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序章
16話
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俺は勢いに任せて転送陣に飛びなった。
すると、突如俺の視界を眩い光が埋め尽くし、一瞬ふわ~ッと言う感覚に襲われた。
そして、次に俺が見た光景は俺の家があったマンションの真ん前にある児童公園だった。
「ここは俺のマンションの前にある児童公園。…………ってことはまさか」
俺はとっさに背後にある筈のマンションの方を振り返った。
「…………え、…………マンションがない?…………はあ?え、どう言うことだよ。俺の家は一体どこに行ったんだ。…………はっ、そうだ。とりあえずじいちゃんとばあちゃんに連絡を取ろう。…………え…………」
俺はじいちゃんとばあちゃんに連絡を取ろうメルティアに召喚されてからずっとズボンのポケットにしまっていたスマホを取り出し電源を入れるとスマホの画面に信じられない物が映っていた。
「おいおい!!…………嘘だろ。今日の日付が五月の二十二日になってるだと。俺がメルティアに召喚されたのは中学の卒業式の日だから三月の二十五日だったはずだ。召喚されてまだたった二日しか経ってなかったはずなのに。…………はっ、まさかこっちの世界とあっちの世界の時間の流れが異なっていたのか。…………と言うことは…………俺この世界で既に死んだことになってるんじゃないか」
………………ぶんぶん。
と、とりあえず一刻も早くじいちゃんとばあちゃんに連絡を取って事の次第を説明しないと。
もし本当に役所に死亡届なんて出されていたら目も当てられないしな。
俺は早速長野にある実家に連絡を入れた。
『…………はい。…………芹沢グループ秘書室です。…………どちら様でしょうか」
「あ、桜子さん、俺だよ俺。悪いんだけどじいちゃんとばあちゃん今いるかな。いたらちょっと電話をかわって欲しんだけど」
『…………はあ~、……またどこぞの詐欺集団ですか。今現在当家では不幸がございまして大旦那様も大奥様も対応しておりません。……ではそう言うことなので失礼します』
「いやいや、ちょ、ちょっと待って桜子さん。この声聞き覚えない俺だよ俺。勇人だよ。芹沢勇人」
『…………そう言う電話がこの二ヶ月で何度もかかってきています。なのでそう言った話の対応は出来かねます』
「いやいや、だったらここまで確認しに来て下さいよ桜子さん。俺の家があった代々木四丁目のマンションの向かいにある児童公園にいるから」
『…………はあ~、わかりました。では私の部下の潤を向かわせますのでそこから動かないで下さい。良いですね』
「ああ、わかったよ」
俺はとりあえず家の会社の秘書一人である江尻潤がここに来るまでまだ時間があるから昼飯がてら近くのコンビニで弁当を買うことにした。
近くのコンビニでのり弁とお茶を買った俺はまた児童公園まで戻り公園のベンチに腰を掛けて弁当を食べることにした。
「それにしても財布の中に千円札が一枚しかなかったのには少しヒヤッとしたな。銀行の通帳とキャッシュカードも家ごと跡形もなく消えてたし、…………はあ~、金が無いなあ。……じいちゃん達に借りるのも何か嫌だし…………あ、そうだ。まだ一度も通ってないけど俺もちゃんとした国立能力者育成学院『栄成学院』の生徒なんだからギルドにいて探索者登録をしても良いじゃないか。そうすれば代々木四丁目ダンジョンで手に入れた幾つかの素材を売ってお金を稼ぐ事も出来るし。うんじいちゃん達と会ったらそのついでに長野の探索者ギルドで登録しちゃおう」
弁当も食べ終わりベンチに座りながらのんびりすること一時間三十分、公園の向かいの通りに黒塗りのリムジンが止まり車から黒いスーツを着た黒いグラサンを掛けた男が降りてこちらに向かって歩いて来た。
お!?あれは、あのシルエットにあの独特の歩き方は…………間違いない潤だな。ってこの前会ってからまだ一週間くらいしか経ってないけどな。
俺は目的の人物を探して公園をキョロキョロと見回している潤に声を掛けた。
「お~い!潤~!こっちだこっち」
俺の声に気付いた潤は俺の方を見ると数秒ほど動きを止めると次の瞬間、猛烈な勢いで駆け付けて来て俺の眼前まで来ると黒いグラサンをサッと取り俺の顔をまじまじと見ると急に瞳をウルウルとさせて終いには人目もはばからずワンワン泣き出してしまった。
すると、突如俺の視界を眩い光が埋め尽くし、一瞬ふわ~ッと言う感覚に襲われた。
そして、次に俺が見た光景は俺の家があったマンションの真ん前にある児童公園だった。
「ここは俺のマンションの前にある児童公園。…………ってことはまさか」
俺はとっさに背後にある筈のマンションの方を振り返った。
「…………え、…………マンションがない?…………はあ?え、どう言うことだよ。俺の家は一体どこに行ったんだ。…………はっ、そうだ。とりあえずじいちゃんとばあちゃんに連絡を取ろう。…………え…………」
俺はじいちゃんとばあちゃんに連絡を取ろうメルティアに召喚されてからずっとズボンのポケットにしまっていたスマホを取り出し電源を入れるとスマホの画面に信じられない物が映っていた。
「おいおい!!…………嘘だろ。今日の日付が五月の二十二日になってるだと。俺がメルティアに召喚されたのは中学の卒業式の日だから三月の二十五日だったはずだ。召喚されてまだたった二日しか経ってなかったはずなのに。…………はっ、まさかこっちの世界とあっちの世界の時間の流れが異なっていたのか。…………と言うことは…………俺この世界で既に死んだことになってるんじゃないか」
………………ぶんぶん。
と、とりあえず一刻も早くじいちゃんとばあちゃんに連絡を取って事の次第を説明しないと。
もし本当に役所に死亡届なんて出されていたら目も当てられないしな。
俺は早速長野にある実家に連絡を入れた。
『…………はい。…………芹沢グループ秘書室です。…………どちら様でしょうか」
「あ、桜子さん、俺だよ俺。悪いんだけどじいちゃんとばあちゃん今いるかな。いたらちょっと電話をかわって欲しんだけど」
『…………はあ~、……またどこぞの詐欺集団ですか。今現在当家では不幸がございまして大旦那様も大奥様も対応しておりません。……ではそう言うことなので失礼します』
「いやいや、ちょ、ちょっと待って桜子さん。この声聞き覚えない俺だよ俺。勇人だよ。芹沢勇人」
『…………そう言う電話がこの二ヶ月で何度もかかってきています。なのでそう言った話の対応は出来かねます』
「いやいや、だったらここまで確認しに来て下さいよ桜子さん。俺の家があった代々木四丁目のマンションの向かいにある児童公園にいるから」
『…………はあ~、わかりました。では私の部下の潤を向かわせますのでそこから動かないで下さい。良いですね』
「ああ、わかったよ」
俺はとりあえず家の会社の秘書一人である江尻潤がここに来るまでまだ時間があるから昼飯がてら近くのコンビニで弁当を買うことにした。
近くのコンビニでのり弁とお茶を買った俺はまた児童公園まで戻り公園のベンチに腰を掛けて弁当を食べることにした。
「それにしても財布の中に千円札が一枚しかなかったのには少しヒヤッとしたな。銀行の通帳とキャッシュカードも家ごと跡形もなく消えてたし、…………はあ~、金が無いなあ。……じいちゃん達に借りるのも何か嫌だし…………あ、そうだ。まだ一度も通ってないけど俺もちゃんとした国立能力者育成学院『栄成学院』の生徒なんだからギルドにいて探索者登録をしても良いじゃないか。そうすれば代々木四丁目ダンジョンで手に入れた幾つかの素材を売ってお金を稼ぐ事も出来るし。うんじいちゃん達と会ったらそのついでに長野の探索者ギルドで登録しちゃおう」
弁当も食べ終わりベンチに座りながらのんびりすること一時間三十分、公園の向かいの通りに黒塗りのリムジンが止まり車から黒いスーツを着た黒いグラサンを掛けた男が降りてこちらに向かって歩いて来た。
お!?あれは、あのシルエットにあの独特の歩き方は…………間違いない潤だな。ってこの前会ってからまだ一週間くらいしか経ってないけどな。
俺は目的の人物を探して公園をキョロキョロと見回している潤に声を掛けた。
「お~い!潤~!こっちだこっち」
俺の声に気付いた潤は俺の方を見ると数秒ほど動きを止めると次の瞬間、猛烈な勢いで駆け付けて来て俺の眼前まで来ると黒いグラサンをサッと取り俺の顔をまじまじと見ると急に瞳をウルウルとさせて終いには人目もはばからずワンワン泣き出してしまった。
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