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序章

4話

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 メルティアが空間から取り出した透明な台座の中心にあるスイッチを押すと台座全体にどこかの立体地図が浮かび上がった。

「メルティアこの立体地図は一体どこの地図なんだ?」

「はい。この立体地図に映し出されている場所は勇人さんが過ごす聖域一体とその周辺です。聖域とその周辺をわかりやすくするために色で分けてみましょう」

 メルティアはそう言うと台座の右下の端を二回タップした。

 すると台座に浮かび上がっていた立体地図が黄緑と水色の二色に分かれた。

「こちらの黄緑色の場所が勇人さんが暮らす聖域で、こちらの水色の場所が聖域の主変地域となります」

「この大陸から大分離れた所にある島は何なんだ。黄緑色で表示されてるところを見るとここも聖域なんだろうけど」

「はい。そこは聖域島と言いまして聖域の中心となります。聖域島には基本的に聖なる者又は聖の力を微量でも持っていなければ見る事も入ることも出来ません。なので基本的に出入りして来るのは神獣や聖獣、幻獣が殆どで後入って来れる可能性があるのは聖の力に高い適性のある聖女やハイエルフでしょうか。稀にエルフも入って来るかも知れません。後は、これから聖域島の主人になる勇人さんが出入りを許可した者くらいでしょうか」

 ん~、そうだな。エルフやハイエルフは仲間にするとして聖女や聖女に匹敵する力を持つ者をどうやって仲間にするかだな。

 聖女などは大体が国の要職に付いているだろうし、ん~、どうしたものか。

「成程…………なあメルティア、聖女や賢者、剣聖、勇者の職業を持っている奴はそれぞれ一人ずつしかいないのか」

「いいえ。その四職を持つ者は複数人います。こちらにある大陸で最も大きい大国グランツ帝国の帝都にその勇者、聖女、賢者、剣聖を育てる学び舎がありますのでその四職を持つ者に用があるのならそこに行くのが良いと思いますよ」

「そうか……ありがとう。それじゃあ拠点作りを始めますか」

 俺はメルティアの指示のもと台座の操作盤を操作して地図上の聖域島を拡大し聖域島の全体図を台座に表示させた。

「なあメルティア、この聖域島と大陸って大体どのくらい離れてるんだ。」 

「そうですね凡そ五十キロ程でしょうか。その周辺の海域も聖域の範囲に入っていますので魔に属する者はいません。普通の魚などもいますので生活には困りませんね」

 ふむ、衣食住の食については問題なしと、衣食住の衣については後で考えるか。

「よし、それじゃあ拠点作りに集中するかな」

 先ず俺は聖域島のどこに生活の拠点となる屋敷を建てるかを聖域島の立体地図を見つめながら考えていた。

「ん~、出来れば屋敷は島全体を見渡せる場所に建てたいんだけど……この島……めちゃくちゃ広いのに全体が殆ど平だから島全体を見渡せる場所ってのが全くないんだよな。なあメルティアこの聖域島の地形って変更したり出来るのか?」

「ええ、出来ますよ。……えっと、これをこうして……この項目をタップして……あ、ありました。勇人さん、これで聖域島の地形を変更できますよ」

「お、悪いなメルティア」

「いえいえ、又なにか困ったことがありましたら声を掛けて下さいね」

「ああ、その時はよろしく頼むよ」

 俺は操作盤を操作してほとんどまっ平らな聖域島を程々におうとつのある島へと作り替え更に島の中心部にそこそこ大きい川を通しその他に火山や鉱石が取れる鉱山を作った。

 そして、島の中央に通した川の近くにある小高い丘の上に俺の生活の拠点となる屋敷を建てた。

 丘の上に建てた屋敷は二階建てでとても大きく一階部分にリビングとちょっとした厨房、大浴場と異空間につないだ扉の奥にある大露天風呂、そしてスキル【秘密基地】を設置する一室がある。

 二階には主に俺の寝室と俺の書斎、後は客室と空き室が幾つかある。

「うん。大体こんなものかな。後は現地で少しづつ揃えて行くか。メルティア拠点づくり終わったぞ」

「はい。……勇人さん、とても立派な家を建てましたね。それでは、ここでの作業はこれで終了となります。それと最後に終焉神達が地球を掌握し人類を滅ぼすまで後百年ほどです。終焉神達の張った結界で地球の外に追いやられてしまった神々が今ある力を使って終焉神達を抑えていますがそれももって後百年と言ったところなのです。ですので勇人さんどうか頑張ってください」

「ああ、まあ何とかするよ。勿論俺のスローライフが優先だけどな」

「ええ、それで構いません。ではよろしくお願いします」

 メルティアはそう言うと両手を俺に向けた。

 すると俺の足元に魔法陣が現れしだいに輝きだした。

 俺は眩しくて堪らず目を閉じるた。

 それから少しして俺の意識は薄れて行き途切れて行った。

 激しい眩しさがおさまり恐る恐る目を開けてみるとさっきまでいた真っ白な空間ではなく一面を緑に囲まれた自然豊かな場所だった。

 俺は辺りを見回してみると少し遠くではあるが小高い丘の上に見覚えのあると言うより先程俺が作ったばかりの屋敷が見えた。

「……ここが聖域島か……中々いい所じゃないか……空気もすんでるし気に入った。…………うん。とりあえず屋敷に向かうかな」

 屋敷に向かうまでの道中遠目に見える森や草原、屋敷の建つ小高い丘の近くを流れる川に鹿や猪、ウサギに色々な種類の魚を見付けた。

 そして、丘を登り目の前で見る屋敷はレンガ造りの立派な建物だった。

「うん。やっぱり俺っていいセンスしてるな。この屋敷めちゃくちゃかっこいいじゃん。……中も確めてみるかな」

 屋敷の中に入ると先ず俺を出迎えるのは広々とした玄関ホール、そしてホールの奥にある二階に続く螺旋階段、螺旋階段を素通りした先にあるリビングとダイニング、玄関を入って左には大浴場へと続く扉、反対の右側にある扉は俺のスキル【秘密基地】を設置する部屋がある。

 うん。どの部屋も立派な造りをしてある。

「さて、二階を見るのは後回しにして先に【秘密基地】を設置してしまおう」 

 俺は玄関ホールに入って右側の部屋に向かい部屋の扉を手で触れるとスキル【秘密基地】を発動させた。

 【秘密基地】が発動すると扉が眩い光を放ち始め光が治まると扉には俺の実家である芹沢グループのマークである立派な大獅子のマークがデカデカと付いていた。

「…………何で家のグループのマークなのか知らないけど、これで【秘密基地】を設置出来たってことで良いんだよな。(ゴクン)……と、とりあえず中に入ってみるか。中がどうなっているか確かめないといけないからな」

 う~ん、やっぱり【秘密基地】部屋は長いからこれからは秘密部屋って呼ぶことにするかな。

 部屋の中に入ってみると十四畳位のそこそこ広い部屋があり、扉の真横に半透明の操作パネルが設置されていた。

 そして、部屋に入って右側に扉が二つに左側にも扉が二つ、そして対面にも扉が一つあった。

「部屋が全部で五つか。……俺の魔力量が六万くらいだったからこの共同スペースみたいな所と部屋が五つで魔力量六万分ってことなのかな。まあいい右の部屋から順番に中を確認していくかな」

 確認したところ右側の一番目の部屋は広さが十畳程あり二番目の部屋は十二畳程の広さがあった。

 入り口の扉の対面にある部屋は只々広く部屋の内装をまだいじっていなかったので部屋の中は真っ白な空間でその部屋の広さを把握しきれなかったので部屋を出て操作パネルの所まで行きパネルを操作してみると簡単にそれぞれの部屋の規模を知ることが出来た。

 なんと対面にある部屋の広さは東京ドーム五つ分もある事が確認できた。

 ふむ、この部屋は工房にしよう。この広さだと結構な規模の設備を揃える事が出来るな。今からどんな物が作れるのか楽しみ過ぎて妄想が止まらないな。

 そして、残りの左側二つの部屋は入り口の扉に近い順に六畳の部屋と少し広めの二十畳程の部屋だった。


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