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序章

10話

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 俺は机の上に現れた複数のモニターに大陸の聖域に派遣した監視ゴーレム達の視界を同機させて大陸聖域内の状況を確認していた。

「う~ん、今のところは特に異常はないけど聖獣や神獣の類も全然発見できないみたいだな。まだ動物しか来ていないのかな」

 俺がモニターに映し出された映像を見ながら軽く愚痴をこぼしていると突然甲高い衝突音がして、その後直ぐに派遣していた監視ゴーレムの一体の視界の奥に空高く舞い上がる土埃が映し出された。

「な、何だ一体何が起こったんだ!?」

 俺は取り乱して先程まで腰かけていたイスから勢いよく立ち上がり今も尚空高く舞い上がる土埃を写している監視ゴーレムのモニターを凝視していると隣からコメルが注意をして来た。

「勇人さん!、勇人さん!、一旦落ち着くです。落ち着かないと適切な対処をすることが出来なくなるのですよ!!」

「はっ、そ、そうだな。ありがとコメル」

 全くその通りだよな。

 ふ~、よし、先ずは現状を把握しないとだ。

 現場はどうやら聖域の外みたいだからとりあえず衛兵ゴーレムには手はず通りに聖域の警備につかせて、監視ゴーレムにはステルス機能を起動させて現場を偵察させよう。

「とりあえず監視ゴーレム一号から五号は現場へ偵察に行ってくれその後の指示は現場に着いてから出す。残りの監視ゴーレム達は衛兵ゴーレムと一緒に聖域ないの警備に当たってくれ」

 俺は大陸の聖域に派遣したゴーレム達に耳に付けているインカムから指示を与えるとモニターの画面を現場へ急行させた五体の監視ゴーレムの視点に変え成り行きを見守ることにした。

 少しして現場に急行させたゴーレム達が目的地に着くとそこには体長五十センチくらいで綺麗な白銀色であったであろう血まみれの体毛をした子犬?子狼?が数匹一塊になっておりその周辺を五体の体長四メートルくらいのライオンの様なものが取り囲んでいた。

「こ、これはヤバイ。急いで大陸の聖域内を巡回している衛兵ゴーレム達を現場に向かわせないと」

 俺は現場の状況を確認すると席を勢いよく立ち上がりインカムで衛兵ゴーレム数体に現場へ向かいちっこいのを守護するように指示すると、直ぐに聖域島の整備に向かっているシュバルツと工房内の整理を任せていたバールに連絡を取った。

「二人ともすまないが作業を一旦中断して俺の書斎まで来てくれ。説明はお前達がここに着いてから手短にする。……さてコメル、……このちっこいのとでかいのは一体何なんだ。教えてくれ」

「わかりましたです。先ずこの小っちゃくてプリティな子狼は神獣フェンリルの子供ですです。そしてこの大きいのはおそらく元は幻獣のスカーレットレオだと思うのです。邪神、邪龍邪精霊、魔王どれにやられたかはわかりませんが負のエネルギーに侵されて完全に邪幻獣になってしまっています。こうなってしまってはもう救うことは出来ません。早く倒して楽にしてあげて欲しいのです」

 俺がコメルの話を聞き終わった時、同時にシュバルツとバールが書斎に入って来た。

『『マスター只今参りました。それで話と言うのは一体何なのでしょうか?』』

「ああ、急いできてもらって悪かったな二人とも。先ずはこのモニターを見てくれ」

 俺は机の上に展開されているモニターを二人に見せてからまた話を再開させた。

「見ての通り現在ここ聖域島を含めた聖域区域の初の保護対象がドデカい邪幻獣五体に襲われている所だ。今現場に衛兵ゴーレムを数体派遣して邪幻獣を抑え込んで貰っている状況だ。それで今から俺とコメルは現場に向かう訳だがそうするとあのフェンリルの子供達が暮らす場所を整備する時間が取れない。……だからお前達二人には俺達が現場に行っている間にこの聖域島内に子供達の暮らす場所を作っておいて欲しんだ。頼めるかな?」

『『はっ、我々があの子達がのびのびと暮らし育つことの出来る素晴らしき場所を作ってみせます。大船に乗ったつもりで期待していて下さいマスター』』

「うん。よろしく頼むよ二人とも。…………それじゃあコメル、俺達は現場に向かうとしよう」

「はいなのです」


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