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これからの未来へ③
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その頃、恭介と空はそっと出て行った4人に気付いてバツの悪い顔をする。
空が恭介の手から手を離そうとすると
「どうして逃げる?もう、逃げる必要ないだろう?」
と言われてしまう。
「あの…あまり見ないで下さい」
俯いて呟く空に、恭介が
「そんなに見てる?」
と訊くと
「さっきからずっと見てます!」
怒って顔を上げた空を抱き締めた。
「ごめん。もう、2度と触れられないと思ってたから。タツ…嫌、今は空なのかな?きみがどんな顔でどんな姿でも、俺は必ず探し出せる自信があるよ」
そう呟いた。
「隠れんぼ…」
抱き締められた腕の中で、空はぽつりと呟いた。
「お母様が…隠れんぼに勝ったら、願いを叶えてやると約束したと言っていました」
そう言われて、恭介は驚いた顔をした。
「ただ…私を死んだ事にしなければ、里から出す訳にはいかなかったと…。だから、私も自分の命は尽きたんだと思っていたんです。悲しい思いをさせてしまって…すみませんでした」
「本当に悪いと思ってる?」
そう言われて、空が恭介の顔を見上げる。
「もちろんです。たくさん…泣かせてしまいました」
悲しそうに呟く空の頬にそっと触れると
「じゃあ、2度と離れないと誓って欲しいな」
そう言って唇を重ねた。
「恭介さん…。でも、美咲さんが…」
戸惑う空に恭介は吹き出して笑うと
「風太でさえ気付いたのに…。きみは心が読めないと鈍感なんだな…」
と言って
「藤野君は今や片桐君の婚約者だよ。今日だって、婚約祝いだって連れ出されたんだから」
と答えた。
「え?修治さんと美咲さんが?」
驚く空に、恭介はそっと空の手を取りキスを落とすと
「それで?きみの返事は?」
と言って見つめている。
空は真っ赤な顔をして顔を逸らすと
「そんな聞き方、ずるいです」
そう言ってから、おずおずと恭介の顔を見て
「風太と…座敷童子、そして恭介さんと私で家族になりたいです」
と答えた。
恭介が微笑むと
「でも…そうなると恭介さん、一気に2人の子持ちですよ?良いんですか?」
戸惑う空を恭介は抱き締めて
「言っただろう?きみ達を養うだけの甲斐性は、あるつもりだよ」
そう呟いた。
「この先の未来、ずっと一緒に歩いて行こう」
恭介の言葉に空は涙を流して笑顔を浮かべ
「はい!」
と答えて抱き着いた。
「空…愛してる」
「恭介さん…私も愛しています」
ゆっくりと重なる唇。
7年の時を経て、ようやく2人の時間が動き出した。
「なぁ、美咲」
その頃、ホテルのラウンジでケーキを食べていた風太が美咲に声を掛けた。
「なぁに?」
「お前…なんで修治なんかにしたんだ?恭介がダメだったから、妥協したのか?」
風太の言葉に美咲は苦笑いを浮かべ
「ナイショ!大人になれば、分かるわよ」
そう言いながら、元座敷童子で今は「未来」と書いて「みく」と読む人間の女の子になった未来を連れてケーキを選んで上げている修治を見つめた。
辛い時、悲しい時、苦しい時。
そして楽しい時、嬉しい時。
いつだって修治がそばに居てくれた。
だから美咲は、恭介との辛い失恋を乗り越えられた。
そう考えていると、風太は
「ふぅ~ん」
と不満そうに呟いてから
「修治の事が嫌になったら、オイラが美咲をもらってやる。オイラ、美咲が大好きだ!」
そう言って風太が笑顔を浮かべた。
(顔立ちは教授に似てるから将来イケメン間違い無しで、こんな事を言うなんて…。将来が心配だわ…)
美咲がそんな事を考えていると
「美咲、風太ちゃん、なんの話?」
と、未来と手を繋いで歩いている修治が声を掛けて来た。
「ん?オイラが大人になったら、美咲をお嫁さんにしてやるって話してたんだ」
「風太ちゃ~ん。美咲は俺のお嫁さんになるんだよ」
「修治…、お前に美咲は勿体無い」
「えぇ!風太ちゃん、酷い!」
泣き真似している修治を、未来が頭を撫でて慰めている。
「風太が美咲と結婚するなら、私は修治と結婚する」
と呟いた。
「未来ちゃん…優しい」
修治がそう言って未来に頬擦りすると、風太が頬を膨らまさせて
「お前、ずっとオイラと一緒に居るんだろう!」
と叫んだ。
「風太は美咲が良いんでしょう?だったら、私は修治が良い!」
言い争う2人を見て、美咲と修治が顔を見合わせる。
今時の子供はマセているのだろうか?
そう思いながら、それでもこうして再び出会えた事に感謝をしていた。
これから風太や座敷童子は、人間社会の荒波に揉まれて行くのだろう。
でも、この2人なら乗り越えられると美咲はそう思いながら微笑んで見つめていた。
人は過ちを繰り返す。
でも、やり直せるのも又、人間だと思う。
この2人が歩く未来が、光り輝く未来でありますようにと、美咲と修治は願う。
「風太、未来」
空の声に2人が笑顔で駆け寄る。
幸せそうに笑う空と、3人を見守る恭介の笑顔に美咲と修治は顔を見合わせて微笑んだ。
「さぁ!部屋に戻りましょう」
「そうそう、積もる話もあるますからね!」
美咲と修治は4人に近付き、そう話しかける。
自然に繋がれた4人の手。
まるでずっとそうして過ごしていたかのような姿に、美咲は涙を流した。
(私もこれで…やっと前に歩き出せる)
そう心の中で呟くと、修治の手が美咲の手を握った。
「次は、俺達の番かな?」
全て分かっていて、丸ごと美咲を受け止めてくれている修治に笑顔を浮かべて微笑んだ。
「修治…。私も女の子と男の子が欲しいな」
呟いた美咲に、修治は驚いた顔して美咲を見つめて笑顔を浮かべた。
すると晴天なのに、何故か雨がザッと突然降り出した。
美咲は、大龍神が見守っていると言ってくれているように思った。
「美咲、修治!エレベーターが来たぞ!」
風太の声に、美咲と修治がエレベーターへ駆け寄る。美咲は自分の手を握り締める修治の手を見つめて、当たり前の幸せが1番の幸せなのだと噛み締めた。
6人を乗せたエレベーターは、ゆっくりと閉まって部屋のある階へと運ぶ。
それはきっと、幸せへと続く道のように… 【完】
空が恭介の手から手を離そうとすると
「どうして逃げる?もう、逃げる必要ないだろう?」
と言われてしまう。
「あの…あまり見ないで下さい」
俯いて呟く空に、恭介が
「そんなに見てる?」
と訊くと
「さっきからずっと見てます!」
怒って顔を上げた空を抱き締めた。
「ごめん。もう、2度と触れられないと思ってたから。タツ…嫌、今は空なのかな?きみがどんな顔でどんな姿でも、俺は必ず探し出せる自信があるよ」
そう呟いた。
「隠れんぼ…」
抱き締められた腕の中で、空はぽつりと呟いた。
「お母様が…隠れんぼに勝ったら、願いを叶えてやると約束したと言っていました」
そう言われて、恭介は驚いた顔をした。
「ただ…私を死んだ事にしなければ、里から出す訳にはいかなかったと…。だから、私も自分の命は尽きたんだと思っていたんです。悲しい思いをさせてしまって…すみませんでした」
「本当に悪いと思ってる?」
そう言われて、空が恭介の顔を見上げる。
「もちろんです。たくさん…泣かせてしまいました」
悲しそうに呟く空の頬にそっと触れると
「じゃあ、2度と離れないと誓って欲しいな」
そう言って唇を重ねた。
「恭介さん…。でも、美咲さんが…」
戸惑う空に恭介は吹き出して笑うと
「風太でさえ気付いたのに…。きみは心が読めないと鈍感なんだな…」
と言って
「藤野君は今や片桐君の婚約者だよ。今日だって、婚約祝いだって連れ出されたんだから」
と答えた。
「え?修治さんと美咲さんが?」
驚く空に、恭介はそっと空の手を取りキスを落とすと
「それで?きみの返事は?」
と言って見つめている。
空は真っ赤な顔をして顔を逸らすと
「そんな聞き方、ずるいです」
そう言ってから、おずおずと恭介の顔を見て
「風太と…座敷童子、そして恭介さんと私で家族になりたいです」
と答えた。
恭介が微笑むと
「でも…そうなると恭介さん、一気に2人の子持ちですよ?良いんですか?」
戸惑う空を恭介は抱き締めて
「言っただろう?きみ達を養うだけの甲斐性は、あるつもりだよ」
そう呟いた。
「この先の未来、ずっと一緒に歩いて行こう」
恭介の言葉に空は涙を流して笑顔を浮かべ
「はい!」
と答えて抱き着いた。
「空…愛してる」
「恭介さん…私も愛しています」
ゆっくりと重なる唇。
7年の時を経て、ようやく2人の時間が動き出した。
「なぁ、美咲」
その頃、ホテルのラウンジでケーキを食べていた風太が美咲に声を掛けた。
「なぁに?」
「お前…なんで修治なんかにしたんだ?恭介がダメだったから、妥協したのか?」
風太の言葉に美咲は苦笑いを浮かべ
「ナイショ!大人になれば、分かるわよ」
そう言いながら、元座敷童子で今は「未来」と書いて「みく」と読む人間の女の子になった未来を連れてケーキを選んで上げている修治を見つめた。
辛い時、悲しい時、苦しい時。
そして楽しい時、嬉しい時。
いつだって修治がそばに居てくれた。
だから美咲は、恭介との辛い失恋を乗り越えられた。
そう考えていると、風太は
「ふぅ~ん」
と不満そうに呟いてから
「修治の事が嫌になったら、オイラが美咲をもらってやる。オイラ、美咲が大好きだ!」
そう言って風太が笑顔を浮かべた。
(顔立ちは教授に似てるから将来イケメン間違い無しで、こんな事を言うなんて…。将来が心配だわ…)
美咲がそんな事を考えていると
「美咲、風太ちゃん、なんの話?」
と、未来と手を繋いで歩いている修治が声を掛けて来た。
「ん?オイラが大人になったら、美咲をお嫁さんにしてやるって話してたんだ」
「風太ちゃ~ん。美咲は俺のお嫁さんになるんだよ」
「修治…、お前に美咲は勿体無い」
「えぇ!風太ちゃん、酷い!」
泣き真似している修治を、未来が頭を撫でて慰めている。
「風太が美咲と結婚するなら、私は修治と結婚する」
と呟いた。
「未来ちゃん…優しい」
修治がそう言って未来に頬擦りすると、風太が頬を膨らまさせて
「お前、ずっとオイラと一緒に居るんだろう!」
と叫んだ。
「風太は美咲が良いんでしょう?だったら、私は修治が良い!」
言い争う2人を見て、美咲と修治が顔を見合わせる。
今時の子供はマセているのだろうか?
そう思いながら、それでもこうして再び出会えた事に感謝をしていた。
これから風太や座敷童子は、人間社会の荒波に揉まれて行くのだろう。
でも、この2人なら乗り越えられると美咲はそう思いながら微笑んで見つめていた。
人は過ちを繰り返す。
でも、やり直せるのも又、人間だと思う。
この2人が歩く未来が、光り輝く未来でありますようにと、美咲と修治は願う。
「風太、未来」
空の声に2人が笑顔で駆け寄る。
幸せそうに笑う空と、3人を見守る恭介の笑顔に美咲と修治は顔を見合わせて微笑んだ。
「さぁ!部屋に戻りましょう」
「そうそう、積もる話もあるますからね!」
美咲と修治は4人に近付き、そう話しかける。
自然に繋がれた4人の手。
まるでずっとそうして過ごしていたかのような姿に、美咲は涙を流した。
(私もこれで…やっと前に歩き出せる)
そう心の中で呟くと、修治の手が美咲の手を握った。
「次は、俺達の番かな?」
全て分かっていて、丸ごと美咲を受け止めてくれている修治に笑顔を浮かべて微笑んだ。
「修治…。私も女の子と男の子が欲しいな」
呟いた美咲に、修治は驚いた顔して美咲を見つめて笑顔を浮かべた。
すると晴天なのに、何故か雨がザッと突然降り出した。
美咲は、大龍神が見守っていると言ってくれているように思った。
「美咲、修治!エレベーターが来たぞ!」
風太の声に、美咲と修治がエレベーターへ駆け寄る。美咲は自分の手を握り締める修治の手を見つめて、当たり前の幸せが1番の幸せなのだと噛み締めた。
6人を乗せたエレベーターは、ゆっくりと閉まって部屋のある階へと運ぶ。
それはきっと、幸せへと続く道のように… 【完】
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