元最強勇者異世界に再召喚される~仕方ないスローライフのついでに異世界と現実世界を救ってやるか~

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序章

7話

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 鉱山へ登る準備を終えた俺とコメルは今屋敷の裏手にある鉱山の麓に来ていた。

「鉱山に来たのは良いけどまだ手付かずだから今後のためにも坑道を作るのは必須だよな。今回はミスリルが埋まっている所をピンポイントで掘って、その後は後で作るゴーレムに坑道作りをまかせるのも良いかもな」

「はい。それが良いと思います。ミスリルで作るゴーレムは高性能なゴーレムになると思いますし大丈夫でしょう」

「それで、ミスリルは鉱山のどのあたりに埋まっているんだ。余り危険なことはしたくないから出来るだけ採掘しやすい場所を見つけてくれると助かる」

「わかりました。少々お待ちください。…………見つけました。この鉱山の中腹の左の方にミスリルの鉱床の反応があります。…………ん~、この量ですと標準サイズの人型ゴーレムを二体程作れる量でしょうか」

「そうか、今回はそのくらいの量で問題ないからその鉱床の位置まで案内してくれないかコメル」

「任せて下さい。では私に付いて来て下さい」

 コメルが見つけた鉱床に向けてそこそこ険しい山道を登る俺とコメルは何事もなく目的地の鉱床がある場所までたどり着いた。

 鉱床に着いた俺はスキル【神の書】を手元に召喚すると勇者のページを開き書に封印されている勇者の力を体に馴染ませて、早速ミスリルを採掘するためにコメルにミスリルの鉱床の正確な位置を教えてもらい初級土魔法の穴堀を連発してミスリルの鉱床を地表に剥き出しにした。

「あった。ミスリルの鉱床だ。……うん。コメルの言う通りの量だな。よし、この鉱床を工房に持ち帰ってミスリル鉱石から不純物を取り除く作業に取り掛かるとするか。…………それにしても【神の書】に前回召喚された時に覚えた魔法やスキルが全て【勇者】にまとめられた状態で封印されていて正直助かったな。おかげで細かい作業などをする際に補助できる魔法を使うことが出来る」

「そうでしょうとも、そうでしょうとも。確実にこれは私の本体の頑張りの賜物ですね」

「だな」 

 俺は体に馴染ませていた勇者の力を【神の書】に封印し直すと掘り起こしたミスリルの鉱床に手を触れ【神の書】の機能であるアイテムボックスを起動しアイテムボックスの中にミスリルの鉱床を収納した。

 ミスリルの鉱床を回収し終えた俺とコメルは自分の腰に手を当て背を反らしながら空を見上げた。

「ん?なんだ知らない間にもう夕暮れ時じゃないか。夕飯どうするかな~…………あ、そうだコメル、お前ってお腹空いたりするのか?もしお腹が空くなら今日は俺が作ってやろうか。俺一年近く一人暮らししてたから大抵の物なら作れるけど……どうする」

「はい。私もお腹ペコペコです~~勇人さんは一体どんな食事を作ってくれるんでしょうか……とても楽しみです」

「今回はもうこんな時間だしあまり手の凝った料理は作らないからな。余り期待するなよ」

 俺達はそんなことをしゃべりながら足元に注意して慎重に屋敷の裏手の鉱山を下山して行った。

 鉱山を下山して完全に陽が落ちた頃に屋敷に戻って来た俺とコメルは家庭用キッチンのある秘密部屋に入ると鉱山に行く前にアイテムボックスから保存庫に入れておいた少量の野菜と肉を使って簡単に出来る肉野菜炒めを作り、同じくアイテムボックスから保存庫に入れておいた米を一合分焚いて超簡単なお手軽料理を作った。

「コメル~、飯が出来たぞ~」

「はいです~。もうわたしはお腹がペコペコですよ~。早く食べましょう」

 俺達は俺が作った簡単お手軽料理である肉野菜炒めと先程焚き終わった米を秘密部屋の共同スペースで美味しく頂いた後、ゴーレム作りを再開させるためにまた工房部屋へ向かった。

「さてとコメル、万能キューブを起動させるからコメルはさっき取って来たこのミスリル鉱床を工房部屋の端に作った金属練成所まで行ってミスリルとその他の金属に分離した後、分離させたミスリルをインゴットに形成してからここに持って来てくれるか」

「わかったのです~。コメルにお任せなのです~。それじゃあ行って来るのです~」

 コメルを金属練成所に送り出した俺は万能キューブを起動させてゴーレム製作所モードにしてゴーレム製作の下準備に取り掛かり十分程が経った時、金属練成所に行っていたコメルが荷台にミスリルのインゴットが大量に積まれた荷車を「んっしょ、んっしょ」と押しながらこちらに向かって来た。

「お、コメルお疲れさま。こっちも丁度今製作するゴーレムのデザインを万能工房のメインシステムにインプットし終わったところだ。いよいよこれからゴーレム作りの開始だぞ。さあ、コメルが分離、練成、形成してくれたこのミスリルのインゴットをあそこの台座に置くのを手伝ってくれるか」

「わかったのです~。このインゴットをあそこの台座に置けばいいのです~?」

「ああ、そうだ。今回作るゴーレムはこれから作って行く多くのゴーレム達のリーダーとサブリーダーになる予定のゴーレムだ。だからデザインや構造も細部にいたるまで最高の技術と俺のロマンを敷き詰めた物になっている。完成を楽しみにしているといい」

 俺達二人がかりでミスリルのインゴットを工房の巨大な台座に載せてゴーレム製作をスタートさせた。

 そして、製作開始から数十分後、工房の巨大な台座の上には骨格が人間と同じで人間で言う顔の部分と胸の真ん中に大き目のレンズが付いたミスリル特有の白銀色に輝く最高のゴーレムが二体よこたわっていた。


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