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初めての快楽 *
しおりを挟む「んんっ!」
こうして唇を合わせていると、まるで互いの熱を交換しているかのような錯覚に陥る。
しばらくして、少しずつ息苦しくなったエリィは顔を赤くしながら身をよじった。唇と唇が離れると胸を喘がせた。ハァハァとエリィの息遣いが部屋中に響きわたる。
フランツはというと息一つ乱さず、したり顔を向けてきた。顔にはありありと「ざまあみろ」と書かれており、彼女の心にはムッとした気持ちが広がる。
このまま終わらせてたまるか。
そう思ったエリィは、今度は自ら唇を重ねた。さらに腕をフランツの首に回し、積極的に抱きつく。咄嗟のことに驚いた彼は肩をびくりと震わせる。
「なっ! お前っ」
フランツは肩を引き離し、動揺した目で見つめた。
どうみてもエリィはキスの仕方も知らない処女で、仮にも貴族の令嬢だ。彼女が反撃してきた事によほど衝撃をうけたのだろう。フランツが狼狽える様子にエリィは内心「したやったり」とほくそ笑んだ。
そんなことを考えていると、気持ちが表に出ていたらしい。フランツの癪に触ったようで、先ほどにも増して高圧的な声で言葉を口にした。
「お前、覚悟しろよ」
その途端。フランツはエリィの唇に噛みつくようにキスをした。圧倒的な力強さはエリィの唇を貪り尽くしてしまうかと思うほどで。「んっ」と声を漏らしながら抵抗すると、その少し空いた唇の隙間に舌を無理やりねじ込んできたのだ。
ぬるぬると口内を犯すように舌が動き回る。口蓋を舌先でなぞられると思わぬ快楽が走った。互いの唾液が混じり合い、卑猥な音を立てている。エリィの口の端からは唾液が漏れ出し、顎を伝って柔らかな胸元へと落ちた。
エリィは初めての感覚に戸惑いながらも、心地よさに全力で身を委ねていた。
――もっと欲しい。
素直な体は訴えかけてきて、下半身に快楽の熱が集まることを自覚していた。
未知の感覚のせいで腰が抜けてしまいそうになり、思わずフランツの仕立ての良さそうなジャケットを掴む。すると、彼はエリィがもともと座っていたソファへ彼女を押し倒し、自ら覆いかぶさってきた。
「気持ちいいんだろ?」
色気を含んだ声でエリィの耳元に問いかける。そのときにかかった吐息にもピクリと反応してしまうエリィはより一層、胸を喘がせた。
「はぁ……はぁ……えぇ。こんな感覚初めてです」
感情を偽っても仕方がないと思い、素直な気持ちを相手に伝える。
エリィは今まで味わったこともないような途方もない背徳感と快感を覚えていた。キスだけでここまで気持ちよくなってしまうのならば、ここから先の景色は一体どのようになっているのだろうか。不安と期待が入り混じった表情でフランツを見つめる。
「……っ」
男は、欲情した女を目の前にし息を飲む。
エリィの顔つきは先ほどまでの清浄で愛らしい面影など見る影もなく、淫らな女の顔をしていた。
「エッロい顔」
フランツはエリィの背中で結ばれた桃色の紐を解く。可愛らしいドレスはずり落ち、腰かけたソファの上で止まった。エリィの上半身を覆い隠すものは既に下着のみになってしまったが、肝心の彼女は流れるような手際の良さに感心し、この光景自体が非現実的だなとまるで人ごとのように考えていた。
だがこの先へ進むことの期待感がないかといえば嘘になる。かといって男性に素肌を見られたことなどただの一度もなかったため、羞恥心を覚えてしまうのは仕方がない。
エリィが戸惑いを浮かべているとフランツは下着をずりおろし、エリィの白くて柔らかな双丘をてのひらで包む。きめ細やかなそれは大きすぎるということもなければ小さすぎることもなく、しっとりと素肌に馴染んでいき芳香を漂わせていた。彼は緩急をつけてそれを揉みしだく。
「あっ……」
乳首にはまだ触れぬよう胸を様々な形に変える。エリィの口から時たま漏れ出る声は非常に扇情的で、フランツも少しずつ余裕をなくしているかのように思えた。
「ここ、勃ってるけど?」
彼はエリィのツンと上を向いた乳首を指差し、意地悪げに微笑む。
触れないようにされていたはずだが既に硬くしこっており、エリィは羞恥で顔を真っ赤に染めた。
「あっ! そこはっ……!」
フランツは尖りを失わないそこを指先でぎゅっと摘んだ。同時に嬌声が室内に響く。
エリィは既に余裕を失っていた。この甘く淫らな快楽に溺れてみたいという気持ちは留まることを知らない。
フランツは自身の指先を唾液で濡らした。そして乳輪にくるくると擦り付け、そのあと乳首をぐりっと潰す。まるで全身に稲妻が走ったかのような気持ち良さに襲われた。思わず背をそらし、胸を押し付けるような格好になってしまう。
口からは快楽の吐息が漏れ、エリィは恍惚な表情を浮かべた。
手 がドレスのスカートをかいくぐり、柔らかな太ももに触れる。その手はゆっくりと下着へと導かれ、とうとうクロッチ部分へとたどり着いた。フランツはエリィの下着の上から割れ目をなぞる。たまに強く押されると、中から何かが溢れ出してくることを感じた。
「あっ……んっ!」
初めての人に触れられたその場所は少し触れただけでも強い刺激が襲い、思わず唇を噛み締める。秘められたその場所を他人に触られていることに羞恥を覚えた。
フランツの手は下着の隙間から侵入し、エリィの花園を暴いていった。くちゅりと水音が耳に届き、知らず知らずのうちに蜜穴から愛液が溢れていたことを知る。その液は下着のをもびっちょりと濡らしていた。
「こんなに感じてんのか」
驚いたようなフランツはエリィ下着を横にずらし、彼女の陰核をぐりっと擦った。
「ああっ!」
今までで一番の刺激がエリィを襲った。自分でも触れたことのない場所であり、目を白黒させる。
フランツは蜜穴から溢れた液を花弁全体に塗り広げるが、その際にくちゅっとわざと卑猥な音を立て、エリィは耳からも犯されているような気分に陥った。
液が十分に広げられたあと、指先は再び陰核へと導かれていく。指で素早く擦ったり、円を書くようにこねくり回されると、さらに新たな蜜がこぼれ落ちていく。それを執拗に繰り返され、暫くすると膨大な熱がそこに集まり始めた。
「あぁっ! 気持っちぃいっ!!」
思わず口からは気持ちが溢れてしまうほど、興奮が抑えきれなかった。太ももを蜜が伝い、ふるりと震わせる。
反復するように陰核を刺激され続けると、何かが来る。強すぎる快楽にそれを悟った。まるで高みにのぼっていくようで、その波に備えて全身にに力をいれた。ふと、フランツとめがあった。その瞬間。
「あっあぁああぁ!!!」
下半身に溜まっていた快楽の塊は思いっきり弾けた。声にならない声を上げ、体をビクビクと痙攣させる。意図しなくとも腰が跳ね、フランツが支えてくれなければソファからずり落ちてしまいそうだった。 膨大な快楽の底に沈められ、焦点の合わない目をぎゅっと閉じる。
しばらくすると絶頂の波が通り過ぎ、薄っすらと目を開くと情欲を携えた瞳のフランツが快楽の底へと沈んだエリィを眺めていた。
「もう、気をやったのか」
彼の発した言葉の意味が分からず、考えようにも頭が回らない。声を出そうとするが、口から漏れるのは熱い吐息に混じった声にならないものだった。
次第に眠気を覚え、まぶたを閉じてしまう。
「……おいっ」
彼の耳障りの良い声が聞こえる。だが、頭が重く意識が朦朧としてしまい答えることは出来なかった。
今日1日いろんなことが起き過ぎて、心身ともに疲労を感じていたのだろう。
結局は襲いくる睡魔に対抗出来ず、エリィの意識はゆっくりと微睡みに溶けていった。
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