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A「私こそが狩人」
第28話 納車式
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大上華怜(おおがみかれん)が病室から消え、彼女の行方が再びわからなくなってから、数週間────
辰巳鋼一郎(たつみこういちろう)は、富田(とんだ)重工の工房へと足を運んでいた。
「おう、辰巳! こっちだ、こっち!」
向こうでレンチを片手にブンブンと手を振っているのは、勝村(かつむら)だ。辰巳は足元の機材や配線類に躓かないよう、彼の元へ駆け寄った。
「悪いな、カッちゃん。いきなり変な注文を出しちまって」
「別に構やしねぇよ。ドライバーの申し出通りに、犬っコロたちを仕上げるのが俺達の仕事なんだから。増して〝警視〟様からの申し出となりゃ、手も抜けねぇわ」
「止してくれよ。この階級も世間体を保つための、お飾りにすぎないんだからさ」
辰巳の現在の階級は警視。ノンキャリアの場合、警部として六年以上の実務経験と上層部からの推薦が求められるこの重役は、本来の自分じゃ到底就くことのできないものであった。
イレギュラーが起こるからには、そこには必ず何らかの要因がある。
警察が総出になっても捕まえられなかった赤ずきんたちに引導を渡したのは、大上華怜だ。だが、彼女が警察組織から離反した人間である以上、そんな事実を公表するわけにはいかなかった。
さらに赤ずきんは、猫下誠人巡査を殺害。彼と入れ替わり、警視庁のデータベースを改竄していた疑いもある。こんなことが世間に知れては警察組織の信頼が地に堕ちることは明らかだった。
結果、上層部が下した選択は「全ての事実を都合よく書き換えてしまう」というもの。赤ずきん達を打倒したのは警視庁特務課・幻想人対策班であり、華怜が離反した事実も、データベースが改竄されていたという事実も、全ては闇に葬ることになったのだ。
やっていること自体は赤ずきんと似たようなものだ。それでも、現行社会の秩序を保つには必要な選択だったと理解できる。
(理解できちまうからこそ、こんなにモヤモヤするんだろうな……)
そして、幻想対策班が凶悪な幻想人達を打倒したからには、相応の昇級がなくては体裁が立たない。
辰巳の今の立場は、上層部に体よく担ぎ上げられたとも、華怜の手柄を掠め取ったとも言えるだろう。
「なぁ、カッちゃん。……『正義』って何だと思う?」
「んだよ、藪から棒に。大体、お前はそんな青臭いことに悩むような歳でもねぇだろうが」
「確かに、対策班の班長として、それなりに清濁併せ飲めるようになったと思ってたんだけどな……」
◇◇◇
辰巳が思い返すのは、浪岡大吾(なみおかだいご)の葬儀だった。
自分にとっては、警察官のイロハを叩き込んでくれた恩人との別れ。要らぬ心配を掛けないよう、感謝だけを伝えて、彼を送り出すつもりだった。
だが、できなかった。
遺体が凄惨すぎるが為に窓が閉じられた棺の前に立たされて、彼の散り際がフラッシュバックしたのだ。
こんな結末、納得できない。まだまだ彼に教わりたいことだって沢山あった。
そんな感情がぐちゃぐちゃのまま込み上げてきて、気づけば人目も憚らず泣いていた。二七にもなって、不恰好も良いところだ。結局、ロクに別れの言葉も伝えられなかったと思う。
そして、少し落ち着いた頃。
喪服の裾を、誰かに引っぱられた。
「ねぇ……辰巳のオジさん」
浪岡美咲(みさき)────彼が溺愛していた一人娘だ。
浪岡の家にはよく招かれたから、美咲とも多少の面識があった。「彼女はまだ幼いから父の死を理解できていない」なんて都合の良いオチもなく。聡い彼女も自らが直面した「理不尽」を理解せざるを得なかったのだろう。
あどけなさの残る顔には、自分と同じように泣き腫らした跡と、深いクマが見て取れた。
ただ、その表情は自分よりも、あのときの華怜のものに近かった。
美咲と華怜。二人は重ねてしまうのは何故だろうか?
「どうしたんだい、美咲ちゃん?」
辰巳は少し戸惑いながらも、膝をついて、彼女と視線を合わせた。
すると彼女は嗤ったのだ。小さく震えたまま、口の端を吊り上げて、どこか狂気的に────
「オジさんが仇をとってくれたんだよね。父さんを殺した悪い幻想人の。だから、その、なんて言ったら良いかな……ありがとね、オジさん。幻想人を殺してくれて」
◇◇◇
「それで、お前はなんて答えたんだ?」
「何も答えられるわけねぇだろ。当たり障りのない言葉で話を逸らして、なぁなぁに誤魔化したんだ」
「まぁ、それが無難か。俺だって上手に答えられる気がしねーや」
二人はしばし、沈黙する。工房内の至るところから騒がしい音が聞こえてくる分、二人の周りだけが異様な静けさに包まれてしまう。
「……で? これは『正義って何だろうな?』って話だったよな。確かに、可愛がってた部下に裏切れた挙句、そんな経験しちまえば、何が正しいかなんて分かんなくなるだろうな」
そうだ。
理想論だけを得意げに語っていたけれど、結局何の成果を残せなかった自分。対して、間違ったやり方でも結果だけを出し続けた華怜。どちらが被害者や遺族の慰めになったかは語るまでもない。
「なぁ……コイツを見てくれないか」
辰巳は懐から端末を取り出すと、あるネット掲示板を表示した。
「なになに……近頃、凶悪な幻想人が次々死体になって発見されている。んでもって、そこには警視庁が処分したはずの赤ずきんらしき少女と、ツギハギ修理を施された〈ウルフパック〉らしき車両が目撃されたと……ちょっと待て、これって⁉」
「十中八九、大上だろうな」
彼女はインターネット上で「ロンリーウルフ」と呼ばれるようになっていた。一匹狼は今も人知れず、茨の道を歩み続けているのだ。
それと同時に、一部では無能な警察よりも、彼女を崇め立てるような書き込みも散見された。
「はは……『家族の仇をとってくれてありがとう』だとか、『ロンリーウルフこそ真のヒーロー』だとか。そりゃもう、真面目にやってる俺たちの方が馬鹿らしく思えるほどさ」
辰巳は、つい乾いた笑いを漏らしてしまった。
「なぁ、辰巳よ。俺は富田重工の人間で、寝ても覚めても機械弄りばっか。正義とか悪とか、そういう難しいことについても真面目に考えたことがねぇ。─────ただ、強いていうなら『どれだけ自分を騙せるか』なんじゃねぇか?」
「……自分を……騙せる?」
「確かに、あの嬢ちゃんの行き過ぎたやり方は褒められたもんじゃねぇ。けど、嬢ちゃんに迷いがねぇのは、自分を疑わなかったからだと思うんだ。頭の中で『私は正しい』って言い聞かせるからこそ、一匹狼に成り果てても、止まらないんだろうよ」
では、自分はどうだろうか?
「相手が幻想人であろうと、尊ぶべき命を持っていることに変わりはない。だから、罪を償う機会を与えるべきだ」というスタンスを今も信じ抜けるだろうか?
目の前で恩人を殺され、更には異様なほどに研ぎ澄まされた華怜の正義に直面した後だ。
「……ダメだ。俺はもう、自分の正義を信じられねぇ。都合よく自分を騙すこともできねぇや」
「じゃあ聞き方を変えるが、お前はあの嬢ちゃんが正しいと思えるか? それに相手が悪だからって一方的にぶっ殺すのが正しいと思えるか?」
「それは……」
「自分を器用に騙し続けるコツは、必要に応じてにアップデートを続けることだ。その点は機械も人も変わらねぇ」
辰巳は俯き、思考を巡らせた。
華恋のやり方が正しいか? 否、あんなやり方を続けていては、彼女を待つのは破滅だけだ。
相手が悪だからって一方的に断ずるのは正しいか? それも否だ。もしも、そうなればルールを破った華怜を一方的に断じなくてはならないから。
であれば、自分の信じる正義とは何か?
「俺の信じる正義は、ルールや倫理に準じた上で、この社会から『理不尽』を無くすことだ」
「ははっ! 良いじゃねぇか。つーかよ、お前も無意識じゃ、自分の為すべきことがわかってたんだろ。じゃなきゃ、こんな無茶な注文をするわけがねぇ」
ほくそ笑んだ勝村は工房の奥に目をやった。
そこに鎮座するのは、新たな姿へと生まれ変わった〈ウルフパック〉一号車だ。
特徴的だった狙撃モジュールとほとんどの装甲を廃した姿は、どこか華怜の十三号車を思わせる。
さらに下腹部から伸びる一対のサブアームには、左右で異なる武装を備えており、右には浪岡の四号車からパーツを流用した捕縛用モジュールを、左には華怜が用いていたものと同じ電磁ブレードが握られていた。
並の〈ウルフパック〉で十三号車に追いつくのは不可能だ。増してドライバーは殺人的な加速にさえ耐え切る改造人間ときた。
「先に言っておくが、この一号車が出せるトップスピードでも嬢ちゃんの十三号車に追い付くのは不可能だろうよ。ただ、各部関節の耐久性や燃費の良さは、遥かにコッチの方が上だ。────つまり、短距離走なら絶対負けるが、長期離走なら絶対勝てる。お前の要望通りの仕上がりになってるぜ」
そうだ。
この一号車は大上華怜に追い付き、彼女を追い越す為のチューンが徹底的に施された、鋼の警察犬なのだ。
辰巳も、新たな愛車へと向き合った。新たな正義も、それを為せるだけの力も今の自分には揃っている。ならば、後は為すべきことを為すまでだ。
辰巳鋼一郎(たつみこういちろう)は、富田(とんだ)重工の工房へと足を運んでいた。
「おう、辰巳! こっちだ、こっち!」
向こうでレンチを片手にブンブンと手を振っているのは、勝村(かつむら)だ。辰巳は足元の機材や配線類に躓かないよう、彼の元へ駆け寄った。
「悪いな、カッちゃん。いきなり変な注文を出しちまって」
「別に構やしねぇよ。ドライバーの申し出通りに、犬っコロたちを仕上げるのが俺達の仕事なんだから。増して〝警視〟様からの申し出となりゃ、手も抜けねぇわ」
「止してくれよ。この階級も世間体を保つための、お飾りにすぎないんだからさ」
辰巳の現在の階級は警視。ノンキャリアの場合、警部として六年以上の実務経験と上層部からの推薦が求められるこの重役は、本来の自分じゃ到底就くことのできないものであった。
イレギュラーが起こるからには、そこには必ず何らかの要因がある。
警察が総出になっても捕まえられなかった赤ずきんたちに引導を渡したのは、大上華怜だ。だが、彼女が警察組織から離反した人間である以上、そんな事実を公表するわけにはいかなかった。
さらに赤ずきんは、猫下誠人巡査を殺害。彼と入れ替わり、警視庁のデータベースを改竄していた疑いもある。こんなことが世間に知れては警察組織の信頼が地に堕ちることは明らかだった。
結果、上層部が下した選択は「全ての事実を都合よく書き換えてしまう」というもの。赤ずきん達を打倒したのは警視庁特務課・幻想人対策班であり、華怜が離反した事実も、データベースが改竄されていたという事実も、全ては闇に葬ることになったのだ。
やっていること自体は赤ずきんと似たようなものだ。それでも、現行社会の秩序を保つには必要な選択だったと理解できる。
(理解できちまうからこそ、こんなにモヤモヤするんだろうな……)
そして、幻想対策班が凶悪な幻想人達を打倒したからには、相応の昇級がなくては体裁が立たない。
辰巳の今の立場は、上層部に体よく担ぎ上げられたとも、華怜の手柄を掠め取ったとも言えるだろう。
「なぁ、カッちゃん。……『正義』って何だと思う?」
「んだよ、藪から棒に。大体、お前はそんな青臭いことに悩むような歳でもねぇだろうが」
「確かに、対策班の班長として、それなりに清濁併せ飲めるようになったと思ってたんだけどな……」
◇◇◇
辰巳が思い返すのは、浪岡大吾(なみおかだいご)の葬儀だった。
自分にとっては、警察官のイロハを叩き込んでくれた恩人との別れ。要らぬ心配を掛けないよう、感謝だけを伝えて、彼を送り出すつもりだった。
だが、できなかった。
遺体が凄惨すぎるが為に窓が閉じられた棺の前に立たされて、彼の散り際がフラッシュバックしたのだ。
こんな結末、納得できない。まだまだ彼に教わりたいことだって沢山あった。
そんな感情がぐちゃぐちゃのまま込み上げてきて、気づけば人目も憚らず泣いていた。二七にもなって、不恰好も良いところだ。結局、ロクに別れの言葉も伝えられなかったと思う。
そして、少し落ち着いた頃。
喪服の裾を、誰かに引っぱられた。
「ねぇ……辰巳のオジさん」
浪岡美咲(みさき)────彼が溺愛していた一人娘だ。
浪岡の家にはよく招かれたから、美咲とも多少の面識があった。「彼女はまだ幼いから父の死を理解できていない」なんて都合の良いオチもなく。聡い彼女も自らが直面した「理不尽」を理解せざるを得なかったのだろう。
あどけなさの残る顔には、自分と同じように泣き腫らした跡と、深いクマが見て取れた。
ただ、その表情は自分よりも、あのときの華怜のものに近かった。
美咲と華怜。二人は重ねてしまうのは何故だろうか?
「どうしたんだい、美咲ちゃん?」
辰巳は少し戸惑いながらも、膝をついて、彼女と視線を合わせた。
すると彼女は嗤ったのだ。小さく震えたまま、口の端を吊り上げて、どこか狂気的に────
「オジさんが仇をとってくれたんだよね。父さんを殺した悪い幻想人の。だから、その、なんて言ったら良いかな……ありがとね、オジさん。幻想人を殺してくれて」
◇◇◇
「それで、お前はなんて答えたんだ?」
「何も答えられるわけねぇだろ。当たり障りのない言葉で話を逸らして、なぁなぁに誤魔化したんだ」
「まぁ、それが無難か。俺だって上手に答えられる気がしねーや」
二人はしばし、沈黙する。工房内の至るところから騒がしい音が聞こえてくる分、二人の周りだけが異様な静けさに包まれてしまう。
「……で? これは『正義って何だろうな?』って話だったよな。確かに、可愛がってた部下に裏切れた挙句、そんな経験しちまえば、何が正しいかなんて分かんなくなるだろうな」
そうだ。
理想論だけを得意げに語っていたけれど、結局何の成果を残せなかった自分。対して、間違ったやり方でも結果だけを出し続けた華怜。どちらが被害者や遺族の慰めになったかは語るまでもない。
「なぁ……コイツを見てくれないか」
辰巳は懐から端末を取り出すと、あるネット掲示板を表示した。
「なになに……近頃、凶悪な幻想人が次々死体になって発見されている。んでもって、そこには警視庁が処分したはずの赤ずきんらしき少女と、ツギハギ修理を施された〈ウルフパック〉らしき車両が目撃されたと……ちょっと待て、これって⁉」
「十中八九、大上だろうな」
彼女はインターネット上で「ロンリーウルフ」と呼ばれるようになっていた。一匹狼は今も人知れず、茨の道を歩み続けているのだ。
それと同時に、一部では無能な警察よりも、彼女を崇め立てるような書き込みも散見された。
「はは……『家族の仇をとってくれてありがとう』だとか、『ロンリーウルフこそ真のヒーロー』だとか。そりゃもう、真面目にやってる俺たちの方が馬鹿らしく思えるほどさ」
辰巳は、つい乾いた笑いを漏らしてしまった。
「なぁ、辰巳よ。俺は富田重工の人間で、寝ても覚めても機械弄りばっか。正義とか悪とか、そういう難しいことについても真面目に考えたことがねぇ。─────ただ、強いていうなら『どれだけ自分を騙せるか』なんじゃねぇか?」
「……自分を……騙せる?」
「確かに、あの嬢ちゃんの行き過ぎたやり方は褒められたもんじゃねぇ。けど、嬢ちゃんに迷いがねぇのは、自分を疑わなかったからだと思うんだ。頭の中で『私は正しい』って言い聞かせるからこそ、一匹狼に成り果てても、止まらないんだろうよ」
では、自分はどうだろうか?
「相手が幻想人であろうと、尊ぶべき命を持っていることに変わりはない。だから、罪を償う機会を与えるべきだ」というスタンスを今も信じ抜けるだろうか?
目の前で恩人を殺され、更には異様なほどに研ぎ澄まされた華怜の正義に直面した後だ。
「……ダメだ。俺はもう、自分の正義を信じられねぇ。都合よく自分を騙すこともできねぇや」
「じゃあ聞き方を変えるが、お前はあの嬢ちゃんが正しいと思えるか? それに相手が悪だからって一方的にぶっ殺すのが正しいと思えるか?」
「それは……」
「自分を器用に騙し続けるコツは、必要に応じてにアップデートを続けることだ。その点は機械も人も変わらねぇ」
辰巳は俯き、思考を巡らせた。
華恋のやり方が正しいか? 否、あんなやり方を続けていては、彼女を待つのは破滅だけだ。
相手が悪だからって一方的に断ずるのは正しいか? それも否だ。もしも、そうなればルールを破った華怜を一方的に断じなくてはならないから。
であれば、自分の信じる正義とは何か?
「俺の信じる正義は、ルールや倫理に準じた上で、この社会から『理不尽』を無くすことだ」
「ははっ! 良いじゃねぇか。つーかよ、お前も無意識じゃ、自分の為すべきことがわかってたんだろ。じゃなきゃ、こんな無茶な注文をするわけがねぇ」
ほくそ笑んだ勝村は工房の奥に目をやった。
そこに鎮座するのは、新たな姿へと生まれ変わった〈ウルフパック〉一号車だ。
特徴的だった狙撃モジュールとほとんどの装甲を廃した姿は、どこか華怜の十三号車を思わせる。
さらに下腹部から伸びる一対のサブアームには、左右で異なる武装を備えており、右には浪岡の四号車からパーツを流用した捕縛用モジュールを、左には華怜が用いていたものと同じ電磁ブレードが握られていた。
並の〈ウルフパック〉で十三号車に追いつくのは不可能だ。増してドライバーは殺人的な加速にさえ耐え切る改造人間ときた。
「先に言っておくが、この一号車が出せるトップスピードでも嬢ちゃんの十三号車に追い付くのは不可能だろうよ。ただ、各部関節の耐久性や燃費の良さは、遥かにコッチの方が上だ。────つまり、短距離走なら絶対負けるが、長期離走なら絶対勝てる。お前の要望通りの仕上がりになってるぜ」
そうだ。
この一号車は大上華怜に追い付き、彼女を追い越す為のチューンが徹底的に施された、鋼の警察犬なのだ。
辰巳も、新たな愛車へと向き合った。新たな正義も、それを為せるだけの力も今の自分には揃っている。ならば、後は為すべきことを為すまでだ。
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