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第三章 内政チートで魔王の国を改革! 魔王からの好感度アップを目指します
10 職業選択の自由を提案してみます②
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雇用問題について思案していた私は、日本の戦国時代、織田信長が行った画期的な政策を思い出した。
織田信長は、家を継ぐことのできない次男以下の人材を、自軍の兵として積極的に雇用していたのである。
これもまた、日本の戦国時代を舞台にしたゲームから得た知識のひとつである。
それまでの日本では、戦になるたびに、農村から兵を集めていた。
信長が初めて兵農分離を行ったのである。
専業の兵隊として雇用できれば、農繁期でも戦を行うことができる。ゆえに、織田軍は強かったのだ、と言う。
「あの……これには、まず国の財源を確保する必要があるのですが……。農家や商家の次男以下で、職にあぶれた者たちを、自国の兵士として雇ってはいかがでしょうか。富国強兵にも繋がりますし。戦のない時には、衛兵として都市の警備に当たらせれば、都市の治安もよくなるのではないかと思うのです」
「なるほど、確かに。税で、彼らを賄うのですね」
「はい」
路上をたむろするこの人々に、職を与えねばならない。
そして、現状の問題である、雇用問題の改善と共に、富国強兵は、絶対に準備しておかねばならないことだ。
なぜなら、間もなく聖カトミアル王国の軍勢が、聖女ヴァレリーとジャンたち光の騎士たちに率いられて、アヴァロニア王国に攻め入って来るからだ。
『聖なる乙女と光の騎士たち』では、ヴィネ様はラスボスとして彼らに倒されてしまう。
それが、ゲームの中のハッピーエンドなわけだが、私にとってはとんだバッドエンドである。
全力で阻止する準備をしておかねばなるまい。
「ええ、さしあたって富国強兵のためにも、兵に関しては、まず国として大々的な人材採用試験の機会を設けてみてはいかがかと」
「試験……ですか? 家柄ではなく、試験によって、採用を決めるのですか?」
「はい、職業選択の自由を国民に与えれば、国民一人当たりの生産性はもっと上がるのではないかと思うのです」
「職業選択の……自由……? なんですか、それは?」
「現在は、農家に生まれたら、農家を継ぎますよね? 貴族に生まれたら、貴族ですよね?」
「それは、もちろん」
「なぜですか?」
「なぜと言われても、それは秩序を守るために……ううん、いや、待ってください……」
セパルはその秩序の理由を見つけようと、必死に思案している。
「でも、中には、生家の職業と自分の生まれ持った適性が合っていない人もいると思うのです。そういった方たちを、より適性の合う職業に斡旋することができれば、国全体の生産性が上がるのではないかと。たとえ農家の長男であっても、楽師の才能があれば楽師になればいいですし、武術の心得があれば兵になればいいのです。そして、兄弟の中で、農家を継ぐのに一番ふさわしい者が、その家を継げばいいのではないか、と。それも、生まれた順番や、性別にかかわらず」
「それは……」
(いずれは、ハローワーク的な機関を国として作れるのが理想なんだけれど)
セパルにとっては、想像もつかないであろうことを、自身の情熱のほとばしるまま、早口でまくし立ててしまった。
それでも、セパルは一生懸命、私の言ったことを理解しようと思案してくれている。
織田信長は、家を継ぐことのできない次男以下の人材を、自軍の兵として積極的に雇用していたのである。
これもまた、日本の戦国時代を舞台にしたゲームから得た知識のひとつである。
それまでの日本では、戦になるたびに、農村から兵を集めていた。
信長が初めて兵農分離を行ったのである。
専業の兵隊として雇用できれば、農繁期でも戦を行うことができる。ゆえに、織田軍は強かったのだ、と言う。
「あの……これには、まず国の財源を確保する必要があるのですが……。農家や商家の次男以下で、職にあぶれた者たちを、自国の兵士として雇ってはいかがでしょうか。富国強兵にも繋がりますし。戦のない時には、衛兵として都市の警備に当たらせれば、都市の治安もよくなるのではないかと思うのです」
「なるほど、確かに。税で、彼らを賄うのですね」
「はい」
路上をたむろするこの人々に、職を与えねばならない。
そして、現状の問題である、雇用問題の改善と共に、富国強兵は、絶対に準備しておかねばならないことだ。
なぜなら、間もなく聖カトミアル王国の軍勢が、聖女ヴァレリーとジャンたち光の騎士たちに率いられて、アヴァロニア王国に攻め入って来るからだ。
『聖なる乙女と光の騎士たち』では、ヴィネ様はラスボスとして彼らに倒されてしまう。
それが、ゲームの中のハッピーエンドなわけだが、私にとってはとんだバッドエンドである。
全力で阻止する準備をしておかねばなるまい。
「ええ、さしあたって富国強兵のためにも、兵に関しては、まず国として大々的な人材採用試験の機会を設けてみてはいかがかと」
「試験……ですか? 家柄ではなく、試験によって、採用を決めるのですか?」
「はい、職業選択の自由を国民に与えれば、国民一人当たりの生産性はもっと上がるのではないかと思うのです」
「職業選択の……自由……? なんですか、それは?」
「現在は、農家に生まれたら、農家を継ぎますよね? 貴族に生まれたら、貴族ですよね?」
「それは、もちろん」
「なぜですか?」
「なぜと言われても、それは秩序を守るために……ううん、いや、待ってください……」
セパルはその秩序の理由を見つけようと、必死に思案している。
「でも、中には、生家の職業と自分の生まれ持った適性が合っていない人もいると思うのです。そういった方たちを、より適性の合う職業に斡旋することができれば、国全体の生産性が上がるのではないかと。たとえ農家の長男であっても、楽師の才能があれば楽師になればいいですし、武術の心得があれば兵になればいいのです。そして、兄弟の中で、農家を継ぐのに一番ふさわしい者が、その家を継げばいいのではないか、と。それも、生まれた順番や、性別にかかわらず」
「それは……」
(いずれは、ハローワーク的な機関を国として作れるのが理想なんだけれど)
セパルにとっては、想像もつかないであろうことを、自身の情熱のほとばしるまま、早口でまくし立ててしまった。
それでも、セパルは一生懸命、私の言ったことを理解しようと思案してくれている。
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