7 / 31
序章
7話
しおりを挟む
鉱山へ登る準備を終えた俺とコメルは今屋敷の裏手にある鉱山の麓に来ていた。
「鉱山に来たのは良いけどまだ手付かずだから今後のためにも坑道を作るのは必須だよな。今回はミスリルが埋まっている所をピンポイントで掘って、その後は後で作るゴーレムに坑道作りをまかせるのも良いかもな」
「はい。それが良いと思います。ミスリルで作るゴーレムは高性能なゴーレムになると思いますし大丈夫でしょう」
「それで、ミスリルは鉱山のどのあたりに埋まっているんだ。余り危険なことはしたくないから出来るだけ採掘しやすい場所を見つけてくれると助かる」
「わかりました。少々お待ちください。…………見つけました。この鉱山の中腹の左の方にミスリルの鉱床の反応があります。…………ん~、この量ですと標準サイズの人型ゴーレムを二体程作れる量でしょうか」
「そうか、今回はそのくらいの量で問題ないからその鉱床の位置まで案内してくれないかコメル」
「任せて下さい。では私に付いて来て下さい」
コメルが見つけた鉱床に向けてそこそこ険しい山道を登る俺とコメルは何事もなく目的地の鉱床がある場所までたどり着いた。
鉱床に着いた俺はスキル【神の書】を手元に召喚すると勇者のページを開き書に封印されている勇者の力を体に馴染ませて、早速ミスリルを採掘するためにコメルにミスリルの鉱床の正確な位置を教えてもらい初級土魔法の穴堀を連発してミスリルの鉱床を地表に剥き出しにした。
「あった。ミスリルの鉱床だ。……うん。コメルの言う通りの量だな。よし、この鉱床を工房に持ち帰ってミスリル鉱石から不純物を取り除く作業に取り掛かるとするか。…………それにしても【神の書】に前回召喚された時に覚えた魔法やスキルが全て【勇者】にまとめられた状態で封印されていて正直助かったな。おかげで細かい作業などをする際に補助できる魔法を使うことが出来る」
「そうでしょうとも、そうでしょうとも。確実にこれは私の本体の頑張りの賜物ですね」
「だな」
俺は体に馴染ませていた勇者の力を【神の書】に封印し直すと掘り起こしたミスリルの鉱床に手を触れ【神の書】の機能であるアイテムボックスを起動しアイテムボックスの中にミスリルの鉱床を収納した。
ミスリルの鉱床を回収し終えた俺とコメルは自分の腰に手を当て背を反らしながら空を見上げた。
「ん?なんだ知らない間にもう夕暮れ時じゃないか。夕飯どうするかな~…………あ、そうだコメル、お前ってお腹空いたりするのか?もしお腹が空くなら今日は俺が作ってやろうか。俺一年近く一人暮らししてたから大抵の物なら作れるけど……どうする」
「はい。私もお腹ペコペコです~~勇人さんは一体どんな食事を作ってくれるんでしょうか……とても楽しみです」
「今回はもうこんな時間だしあまり手の凝った料理は作らないからな。余り期待するなよ」
俺達はそんなことをしゃべりながら足元に注意して慎重に屋敷の裏手の鉱山を下山して行った。
鉱山を下山して完全に陽が落ちた頃に屋敷に戻って来た俺とコメルは家庭用キッチンのある秘密部屋に入ると鉱山に行く前にアイテムボックスから保存庫に入れておいた少量の野菜と肉を使って簡単に出来る肉野菜炒めを作り、同じくアイテムボックスから保存庫に入れておいた米を一合分焚いて超簡単なお手軽料理を作った。
「コメル~、飯が出来たぞ~」
「はいです~。もうわたしはお腹がペコペコですよ~。早く食べましょう」
俺達は俺が作った簡単お手軽料理である肉野菜炒めと先程焚き終わった米を秘密部屋の共同スペースで美味しく頂いた後、ゴーレム作りを再開させるためにまた工房部屋へ向かった。
「さてとコメル、万能キューブを起動させるからコメルはさっき取って来たこのミスリル鉱床を工房部屋の端に作った金属練成所まで行ってミスリルとその他の金属に分離した後、分離させたミスリルをインゴットに形成してからここに持って来てくれるか」
「わかったのです~。コメルにお任せなのです~。それじゃあ行って来るのです~」
コメルを金属練成所に送り出した俺は万能キューブを起動させてゴーレム製作所モードにしてゴーレム製作の下準備に取り掛かり十分程が経った時、金属練成所に行っていたコメルが荷台にミスリルのインゴットが大量に積まれた荷車を「んっしょ、んっしょ」と押しながらこちらに向かって来た。
「お、コメルお疲れさま。こっちも丁度今製作するゴーレムのデザインを万能工房のメインシステムにインプットし終わったところだ。いよいよこれからゴーレム作りの開始だぞ。さあ、コメルが分離、練成、形成してくれたこのミスリルのインゴットをあそこの台座に置くのを手伝ってくれるか」
「わかったのです~。このインゴットをあそこの台座に置けばいいのです~?」
「ああ、そうだ。今回作るゴーレムはこれから作って行く多くのゴーレム達のリーダーとサブリーダーになる予定のゴーレムだ。だからデザインや構造も細部にいたるまで最高の技術と俺のロマンを敷き詰めた物になっている。完成を楽しみにしているといい」
俺達二人がかりでミスリルのインゴットを工房の巨大な台座に載せてゴーレム製作をスタートさせた。
そして、製作開始から数十分後、工房の巨大な台座の上には骨格が人間と同じで人間で言う顔の部分と胸の真ん中に大き目のレンズが付いたミスリル特有の白銀色に輝く最高のゴーレムが二体よこたわっていた。
「鉱山に来たのは良いけどまだ手付かずだから今後のためにも坑道を作るのは必須だよな。今回はミスリルが埋まっている所をピンポイントで掘って、その後は後で作るゴーレムに坑道作りをまかせるのも良いかもな」
「はい。それが良いと思います。ミスリルで作るゴーレムは高性能なゴーレムになると思いますし大丈夫でしょう」
「それで、ミスリルは鉱山のどのあたりに埋まっているんだ。余り危険なことはしたくないから出来るだけ採掘しやすい場所を見つけてくれると助かる」
「わかりました。少々お待ちください。…………見つけました。この鉱山の中腹の左の方にミスリルの鉱床の反応があります。…………ん~、この量ですと標準サイズの人型ゴーレムを二体程作れる量でしょうか」
「そうか、今回はそのくらいの量で問題ないからその鉱床の位置まで案内してくれないかコメル」
「任せて下さい。では私に付いて来て下さい」
コメルが見つけた鉱床に向けてそこそこ険しい山道を登る俺とコメルは何事もなく目的地の鉱床がある場所までたどり着いた。
鉱床に着いた俺はスキル【神の書】を手元に召喚すると勇者のページを開き書に封印されている勇者の力を体に馴染ませて、早速ミスリルを採掘するためにコメルにミスリルの鉱床の正確な位置を教えてもらい初級土魔法の穴堀を連発してミスリルの鉱床を地表に剥き出しにした。
「あった。ミスリルの鉱床だ。……うん。コメルの言う通りの量だな。よし、この鉱床を工房に持ち帰ってミスリル鉱石から不純物を取り除く作業に取り掛かるとするか。…………それにしても【神の書】に前回召喚された時に覚えた魔法やスキルが全て【勇者】にまとめられた状態で封印されていて正直助かったな。おかげで細かい作業などをする際に補助できる魔法を使うことが出来る」
「そうでしょうとも、そうでしょうとも。確実にこれは私の本体の頑張りの賜物ですね」
「だな」
俺は体に馴染ませていた勇者の力を【神の書】に封印し直すと掘り起こしたミスリルの鉱床に手を触れ【神の書】の機能であるアイテムボックスを起動しアイテムボックスの中にミスリルの鉱床を収納した。
ミスリルの鉱床を回収し終えた俺とコメルは自分の腰に手を当て背を反らしながら空を見上げた。
「ん?なんだ知らない間にもう夕暮れ時じゃないか。夕飯どうするかな~…………あ、そうだコメル、お前ってお腹空いたりするのか?もしお腹が空くなら今日は俺が作ってやろうか。俺一年近く一人暮らししてたから大抵の物なら作れるけど……どうする」
「はい。私もお腹ペコペコです~~勇人さんは一体どんな食事を作ってくれるんでしょうか……とても楽しみです」
「今回はもうこんな時間だしあまり手の凝った料理は作らないからな。余り期待するなよ」
俺達はそんなことをしゃべりながら足元に注意して慎重に屋敷の裏手の鉱山を下山して行った。
鉱山を下山して完全に陽が落ちた頃に屋敷に戻って来た俺とコメルは家庭用キッチンのある秘密部屋に入ると鉱山に行く前にアイテムボックスから保存庫に入れておいた少量の野菜と肉を使って簡単に出来る肉野菜炒めを作り、同じくアイテムボックスから保存庫に入れておいた米を一合分焚いて超簡単なお手軽料理を作った。
「コメル~、飯が出来たぞ~」
「はいです~。もうわたしはお腹がペコペコですよ~。早く食べましょう」
俺達は俺が作った簡単お手軽料理である肉野菜炒めと先程焚き終わった米を秘密部屋の共同スペースで美味しく頂いた後、ゴーレム作りを再開させるためにまた工房部屋へ向かった。
「さてとコメル、万能キューブを起動させるからコメルはさっき取って来たこのミスリル鉱床を工房部屋の端に作った金属練成所まで行ってミスリルとその他の金属に分離した後、分離させたミスリルをインゴットに形成してからここに持って来てくれるか」
「わかったのです~。コメルにお任せなのです~。それじゃあ行って来るのです~」
コメルを金属練成所に送り出した俺は万能キューブを起動させてゴーレム製作所モードにしてゴーレム製作の下準備に取り掛かり十分程が経った時、金属練成所に行っていたコメルが荷台にミスリルのインゴットが大量に積まれた荷車を「んっしょ、んっしょ」と押しながらこちらに向かって来た。
「お、コメルお疲れさま。こっちも丁度今製作するゴーレムのデザインを万能工房のメインシステムにインプットし終わったところだ。いよいよこれからゴーレム作りの開始だぞ。さあ、コメルが分離、練成、形成してくれたこのミスリルのインゴットをあそこの台座に置くのを手伝ってくれるか」
「わかったのです~。このインゴットをあそこの台座に置けばいいのです~?」
「ああ、そうだ。今回作るゴーレムはこれから作って行く多くのゴーレム達のリーダーとサブリーダーになる予定のゴーレムだ。だからデザインや構造も細部にいたるまで最高の技術と俺のロマンを敷き詰めた物になっている。完成を楽しみにしているといい」
俺達二人がかりでミスリルのインゴットを工房の巨大な台座に載せてゴーレム製作をスタートさせた。
そして、製作開始から数十分後、工房の巨大な台座の上には骨格が人間と同じで人間で言う顔の部分と胸の真ん中に大き目のレンズが付いたミスリル特有の白銀色に輝く最高のゴーレムが二体よこたわっていた。
20
お気に入りに追加
213
あなたにおすすめの小説

記憶喪失の逃亡貴族、ゴールド級パーティを追放されたんだが、ジョブの魔獣使いが進化したので新たな仲間と成り上がる
グリゴリ
ファンタジー
7歳の時に行われた洗礼の儀で魔物使いと言う不遇のジョブを授かった主人公は、実家の辺境伯家を追い出され頼る当ても無くさまよい歩いた。そして、辺境の村に辿り着いた主人公は、その村で15歳まで生活し村で一緒に育った4人の幼馴染と共に冒険者になる。だが、何時まで経っても従魔を得ることが出来ない主人公は、荷物持ち兼雑用係として幼馴染とパーティーを組んでいたが、ある日、パーティーのリーダーから、「俺達ゴールド級パーティーにお前はもう必要ない」と言われて、パーティーから追放されてしまう。自暴自棄に成った主人公は、やけを起こし、非常に危険なアダマンタイト級ダンジョンへと足を踏み入れる。そこで、主人公は、自分の人生を大きく変える出会いをする。そして、新たな仲間たちと成り上がっていく。
*カクヨムでも連載しています。*2022年8月25日ホットランキング2位になりました。お読みいただきありがとうございます。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

呪われ少年魔法師、呪いを解除して無双する〜パーティを追放されたら、貴族の令嬢や王女と仲良くなりました〜
桜 偉村
ファンタジー
瀬川空也(せがわ くうや)は魔力量が極端に少ない魔法師だった。
それでも一級品である【索敵(さくてき)】スキルで敵の攻撃を予測したり、ルート決めや作戦立案をするなど、冒険者パーティ【流星(メテオロ)】の裏方を担っていたが、あるとき「雑用しかできない雑魚はいらない」と追放されてしまう、
これが、空也の人生の分岐点となった。
ソロ冒険者となった空也は魔物に襲われていた少女を助けるが、その少女は有数の名家である九条家(くじょうけ)の一人娘だった。
娘を助けた見返りとして九条家に保護された空也は、衝撃の事実を知る。空也は魔力量が少ないわけではなく、禁術とされていた呪いをかけられ、魔力を常に吸い取られていたのだ。
呪いを解除すると大量の魔力が戻ってきて、冒険者の頂点であるSランク冒険者も驚愕するほどの力を手に入れた空也は最強魔法師へと変貌を遂げるが、そんな彼の周囲では「禁術の横行」「元パーティメンバーの異変」「生態系の変化」「魔物の凶暴化」など、次々に不可解な現象が起きる。それらはやがて一つの波を作っていって——
これは、最強少年魔法師とその仲間が世界を巻き込む巨大な陰謀に立ち向かう話。
見捨てられた万能者は、やがてどん底から成り上がる
グリゴリ
ファンタジー
『旧タイトル』万能者、Sランクパーティーを追放されて、職業が進化したので、新たな仲間と共に無双する。
『見捨てられた万能者は、やがてどん底から成り上がる』【書籍化決定!!】書籍版とWEB版では設定が少し異なっていますがどちらも楽しめる作品となっています。どうぞ書籍版とWEB版どちらもよろしくお願いします。
2023年7月18日『見捨てられた万能者は、やがてどん底から成り上がる2』発売しました。
主人公のクロードは、勇者パーティー候補のSランクパーティー『銀狼の牙』を器用貧乏な職業の万能者で弱く役に立たないという理由で、追放されてしまう。しかしその後、クロードの職業である万能者が進化して、強くなった。そして、新たな仲間や従魔と無双の旅を始める。クロードと仲間達は、様々な問題や苦難を乗り越えて、英雄へと成り上がって行く。※2021年12月25日HOTランキング1位、2021年12月26日ハイファンタジーランキング1位頂きました。お読み頂き有難う御座います。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

ド田舎からやってきた少年、初めての大都会で無双する~今まで遊び場にしていたダンジョンは、攻略不可能の規格外ダンジョンだったみたい〜
むらくも航
ファンタジー
ド田舎の村で育った『エアル』は、この日旅立つ。
幼少の頃、おじいちゃんから聞いた話に憧れ、大都会で立派な『探索者』になりたいと思ったからだ。
そんなエアルがこれまでにしてきたことは、たった一つ。
故郷にあるダンジョンで体を動かしてきたことだ。
自然と共に生き、魔物たちとも触れ合ってきた。
だが、エアルは知らない。
ただの“遊び場”と化していたダンジョンは、攻略不可能のSSSランクであることを。
遊び相手たちは、全て最低でもAランクオーバーの凶暴な魔物たちであることを。
これは、故郷のダンジョンで力をつけすぎた少年エアルが、大都会で無自覚に無双し、羽ばたいていく物語──。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる