記憶喪失の逃亡貴族、ゴールド級パーティを追放されたんだが、ジョブの魔獣使いが進化したので新たな仲間と成り上がる

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第一部 第一章

88話

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 トイニーとノワールが北のダンジョンの氾濫をフェリスとアリスが西のダンジョンの氾濫をそれぞれ鎮圧し終わりマスイの街へ戻ろうとしていた時、マロクス辺境伯領辺境の街マスイの街、南にあるアダマンタイト級ダンジョン『煉獄龍の猛威』の氾濫で溢れ出した魔物の対応に当たっていたエルクとルリそして、ブロンとバズは、合流して残りのオリハルコン級の魔物三十体とヒヒイロガネ級の魔物三体との最終決戦に臨もうとしていた。

「主様、ルリ様、只今前線にいた魔物を殲滅して参りましたぞ。少々時間が掛かってしまい申し訳ありませぬ。それで、こちらの戦況はいかがでしょうかな。我らに出来る事がありましたら何でもおっしゃって下され」

「父さんの言う通りです。何でも言って下さい。僕達は主様やルリ様のためならどんなことでも致します」

 ブロンとバズがエルクとルリの前で片膝を付き右の拳を左の胸に強く押し当てて言った。

「そうか、ありがとう。しかし、ここから先にいる魔物達は全てお前達よりも格上の存在達だ。俺としてはお前達に危険な真似はさせたくないし。でも、それではお前達が納得しないこともわかっているから。……わかったよ。俺とルリの援護だけをすると言うことならこの最終決戦に参加することを許可するよ。……どうかな」

「もとより主様の命令に忠実に従い遂行するのが我々従魔の責務であり喜びであるのです。謹んでその援護のお役目我ら親子で完遂してみせますぞ。なあ、バズよ」

「はい。主様、ルリ様、力の限り務めさせていただきます」

 エルクはブロンとバズの忠誠心に満ち満ちている目を見て二人の並々ならぬ覚悟を感じ二人がこの最終決戦に参加することを許可した。 

 エルクから最終決戦に参加することを許されたブロンとバズは、その場で喜び合うなどと言うことは無くそのままの体勢でエルクとルリの指令が下されるのを待っていた。

 エルクは自分の前で頭を下げ、片膝を付き右の拳を左の胸に強く押し当てて待機しているブロンとバズの姿を見て二人に指令を与えることにした。

「よし、それじゃあ、ブロン、バズ、君達には俺とルリがあそこで立ち止まりこちらを警戒している残りのオリハルコン級の魔物三十体とヒヒイロガネ級の魔物三体と戦う際の援護する任務を与える。何があったとしても確実に完遂するように。いいな」

「!!はっ、お任せ下され主様」

「!!はい。必ずや僕と父さんで主様とルリ様の邪魔をしようとする魔物達を排除し、援護してみせます」

「ああ、頼んだぞ二人とも」

 ブロンとバズにそう言うとエルクはルリを伴って未だエルク達を警戒してこちらに近づいて来れないでいるオリハルコン級の魔物三十体とヒヒイロガネ級の魔物三体の群れへ愛刀にしている雷刀【雷切】を右手に握りしめ駆け出して行った。




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