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第一章 婚約破棄されたので魔王のもとに向かいます
16 ジャンと一緒にヴァレリーまで乗り込んで来ていました②
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ちみなにジャンのパラメーターはこうだ。
――――――――――――――――――
名前:ジャン・ノエル・ド・ベルナール
種族:人間
職業:騎士
HP:55
MP:1
STR(力):16
VIT(体力):17
DEX(器用さ):12
AGI(敏捷性):15
INT(知性):6
――――――――――――――――――
騎士だけあって、肉弾戦は強そうなパラメーターだが、簡単に敵に裏をかかれそうな知性の低さである。
猪武者的な数値で、正ヒーローがこれで大丈夫なのだろうかと、若干の不安が残る。
一方、ヴァレリーのステータスはこうだ。
――――――――――――――――――
名前:ヴァレリー・フルニエ
種族:人間
職業:男爵令嬢
HP:28
MP:15
STR(力):8
VIT(体力):8
DEX(器用さ):9
AGI(敏捷性):9
INT(知性):13
――――――――――――――――――
周囲の男性たちに守ってもらうことを前提としているかのように、全体的なパラメーターの低さが際立つ。
その中で知性だけが際立って高いのは、周りの男たちを手練手管で落とさないとならないからか。
ヴァレリーのこの知性に、ジャンのあの知性……。これなら、ヴァレリーの言うがまま、何もかも信じてしまうのも当然だ。
そして、この世界で、MPを持つ人間を初めて見た。
ゲームのシナリオ上、この後、彼女たちは魔王ヴィネ様を倒す旅に出なければならない。
道中やラスボスとの戦闘中に、ヴァレリーは周囲の攻略キャラを回復する。また、応援してパーティーメンバーの能力値を上げるという役割を持っている。
この回復スキルと応援スキルを駆使するために、MPが必要なのだ。
つまりは魔法が使えるということである。
「聖女」という称号が頭の上で光っているが、魔法を使える彼女はヒロインとして優遇され、MP1の自分が魔女として断罪されるとは、やはりどうにも納得がいかない。
ちなみに、侍女のアンナのステータス画面と、ジャンやヴァレリーのステータス画面では大きな違いがある。
それが、好感度だ。
さすが、婚約破棄を言い渡されただけのことはある。
ジャンから私に対する好感度は、1しかなかった。
婚約者として、そこそこうまくやれていると信じていた昨日までの私があまりにも可哀想である。
ヴァレリーから私への好感度も1だ。
私が彼女を「いじめていた」ということになっているのだから、当然とも言うべき数値である。ゼロでないだけでも、御の字と言えるだろう。
ジャンやヴァレリーの方は、私からステータスが丸見えだとはまさか思ってもいないだろうし、見えていると言ったところで、先ほどの医者のように信じてはくれないだろう。
そんなことを思い巡らす私に対して、ジャンが口を開く。
「この前は、きちんとした裁判も行わずに、そなたを魔女として糾弾してしまった。それについては、まあ申し訳なかったと思う」
ジャンは、ジャンにしては殊勝な言葉を口にする。
「間違いがあるといけないので、あらためて裁判をしなければならんと思い、今日は、ここに参ったのだ」
ジャンにしては、これもまた至極真っ当なことを口にする。
いったいどうしたのだろう。
知性が6しかないというのに。
きちんとした裁判を行ってくれるのならば、私はいくらでも申し開きをしよう。
私には、魔力などないし、ヴァレリーを呪ってなどいない。
清廉潔白の身だ。
そのことを、裁判できちんと証明してくれるなら、かえってありがたいというものだ。
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名前:ジャン・ノエル・ド・ベルナール
種族:人間
職業:騎士
HP:55
MP:1
STR(力):16
VIT(体力):17
DEX(器用さ):12
AGI(敏捷性):15
INT(知性):6
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騎士だけあって、肉弾戦は強そうなパラメーターだが、簡単に敵に裏をかかれそうな知性の低さである。
猪武者的な数値で、正ヒーローがこれで大丈夫なのだろうかと、若干の不安が残る。
一方、ヴァレリーのステータスはこうだ。
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名前:ヴァレリー・フルニエ
種族:人間
職業:男爵令嬢
HP:28
MP:15
STR(力):8
VIT(体力):8
DEX(器用さ):9
AGI(敏捷性):9
INT(知性):13
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周囲の男性たちに守ってもらうことを前提としているかのように、全体的なパラメーターの低さが際立つ。
その中で知性だけが際立って高いのは、周りの男たちを手練手管で落とさないとならないからか。
ヴァレリーのこの知性に、ジャンのあの知性……。これなら、ヴァレリーの言うがまま、何もかも信じてしまうのも当然だ。
そして、この世界で、MPを持つ人間を初めて見た。
ゲームのシナリオ上、この後、彼女たちは魔王ヴィネ様を倒す旅に出なければならない。
道中やラスボスとの戦闘中に、ヴァレリーは周囲の攻略キャラを回復する。また、応援してパーティーメンバーの能力値を上げるという役割を持っている。
この回復スキルと応援スキルを駆使するために、MPが必要なのだ。
つまりは魔法が使えるということである。
「聖女」という称号が頭の上で光っているが、魔法を使える彼女はヒロインとして優遇され、MP1の自分が魔女として断罪されるとは、やはりどうにも納得がいかない。
ちなみに、侍女のアンナのステータス画面と、ジャンやヴァレリーのステータス画面では大きな違いがある。
それが、好感度だ。
さすが、婚約破棄を言い渡されただけのことはある。
ジャンから私に対する好感度は、1しかなかった。
婚約者として、そこそこうまくやれていると信じていた昨日までの私があまりにも可哀想である。
ヴァレリーから私への好感度も1だ。
私が彼女を「いじめていた」ということになっているのだから、当然とも言うべき数値である。ゼロでないだけでも、御の字と言えるだろう。
ジャンやヴァレリーの方は、私からステータスが丸見えだとはまさか思ってもいないだろうし、見えていると言ったところで、先ほどの医者のように信じてはくれないだろう。
そんなことを思い巡らす私に対して、ジャンが口を開く。
「この前は、きちんとした裁判も行わずに、そなたを魔女として糾弾してしまった。それについては、まあ申し訳なかったと思う」
ジャンは、ジャンにしては殊勝な言葉を口にする。
「間違いがあるといけないので、あらためて裁判をしなければならんと思い、今日は、ここに参ったのだ」
ジャンにしては、これもまた至極真っ当なことを口にする。
いったいどうしたのだろう。
知性が6しかないというのに。
きちんとした裁判を行ってくれるのならば、私はいくらでも申し開きをしよう。
私には、魔力などないし、ヴァレリーを呪ってなどいない。
清廉潔白の身だ。
そのことを、裁判できちんと証明してくれるなら、かえってありがたいというものだ。
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