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船から出た三人の人影。港の倉庫の方へ歩いていく彼らと同じく、倉庫から出てきたたくさんの人影の中から三人が出てきて、船の方へ向かった。
三人と三人の距離が縮まっていく。それに視線を釘付けにしているカーテルとウィスペル。僕は声を出さず、吐息の音すら我慢してじっとしていた。
三人と三人の歩みが止まった。
「――」
その瞬間だった。
ウィスペルが自分たちの身を隠していた布をどけると、船から飛び降りて港の方へかけた。
同時にカーテルはボートの上から密輸者のボートの方へ向いて、構える。そして右手に力を滾らせると、何かを振りかぶるかのように、虚空の右腕を振った。
刹那、船に待機していた者たちの動きが、まるで縛られたかのように止まる。各々が所持していた武器がボートの上に落ちた。
そして苦しそうに小さくもがいたと思うと、その全員がぐたりと首を垂らす。カーテルはそれを見終えた後、右腕を下ろしてボートを下りた。僕も慌ててそれに続く。
港からはいくつもの爆音が響き渡っていた。
カーテルの背を負いながら、目をこらして見てみると、敵の集団の中で華麗に駆け回るウィスペルの姿と、それを取り囲む者の頭が心地の良い音を立てて破裂する情景が見えて、思わず口を手で押さえた。
僕は思い出していた。かつての友達の頭を吹っ飛ばして殺したことを。ウィスペルの殺し方は、僕と似ている。
僕は戦場に入る前のところで止まった。カーテルはそのまま戦場へ飛び込んでいく。
その背中を見て、僕は一歩踏み出そうとしたけれど、それはできなかった。
カーテルも何かの能力で敵を下していった。ウィルペルが破裂させる能力を持つように、カーテルも違う能力を持っているみたいだ。
何故なら、破裂以外にも倒れていく敵が見えるから。
――その戦闘は数分間で終わった。
頭のない死体や口から泡を吹いて白目をむいている体などの上を、二人は歩いていた。
僕はそれを遠くから見て、とりとめのない恐怖を感じていた。
一人殺しただけで僕はあんなにもふさぎ込んだというのに、この二人は人殺しをまるでパンにバターを塗るかのような感覚でやってのけている。
「ひぃ……っ!」
突然倒れていた体のうち、一つが悲鳴を上げながら立ち上がり、二人から逃げ出した。僕の方へと走って向かってくる。
「――僕?」
カーテルの声が僕を呼んだ。
僕はカーテルの瞳を見る。
――殺れ。
カーテラの瞳はそう言っていた。僕は拳をかためる。
その男は必至の形相でこちらに向かって走ってきていた。僕のことなど、意識の外にあって見えていないのかもしれない。
今なら……。
僕は拳を前に出した。
三人と三人の距離が縮まっていく。それに視線を釘付けにしているカーテルとウィスペル。僕は声を出さず、吐息の音すら我慢してじっとしていた。
三人と三人の歩みが止まった。
「――」
その瞬間だった。
ウィスペルが自分たちの身を隠していた布をどけると、船から飛び降りて港の方へかけた。
同時にカーテルはボートの上から密輸者のボートの方へ向いて、構える。そして右手に力を滾らせると、何かを振りかぶるかのように、虚空の右腕を振った。
刹那、船に待機していた者たちの動きが、まるで縛られたかのように止まる。各々が所持していた武器がボートの上に落ちた。
そして苦しそうに小さくもがいたと思うと、その全員がぐたりと首を垂らす。カーテルはそれを見終えた後、右腕を下ろしてボートを下りた。僕も慌ててそれに続く。
港からはいくつもの爆音が響き渡っていた。
カーテルの背を負いながら、目をこらして見てみると、敵の集団の中で華麗に駆け回るウィスペルの姿と、それを取り囲む者の頭が心地の良い音を立てて破裂する情景が見えて、思わず口を手で押さえた。
僕は思い出していた。かつての友達の頭を吹っ飛ばして殺したことを。ウィスペルの殺し方は、僕と似ている。
僕は戦場に入る前のところで止まった。カーテルはそのまま戦場へ飛び込んでいく。
その背中を見て、僕は一歩踏み出そうとしたけれど、それはできなかった。
カーテルも何かの能力で敵を下していった。ウィルペルが破裂させる能力を持つように、カーテルも違う能力を持っているみたいだ。
何故なら、破裂以外にも倒れていく敵が見えるから。
――その戦闘は数分間で終わった。
頭のない死体や口から泡を吹いて白目をむいている体などの上を、二人は歩いていた。
僕はそれを遠くから見て、とりとめのない恐怖を感じていた。
一人殺しただけで僕はあんなにもふさぎ込んだというのに、この二人は人殺しをまるでパンにバターを塗るかのような感覚でやってのけている。
「ひぃ……っ!」
突然倒れていた体のうち、一つが悲鳴を上げながら立ち上がり、二人から逃げ出した。僕の方へと走って向かってくる。
「――僕?」
カーテルの声が僕を呼んだ。
僕はカーテルの瞳を見る。
――殺れ。
カーテラの瞳はそう言っていた。僕は拳をかためる。
その男は必至の形相でこちらに向かって走ってきていた。僕のことなど、意識の外にあって見えていないのかもしれない。
今なら……。
僕は拳を前に出した。
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