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第四章 魔王の国を改革するための第一歩! 採用試験で自由に職業選択できる世界を目指します
15 聖カトミアル王国で起こっている惨事
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「私は……、聖カトミアル王国で、……医師をしておりました……。しかし、異端だと迫害され……司祭さまから、拷問を受けたのです……」
「司祭から拷問だと?」
男の言葉を受け、ヴィネ様は眉間に皺を寄せた。
「異端として迫害? 私と同じ目に遭ったのですか?」
「あなた様は……?」
「私は、魔女だと断罪された元公爵令嬢のエレイン・ド・サヴァティエです。今は、ただのエレインでしかありませんが」
「あなた様が……エレイン様……? 聖堂騎士団長様の元婚約者様でいらっしゃいますね。ああ、お会いできてよかった……。
今、かの国では……いえ、聖カトミアル王国を中心に、ローテルン大陸では、……ファシシュ教の司祭たちによる異端審問が多数行われています。あなた様の追放は、その、皮切りに過ぎませんでした……。私は……なんとか脱獄することに成功いたしましたが……今日も、罪のない者たちが次々と……」
男は時々、苦しそうに喘ぎ、呻きながら、ゆっくりと言葉を紡ぎ出していく。
男の話に耳を傾けていたヴィネ様の美しい唇が、怒りのためか、震えながら歪んだ。
「失礼する」
ヴィネ様は男のすぐ傍まで近付くと、男の横に屈んだ。
長いローブを捲り上げると、その下のブラウスのボタンをはずし、上半身をはだけさせる。
ブラウスの下には、粗末な布が包帯代わりにきつく巻かれてはいたが、背中の辺りの布は血塗れになっている。
ヴィネ様が、布をほどくと、男の傷だらけの背中があらわになった。
「うっ、これは……」
「ひどい……許せないわ」
ヴィネ様だけではない。
その場にいた皆が、思わず呻き声を上げた。
男の背中には、鞭で何度も打たれた跡がある。赤いみみず腫れが多数できているのだ。
「いったい、どういうことなのだ? エレインが魔女として断罪、追放された話は私も聞いておる。今、ローテルン大陸で、何が起きているのだ?」
「現在……聖カトミアル王国では……医師は……必要とされていません。聖女様がその癒しの力で……すべて癒してくださる……と。表向きはそういうことになっているからです……医師は次々に異端者として捕らえられています」
「しかし、聖女と言ってもたった一人。一人で国中の民を癒せるというのか?」
「わかりません。今、ローテルン大陸ではあちこちに魔物たちが多数現れ、民たちの命を奪っています。聖女様は……聖堂騎士団の皆様を引き連れて、国中を巡り祈りを捧げてはいらっしゃいます。しかし、もちろんローテルン大陸は広く、聖カトミアル王国の国土も広く……おっしゃるように、聖女様、一人ですべてを癒すのは難しい状況です……」
「それはそうであろうな。で、どうしているのだ?」
「民たちは皆、聖女様の祈りを求め教会に殺到しております……。しかし、直接、聖女様にお会いできない民がほとんどで……、その者たちには、教会が護符や免罪符なるものを売っているそうです。聖女様の祈りが込められたものだから、これで代用できると……」
「護符に免罪符……そんなもので、魔物から逃れられると言うの? それは、詐欺ではないのかしら」
私は、アヴァロニア王国に向かう道中、魔物たちに襲われた時の恐怖を思い出す。
そういえば、あの時に助けてくれた女性、カーラも最近は魔物が人里近くに出没することが増えていると言っていた。
「なんと馬鹿なことを。民を騙すなど、狂気の沙汰だ」
ヴィネ様は、呆れたように頭を振った。
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※前話「14 大変です! 怪我人です!」医師の服装を修正しています。また、章立てを変更いたしました。
「司祭から拷問だと?」
男の言葉を受け、ヴィネ様は眉間に皺を寄せた。
「異端として迫害? 私と同じ目に遭ったのですか?」
「あなた様は……?」
「私は、魔女だと断罪された元公爵令嬢のエレイン・ド・サヴァティエです。今は、ただのエレインでしかありませんが」
「あなた様が……エレイン様……? 聖堂騎士団長様の元婚約者様でいらっしゃいますね。ああ、お会いできてよかった……。
今、かの国では……いえ、聖カトミアル王国を中心に、ローテルン大陸では、……ファシシュ教の司祭たちによる異端審問が多数行われています。あなた様の追放は、その、皮切りに過ぎませんでした……。私は……なんとか脱獄することに成功いたしましたが……今日も、罪のない者たちが次々と……」
男は時々、苦しそうに喘ぎ、呻きながら、ゆっくりと言葉を紡ぎ出していく。
男の話に耳を傾けていたヴィネ様の美しい唇が、怒りのためか、震えながら歪んだ。
「失礼する」
ヴィネ様は男のすぐ傍まで近付くと、男の横に屈んだ。
長いローブを捲り上げると、その下のブラウスのボタンをはずし、上半身をはだけさせる。
ブラウスの下には、粗末な布が包帯代わりにきつく巻かれてはいたが、背中の辺りの布は血塗れになっている。
ヴィネ様が、布をほどくと、男の傷だらけの背中があらわになった。
「うっ、これは……」
「ひどい……許せないわ」
ヴィネ様だけではない。
その場にいた皆が、思わず呻き声を上げた。
男の背中には、鞭で何度も打たれた跡がある。赤いみみず腫れが多数できているのだ。
「いったい、どういうことなのだ? エレインが魔女として断罪、追放された話は私も聞いておる。今、ローテルン大陸で、何が起きているのだ?」
「現在……聖カトミアル王国では……医師は……必要とされていません。聖女様がその癒しの力で……すべて癒してくださる……と。表向きはそういうことになっているからです……医師は次々に異端者として捕らえられています」
「しかし、聖女と言ってもたった一人。一人で国中の民を癒せるというのか?」
「わかりません。今、ローテルン大陸ではあちこちに魔物たちが多数現れ、民たちの命を奪っています。聖女様は……聖堂騎士団の皆様を引き連れて、国中を巡り祈りを捧げてはいらっしゃいます。しかし、もちろんローテルン大陸は広く、聖カトミアル王国の国土も広く……おっしゃるように、聖女様、一人ですべてを癒すのは難しい状況です……」
「それはそうであろうな。で、どうしているのだ?」
「民たちは皆、聖女様の祈りを求め教会に殺到しております……。しかし、直接、聖女様にお会いできない民がほとんどで……、その者たちには、教会が護符や免罪符なるものを売っているそうです。聖女様の祈りが込められたものだから、これで代用できると……」
「護符に免罪符……そんなもので、魔物から逃れられると言うの? それは、詐欺ではないのかしら」
私は、アヴァロニア王国に向かう道中、魔物たちに襲われた時の恐怖を思い出す。
そういえば、あの時に助けてくれた女性、カーラも最近は魔物が人里近くに出没することが増えていると言っていた。
「なんと馬鹿なことを。民を騙すなど、狂気の沙汰だ」
ヴィネ様は、呆れたように頭を振った。
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※前話「14 大変です! 怪我人です!」医師の服装を修正しています。また、章立てを変更いたしました。
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