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EP21【折り返しとクレイドル孤児院】(前編)
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ネクロ・ドラゴン討伐を終えてからも、魔導人形(ドール)の仕事は終わることを知らない。土木工事や店のレジ打ち、あとは煙突掃除に夜間警備、クルスくんに魔導エンジニアの助手として職場に着いて行ったりもした。
そんな日々を過ごして、約一か月半。俺の所持金はようやく一〇〇万ペルに届こうとしていた。
「はぁ……はぁ……死ぬかと思ったぜ」
「なーに、へばってるのよ。まだ借金の半分も稼いでじゃない」
「う、うるせぇ!」
こっちは死ぬ気で働いてんだ! 毎日毎日、休みなく目標のために頑張ってんだよ! そもそも、働きもせずに遊び歩いていたクズ人間の頃に比べて、俺はここしばらくでかなりに成長した筈だろ!
「今に見てろ……あと一五〇万ペルなんて、すぐに返してやるよ」
明日はクルスくんから、また魔獣討伐の依頼が来ている。今回の魔獣はネクロ・ドラゴンよりも強力らしいが、日取り金で五〇万ペルも貰えるんだ。
だから借金返済までは、あと一〇〇万ペル! 途方もなく大きな借金も、ようやく返せる目処が立ってきたってもんだ。
「けど、あのクズのスパナが毎日真面目に働いてるんだよね。うん、うん」
ネジは何故か笑っていた。正直ちょっと気持ち悪い。また何か企んでいそうだ。
「よし、決めたわ! スパナ、アンタの今日の仕事は私の付き添いよ! 一万ペルは出すから!」
「……えぇ」
「何よ、そのリアクションは」
だって、ネジがわざわざ持ち出す仕事なんて大抵ロクでもなかったし。
今回は付き添いと称してボディガードでもやらせる気じゃないか? それもとびっきり危ないところへ行くための。
「私ってそんなに信用ない?」
「うん!」
我ながら、とても素直な返事をした。
純粋な子供だけが出来る、本当に心からの素直な返事だ。そして、結果的に俺はネジから捻りの加えられたボディブローを直で受けることになる。
コイツ、マジで嫁の貰い手とかいなさそう。顔を大人しそうなのに、その本性が荒っぽ過ぎて軽く詐欺なのだ。いっそ訴訟でも起こされてしまえばいい。
「なんか、凄く失礼なこと考えてない?」
「滅相もございません! ……けど、今回もどうせまた危ないんだろ?」
「いいじゃない、その体は頑丈なんだし……って言いたいけど、今回は本当に安全な仕事よ。ただ、私を見て欲しい。今のネジ・アルナートを見て欲しい。それだけなの」
すこし意味深な内容をこぼすネジはいつもと少し違っていた。
いつも、ネジは自信に溢れていて、真っ直ぐな少女だ。しかし、今だけは、その自信にも迷いが生じていた。
いや、迷いというより、気恥ずかしさか?
なんというか、自信過剰ないつもの彼女と違い、緊張しているようにも見える
「わかった。ついて行くから案内しろ」
「よろしい! 私たちが今日出向くのは、クレイドル孤児院よ!」
そんな日々を過ごして、約一か月半。俺の所持金はようやく一〇〇万ペルに届こうとしていた。
「はぁ……はぁ……死ぬかと思ったぜ」
「なーに、へばってるのよ。まだ借金の半分も稼いでじゃない」
「う、うるせぇ!」
こっちは死ぬ気で働いてんだ! 毎日毎日、休みなく目標のために頑張ってんだよ! そもそも、働きもせずに遊び歩いていたクズ人間の頃に比べて、俺はここしばらくでかなりに成長した筈だろ!
「今に見てろ……あと一五〇万ペルなんて、すぐに返してやるよ」
明日はクルスくんから、また魔獣討伐の依頼が来ている。今回の魔獣はネクロ・ドラゴンよりも強力らしいが、日取り金で五〇万ペルも貰えるんだ。
だから借金返済までは、あと一〇〇万ペル! 途方もなく大きな借金も、ようやく返せる目処が立ってきたってもんだ。
「けど、あのクズのスパナが毎日真面目に働いてるんだよね。うん、うん」
ネジは何故か笑っていた。正直ちょっと気持ち悪い。また何か企んでいそうだ。
「よし、決めたわ! スパナ、アンタの今日の仕事は私の付き添いよ! 一万ペルは出すから!」
「……えぇ」
「何よ、そのリアクションは」
だって、ネジがわざわざ持ち出す仕事なんて大抵ロクでもなかったし。
今回は付き添いと称してボディガードでもやらせる気じゃないか? それもとびっきり危ないところへ行くための。
「私ってそんなに信用ない?」
「うん!」
我ながら、とても素直な返事をした。
純粋な子供だけが出来る、本当に心からの素直な返事だ。そして、結果的に俺はネジから捻りの加えられたボディブローを直で受けることになる。
コイツ、マジで嫁の貰い手とかいなさそう。顔を大人しそうなのに、その本性が荒っぽ過ぎて軽く詐欺なのだ。いっそ訴訟でも起こされてしまえばいい。
「なんか、凄く失礼なこと考えてない?」
「滅相もございません! ……けど、今回もどうせまた危ないんだろ?」
「いいじゃない、その体は頑丈なんだし……って言いたいけど、今回は本当に安全な仕事よ。ただ、私を見て欲しい。今のネジ・アルナートを見て欲しい。それだけなの」
すこし意味深な内容をこぼすネジはいつもと少し違っていた。
いつも、ネジは自信に溢れていて、真っ直ぐな少女だ。しかし、今だけは、その自信にも迷いが生じていた。
いや、迷いというより、気恥ずかしさか?
なんというか、自信過剰ないつもの彼女と違い、緊張しているようにも見える
「わかった。ついて行くから案内しろ」
「よろしい! 私たちが今日出向くのは、クレイドル孤児院よ!」
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