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第一部 第一章
57話
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人混みにもまれながら今夜宿泊する宿を探していたエルクとルリはどの宿に宿泊するか迷って人混みの中を右往左往していた。
「流石はマスイの街と領都ロクスの間にある唯一の宿場町だな。宿の数が半端じゃない多さだ。どうするルリ、ここは思い切ってこの宿場町の中で一番宿泊費が高い宿に泊まってしまうか。資金は豊富にあるから贅沢しようと思えばいくらでも贅沢出来るけど」
「そうね。ブロン達各班にもあなたが数週間は贅沢して過ごせるだけの資金をマジックポーチに入れて渡したし、あなたに今回は節約する必要はないって言われているからあの子達も今頃は仕事を円滑に遂行するための英気を養うために皆、拠点にする街でそれなりの宿に宿泊してるだろうし、私達もこの宿場町の高級宿に泊まっても良いんじゃないかしら」
エルクは、ルリの言葉を聞いて今日はこの町の高級宿に泊まる事を決めて町の中にある案内所に向かった。
「すまない。この宿場町で一番高級な宿がどこにあるのか教えて欲しいのだが、何かこの町の地図の様な物はないだろうか。あれば売ってくれると嬉しいのだが」
エルクとルリは、宿場町の案内所によって受付カウンターで受付嬢をしていた女性にそう話しかけた。
「はい。地図がありますから少々お待ちください」
受付嬢はエルクとルリにそう言うと、受付カウンターを離れてカウンターの後ろにある引き戸を開けると奥にある事務所の様な所に入り、幾つかある机の内左端にある机の引き出しの中を物色して結構大き目の紙を持ってこちらに戻って来た。
「こちらが個々の宿場町の全体地図になります。それで、お客様の要望にあったこの宿場町で一番高級な宿ですが、こちらの宿がこの宿場町で一番高級な宿となります。宿の名前は『旅人の足休め亭』と言いまして、このサンクリット王国だけでなくこの大陸全土に支店、系列店を構えている旅人グループと言う大手のグループ会社が経営している宿になります。宿の設備もとても良いですしとても献身的なサービスをしますので、とても快適に過ごせると思います。私共といたしましても資金に余裕があるのでしたらお勧めする宿です。いかがでしょうか」
「ああ、俺としてはその『旅人の足休め亭』で良いと思うが、ルリはどうだ」
「ええ、私もその宿でいいわ」
「よし、決まりだな。それで、その地図は売っているのだろうか。外はまだ、人で混雑しているから地図があると俺達としてはとても助かるのだが」
「いいえ、こちらの地図は売っていないんですよ。……よろしければ私が『旅人の足休め亭』まで案内しましょうか。それも一応私共の仕事の内ですから。それで、どうしますか」
エルクとルリは互いを見合って頷き合うと、受付嬢に『旅人の足休め亭』まで案内してくれるように頼んだ。
「わかりました。それでは準備をしてきますので、少々お待ちください」
そして、少しして受付嬢が奥の事務所からカウンターに戻って来て、エルクとルリは『旅人の足休め亭』まで案内してもらった。
案内された『旅人の足休め亭』は、人で混雑していた宿場町の大通りから少し外れて人通りがまばらになった区画の一角にでかでかと存在していた。
「おお、随分と大きいな。一体何階建てなんだ」
「こちらの『旅人の足休め亭』は、三階建てとなっております。旅人グループの宿の中ではとても小さい部類に入ると思います。まあ、それでも設備とサービスは充実していますので安心して下さい」
「そうか、それにしてもあなたは、とても旅人グループの宿について詳しいんだな。何故なんだ」
「実は私、旅人グループから二年間の出向と言う形であの案内所にいるんですよ。だから旅人グループの宿については、他の宿よりも詳しいんです。では、私はここまでですので、どうぞ、お寛ぎ下さい。では、失礼します」
受付嬢はエルクとルリにそう言うと、その場から去って行った。
そして、受付嬢を見送ったエルクとルリは、目の前に堂々と建っている『旅人の足休め亭』へと足を踏み入れた。
面白い。
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「流石はマスイの街と領都ロクスの間にある唯一の宿場町だな。宿の数が半端じゃない多さだ。どうするルリ、ここは思い切ってこの宿場町の中で一番宿泊費が高い宿に泊まってしまうか。資金は豊富にあるから贅沢しようと思えばいくらでも贅沢出来るけど」
「そうね。ブロン達各班にもあなたが数週間は贅沢して過ごせるだけの資金をマジックポーチに入れて渡したし、あなたに今回は節約する必要はないって言われているからあの子達も今頃は仕事を円滑に遂行するための英気を養うために皆、拠点にする街でそれなりの宿に宿泊してるだろうし、私達もこの宿場町の高級宿に泊まっても良いんじゃないかしら」
エルクは、ルリの言葉を聞いて今日はこの町の高級宿に泊まる事を決めて町の中にある案内所に向かった。
「すまない。この宿場町で一番高級な宿がどこにあるのか教えて欲しいのだが、何かこの町の地図の様な物はないだろうか。あれば売ってくれると嬉しいのだが」
エルクとルリは、宿場町の案内所によって受付カウンターで受付嬢をしていた女性にそう話しかけた。
「はい。地図がありますから少々お待ちください」
受付嬢はエルクとルリにそう言うと、受付カウンターを離れてカウンターの後ろにある引き戸を開けると奥にある事務所の様な所に入り、幾つかある机の内左端にある机の引き出しの中を物色して結構大き目の紙を持ってこちらに戻って来た。
「こちらが個々の宿場町の全体地図になります。それで、お客様の要望にあったこの宿場町で一番高級な宿ですが、こちらの宿がこの宿場町で一番高級な宿となります。宿の名前は『旅人の足休め亭』と言いまして、このサンクリット王国だけでなくこの大陸全土に支店、系列店を構えている旅人グループと言う大手のグループ会社が経営している宿になります。宿の設備もとても良いですしとても献身的なサービスをしますので、とても快適に過ごせると思います。私共といたしましても資金に余裕があるのでしたらお勧めする宿です。いかがでしょうか」
「ああ、俺としてはその『旅人の足休め亭』で良いと思うが、ルリはどうだ」
「ええ、私もその宿でいいわ」
「よし、決まりだな。それで、その地図は売っているのだろうか。外はまだ、人で混雑しているから地図があると俺達としてはとても助かるのだが」
「いいえ、こちらの地図は売っていないんですよ。……よろしければ私が『旅人の足休め亭』まで案内しましょうか。それも一応私共の仕事の内ですから。それで、どうしますか」
エルクとルリは互いを見合って頷き合うと、受付嬢に『旅人の足休め亭』まで案内してくれるように頼んだ。
「わかりました。それでは準備をしてきますので、少々お待ちください」
そして、少しして受付嬢が奥の事務所からカウンターに戻って来て、エルクとルリは『旅人の足休め亭』まで案内してもらった。
案内された『旅人の足休め亭』は、人で混雑していた宿場町の大通りから少し外れて人通りがまばらになった区画の一角にでかでかと存在していた。
「おお、随分と大きいな。一体何階建てなんだ」
「こちらの『旅人の足休め亭』は、三階建てとなっております。旅人グループの宿の中ではとても小さい部類に入ると思います。まあ、それでも設備とサービスは充実していますので安心して下さい」
「そうか、それにしてもあなたは、とても旅人グループの宿について詳しいんだな。何故なんだ」
「実は私、旅人グループから二年間の出向と言う形であの案内所にいるんですよ。だから旅人グループの宿については、他の宿よりも詳しいんです。では、私はここまでですので、どうぞ、お寛ぎ下さい。では、失礼します」
受付嬢はエルクとルリにそう言うと、その場から去って行った。
そして、受付嬢を見送ったエルクとルリは、目の前に堂々と建っている『旅人の足休め亭』へと足を踏み入れた。
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