上 下
7 / 7

しおりを挟む
「珍しいね。あんなの連れてくるなんて」


「へぇ、割と真剣なんだ」


「無理だね。カーテル、貴方はもう戻れない。そしてあのガキも、こちらにこれない」


「……その顔は、諦めてないのか」


「じゃあ確かめろよ。私の言うことは絶対に合っているから。今日の仕事の後にでも、な」





 ◇




「まさか、連れていくとはな」

 暗き空の下で、二人の女性は歩いていた。

「やっぱり私の言うことは当たっただろ? あのガキはこっちに来れないって」

 片方がもう片方の女性に語り掛ける。話しかけられた女性は踵も返さず歩みを進めていた。

「……だがまあ」

 その言葉に、さっきまで沈黙していた方の女性が立ち止まる。語り続ける女性はその歩みを止めずに言った。

「人生は長い。私の想像も、いつか外れるかもな」
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...