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第四章
冬夜の出生③
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その時に出会った弁護士も良い人で、何かと冬夜を心配してくれていた。
その弁護士は大津憲二という弁護士で、冬夜を食事に誘ったり何かと面倒を見てくれていた。
でも、冬夜は杉の子園の園長夫妻や、彰人のように不幸にしてしまうのでは無いかと、大津弁護士を避けていた。
どんなに反抗しても、無視しても面倒を見てくれていた大津弁護士。
冬夜が遥の職場に就職が決まったのを喜んでくれていた。
本当は…とても大好きな人だった。
でも、冬夜は一定の距離を保ち、決して仲良くはならないようにしていた。
しかし…その大津弁護士も事件に巻き込まれて帰らぬ人となってしまったのだ。
冬夜はそれ以降、恋人も作らないようになった。
元々、告白されて、その時に彼女が居なければ付き合うという感じだったので、冬夜自身が女性を好きになって付き合った事は無かった。
それでも…少し気になる女性が現れた事があった。
高校2年の秋。
クラス委員で、明るくて真面目な彼女と文化祭がきっかけで仲良くなり、多分、このままいけば付き合うのかもしれない…と思った矢先、彼女は階段から落ちて大怪我をしたのだ。
冬夜が気持ちが無く付き合う女性には、怪我が起こる事は無かった。
しかし、少しでも気持ちが傾くと怪我や原因不明の病気になってしまう事が続いてしまい、冬夜は誰かを好きになる事自体を諦めてしまったのだ。
だから、遥の気持ちに気付いてはいても、受け止めるわけにはいかなかった。
遥に対しては、異性という感情では無く人間として好意を持っていた。
明るくて誰に対しても優しく、しっかり者。
それでいて何処か危なっかしい面も持っている。
そんな遥を助けたいと思うし、手を貸して欲しいというなら貸してやりたいと思う。
でもそれは、決して女性だから…というものでは無かった。
本来はとても綺麗な女性なのに、女性である事を否定して男っぽく振る舞い、おそらく冬夜への感情も、気付いた時はかなり苦悩したんだろうと思う。
いつも強がって、決して人に隙を見せないから、冬夜には想像する事しか出来なかったが…。
そんな遥を、他の誰にも目もくれずに思う相手が居るのなら、応援したいと冬夜は思っていた。
だから、幸太の事を遥に勧めたのだ。
幸太は一見、ぼんやりとして見えるが、仕事は丁寧で正確。
誰に対しても穏やかで、決して相手を不快にはさせない。
(そう…俺以外はな…)
冬夜はぼんやりとそう思い出す。
実際、遥は知らないだけで、幸太は結構モテては居るのだ。
お育ちの良さと、誰にでも優しくできる幸太を狙っている女性は少ない。
でも、幸太の目には遥しか映っていない。
それは、誰が見てもそう思う。
そんな幸太より、冬夜を選ぶ遥の気持ちが冬夜には理解出来なかった。
だから、自分より幸太を選べとあの日に伝えたのだ。
長い付き合いの中で、初めて遥の泣き顔を見た日。
冬夜はその想いに応えてあげられれば良いのに…と思いもした。
でも、遥を不幸にする事になるのかもしれない。
そう思う気持ちと、遥という友人を失うのが怖かったんだと冬夜は思った。
だから、冬夜は2度と誰も好きにはならないし、付き合う事も止めたのだ。
そしておそらく…その原因が、今回の鬼である「翠」が関わっているように思えてしかたなかったのだ。
冬夜はそれを確かめたくて、この村へ来る事を決意したのだった。
その弁護士は大津憲二という弁護士で、冬夜を食事に誘ったり何かと面倒を見てくれていた。
でも、冬夜は杉の子園の園長夫妻や、彰人のように不幸にしてしまうのでは無いかと、大津弁護士を避けていた。
どんなに反抗しても、無視しても面倒を見てくれていた大津弁護士。
冬夜が遥の職場に就職が決まったのを喜んでくれていた。
本当は…とても大好きな人だった。
でも、冬夜は一定の距離を保ち、決して仲良くはならないようにしていた。
しかし…その大津弁護士も事件に巻き込まれて帰らぬ人となってしまったのだ。
冬夜はそれ以降、恋人も作らないようになった。
元々、告白されて、その時に彼女が居なければ付き合うという感じだったので、冬夜自身が女性を好きになって付き合った事は無かった。
それでも…少し気になる女性が現れた事があった。
高校2年の秋。
クラス委員で、明るくて真面目な彼女と文化祭がきっかけで仲良くなり、多分、このままいけば付き合うのかもしれない…と思った矢先、彼女は階段から落ちて大怪我をしたのだ。
冬夜が気持ちが無く付き合う女性には、怪我が起こる事は無かった。
しかし、少しでも気持ちが傾くと怪我や原因不明の病気になってしまう事が続いてしまい、冬夜は誰かを好きになる事自体を諦めてしまったのだ。
だから、遥の気持ちに気付いてはいても、受け止めるわけにはいかなかった。
遥に対しては、異性という感情では無く人間として好意を持っていた。
明るくて誰に対しても優しく、しっかり者。
それでいて何処か危なっかしい面も持っている。
そんな遥を助けたいと思うし、手を貸して欲しいというなら貸してやりたいと思う。
でもそれは、決して女性だから…というものでは無かった。
本来はとても綺麗な女性なのに、女性である事を否定して男っぽく振る舞い、おそらく冬夜への感情も、気付いた時はかなり苦悩したんだろうと思う。
いつも強がって、決して人に隙を見せないから、冬夜には想像する事しか出来なかったが…。
そんな遥を、他の誰にも目もくれずに思う相手が居るのなら、応援したいと冬夜は思っていた。
だから、幸太の事を遥に勧めたのだ。
幸太は一見、ぼんやりとして見えるが、仕事は丁寧で正確。
誰に対しても穏やかで、決して相手を不快にはさせない。
(そう…俺以外はな…)
冬夜はぼんやりとそう思い出す。
実際、遥は知らないだけで、幸太は結構モテては居るのだ。
お育ちの良さと、誰にでも優しくできる幸太を狙っている女性は少ない。
でも、幸太の目には遥しか映っていない。
それは、誰が見てもそう思う。
そんな幸太より、冬夜を選ぶ遥の気持ちが冬夜には理解出来なかった。
だから、自分より幸太を選べとあの日に伝えたのだ。
長い付き合いの中で、初めて遥の泣き顔を見た日。
冬夜はその想いに応えてあげられれば良いのに…と思いもした。
でも、遥を不幸にする事になるのかもしれない。
そう思う気持ちと、遥という友人を失うのが怖かったんだと冬夜は思った。
だから、冬夜は2度と誰も好きにはならないし、付き合う事も止めたのだ。
そしておそらく…その原因が、今回の鬼である「翠」が関わっているように思えてしかたなかったのだ。
冬夜はそれを確かめたくて、この村へ来る事を決意したのだった。
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