絶対零度の王女は謀略の貴公子と恋のワルツを踊る

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幸福な二人 *

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舞踏会の終了を皮切りに、ぞろぞろと着飾った貴族たちが会場から出て行く。舞踏会の片付けかなにかで、使用人たちが慌ただしく廊下を早歩きで歩いていた。

ハイリは、周りに指示を出すためか三人と別れ、城の奥への歩いて行った。その場に残されたルーシアとアレックス、マイクは和やかな空気で見送った。

「今日は、本当に驚くことばっかりでしたわ」

「確かにね。プロポーズされたり、専属の侍女が『ゲーム』を仕組んだきっかけだったり、二人が『占星術師』の家系だったり……不老不死の人間がいるかもしれないと分かったり」

アレックスは驚き疲れたと言わんばかりに肩を竦め、言い放った。
すると、マイクはヘラヘラとした口調に戻り、言葉を紡ぐ。

「不老不死はただの噂、だよ~。ちなみに俺も占星術師で、今年、家の跡を継ぐ予定だよ」

「そうなのか」

「あ、ちなみにこれは周りに秘密ね~。国家機密だから」

「「え!?」」

アレックスとルーシアは声を揃えて青ざめた。

(国家秘密って……。正直、知りたくなかったわ。信頼して話してくれたのなら嬉しいけど)

「マイク様。クライアン家の『秘密』を知ってる方って、他に誰がいらっしゃいますの?」

ルーシアは気になったことを質問した。アレックスも同様に頷き、耳を傾ける。

「王様と妃様、この二人だけかな。今は貴女とアレクを合わせて四人になってしまったけど」

「父様と母様だけ、だったなんて……。なんだか、凄いことを知ってしまいましたわね」

「ああ」

アレックスとルーシアは顔を見合わせながら、頷きあった。二人が「知りたくなかったら」と一発でわかる表情をしていると、マイクは真面目な顔で体制を整えた。

「ねぇ、お二人さん」

「「……?」」

「一応、占星術師である俺から一つ、お二人に餞別を用意しました。心して聞いてください」

マイクはそういうとにこりと微笑み、威厳のある声で言葉を述べた。



「貴方たちの未来には輝きが約束されている。幸せへと向かう道はこのまま一直線だ。…………二人は幸せになれる」



「……!」

「お、まえ」

占星術師の占いがどれほど当たるかなどは分からない。だが、アレックスもルーシアも不思議とマイクの言葉を信じることが出来ると思った。
それほどまでに、威厳と確信を帯びた声色で話していたからだった。

「王女殿下はアレクに要注意してください。貴女を愛しすぎて、愛が非常に重い男です。うまい具合に愛してあげてください」

「おい!マイク!」

「ふふ」

アレックスは怒った口調で男を攻めた。責められた当人はというと、どこ吹く風状態で目線をそらした。そして、

「では、お二人に祝福があらんことを」

そう述べ、その場から立ち去ったのだった。







ルーシアとアレックスは大舞踏会と、衝撃の事実を耳にした後、ルーシアの自室にいた。

「今日は本当に疲れましたわ」

「そう、だね」

「……?」

アレックスは歯切れが悪かった。ルーシアが「どうしたの?」という表情で見つめると、彼はぎゅっと抱きしめ、胸に加温埋めた。

「あいつ……マイクがあんな秘密抱えてたなんて……知らなかった」

「私も……ハイリが結婚するなんて全く気がつきませんでしたわ」

二人は顔を曇らせた。
身近な人が抱えているものに気がつかなかった自分を責める。だが、二人はルーシアとアレックスが自分を責めることを喜ばないだろう。
だとすれば、二人は前を向いて進むべきなのだろう。

「ルーシア……」

アレックスが掠れた声で名前を呼ぶ。 その声には色々な思いが混じっているようにルーシアは思った。
彼女はアレックス唇に軽くキスをして「大丈夫よ」と伝える。すると、アレックスの瞳には情欲の炎が密かに灯った。

「ああ、ルーシア!!」

アレックスはルーシアの唇を食む様に啄ばみ、下を口内へと侵入させる。

「はぁ……んっ」

舌は硬口蓋をくすぐり、歯列をなぞる。
そのくすぐったさと気持ち良さに、ルーシアは鼻から息を漏らした。粘着質を帯びた音が部屋の中を満たし、ついでに二人の心も満たしていく。

「ルーシアいい?」

アレックスの言葉の意味が分かると、ルーシアはこくり、と頷いた。
アレックスの手がブルーのドレスの上から胸に触れ、強弱をつけて揉む。

「んんっ!」

ルーシアは身悶えるようにして立ったまま背中を反らし、座りこまないよう足に力を入れた。
すると、アレックスの手がブルーのドレスの裾を捲り、ルーシアの真っ白な太ももへと伸びる。そのくすぐったさに腰を揺らしていると、その手はルーシアの下着へと伸びていった。

「はぁん!」

アレックスが下着の上から割れ目をなぞると、ルーシアの口から嬌声が漏れる。上から下、下から上へとなぞっていくと、たちまち下着は濡れていく。

「アレクっ!だ……めっ」

「ダメだなんて嘘だろう?ほら、こんなにもビチョビチョじゃないか」

そう言って、ルーシアの下着の中に指を突っ込んだ。

「ひゃぁんっ!」

敏感な花弁は蜜でぬるぬるに濡れ、アレックスの指の滑りを良くしていた。
アレックスは下着から手を抜くと、その濡れた手をルーシアの眼前へと持ってくる。指を開くと、銀色の糸が指と指を引いているのに気がついた。

「ほら、こんなにも蜜が溢れてるのに」

「そんなっ!み、せないで」

ルーシアは頰を桃色に染めながら、濡れぼそった指から視線を逸らす。

「ルーシア可愛い」

彼は愛おしそうな声色で呟くと、再び手を花弁へと持って行った。
蜜穴から出る愛液を取っては、陰核に塗りつけ、小刻みに弄る。
その度にルーシアの花弁はびくびくと震え、また新たな蜜をこぼした。アレックスはいっきに蜜穴に指を二本入れ、じゅぼじゅぼと音を立てながら中を擦る。
蜜は立ったままの足を伝い、床へとこぼれていく。

「あぁああああんっぅ!」

ルーシアは甘い嬌声を上げ、美しい顔を歪ませる。口からはだらしなくよだれが垂れていた。
知らない間にもう片方の手によって、ドレスの上半身は剥かれ、形の良い乳がこれ見よがしに揺れている。

「ああ、ルーシア。君はなんて可愛いんだ」

「ふぁんっ……そ、んなのっ!しら、なああぁん」

「もう……ダメだっ!限界だっ」

アレックスは辛いと如実に語る声で言い、自身の肉棒を取り出した。そして近くの椅子に座ると、ルーシアの下着を脱がせ膝の上に跨らせた。

「アレクっ!ドレスが」

「大丈夫。汚さないようにするから」

そう言って、ルーシアの蜜穴に欲望を突き入れた。

「はぁああん!」

「ルーシア!俺のどう?気持ちいっ?」

アレックスはルーシアの体を上下に揺らし、自身も下から突き立てる。動くたびに、いやらしい水音が響き、余計に快楽を覚えさせた。

「ねぇ!どうなの?気持ちいかいっ?」

「はあぁんっ!き、もちい!!!」

「そう、それなら良かったよっ」

荒い息を吐きながら、二人は向かい合う形で出し入れする。

座ったままだと、いつもより奥2回あたって余計に気持ちよくなっちゃうわ!

ルーシアは奥にガツガツと欲望をぶつけられならが、自分に限界が近いことを知った。揺れ動かしながらアレックスの肉棒は大きく膨張させており、ルーシアの中を圧迫していた。

「ねえっ!あぁん、ア、レク!も、うイッちゃうっ!!!」

「ああっ!俺、もっ!」

腰を強く突き上げるアレックスは苦しそうな声を出し、突き上げる速度を上げ、ラストスパートをかけた。

「はあんっぁつああああ!!」

「ルーシアっ!一緒に、イこう」

太い肉棒へと締め付けが強くなり、アレックスはより一層強く、深く中をえぐった。ルーシアはブルーサファイアの瞳を閉じ、背中を丸くしてその時を待ち構える。そしてその途端、

「あああぁあああ!!!!!」

「うっっ!!!」

ルーシアは陸に打ち上げられた魚のようにビクビクと痙攣し、中をぎゅうぎゅうに締め付け果てた。背中を反り返し、アレックスの首に手を回し甘い悲鳴を上げた。
それと同時にアレックスも、強い締め付けのせいで白濁の液がピュッと飛び出て、中に吐き出した。
ルーシアの痙攣が徐々に治まると、繋がったまま深くキスをした。

「ふぁ……んっ」

「んっ」

ーーーー甘くて長い、お互いが愛し合っているとよくわかるキスを。

唇が離れ、ルーシアはうっとりとした視線でアレックスを見つめる。そしてアレックスも愛しさを孕んだ視線でルーシアを愛でた。
自然とまた唇が合わさり、深いものになっていく。まさしく、愛を交わしている様だった。



「愛してるよ、ルーシア」

「私も愛してるわ、アレク」



二人の心と重なり、夜の闇へと溶けていく。

あなたと出会えてよかった。

お互いにそう思いながら、再び影を重ねていく。

月明かりに照らされたブルーサファイアのネックレスと指輪が、美しく胸元と指先でキラキラと輝いているのだった。


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