませんね。早速桜子さんに連絡して大旦那様と大奥様そして我々芹沢グループ全社員にこのことを知らせなければ」
潤はそう言うとジャケットの内ポケットからスマホを取り出して早速桜子さんに連絡を取っていた。
その際、潤はまた少し涙目になっていたがなんとか泣くのをこらえて報告を終えた様だ。
潤が桜子さんに電話し終わったタイミングを見計らって俺はある提案を潤にした。
「なあ潤、俺さちょっとこれから寄らないといけないところがあるから軽井沢の実家に行くのはその後でも良いかな。それとお前も付いてくるか?俺がまあ潤達の感覚で二ヶ月もどこにいたかの答えになると思うけどな」
「…………そう言うことでしたら是非ご一緒したく思います」
潤から了承を得た俺は早速潤と人気のない所まで移動して異次元扉をその場に召喚した。
「よし、準備完了だ。潤、これからこの扉を潜るぞ。目的地はこの扉の先だ」
「…………わ、わかりました。い、行きましょう」
「あ、いい忘れてたけど。今から会うのは異世界ゼニアって言う世界を管理している……女神さまだから。まあ分体だけどな」
「…………え?い、異世界?はまあこの扉を見ればわかりますけど、…………女神?…………分体?…………え?…………え、えぇぇぇ!!」
俺は驚き過ぎて思考停止している潤の首根っこを掴むと引きずりながら異次元扉を潜って行った。
その後扉の先の聖域島でコメル達と潤の顔合わせや今までの経緯などを説明してからみんなで少しの間談笑して地球に帰ってきた。
因みに潤はみんなで談笑している間も自分の精神を守るために聖域島で仲良くなったフェンリルの子供の末っ子と戯れていた。
まあ、そのフェンリルの子供は潤と戯れた後必ず俺の所に来て俺の膝に寝そべるとごろごろと寛いでいたのだが、その間潤はとても寂しそうにいていた。
俺は聖域島から戻って来て精神的に回復した潤の運転するリムジンに乗り込み父方の実家がある長野県軽井沢へと向かっていた。
「なあ潤俺が疾走している間の様子とか少し聞かせてくれないか。特にダンジョン関連とか世界情勢とかさ」
「はい。わかりました。……では先ずはダンジョン関連ですが勇人様が住んでいたマンションの跡地に出来たダンジョンの他に全国、全世界で五十程新たなダンジョンが確認されています。しかもその全てのダンジョンが勇人様が失踪されたと思われる時間と同じ時間に突如現れています。この現象で亡くなった人は全世界で約十万人程と考えられています。次にこの二ヶ月間の世界情勢ですが世界各国のダンジョンに対する対策方針などは今のところさして変わりはありません。しいて言えばダンジョン内で使うことが出来るデジタルカメラなどが開発されてダンジョン攻略配信と言うものが最近はやり始めて来た事くらいでしょうかね」
「そうか。教えてくれてありがと」
その後何事もなく六時間程かけて実家の芹沢邸に到着した。
俺にとっては一週間ぶりの潤にとっては二ヶ月とちょっとぶりの再会を果たしてから凡そ十分後、潤がやっと泣き止み始めた。
「……潤、もうそろそろ泣き止みそうか」
「……すん、すん……も、申し訳ありませんでした勇人様。大変お見苦しい所をお見せしてしまって」
「いや、そんなことはないよ。むしろ俺との再会にこんなに感激してくれるなんてとても嬉しかったよ。ありがと」
「……いえいえ、私のこの反応は至極当然のことなんですよ。勇人様が二ヶ月前に突然失踪して勇人様の家があったマンションは跡形もなく消えその場所に新たなダンジョンが出来ている始末です。大旦那様と大奥様そして我々芹沢グループ全社員その事実を知ってから一週間ほど仕事が何も手に着きませんでした。…………でも勇人様は生きてらっしゃった。……はっ、こうしてはいられませんね。早速桜子さんに連絡して大旦那様と大奥様そして我々芹沢グループ全社員にこのことを知らせなければ」
潤はそう言うとジャケットの内ポケットからスマホを取り出して早速桜子さんに連絡を取っていた。
その際、潤はまた少し涙目になっていたがなんとか泣くのをこらえて報告を終えた様だ。
潤が桜子さんに電話し終わったタイミングを見計らって俺はある提案を潤にした。
「なあ潤、俺さちょっとこれから寄らないといけないところがあるから軽井沢の実家に行くのはその後でも良いかな。それとお前も付いてくるか?俺がまあ潤達の感覚で二ヶ月もどこにいたかの答えになると思うけどな」
「…………そう言うことでしたら是非ご一緒したく思います」
潤から了承を得た俺は早速潤と人気のない所まで移動して異次元扉をその場に召喚した。
「よし、準備完了だ。潤、これからこの扉を潜るぞ。目的地はこの扉の先だ」
「…………わ、わかりました。い、行きましょう」
「あ、いい忘れてたけど。今から会うのは異世界ゼニアって言う世界を管理している……女神さまだから。まあ分体だけどな」
「…………え?い、異世界?はまあこの扉を見ればわかりますけど、…………女神?…………分体?…………え?…………え、えぇぇぇ!!」
俺は驚き過ぎて思考停止している潤の首根っこを掴むと引きずりながら異次元扉を潜って行った。
その後扉の先の聖域島でコメル達と潤の顔合わせや今までの経緯などを説明してからみんなで少しの間談笑して地球に帰ってきた。
因みに潤はみんなで談笑している間も自分の精神を守るために聖域島で仲良くなったフェンリルの子供の末っ子と戯れていた。
まあ、そのフェンリルの子供は潤と戯れた後必ず俺の所に来て俺の膝に寝そべるとごろごろと寛いでいたのだが、その間潤はとても寂しそうにいていた。
俺は聖域島から戻って来て精神的に回復した潤の運転するリムジンに乗り込み父方の実家がある長野県軽井沢へと向かっていた。
「なあ潤俺が疾走している間の様子とか少し聞かせてくれないか。特にダンジョン関連とか世界情勢とかさ」
「はい。わかりました。……では先ずはダンジョン関連ですが勇人様が住んでいたマンションの跡地に出来たダンジョンの他に全国、全世界で五十程新たなダンジョンが確認されています。しかもその全てのダンジョンが勇人様が失踪されたと思われる時間と同じ時間に突如現れています。この現象で亡くなった人は全世界で約十万人程と考えられています。次にこの二ヶ月間の世界情勢ですが世界各国のダンジョンに対する対策方針などは今のところさして変わりはありません。しいて言えばダンジョン内で使うことが出来るデジタルカメラなどが開発されてダンジョン攻略配信と言うものが最近はやり始めて来た事くらいでしょうかね」
「そうか。教えてくれてありがと」
その後何事もなく六時間程かけて実家の芹沢邸に到着した。
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