71 / 106
第三章 内政チートで魔王の国を改革! 魔王からの好感度アップを目指します
25 そしてまた魔女扱いですか? ②
しおりを挟む
一方で、男は、引っ込みがつかなくなったのか、往生際悪く、小声でモゴモゴと反論を続けようとしている。
「し、しかし……しかしですね、陛下……」
男が言葉を続けるより前に、ヴィネ様は、口の中で何か素早く呪文を唱えたかと思うと、右の人差し指を天へと向けた。
途端に、男の真上にのみ突然黒い雲がかかったかと思うと、激しい音と共に、男の周囲にだけ超局地的ゲリラ豪雨が降りかかる。
「う、うわぁぁぁっ! な、なんだ、これはっ!!」
ヴィネ様がパチンと指先を鳴らすと共に、黒い雲は消え失せ、何事も無かったかのように雨も止む。
後に残されたのは、キョトンとした表情を浮かべたずぶ濡れの男と、水溜まりだけだ。
雲が一瞬で消え去った上空には、先ほどと変わらぬ青空が広がり、夏の日差しが男を照らしていた。
「エレインは、魔力を持たぬただの人間だが、そんなに魔力を持つ者を蔑みたいのなら、私のことも『魔王』とでも呼んで、蔑むがよい」
「ぐ……」
ヴィネ様は、再び何かの呪文を唱えると、まずは空中に両手を大きく掲げた後、男に向けてその手を突き出した。
ヴィネ様の手の動きに合わせて、今度は突風が男に吹き付ける。
まるで天然の扇風機かドライヤーだ。
強風によって、ずぶ濡れだった男の衣服はみるみるうちに乾いていく。
「ふ……。魔力は、怖いか? 使い方によっては、このように便利なものなのだがな。いくら夏とは言え、濡れたままでは身体が冷えるであろう。サービスで乾かしておいてやる」
男は、ヴィネ陛下の迫力に押され、さすがに反論できずにいる。
しかし、先ほどとは異なり、魔力を目の当たりにした恐怖も混じり合ったような複雑な表情を浮かべていた。その顔を見る限りでは、完全に納得してはいないようだ。
事はもうジャガイモどうこうという問題だけに収まらなくなってきているような気はする。
しかし、ここまでされても納得できないような男に信用してもらうには、やはり、即席ホットドッグを作った時のように、実際にジャガイモを食べてもらうよう仕向けるしかないのではないか。
私はおずおずと口を開く。
「あの……そんなに私の言うことをお疑いなら、私がジャガイモの毒を取った上で調理してみましょうか? もちろん、最初の毒味は私がします。それで、なんともないということがわかったら、皆さんもお召し上がりください。それでいかがですか? 陛下、どうでしょうか?」
「うむ、そうだな」
ヴィネ様は、満足そうな笑顔を浮かべながら頷いた。
「やってみるがよい。そなたが食べて大丈夫だと言うなら、私は、そのジャガイモとやらを食べてやるぞ。皆も私が食べたなら、ジャガイモを食べてみるな?」
民たちは、ただただ頷くしかなかった。
「し、しかし……しかしですね、陛下……」
男が言葉を続けるより前に、ヴィネ様は、口の中で何か素早く呪文を唱えたかと思うと、右の人差し指を天へと向けた。
途端に、男の真上にのみ突然黒い雲がかかったかと思うと、激しい音と共に、男の周囲にだけ超局地的ゲリラ豪雨が降りかかる。
「う、うわぁぁぁっ! な、なんだ、これはっ!!」
ヴィネ様がパチンと指先を鳴らすと共に、黒い雲は消え失せ、何事も無かったかのように雨も止む。
後に残されたのは、キョトンとした表情を浮かべたずぶ濡れの男と、水溜まりだけだ。
雲が一瞬で消え去った上空には、先ほどと変わらぬ青空が広がり、夏の日差しが男を照らしていた。
「エレインは、魔力を持たぬただの人間だが、そんなに魔力を持つ者を蔑みたいのなら、私のことも『魔王』とでも呼んで、蔑むがよい」
「ぐ……」
ヴィネ様は、再び何かの呪文を唱えると、まずは空中に両手を大きく掲げた後、男に向けてその手を突き出した。
ヴィネ様の手の動きに合わせて、今度は突風が男に吹き付ける。
まるで天然の扇風機かドライヤーだ。
強風によって、ずぶ濡れだった男の衣服はみるみるうちに乾いていく。
「ふ……。魔力は、怖いか? 使い方によっては、このように便利なものなのだがな。いくら夏とは言え、濡れたままでは身体が冷えるであろう。サービスで乾かしておいてやる」
男は、ヴィネ陛下の迫力に押され、さすがに反論できずにいる。
しかし、先ほどとは異なり、魔力を目の当たりにした恐怖も混じり合ったような複雑な表情を浮かべていた。その顔を見る限りでは、完全に納得してはいないようだ。
事はもうジャガイモどうこうという問題だけに収まらなくなってきているような気はする。
しかし、ここまでされても納得できないような男に信用してもらうには、やはり、即席ホットドッグを作った時のように、実際にジャガイモを食べてもらうよう仕向けるしかないのではないか。
私はおずおずと口を開く。
「あの……そんなに私の言うことをお疑いなら、私がジャガイモの毒を取った上で調理してみましょうか? もちろん、最初の毒味は私がします。それで、なんともないということがわかったら、皆さんもお召し上がりください。それでいかがですか? 陛下、どうでしょうか?」
「うむ、そうだな」
ヴィネ様は、満足そうな笑顔を浮かべながら頷いた。
「やってみるがよい。そなたが食べて大丈夫だと言うなら、私は、そのジャガイモとやらを食べてやるぞ。皆も私が食べたなら、ジャガイモを食べてみるな?」
民たちは、ただただ頷くしかなかった。
0
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
谷 優
恋愛
公爵家の末娘として生まれた幼いティアナ。
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。
ただ、愛されたいと願った。
そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。
◆恋愛要素は前半はありませんが、後半になるにつれて発展していきますのでご了承ください。
【完結】婚約破棄、その後の話を誰も知らない
あめとおと
恋愛
奇跡によって病を癒す存在――聖女。
王国は長年、その力にすべてを委ねてきた。
だがある日、
誰の目にも明らかな「失敗」が起きる。
奇跡は、止まった。
城は動揺し、事実を隠し、
責任を聖女ひとりに押しつけようとする。
民は疑い、祈りは静かに現実へと向かっていった。
一方、かつて「悪役」として追放された令嬢は、
奇跡が失われる“その日”に備え、
治癒に頼らない世界を着々と整えていた。
聖女は象徴となり、城は主導権を失う。
奇跡に縋った者たちは、
何も奪われず、ただ立場を失った。
選ばれなかった者が、世界を救っただけの話。
――これは、
聖女でも、英雄でもない
「悪役令嬢」が勝ち残る物語。
私を裁いたその口で、今さら赦しを乞うのですか?
榛乃
恋愛
「貴様には、王都からの追放を命ずる」
“偽物の聖女”と断じられ、神の声を騙った“魔女”として断罪されたリディア。
地位も居場所も、婚約者さえも奪われ、更には信じていた神にすら見放された彼女に、人々は罵声と憎悪を浴びせる。
終わりのない逃避の果て、彼女は廃墟同然と化した礼拝堂へ辿り着く。
そこにいたのは、嘗て病から自分を救ってくれた、主神・ルシエルだった。
けれど再会した彼は、リディアを冷たく突き放す。
「“本物の聖女”なら、神に無条件で溺愛されるとでも思っていたのか」
全てを失った聖女と、過去に傷を抱えた神。
すれ違い、衝突しながらも、やがて少しずつ心を通わせていく――
これは、哀しみの果てに辿り着いたふたりが、やさしい愛に救われるまでの物語。
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる