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第五章
悲しい過去
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冬夜は意を決して、遥達に自分の生い立ちから、大切な人が亡くなってしまう話を全て話した。
その間、幸太と遥は黙ったまま冬夜の話に耳を傾けていた。
冬夜の話が終わると
「僕も…冬夜さんの意見と同じ見解です。おそらく、翠にとって冬夜さんは、孤独でなければならかったんだと思います」
幸太はそう呟くと
「此処からは…僕が話して大丈夫ですか?」
と、遥と冬夜に確認してゆっくりと話し出した。
「まず、僕達3人は前世でなんらかの関係があって、此処に呼び込まれた。
でも、翠が此処へ呼び込んだのは、冬夜さん1人の筈なんです」
「え?じゃあ、私達は?」
幸太の話に遥が呟くと
「招かざる客ですね」
そう答える。
「でも…招待状は3通来ていたよな?」
「えぇ…おそらく、僕達に来ていた招待状は偽物…または、翠に近しい能力を持つ存在が出したんだと思うんです」
遥の問いに、幸太はいつになく神妙な面持ちで答えた。
「翠に近しい能力って…他にも、鬼が居るのか?」
遥が訊ねると
「…翠というのは元々、実体の無い存在なんです。昔、日本には鬼の血を引き継ぐ一族がいたんです。しかし、鬼の一族は1000年前、藤原家の分家で、麓の村一帯を治めていた藤原頼久に根絶やしにされています」
そう答えた。
「根絶やし!」
「はい。しかし唯一、翠だけは殺せなかった」
驚く遥に、幸太はゆっくりと頷きそう続けると
「何故なら、彼は既に鬼になっていたからなんです」
と答えて目を伏せた。
「実は…僕の頭には、おそらく三郎太だった頃の記憶が蘇っています。ただ、その三郎太本人は、本人の意思で僕の魂に三郎太としての存在を消してしまっているようなんです。だから、彼の前世の記憶を知る事が出来ても、僕にはこの世界の文字が読めないみたいなんです」
幸太はそう呟きゆっくりと目を開くと
「僕と遥先輩が此処へ来たのは、1000年前の呪われた運命の針を止める為なんだと思うんです」
そう続けた。
「運命の針を止めるって…どうやって?」
戸惑う遥に
「きっと、この屋敷の中にそのヒントがあるんだと思います。そう…例えばこの日記のように…」
幸太はそう言って遥が読んでいた古文書を2人に見せた。
「それで…です。僕にはこの世界の文字がわかりません。なので、遥先輩は1000年前の事が書かれた書物がないか探して下さい」
幸太がそう言うと、遥は小さく頷き
「分かった…」
と頷く。
「冬夜さんは…」
「一人でフラフラするな…だろう?」
冬夜が鬱陶しそうに呟くと
「いえ。翡翠を探し出して下さい」
そう答えたのだ。
遥と冬夜は顔を見合わせてから
「翡翠って…死んだんだろう?
巫女だったんだよな?」
遥が叫ぶと
「それはおそらく…藤原頼久の関係者が書かせた偽の情報です」
幸太はそう言うと
「気を失っている間、見えた記憶ですが…。翡翠と翠はコインの裏と表です。
一つの身体に、二つの存在が混在しているんです。翡翠は鬼神。翠は鬼なんです」
と話を続けた。
「という事は…、私達を呼んだのは…」
「ええ。おそらく翡翠でしょう」
遥の言葉に、幸太が頷く。
その間、幸太と遥は黙ったまま冬夜の話に耳を傾けていた。
冬夜の話が終わると
「僕も…冬夜さんの意見と同じ見解です。おそらく、翠にとって冬夜さんは、孤独でなければならかったんだと思います」
幸太はそう呟くと
「此処からは…僕が話して大丈夫ですか?」
と、遥と冬夜に確認してゆっくりと話し出した。
「まず、僕達3人は前世でなんらかの関係があって、此処に呼び込まれた。
でも、翠が此処へ呼び込んだのは、冬夜さん1人の筈なんです」
「え?じゃあ、私達は?」
幸太の話に遥が呟くと
「招かざる客ですね」
そう答える。
「でも…招待状は3通来ていたよな?」
「えぇ…おそらく、僕達に来ていた招待状は偽物…または、翠に近しい能力を持つ存在が出したんだと思うんです」
遥の問いに、幸太はいつになく神妙な面持ちで答えた。
「翠に近しい能力って…他にも、鬼が居るのか?」
遥が訊ねると
「…翠というのは元々、実体の無い存在なんです。昔、日本には鬼の血を引き継ぐ一族がいたんです。しかし、鬼の一族は1000年前、藤原家の分家で、麓の村一帯を治めていた藤原頼久に根絶やしにされています」
そう答えた。
「根絶やし!」
「はい。しかし唯一、翠だけは殺せなかった」
驚く遥に、幸太はゆっくりと頷きそう続けると
「何故なら、彼は既に鬼になっていたからなんです」
と答えて目を伏せた。
「実は…僕の頭には、おそらく三郎太だった頃の記憶が蘇っています。ただ、その三郎太本人は、本人の意思で僕の魂に三郎太としての存在を消してしまっているようなんです。だから、彼の前世の記憶を知る事が出来ても、僕にはこの世界の文字が読めないみたいなんです」
幸太はそう呟きゆっくりと目を開くと
「僕と遥先輩が此処へ来たのは、1000年前の呪われた運命の針を止める為なんだと思うんです」
そう続けた。
「運命の針を止めるって…どうやって?」
戸惑う遥に
「きっと、この屋敷の中にそのヒントがあるんだと思います。そう…例えばこの日記のように…」
幸太はそう言って遥が読んでいた古文書を2人に見せた。
「それで…です。僕にはこの世界の文字がわかりません。なので、遥先輩は1000年前の事が書かれた書物がないか探して下さい」
幸太がそう言うと、遥は小さく頷き
「分かった…」
と頷く。
「冬夜さんは…」
「一人でフラフラするな…だろう?」
冬夜が鬱陶しそうに呟くと
「いえ。翡翠を探し出して下さい」
そう答えたのだ。
遥と冬夜は顔を見合わせてから
「翡翠って…死んだんだろう?
巫女だったんだよな?」
遥が叫ぶと
「それはおそらく…藤原頼久の関係者が書かせた偽の情報です」
幸太はそう言うと
「気を失っている間、見えた記憶ですが…。翡翠と翠はコインの裏と表です。
一つの身体に、二つの存在が混在しているんです。翡翠は鬼神。翠は鬼なんです」
と話を続けた。
「という事は…、私達を呼んだのは…」
「ええ。おそらく翡翠でしょう」
遥の言葉に、幸太が頷く。
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